アイテム番号: SCP-1310-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: 回収されたSCP-1310-JP-2群はサイト-81██の人型収容施設に保管されます。人型収容施設にSCP-1310-JP-3が出現した場合はSCP-1310-JPよりログアウトさせ事情聴取後、記憶処理を施した後解放されます。
SCP-1310-JP内のSCP-1310-JP-1のリアルタイムレートは常時監視され、レートが大幅に変動した場合その時刻でのインターネットまたは緊急通報で収集された異常情報との相関性が調査されます。SCP-1310-JP-3状態の一般市民は発見され次第拘束されSCP-1310-JPより可及的速やかにログアウトさせ事情聴取後、記憶処理を施した後解放されます。またSCP-1310-JP-3の変異を目撃した人物に対しても記憶処理を施します。
現在プロトコル・フォーティテュード‐1310が制定されており、WEBサイト上にてランダムにSCP-1310-JPのデザインを模した軽度ウイルスを含んだアプリの宣伝を行っています。
現在SCP-1310-JPの製造元の特定が急がれています。
説明: SCP-1310-JPは携帯端末で仮想通貨を取り扱うことの出来るアプリです。SCP-1310-JPを運営している個人または組織の特定はされていません。利用者はユーザーネームとID、パスワード、使用言語を設定することでアカウント登録が可能です。使用言語には複数の未知の言語が含まれています。複数のアカウントを持つ試みは失敗しました。SCP-1310-JPで扱われる仮想通貨(以下SCP-1310-JP-1と呼称)は現在世界で流通するどの仮想通貨とも存在が一致していません。SCP-1310-JP-1の単位は███です。
SCP-1310-JPの異常性はSCP-1310-JPのインストールされた端末(以下SCP-1310-JP-2と呼称)のアプリ内でSCP-1310-JP-1を購入し、その価値が変動することで発現します。アプリ内で買われたSCP-1310-JP-1の価値の変動はSCP-1310-JP-1を購入した時点での価値を基準に、その利用者(以下SCP-1310-JP-3と呼称)の身体、または能力に影響を及ぼします。価値が騰貴した場合はSCP-1310-JP-3の体には利益と見なせる身体の変化、または能力の付与が発生し、下落した場合は不利益と見なせる変化が発生します。下落により発生する影響には下限が存在すると想定され、SCP-1310-JP-3に及ぶ影響はこれを下回るとSCP-1310-JP-3の消失という形で停止します。この場合SCP-1310-JP-3はSCP-1310-JP-1の価値が自身が消失した時点での価値を上回ることで再出現します。またSCP-1310-JP-3は価値が騰貴したことによって身体へ付加された変化、または能力を完全に把握しておりそれらを自由に使用することが可能です。加えて付与された変化、または能力はSCP-1310-JP-3の任意よって消失させることも可能です。価値が騰貴することで付与される変化や能力の数はSCP-1310-JP-1の価値の騰貴によって加算されていき、重複して出現または使用できることが確認されています。これらの付与されたものはそれらが付与された時点でのSCP-1310-JP-1の価値より下落することで随時消失します。SCP-1310-JP-1の価値の変動による影響は1分毎に反映されます。現在事件1310-JPを受けてSCP-1310-JPによる実験は停止されています。
SCP-1310-JP-3はSCP-1310-JPからログアウトまたは退会することでその影響下から離脱し、アカウント設立前の状態へと戻ることが可能です。再度ログインを行うと対象への影響が再開します。SCP-1310-JP-1を全て売却した場合もSCP-1310-JP-3の身体はアカウント設立前の状態へと戻ります。例外としてSCP-1310-JP-3が消失した状態でログアウトを行った場合SCP-1310-JP-3はそれ以降再出現せず、再度のログインはアカウントの凍結により失敗します。
SCP-1310-JPは「友人が目の前で消えて再び現れた」という内容のSNSでの投稿から財団のエージェントに感知され、消失されたとされる人物(以下対象と呼称)へのインタビューの結果SCP-1310-JPが発見されました。またインタビューより「気づいたらインストールされていた」との情報が得られましたが、対象の端末を精査した結果SCP-1310-JPをインストールした日時の情報は存在しませんでした。また端末の製造会社への調査の結果SCP-1310-JPがデフォルトのアプリケーションとして導入されていないことも判明しています。
対象のDクラスには事前にSCP-1310-JPにログインさせSCP-1310-JP-1を購入させた。
実験記録1310-JP-1 - 日付20██/██/██
対象: D-23677
実施方法: 経過を観察する
結果: SCP-1310-JP-1の価値が購入時の価値より下落。右目が消失した。出血は確認されない。
分析: D-23677は片目が消失したことによる違和感を感じていないようです。—██博士
実験記録1310-JP-4 - 日付20██/██/██
対象: D-23677
実施方法: 経過を観察する
結果: SCP-1310-JP-1の価値が実験記録1310-JP-1時点での価値より下落。実験記録1310-JP-1での変化に加えて右腕が消失。消失面は皮膚で覆われている。出血は確認されない。
分析: 元からそうであったかのように消失した箇所が補正されるのですね。—██博士
実験記録1310-JP-5 - 日付20██/██/██
対象: D-23677
実施方法: 経過を観察する
結果: SCP-1310-JP-1の価値が実験記録1310-JP-4時点での価値より下落。実験記録1310-JP-4までの変化に加えて下半身と右耳が消失。D-23677は約80cmの高さから落下した。消失面は皮膚で覆われており、出血は確認されない。D-23677は落下による痛みを訴えている。
実験記録1310-JP-7 - 日付20██/██/██
対象: D-23677
実施方法: 経過を観察する
結果: SCP-1310-JP-1の価値が実験記録1310-JP-5時点での価値より下落。実験記録1310-JP-5までの変化に加えてD-23677は言語能力を喪失した。言語能力の消失による記憶の混濁と精神の著しい後退が確認される。
実験記録1310-JP-8 - 日付20██/██/██
対象: D-23677
実施方法: 経過を観察する
結果: SCP-1310-JP-1の価値が実験記録1310-JP-7時点での価値より下落。実験記録1310-JP-7までの変化に加えてD-23677は空間認識能力を喪失した。
実験記録1310-JP-9 - 日付20██/██/██
対象: D-23677
実施方法: 経過を観察する
結果: SCP-1310-JP-1の価値が実験記録1310-JP-8時点での価値より下落。全身が消失した。これ以上仮想通貨の価値が下がってもなにも変化は確認されなかった。
分析: 価値の減少による利用者への影響には下限があるのかもしれません。—██博士
実験記録1310-JP-10 - 日付20██/██/██
対象: D-23677
実施方法: SCP-1310-JP-1が実験記録1310-JP-9での消失時の通貨の価値を上回るまで実験施設で待機する。またSCP-1310-JP-2の位置を実験記録1310-JP-9の位置より10m移動させる。
結果: SCP-1310-JP-1の価値が実験記録1310-JP-9での消失時の価値を大幅に上回る。SCP-1310-JP-2付近よりD-23677が頭部から順次出現し膝で出現が停止した。消失前と比較しD-23677に異常は確認されない。D-23677は言語能力を取り戻している。消失していた間についてD-23677は「体が消えてから出てくるまで一瞬だった」と回答。
分析: SCP-1310-JP-2の位置を基準に消失と出現が行われるようです。消失している間の意識は無いようですね。—██博士
実験記録1310-JP-2 - 日付20██/██/██
対象: D-23677
実施方法: 経過を観察する
結果: SCP-1310-JP-1の価値が購入時の価値より騰貴。D-23677の身長が4.8cm伸びた。身長の変化による痛覚は確認されない。
実験記録1310-JP-6 - 日付20██/██/██
対象: D-23677
実施方法: 経過を観察する
結果: SCP-1310-JP-1の価値が実験記録1310-JP-3時点での価値より騰貴。実験記録1310-JP-3までの変化に加えてD-23677の背中に翼のようなものが出現。物理的に明らかに飛ぶことの出来ない形状と運動量だがD-23677は実験施設内を飛び回った。またD-23677は翼の動かし方について「生まれたときから付いてるかのように動かせる」と回答。
分析: 付与された物についてはあらかじめ身についていたかのように自由に使いこなせるようです。付与された物が物理法則に従っていないというのは興味深いですが。—██博士
実験記録1310-11 - 日付20██/██/██
対象: D-23677。
実施方法: D-23677に変化した部位を消すよう指示する。
結果: D-23677は問題なくそれまでに現れていた変化を消失させた。また、再び出現させることもできた。
分析: 出てくるメリットについては任意に出し入れできるようです。確かにこのままの状態では生活に支障がでそうですしね。
実験記録1310-JP-12 - 日付20██/██/██
対象: D-23677
実施方法: 経過を観察する
結果: SCP-1310-JP-1の価値が実験記録1310-JP-6時点での価値より騰貴。実験記録1310-JP-6までの変化に加えてD-23677の知能指数が増加。IQテストの結果185の数値がマークされた。
分析: 身体の変形より知能の向上が後に来るのですね。SCP-1310-JP、またはその製作者による判断だった場合知能の向上の方が価値があると考えているのかもしれません。
実験記録1310-JP-13 - 日付20██/██/██
対象: D-23677
実施方法: 経過を観察する
結果: SCP-1310-JP-1の価値が実験記録1310-JP-12時点での価値より騰貴。実験記録1310-JP-12までの変化に加えてD-23677は時間と空間に対する完全な認識能力を獲得した。テストの結果D-23677は視覚外の紙に書かれた数字を言い当て、ストップウォッチを指示通り18時間のタイミングで正確に押した。
実験記録1310-JP-14 - 日付20██/██/██
対象: D-23677
実施方法: 経過を観察する
結果: SCP-1310-JP-1の価値が実験記録1310-JP-13時点での価値より大幅に高騰。実験記録1310-JP-13までの変化に加えてD-23677の身体の変化、未知の技術と構造で構成された器官が形成。例としては「複数人に分裂」「核融合細胞」「水分を摂取せずに長期間生存」「視力と歯の退化」「1Mg/m3の骨格」「量子力学的脳」「内部空間拡張肺」「[編集済]」などが確認されています。
分析: これ以上のSCP-1310-JP-1の高騰による実験は危険と判断します。SCP-1310-JP-1の価値の変動と連動したSCP-1310-JP-3の変化した身体の調査の不安定さと、突発的な価値の上昇による不測の事態に鑑みればこれ以上の実験は必要ないでしょう。
事件1310-JP
実験記録1310-JP-13の終了後、D-23677をアカウントからログアウトさせる直前にSCP-1310-JP-1の価値が██倍にまで高騰しました。これによりD-23677に異常性が発現、[編集済]とみられる現象を使用しサイト-81██から脱走しました。この際SCP-███-JPを含む複数のオブジェクトの収容違反が発生し███人の死者を出しました。脱走したD-23677はSCP-1310-JP-1の価値の下落によりその異常性を消失、その後機動部隊によって終了されました。
事案1310-JP-A
201█/██/██にSCP-1310-JP-1の価値が大暴落を起こしました。これにより一般市民の他政界や民間大企業、スポーツ業界などの複数の著名人が「目の前で消えた」との報告が上がっており、また目撃情報の無い行方不明者も確認されています。これを受け一部の消えた著名人の携帯端末を調査した結果SCP-1310-JPがインストールされていることが確認されました。消失した人物の目撃者には記憶処理を施し、メディアには通常の行方不明であるとの情報を提供してあります。現在消失したとされる人物の携帯端末は人型収容施設に保管されています。
事案1310-JP-Aの時刻に[データ削除済]が消失したことにより[データ削除済]がSCP-1310-JPを利用していたことが判明しました。これにより[データ削除済]は[編集済]されたのち処罰の対象となりました。
補遺: SCP-1310-JPのアップデートにより「アプリの共有」機能が追加されました。