アイテム番号: SCP-1339-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-1339-JPはサイト-81██の5m×5m×5mの収容室の中央に設置されたケージ内に収容されます。同収容室内には最低1名の男性のDクラス職員を常時駐在させて下さい。
説明: SCP-1339-JPは雌のニホンノウサギ(Lepus brachyurus)です。SCP-1339-JPは後述の特異性及び食物の摂取量が極めて少ない点を除けば、一般的なニホンノウサギとの生物的差異はありません。
SCP-1339-JPは自身を中心とした半径5mの範囲内に人間が数十秒~数分間存在しない場合に特異性を発現させます。SCP-1339-JPは近傍に1人の人間を瞬時に転移させます。この際転移した人間をSCP-1339-JP-Aと指定します。SCP-1339-JP-AはSCP-1339-JPに対して強い愛情と執着を覚え、常にSCP-1339-JPの傍に居たいと考えるようになります。これらの感情はBクラス記憶処理で無力化できる事が確認されています。また、転移元との距離は毎回異なり、最長約500km離れた場所からの転移が確認されています。
SCP-1339-JPは2018/03/13に鳥取県鳥取市内の飲食店内に居た大学生のグループから「友人の1人が目の前で消えた」という情報を察知した財団エージェントが調査を開始、3日後に高知県と愛媛県の県境付近の山中で当該人物(後にSCP-1339-JP-A-1に指定)がSCP-1339-JPと一緒にエージェントに保護された事で発見されました。その後、数度のSCP-1339-JP-Aの出現及び調査を経て特異性を確定、2018/03/20にオブジェクトをSCP-1339-JPに指定しました。
インタビュー記録1339-1 - 日付2018/03/16
対象: SCP-1339-JP-A-1
インタビュアー: エージェント・██
<録音開始>
エージェント・██: それではすいません██さん、お話を伺いたいのですが。
SCP-1339-JP-A-1: ああ、いいけど……みぃちゃんはどうした? 早く会わせてくれよ。でないと、みぃちゃんが寂しくて死んじゃうかも知れない。
エージェント・██: みぃちゃん、というのは一緒にいたウサギですね。 大丈夫です、こちらのスタッフが保護してます。しかし、ウサギが寂しいと死ぬというのは俗説では……
SCP-1339-JP-A-1: [テーブルを拳で叩く]そんなのアンタに分かるかよ! それに、俺じゃなきゃダメなんだよ! みぃちゃんだって寂しいに決まってるだろ!
エージェント・██: 失礼しました。では手早く。██さんがみぃちゃんに会った時の事を、できるだけ詳しく話していただけませんか。
SCP-1339-JP-A-1: ああ……俺はダチと一緒に呑んでたんだわ。そしたら急に周囲が暗くなってさ。んで、最初停電かと思ったんだけど……ダチや他の客も居ないし、全然知らん場所に居てさ。パニクって、何が起きたか分かんなくて。で、暗くて怖かったからスマホのライトをつけたんだよ。
エージェント・██: どんな所でしたか?
SCP-1339-JP-A-1: えっと……ログハウス、って言うのかな? 丸太で出来た小さな家の中だった。んでさ、そこに居たんだ、みぃちゃんが。
エージェント・██: その時のみぃちゃんの様子はどうでしたか?
SCP-1339-JP-A-1: 忘れもしないさ。檻の中に入ってすげぇ切ない目で俺を見てた。んで、その傍には男が倒れててさ。
エージェント・██: 男……ですか。その男の様子はどうでしたか?
SCP-1339-JP-A-1: はっきり覚えてねぇな……それよりもみぃちゃんが気になってさ。んで、ちょっとしてからソイツが死んでるのに気付いて……それで分かったんだ。みぃちゃんは独りで寂しくなったから、俺を呼んだんだ、選んだんだ、って。
SCP-1339-JP-A-1: そう思うと、みぃちゃんが愛しくてたまんなくて。みぃちゃんも甘えて頭摺り寄せて来てさぁ。俺、一生みぃちゃんを守らなきゃ、って思って。そう考えたら自分が何処に居るのかなんてどうでもよくなって。
エージェント・██: なるほど……しかし██さんが発見されたのは仰っている小屋ではありませんでしたね。何故小屋から移動したのですか?
SCP-1339-JP-A-1: みぃちゃん……なんか餌をあんま食べないんだ。そんで、病気でもあんのかと思って。小屋にみぃちゃんの餌や食料はあったけど、薬は無かったし……で、医者に診て貰わなきゃ、って思って。で、餌と食料を持って2日、いや、3日か? 山の中を彷徨ってやっとアンタ等に会えたんだ。
エージェント・██: そうでしたか。それは大変でしたね。
SCP-1339-JP-A-1: いやぁ、確かに滅茶苦茶大変だったけど……みぃちゃんの事を思えば全然平気だったよ。夜もゆっくり休めたし、なんかいい夢も見れたしさ。
エージェント・██: 夢、ですか。参考までに、内容を覚えてますか?
SCP-1339-JP-A-1: [首を傾げ、3秒沈黙]いや、覚えてない。でも、なんか楽しいと言うか……気持ちいい夢だった気がするな。まぁ、地べたに寝てたせいか寝起きは背中痛いし、えらいしんどかったけど。
エージェント・██: そうですか。最後に、みぃちゃんという名前はどこから?
SCP-1339-JP-A-1: ああ……みぃちゃんと目が合ったときに、自然に口から出てた。不思議だけど。でも、いい名前だろ?
エージェント・██: ええ、そうですね……分かりました。インタビューを終了します。
SCP-1339-JP-A-1: 話は終わり? なら早くみぃちゃんに会わせてくれよ。
エージェント・██: はい、すぐ担当の者と変わりますので。
<録音終了>
追記: インタビュー終了後、SCP-1339-JP-A-1に対して記憶処理が施されました。また、SCP-1339-JP-A-1の証言を元に調査した結果、SCP-1339-JP-A-1が発見された場所から約40km離れた高知県内の山中にて証言通りのログハウスと男性の遺体を発見しました。男性は30~40代と推定されており、身元を特定する物は所持していませんでした。男性の死因は心停止によるものと見られますが、外傷や疾病の痕跡はありませんでした。
事案記録1339-JP-1: SCP-1339-JP収容後の2018/03/28に収容室内にSCP-1339-JP-A-██が出現しました。SCP-1339-JP-A-██出現当時、収容室内には女性職員2名が配置されていました。女性職員等は当日の21:00より収容室内に駐在しておりSCP-1339-JP-A-██の出現は23:07に発生しました。職員の証言や監視カメラの映像によってSCP-1339-JPが女性職員の駐在時よりケージを齧る、スタンピングを行う等ストレスを感じた際の行動を頻繁に行っている事が確認されました。また、女性職員のみが収容室内に駐在するケースはこの時が初めてでした。当事案を受け2018/03/29より特別収容プロトコルを一部改変、男性職員の駐在を義務付けました。
事案記録1339-JP-2: SCP-1339-JP収容後の2018/06/01にSCP-1339-JPが妊娠している事が発覚、2018/06/20に3匹の子供(SCP-1339-JP-Bに指定)を出産しました。SCP-1339-JP-Bは全て雌であり、サイト-81██内の小動物収容施設内にて観察・飼育されています。現時点においてSCP-1339-JP-BにはSCP-1339-JPの持つ特異性は発現していません。
補遺: 現在まで財団は██名のSCP-1339-JP-Aを確認していますが、10代後半~50代の男性であり一般的な基準から見て容姿が優れているという点以外の共通点は見い出せていません。また、収容室内で睡眠した複数の男性職員から「はっきり覚えていないが気持ち良い夢を見た」「寝起き時、いつもより疲労感がある」等の証言を得ています。これらの現象とSCP-1339-JPとの関係は調査中です。
ページリビジョン: 4, 最終更新: 10 Jan 2021 17:10