クレジット
タイトル: SCP-1313-JP - 3回見たら死ぬ絵
著者: ©︎minminzemi
作成年: 2018
SCP-1313-JPの一部。この画像は当オブジェクトの全体の70%未満を写したものである為、視認による影響はありません。
アイテム番号: SCP-1313-JP
オブジェクトクラス: Safe Euclid
特別収容プロトコル: SCP-1313-JPは、不透明な布で表面を覆った上で低脅威度物品保管ロッカーに保管してください。
実験などによるSCP-1313-JPの持ち出しには、少なくともレベル4以上のセキュリティクリアランスを保持する職員3名の許可が必要です。
SCP-1313-JPの影響により植物状態となった人間の付近において、メモ、及び写真が発見された場合、それらを回収し、サイト-81██内の研究資料室に保管してください。
[20██/██/██追記]現在まだ回収されていないSCP-1313-JPが存在すると考えられています。当該オブジェクトの影響を受けたと思われる人物が発見された場合、直ちにその身柄を確保し、財団の管理下においてください。
説明: SCP-1313-JPはサイズが606mm×606mmの油彩画です。人間がSCP-1313-JPの表面全体のうち70%以上の部分を視認することでその異常性は発現し、その人間(以下"対象"と表記)は視認回数に応じた影響を受けます。SCP-1313-JPの複製、映像、写真を通して視認した場合も同様の影響を受けることが確認されています。
SCP-1313-JPの視認回数に応じた対象への影響は以下の通りです。
視認回数 |
対象への影響 |
1回 |
平衡感覚が著しく低下し、直立、及び歩行が困難になる。 |
2回 |
前の影響に加え、心拍数が1時間かけて上昇していき、最終的に200bpm程度まで上昇し、強い肉体的疲労感を感じるようになる。 |
3回 |
脳全体が、その質量と同量の絵具に置き換わる。この時、最低限の生命活動は行われてるが、その仕組みは不明で、実質的な植物状態に陥る。また、この間対象は異常空間(SCP-1313-JP-Aと指定)へ転移したことを体感するとされている。 |
これらの影響を記憶処理剤や医学的処置によって緩和、治療する試みはすべて失敗しています。
[20██/██/██追記]SCP-1313-JPの影響によって植物状態になった対象は、最終的に死亡します。この時、対象の周囲に複数枚のSCP-1313-JPが出現します(補遺2を参照)。
補遺1: SCP-1313-JPを最初に発見したエージェント・███が当該オブジェクトを3度視認したことにより植物状態になり、病院へ緊急搬送されました。それ以降、エージェント・███の右手にメモ、あるいは写真が握られるようにして出現するようになりました。
メモ1313-1
どこへ行っても生物という生物が一切見つからない。
状況を整理するために、そしてもし空間から戻れた時のためにメモを書いていくことにする。
これまでここを探索していて気づいたのは、どこへ行っても床や壁、標識なんかに矢印が書かれていることが多いということだ。その向きに規則性は無いように思える。
空腹と眠気を全く感じない。しかし肉体的な疲労は蓄積するようだ。
メモ1313-2
最初に見たのは無機質な白い壁。そこは迷路のように入り組んでいて、出るまでは白い壁以外は何も見なかった。迷路を抜けるのに時間はそうかからなかった。
次に見たのはあたり一面の砂漠だった。本当に何もない、草木一本も生えていなかった。振り返っても殆ど同じ景色。ただ1つ違ったのが、宙に浮く絵筆がいくつもあったことだ。その絵筆は長さが3m位で、巨大なものだった。
1kmほど歩いたところで急に周りの景色が変化した。徐々にというわけではなく、瞬きをした瞬間に変わったかのように一瞬で。砂と空しか見えなかった景色が森林になった。そこには緑でも黄でも朱でもなく、青色の葉をつけた木が立ち並んでいたが、それ以外の植物は足元の雑草以外に見つからなかった。
メモを書き始めることにした時点までで見た景色はこんな感じだった。
耳鳴りが聞こえる。
メモ1313-3
木造の建物の中だと思われる場所。
周りには何も見当たらないが、円形にくりぬかれた壁から外が見えた。雲が下に見えるあたり、随分高いところにいるらしい。
探索してみた感じだと、ここは廃墟となった学校といったところか。ただ何故か壁や床の至る所から標識が突き出ている。確認できたのは「電離放射線」「バイオハザード」「化学兵器」「光線」の標識だった。実際に放射線や化学兵器なんかがあるわけではなさそうだが。
耳鳴りが酷くなってきている気がする。頭も痛い。
メモ1313-4
楕円形の池。
その池の水の色はピンク色で、ひどく濁っている。
クラシックみたいな曲がどこからか聞こえてくる。曲のタイトルはそれが途切れ途切れに聴こえてくるからよくわからない。
池の周りを歩いていたら、近づくと耳鳴りが酷くなる地点があることが分かった。その近くに行くと割れそうなくらいに頭が痛くなる。
そろそろこの耳鳴りにも耐えられそうにない。
メモ1313-5
目の前に一本の道路が真っすぐ伸びていて、その先には沈みかけている夕日が見える。左右には電柱や街灯が立ち並んでいる。後ろにも同じように道路がまっすぐ伸びている。
道路から外れようとすると急に重力が何倍にもなったみたいになってそれ以上進めなくなるみたいだ。仕方ないので道なりに真っすぐ歩くことにする。
メモ1313-6
崖を見つけた。この高さなら一思いにいけそうだ。
メモ1313-7
谷底。
ここまで深いと地上からの光が届くはずないと思うんだがここは何故か明るい。少なくともこのメモと、目の前のぐちゃぐちゃになった死体が見えるくらいには。
この死体が誰かはわからないが、どうやら上から転落したようだ。所有物だったと思われるメモは殆どが黒で塗りつぶされていて読み取れない。
隅に1枚の真っ白なキャンバスが立てかけられていたようだ。それ以外には何も見つからなかった。
SCP-1313-JP-Aのものとされている写真1。
|
SCP-1313-JP-Aのものとされている写真2。
|
補遺2: メモ1313-7が回収されてから、約24時間後にエージェント・███の病室内で1枚のメモと、██枚のSCP-1313-JPに酷似した油彩画が回収されました。この時、エージェント・███の頭部の絵の具の消失、死亡が確認されました。
また、回収された油彩画には、SCP-1313-JPと同様の異常性が確認されました。このことから、現在財団が収容しているSCP-1313-JPが、別の実体によって出現したものである可能性があるとされ、オブジェクトクラスのEuclidへの再分類がなされました。
回収されたメモ
芸術家の世界を理解するのなら、同じくその創造に惑う必要がある。そこには上も下も横もない。また、常に変化をやめない世界を追い続けなくてはならない。1kmを走りきる程度の体力?足りない。
もしこれらに足る程度の人間なら頭で、脳で、世界を描き続けることが出来る。白紙のキャンバスより、芸術家の世界を理解し、創造する"脳"となれ。
Are We Cool Yet?
ページリビジョン: 20, 最終更新: 10 Jan 2021 17:09