SCP-1297
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SCP-1297-1.jpg

違反を試みている最中のSCP-1297-1の唯一既知の写真。記録された速度は40km/hを超えている。

特別収容プロトコル:

時間異常部門の命令により、SCP-1297は東部に段差のない隔壁扉の付いた、鉄筋コンクリートで補強された10×10×5mの囲いの中心に収容されます。部屋は天然ガスの点火棒で照らされ、ガス漏れと照明故障のための標準安全プロトコルが常に維持されます。鋼のキャットウォークが天井と西の壁に、床から2m離れた位置に吊るされ、隔壁侵入口が北と南の壁に設置されます。違反未遂に備えて最低50人の警備員が常に現場で待機し、キャットウォーク上には5人以上の保安職員が常に配置されます。

電気システムはSCP-1297の監視、収容には用いられません。どんな形であれ人工物の補助、治療(ペースメイカー、器官/骨/関節の交換、目の移植片等)を受けた職員はSCP-1297の担当を失格とします。保安職員は収容サイト到着前に旧式の銃器と古代の混戦用武器について補足的な指導を受けることになっています。SCP-1297-1出現イベント(補遺1297-1参照)に対する回避処置はありませんが、全ての実体はどのような手段を用いてでも即座に処分することになっています。

活性SCP-1297-1実体の処分後の直ぐに、残った実体の発生物(正確には足の爪の切りくず1つ)を捜索し、即座にSCP-1297に戻されます。この任務の担当職員は皮膚接触を防ぐため手袋を着用しなければなりません。どのような状況であってもSCP-1297の空輸、または500人以上の人口中心地から40km以内への侵入は許されません。


説明:

不活性状態時において、SCP-1297は高さが約20cmのプラスチックのネジ蓋を伴うガラス瓶です1。瓶の中身は明らかに様々な状態で切り取られた人間の足の爪の切りくずです。正確な容積や切りくずの数、年齢、構成は異常特性のため測定することができません。

爪の切りくずが瓶から出されると、SCP-1297は特異な時間変異場を現します。実験的な試行と違反未遂から、異常な力場内で記録された時間とその外部で観測された時間(以後'Δt')の差が活性時間とSCP-1297から失われる切りくずの数を増加させることが測定されました。異常の活性範囲も同様の基準によって拡大します。

最初の徴候において、SCP-1297の活性範囲は0.5mでΔtは10年です。これは1時間毎、切りくず1つ毎に範囲を0.5m、Δtを10年増やします。この影響に対処するには元の爪の切りくずをSCP-1297に戻すことです。切りくずを返す毎に対応した範囲とΔtの増加を逆転できます2。他の局所的時間異常と異なり、場は生物、人間、放射線、単純な物体に対して危害を与えることなく出入りすることを許します。

SCP-1297に由来する異常現象は局所的TK-クラス因果再構築イベントに相当し、全ての一時的局所因果律(おおまかに20~50年前)が次第に我々の現在の世界線の後方へと押しやられることになります。意識の同一性や自己の生い立ち、基本的な状況知識はそのまま保持しますが、活動範囲内で観測される技術レベルの後退は次第に大きくなっていきます3。現在使われている技術の消失、後退によって僅かな失見当識が起こるにも関わらず、影響を受けた全ての人間は前もってSCP-1297の特性を知らされない限り、変化への反応を示すことはありません。

場は健康な人間に対して直接害を与えることはありません;しかし、高度技術によって生存している対象は局所Δtが高度技術を排除することで死亡、または完全に消失します。この効果によって消えた道具または人間は一旦問題の切りくずがSCP-1297に戻されると復活します。二次災害による一時的消失は起こりません。

SCP-1297は場の効果範囲とΔtの加速を早めるために、独特の攻撃的方法を用います。切りくずはこの効果なしに手動で移動、転移は出来ませんが、SCP-1297は不規則な間隔4で開き、不規則な数5の未確認の粘着性の、どろどろした、茶色い液体に覆われた切りくず(SCP-1297-1と指定)を排出します。液体と直接肌が触れると対象は100%強烈な腹痛、吐き気、嘔吐を引き起こします。匂いは露出した対象の13%で十分に効果的に引き起こしました。嘔吐、息切れ、意識喪失による無力化はいずれの場合で20分続きます。

これに加え、SCP-1297-1は任意の行動が可能です。出現から5分以内で、SCP-1297-1は無脊椎のヒトデ類に似た放射状に対称形の形に切りくずの周りで凝固します。生じた可動実体は直径0.25m以下ですが、2mの垂直跳び、5mの距離の跳躍、どんな方向にも最高速度20km/hで動くことが可能でできるだけSCP-1297とSCP-1297-1の距離を置こうとします。実体は自身の環境を認識しているようで、脱出を試みる前にSCP-1297から更なる切りくずを取り出そうとします。SCP-1297-1に類似した実体がSCP-3109の異常に関連して観察されています。


補遺1297-1: 収容メモ

初期の収容対処でSCP-1297に感覚が無いと推測され、主にSCP-1297-1の出現と徴候の防止が焦点となりました。床の傾斜、空気の圧縮、液体窒素スプレー等の自動収容では効果が無いだけでなく、出現イベントの頻度と量の増加が示されました。

80×80×80cmの頑強な鋼鉄製ブロック内に鋳溶かし込むという永久的な収容手段の試みに効果はありませんでした。違反を起こすまでSCP-1297は4年間不活性を維持しましたが、次のSCP-1297-1は████体出現し、全ての実体が処分されるまで発生源から20km圏内では通信と火器技術の喪失、40m圏内では言語の読み書き不能が発生しました。同規模またはそれ以上の別の違反が発生すれば既知の他のSCPを収容違反させることとなり、複数のXK-クラス世界終焉シナリオが同時に発生すると推測されます。

拡充した収容処置を認知する意識、拡充への対応をエスカレートさせる能力が実証されたため、更なるSCP-1297活性化を予防する試みは禁止されます。

SCP-1297の分類は1986/10/28にKeterに格上げされました。


補遺1297-2: 文書1297-A

SCP-1297は1949/██/██にアメリカの郵便を通じてサイト-19に配達されました。サイトに収容されていた全23体のEuclidクラスのSCPを含むΓ-4レベルの収容違反と同時に到着しました。以下のメモはSCP-1297と共に回収され、赤い蝋に封入されていました。おそらくSCP-1297の効果で破壊させない為に、メモはベラム紙に単純な炭のインクで書かれていました。

親愛なる████████へ
やはり私は君の申し出を断ることにしたよ。魅力的だ、支配ほどではないが。しかし、君の財団は無くても構わないのだよ。

そして、君はこの事に本当は気づいている。そう確信している。全ては許されるさ、友よ。そしてこの世界には自由にできない物がない。君ではない。私でもない。私達の父や母でもない。全ての運命、全ての歓喜、全ての恐怖でもない。

この小さな瓶を除いてな。

うんざりしたか?そうだ。気に食わないか?勿論だ。しかし、私達が知っているように君の財団が"現状"に価値を置かないのであれば、君は決して免れない。それが君の望むことだと私が考えていると思うか?

君がちょうど諦めて、共に働いてくれることを正直に願うよ。私達がもはや友で無いのは悲しい。残念だ。私達は良き仲間だった。

また会う日まで – 君に最初に会わない限り – 居続けるさ、君の爪先に!
- █████

箱は輸送中に損害を受けて下面に小さな穴が見られ、そこからSCP-1297-1が1体脱走しまだ逃走中であると推測されます。上面の消印は2049/██/██の消印を示しており、SCP-1297-1毎に最大Δtは100年であると示されました。その後の包装の実験でSCP-1297の影響を受けないままであることが確認されました。この耐性を解析し、再現する研究が進行中です。

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