SCP-1297-JP
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アイテム番号: SCP-1297-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-1297-JPは、赤外線カメラ用いて特定し回収してください。回収されたSCP-1297-JPはサイト-8181の標準的収容ロッカーにて収容されます。現在、マスメディアを通じて「供えられた飲食物等による異臭及び害獣の発生」を社会問題として提起し、SCP-1297-JPを原因とする被害発生の低減を図っています。

説明: SCP-1297-JPは、国内における不定の歩道等に出現する動物性たんぱく質等の塊です。外見は透明のラッピングペーパー及び3~5本の仏花1に指定される花で構成されており、それらは一体化しているため分解することは不可能です。SCP-1297-JPは出現から22~25日経過すると異常性を喪失し、一般的な腐敗現象を示します。現在までに███箇所でSCP-1297-JPが確認されており、出現頻度は年々増加傾向にあります。

SCP-1297-JPを目視した人間はSCP-1297-JPを「交通事故現場に供えられた献花」として認識します2。一部の人間(宿主と呼称。)は、弔意などの感情を理由にSCP-1297-JPの存在する場所で立ち止まる、祈る等の行為を実行します。その間にSCP-1297-JPから、頭部を除くハリガネムシ(Gordioidea)と類似した身体的構造を有する体長1cm程度の寄生生物(SCP-1297-JP-1と呼称。)が出現します。SCP-1297-JP-1は宿主と接触し、角状の頭部を用いて15秒程度で宿主の体内に侵入して寄生します3。侵入前であれば簡単な動作で排除できますが、多くの場合宿主はその行為の都合上SCP-1297-JP-1の存在を察知できません。

SCP-1297-JP-1に寄生された宿主は、6~7日以内にSCP-1297-JPから離れた場所で交通事故に遭い██%の確率で死に至ります。その際、SCP-1297-JP-1は体内から離脱し、事故現場付近にて5~6時間かけてSCP-1297-JPに変異します。

2017年4月3日愛知県██市立██小学校付近の交差点で発生した交通事故4に宗川博士が疑念を抱き、独自に調査した結果SCP-1297-JPの発見に至りました。

以下は、関城研究員によって作成されたSCP-1297-JP及びSCP-1297-JP-1に係る研究レポートを一部抜粋したものです。
宗川氏へのインタビュー記録 日付2017/04/05

対象: 宗川 優(宗川 姫華の父親、サイト-8181勤務)

インタビュアー: 関城研究員

<録音開始>

関城研究員: 宗川博士、質問を始めます。よろしいですか?

宗川氏: 私がこちら側になるとはね。[苦笑]ああ、何でも聞いてくれ。

関城研究員: 事件発生日の直近における姫華氏の行動についてお聞きします。何か気になる点はありましたか?

宗川氏: あったよ。私が事故に疑念を抱いた根拠でもあるが、事故の前日に姫華が学校に早く行きたい、って言ったんだ。つい1週間前までは入学するのをすごく拒絶していてね、あのときはてっきり心情に変化があったんだ、と思っていたよ。

関城研究員: SCiPによる思考の改変ですか。しかし、それだけでは異常存在によって引き起こされた事故だと断定するには不十分だと感じます。他にも根拠があるのではないでしょうか?

宗川氏: 事故の…1週間くらい前かな?姫華が私に、パン屋さんの前の道路に花束が落ちてた、って言ったんだ。でもパン屋さん、ああ、パン屋は██店のことだね、私の知る限りあそこの近くで事故なんて発生していないんだ。

関城研究員: ええ、仰るとおりあの付近で交通事故が発生した記録はありません。姫華氏はそのときに寄生された、というわけですね。

宗川氏: [11秒間の沈黙]少し前に姫華に献花のことを教えたことがあってね。きっとそれが原因だったんだろう。

関城研究員: …確かに宗川博士が存在しないはずの献花に違和感を感じたのは事実かもしれません。しかし、献花を模したSCiPの存在は後に発覚したことであり、やはり決定的な根拠にはなりません。その根拠を教えてください。

宗川氏: [8秒間の沈黙]姫華はね、決してルールやマナーを破らないんだ。昔、私がタイ焼きを立ち食いしていたら怒られたよ。マナーを守ってよパパ、てね。[苦笑]これだけだよ、私があの事故をおかしいと思った根拠は。関城君は満足しないかもしれないが、本当にこれだけなんだよ。[俯く]

関城研究員: …わかりました、インタビューを終了します。

<録音終了>

終了報告書: 宗川姫華氏の解剖記録によれば、脳からSCP-1297-JP-1の活動痕跡及び未知のたんぱく質が検出されたとある。このため、「早く学校に行きたい」旨の発言及び事件時における異常行動は、交通事故に遭うための未知のたんぱく質による思考の改変だと思料される。また、未知のたんぱく質からは自己再生機能を著しく低下させる作用についても判明しており、SCP-1297-JP-1への抵抗力を低下させる目的だと推定される。

SCP-1297-JPが外見を献花に模していることから、故意に人間を寄生対象としていると思料される。SCP-1297-JPが人為的に作成された可能性に留意し、要注意団体との関連についても別途調査を進める。

付記: インタビュー後、宗川博士がSCP-1297-JPの研究への参加を希望する旨の申し出をしたが、客観的な研究を実施できないと判断し、これを棄却した。宗川博士の精神的磨耗を鑑みて、SCP-1297-JPに係る記憶処理を今後検討する。

SCP-1297-JP-1の変異過程に係る観察記録 日付2017/04/30

実施方法: D-55742に通常の寄生手順に従ってSCP-1297-JP-1を寄生させる。SCP-1297-JP-1の寄生から7日経過したD-55742を一般道路に模した実験場にて轢死させ、体内から離脱したSCP-1297-JP-1の行動を定点カメラを用いて観察する。

<再生開始>

00:02:43 D-55742の左眼窩からSCP-1297-JP-1が離脱する。SCP-1297-JP-1は蛇行し、変異場所を探索している様子。

00:05:19 SCP-1297-JP-1は歩道端に到達後、その場に静止する。角状の頭部が5つに分岐し、伸長し始める。並行して、体色が薄青色に変化し始める。

01:57:35 体色が完全に薄青色に変化し、体長30cm程度に達した時点で頭部の伸長が停止する。頭部の先端が膨張し始める。

03:09:14 直径2cm程度に達した時点で先端の膨張が停止する。先端の表皮が垂直方向に剥け始める。頭部ごとに姿形は異なるが、剥けた表皮はいずれも仏花に指定される花の花弁に類似する。その様子は、一般的な被子植物の「開花」の過程と類似している。

04:21:38 「開花」が完了する。頭部を除き、無色透明のクチクラ5が下半身部を覆うように拡張し始める。

05:58:09 下半身部を完全に覆った時点でクチクラの拡張が停止する。

[以降、SCP-1297-JP-1に変異は認められなかった。]
<再生終了>

分析: 約6時間かけての変異には相当なエネルギーを必要とすると思料される。離脱直後のSCP-1297-JP-1の体長が寄生前に比べ約3倍に増大していた理由は、宿主から得た栄養分を蓄えたためだと思料される。

付記: 宗川博士が失踪したとの報告を受けた。SCP-1297-JP-1に係る重要参考人として、本日付けで宗川博士の捜索活動を開始した。

補遺1: 19██年█月█日に記録された監視カメラにより、日本生類創研の構成員がSCP-1297-JPと接触する様子が確認されました。日本生類創研がSCP-1297-JPの起源に関与すると推定し、2017年5月15日付けで関連施設に機動部隊ら-19("黙する庭師")を派遣、鎮圧に成功しました。以下は、当該施設より入手した文書です。

███遺跡に安置されていた遺体から████年前の当該寄生生物の化石が発見されたとの報告を受けた。当時、当該寄生生物が何らかの原因により献花に混入する機会が多く、必然的に遺体に寄生する場合が多かったと推定される。当該寄生生物が効率的に活動できるよう進化したものがあの模倣献花であり、その姿の都合上交通事故現場に生育域を絞ったと推定される。

当該寄生生物は凄まじい速度で変異、進化している。人間の脳付近で活動するのは、きっと何かを学ぼうとしているのだろう。実に健気な生物といえる。


5月14日追記: 宗川と名乗る人物が接触してきた。財団所属の博士を自称(後に事実だと判明。)し、彼の所有する9体のサンプルと引き換えに、当該寄生生物に係る情報提供を求めてきた。サンプルについてはその場で回収できないため後日回収する約束を取り付け、情報提供を行なった。また、最近発見された"あの"献花を手土産として提供した。既に複製済みだから提供しても問題はないだろう。彼の所有するサンプルの入手手順については検討中である。

補遺2: 2017年5月17日、宗川博士の死亡が確認されました。現場状況から飛び降り自殺だと推定され、宗川博士の頭部から10体の死亡したSCP-1297-JP-1及び現場付近からSCP-1297-JPが発見されました。発見されたSCP-1297-JPが従前のSCP-1297-JPと異なる性質を有することから、回収文書にて言及されたSCP-1297-JP亜種だと推定されます。

宗川博士は関城研究員に対し、「迷惑をかけてすまなかった。SCP-1297-JPについて直接話したいことがある。」旨のメールを死亡推定時間の4時間前に送信していたことが判明しました。また、現場で回収された宗川博士の鞄からは、多数の抑制剤及び使用された痕跡が発見されました。このことから、宗川博士に自殺する意思はなかったと推定され、宗川博士の自殺とSCP-1297-JP亜種との関連性について調査が進められています。

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