アイテム番号: SCP‐1289‐JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: SCP‐1289‐JPはサイト-81██の人型収容房に収容してください。 SCP‐1289‐JPからの要求、および議論はセキュリティクリアランス4以上を持った職員の指示を受けてから行い、その花弁の枚数を記録する必要があります。
説明: SCP‐1289‐JPは頭部がユキツバキ(Camellia rusticana)であるコーカソイド系の男性です。発声器官や耳や目等の感覚器官は存在しませんが不明な方法により発声、およびコミュニケーションをとることができます。また、排泄などの生理活動も必要とせず、多くの場合収容室内で何らかの創作活動を行っています。SCP‐1289‐JPは他人に対し攻撃的で、自分の思い通りにならないことに強い嫌悪感を示します。
異常性はSCP‐1289‐JPが他人に対して’’要求’’や’’議論’’を行った際に発現します。SCP‐1289‐JPは全ての事象が自分の思い通りになることを好み、それを他人に要求、問いかけます。この結果、その回答がSCP‐1289‐JPの求めるものでなかった場合、頭部の花弁が1枚欠落し、求めた結果となるように現実改変を引き起こします。ただし、その改変は非常に小規模で周囲に大きな異常性をもたらすものではないため終了処分は見送られています。頭部の花弁の枚数が減るにつれ、SCP‐1289‐JPの現実改変は強力になる傾向があります。終了の試みはSCP-1289-JPの新たな異常性発現の可能性のため、見送られています。発見時SCP‐1289‐JPの花弁は合計して23枚でした。現在の枚数は下記のリストを参照してください。
以下はSCP‐1289‐JPからの’’要求’’、’’議論’’のリストの一部です。
要求及び議論の主題 | 結果 | 付記 |
---|---|---|
絵を描くための道具一式 | 限定承認 | SCP‐1289‐JPが他人に危害を加えられない、鋭利ではないもののみが支給された。 |
サイト内を自由に歩き回る権利 | 却下 | 頭部の花弁が落下、同時にSCP‐1289‐JPの収容室のプレートが『サイト-81██』と書かれたものに変化した。花弁は残り22枚 |
インターネット環境の整備 | 却下 | 頭部の花弁が落下、同時に収容室内に80年代式の古びたパソコンが出現した。起動はできなかった。花弁は残り19枚 |
定期的な雑誌の購読 | 承認 | SCP‐1289‐JPの求めた3冊の芸術雑誌が供給される。 |
写生のためのサイト外への外出 | 却下 | 頭部の花弁が落下、同時に収容室内の壁が草原を描いたものに置き換わった。花弁は残り15枚 |
芸術に長けた職員との対談 | 承認 | 園田研究員補佐と対談した。 SCP‐1289‐JPは『イかしてるとはどういうことか』に主題を置いて議論していた。詳細は後述のインタビュー記録を参照。 |
SCP‐███‐JPとの対談 | 却下 | 同時にSCP‐███‐JPの収容違反が発生、ただしSCP‐███‐JPがおとなしく収容に応じたため被害はなかった。花弁は残り11枚 |
写生のためのサイト外への外出[2度目] | 限定承認 | SCP‐1289‐JPの現実改変能力の強化と花弁の残り枚数の減少により武装した職員の同行付きで認められた。 |
以下は園田研究員補佐とSCP-1289-JPの間で行われた対談の記録です。
対話記録1289-JP-3
対象: SCP-1289-JP
対話相手: 園田研究員補佐
<録音開始>
SCP-1289-JP: おい、おせぇぞ。
園田研究員補佐: 申し訳ありません。しかし定刻通りかと。
SCP-1289-JP: 俺は座っている。お前はその後に来た。俺を待たせんなって言ってんだよ。…まぁいいよ、取りやめさせられたくはねぇからな。お前、芸術に長けてるらしいが何を作ってんだ?
園田研究員補佐: 彫刻ですね。もっとも、この仕事に就いてから纏まった時間は得られませんが。
SCP-1289-JP: 彫刻!いいねぇ最高にアツい。俺には危ないからノミみてぇなもんは貰えねぇけどよぉ。どんなのを作ってんだ?
園田研究員補佐: 写真ではありますが、こちらを。[園崎研究員補佐が自身の創作物についての写真を取り出す。]
SCP-1289-JP: いいなあ!今度完成したら見せてくれよ。
園田研究員補佐: 許可が下りれば、ぜひそうさせていただきます。
SCP-1289-JP: お堅ぇなぁ。そうだ、1つ質問させてもらおう。お前、芸術作品を作るときに一番大事なのは何だと考える?
園田研究員補佐: 大事なものですか。
SCP-1289-JP: そうだ、芸術には、何が不可欠だ?
園田研究員補佐: [数秒の沈黙]情熱、でしょうか。
[SCP-1289-JPが立ち上がる。]
SCP-1289-JP: 情熱!いいねぇお前は分かってるよ!
見る物を引きつける熱さ!『静』なはずの創作に魂を与えて暴れさせるのが俺達芸術家の仕事だ。冷たいものは酷く無機質でつまらない。そうだろう?
園田研究員補佐: ええ、まぁそういう考え方もあるでしょう。
SCP-1289-JP: 見る者全てに感動を!思わず踊り出してしまうような、心躍るきらめきを!体が熱くて熱くてしょうがないそんな芸術を産みだすのが芸術家だろう!
園田研究員補佐: SCP-1289-JP。座ってください。
SCP-1289-JP: 俺たちは芸術にホットじゃなければいけない。すべてを突き動かす情熱こそが心を揺らすんだ!あの屑どもはそれをわかっちゃいねぇ!くだらない思想のもとに作られた作品なんて糞の掃きだめと変わんねぇだろう!なあそうだろお前!
[警備員がSCP-1289-JPを確保にかかる。]
<記録終了>
終了報告書: 警備員がSCP-1289-JPを確保しようとした直後、室内に彫刻が出現しました。園田研究員補佐により彫刻は自身のものであることが確認されていますが、製作途中であった彫刻が完成し、頭部が男性の激高したものに入れ替わっていたことは特筆するべき点です。
補遺1: 異常化する前のSCP‐1289‐JPの自宅から異常性に関連すると思われる1枚の手紙が見つかりました。以下はその内容です。