アイテム番号: SCP-1299
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-1299は8×10×4メートルのコンクリート製セルに収容することとします。SCP-1299はその現在の状態に関わらず、いかなる水の供給源からも隔離されていなければなりません。収容チャンバーへの扉は手順F-30(Procedure F-30)が実行されている場合を除き常時施錠された状態を保つこととします。レベル2以上の現場職員はすべてSCP-1299の収容セルへの鍵を所持するようにしてください。月に一度、一名のDクラス職員に手順F-30を実行させることとします。収容違反が発生した場合、基幹職員に対し収容エリアから可能な限り遠くに退避することを勧告し、また動員可能な女性のDクラス職員を保安職員により違反現場に護送することとします。
説明: SCP-1299は白磁で覆われたスチール製の自立式浴槽で、██████社により製造されたものです。本品はオハイオ州██████████の████通り75番地にある家の住人が、異常に高い確率で溺死による自殺および殺人に遭遇していたことから発見されました。この異常性に関する報道記事により財団はこの家に着目することとなりました。財団はすみやかに犯罪に関するすべての情報を隠蔽し、問題の家を確保しました。当初はなんらの異常も観察されませんでしたが、あるエージェントがSCP-1299のハンドルを回したところ、家の水道に接続されていないにも関わらず浴槽が作動し、このエージェントの死を引き起こしました。財団はすみやかにこの浴槽を確保し、現在の収容環境に移送しました。
生きている人間がSCP-1299の二つのハンドルのうち一つに触れると、この浴槽は水を満たし始めます。浴槽が満杯になると、SCP-1299-1として指定される不可視の力が対象をSCP-1299に引きずり込み、対象を水面下に押し込みます。対象が逃れようとする際、一対の手の痕跡が対象の頚部の周辺に出現します。外部からの干渉が無い限り、対象は必ず溺死し、その時点で水は収容チャンバーが完全に乾燥するまで未知の手段により流出していきます。遺体は安全に回収が可能です。
各月の26回目の夜までに生きた人間が一度もハンドルに触れていないか、室内に存在していない場合、SCP-1299-1が出現しSCP-1299から離れ、濡れた人間の足跡を残していきます。SCP-1299-1は直近の生きた人間を捜し、SCP-1299に引きずり、通常どおり溺死させます。このプロセスが妨害され対象がSCP-1299-1から引き離されると、対象の人格は完全な再構築を受けることとなります。(詳細については補遺1299-0-1を参照。)SCP-1299-1は接触不能であり、これまで実験されたいかなる手段によっても損傷を与えられておらず、サーモグラフィーやX線スキャンでも捉えられていません。詳細については実験ログ1299-Aを参照してください。
実験ログ1299-A:
対象: 1名のDクラス職員(D-985)、配管工の経歴あり。
条件: D-985はSCP-1299を新たに組み立てられた水道管に接続するよう指示された。
結果: SCP-1299は自律的に水を満たし始め、SCP-1299-1が突然D-985をSCP-1299に引きずり込み溺死させた。D-985が死亡した直後、SCP-1299-1に特有の足跡が収容チャンバーへの施錠された扉に向かい、通過する軌跡を形成した。SCP-1299は外に配置されていた2名の警備員のうち1名を捕らえ、施錠されたままの扉を通過してSCP-1299に引きずり込んだ。サイト職員に対し収容違反の警告が行われた。SCP-1299-1は職員の拘束と殺害を続けた後に一名の女性のDクラス職員の殺害に成功し、この時点でSCP-1299は非活性化した。配管はさらなる問題なく取り外された。
注: SCP-1299の実験は追って通知があるまで中止とする。手順F-30は予定通り継続すること。さらなる収容違反を回避すべく、女性の対象者を用いることが推奨される。 - T██博士
補遺1299-0-1: 2008/██/██、当時SCP-1299の統括を行っていた研究者である████博士は、適切な許可なく手順F-30の内容を変更しようと試みました。D-1130が実験環境に配置され、手順に則って浴槽に入るよう指示されましたが、SCP-1299-1が出現すると、████博士は収容を破り対象をSCP-1299から引き出そうと試みました。およそ1分間の格闘の後、対象はSCP-1299から引き出され、SCP-1299-1実体は消失しました。D-1130は非常な苦痛を呈し、自分がどこにいるのか問い、自宅にいたはずであると主張しました。さらなる検査とインタビューが行われ、D-1130は彼自身を██████という名の、ニューヨーク州██████で██年前に溺死させられた女性であると称しました。その女性のボーイフレンドは彼女の殺害で有罪判決を受けましたが、その証拠はすべて状況証拠でした。入手可能な全情報を収集した後、対象は終了されました(完全なログについては、インタビュー1299-Aを参照)。1日後、収容違反を防止するため別のDクラス職員が手順F-30に用いられました。第二の効果の原因および効力を決定する実験が現在進められています。
対象: 2名のDクラス職員(D-701および803)
条件: D-701はハンドルに触れるよう指示され、続いてD-803とD-701の双方がSCP-1299の中で横になるよう指示された。
結果: 30秒後にSCP-1299-1が出現し、両対象を同時に攻撃した。3名の警備員が対象を水中から引き出した。両対象は共にこの浴槽で夫に溺死させられた25歳の女性である████であると主張した。いずれの対象ももう一方の主張に対し強い苦痛を表明した。両者は████の生活の個人的詳細について思い出すことが可能であった。D-803は終了され、D-701は手順F-30の対象として使用された。
対象: 1名のDクラス職員 (D-942)
条件: D-942はEEG(脳波計)に接続された記録用ネットを装着した状態で手順F-30を実行するよう指示された。警備員は5秒後に対象を引き出すよう指示された。
結果: SCP-1299-1の攻撃から1.25秒後、D-942は癲癇の大発作症状と一致する脳波パターンをわずかな間示し、そのほとんど直後に溺れさせられている人間に典型的な興奮状態に戻った。SCP-1299-1は2秒後に対象から記録用ネットを引き剥がした。
対象: 1名のDクラス職員 (D-1074)
条件: D-1074は手順F-30の実行のため派遣された。警備員はSCP-1299から水のサンプルを回収するよう指示された。
結果: F-30の実行は成功し、水のサンプルが収集された。サンプルはなんらの異常な性質も示さなかった。ミネラル濃度とpHはニューヨーク州██████の公営水道に特有のものであると判明した。
対象: 1名のDクラス職員 (D-873)
条件: SCP-1299は外部の水道管に接続されたホースで満杯にされた。D-873はSCP-1299-1が出現した場合に備えて収容チャンバーに配置された。
結果: SCP-1299が完全に満たされるとただちに、SCP-1299-1がD-873を攻撃し、手順F-30が開始された。
対象: 1名のDクラス職員 (D-1132)
条件: SCP-1299はホースにより供給された漂白剤で満杯にされた。D-1132はSCP-1299-1が出現した場合に備えて収容チャンバーに配置された。
結果: SCP-1299は活性化しなかった; SCP-1299-1の出現は無かった。
対象: 1名のDクラス職員 (D-894)
条件: D-894は定例の手順F-30の実行のために連行された。
結果: SCP-1299を見ると、D-894は部屋の離れた隅に後退し、警備員によって部屋から連れ出されるまでその場で叫び続けた。インタビュー1299-Bを参照。
インタビュー対象: 実験対象D-1130
インタビュアー: T███博士
序文: ████博士が手順F-30の途中で収容を破った後にD-1130に行われたインタビューである。
<ログ開始>
D-1130: どこ… [3秒間の休止] ここはどこ?
T███博士: あなたは病院にいます、あなたは転落して脳に外傷を負ったようです。集中できるようなら、あなたのお名前と、最後に覚えていることを教えていただけますか。
D-1130: ███ ██████よ。病院ですって? 私は家にいたのよ。お風呂に入ろうとしてたの。
T███博士: 日付と時間はいつでしたか?
D-1130: ████年の██月██日。だいたい午後の█時██分だったわ。
T███博士: ありがとうございます。それから何があったのですか?
D-1130: ええ、私はお風呂のある二階に行って、それで… [4秒間の休止] だめ — わからない、何もかもあっという間で… [対象は目に見えて取り乱し始める]
T███博士: D-1130? 何があっという間に起きたのですか? 最後に覚えていることは何ですか?
D-1130: お願い、ここを出なきゃいけないの、彼が来るわ、彼が来る!
[D-1130は立ち上がり、T███博士を掴もうとするが、エージェント・█████により二度射撃される。]
<ログ終了>
終了報告: 対象の供述は███ ██████がボーイフレンドによって溺死させられたとされる正確な日付および推定時刻と一致するものであると判明した。
序文: 実験対象D-894がSCP-1299に対する事前知識と恐れを表明した後で行われたインタビューである。
<ログ開始>
T███博士: こんにちは、D-894。あなたは事前にSCP-1299について知っていたようですね。
D-894: あんなもん [罵倒語のため削除] でぶっ飛ばしてやりゃいいんだ! あのクソ風呂桶は俺の人生を台無しにしやがった! でも誰も信じてくれないんだ、どいつも [罵倒語のため削除] も俺を信じてくれやしない!
T███博士: 何についてあなたを信じてほしいのですか、D-894?
D-894: 俺と俺のワイフは██████にある家を買ったんだ、次の日には引っ越して、さらにその次の日だ、俺は二階からの悲鳴を聞いた。それで風呂場に駆け込んでみると、彼女が風呂の中でぐったりしていた。俺が見たときには、彼女は死んでた。そのとき隣の奴も悲鳴を聞いてて、サツに電話してたのさ。誰が殺しの容疑を掛けられたと思うよ? けど… [2秒間の休止] 今はあんたらがあれを持ってるんだな。ってことは、あんたらがあれを止めてくれたんだ! なら世間に本当のことを教えてやってくれよ、あんたらなら俺の全部の容疑を晴らすことができるんだ!
T███博士: ご協力ありがとうございます、D-894。あなたの事件についてはすぐに対応しましょう。
D-894: ありがとうよ先生、本当にありがとう、ありがとう、ありがとう!
<ログ終了>
終了報告: 対象はクラスB記憶処置薬を投与され、拘留施設に戻された。
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