アイテム番号: SCP-1345
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-1345を覆う建築物は板張りで封鎖され、ハンタウイルス汚染を示す警告板が置かれます。建物への侵入を試みた非財団職員は、軍用警察を装った警備によって拘留・尋問を受けます。SCP-1345-Aには武装した警護部隊が割り当てられます。人員不足と見做された場合、近隣のサイト███及びサイト██からの警護人員の増援が認められます。
非財団要注意団体による発見ないし鹵獲の差し迫った危険が無い限り、SCP-1345の完全な解体や発見場所からの移動は禁止されます。実験に際して一つ以上の構成要素を起動させるには北米地域管理官の許可が必要となります。また完全に組み立てられた状態で起動するにはO5評議会の認可が必要となります。
説明: SCP-1345は、████ ██████████(アメリカ陸軍基地)の遺棄されたプレハブ建築内に存在する複合装置(SCP-1345-A)と、関連するミーム現象(SCP-1345-B)からなります。SCP-1345-Aは合衆国政府の指示の下、ロスアラモス国立研究所(LANL)職員によって1949年から1951年にかけて製作されました。
SCP-1345-Aは、操作システムによって指定された方角に向けて精密制御されたマイクロ波を送信するように設計されています。その構成要素は合衆国政府によって1949年から1951年にかけて発注されたものです。様々な補助装置の他に、小型真空管を用いて演算を行うコンピュータと、マイクロ波信号を発生させる高出力マグネトロンの同期配列が含まれます。送信システムの終端はジンバル上のパラボラアンテナに接続されており、伸縮によって天井のハッチを通過する鋼管鉄柱の先に配置されています。アンテナは昇降と回転によって正確に方向を制御することが可能です。
SCP-1345-Aは、通常のマイクロ波通信装置とは異なる幾つかの特徴を持ちます。アンテナを起動させるマグネトロンの電力容量と放熱量は必要な値を大きく上回るものです。各マグネトロンは400kWの電力に耐えるように設計されています。またコンピュータは同時代の類似装置よりも遥かに高い複雑性を有します。合衆国政府から接収された保存文書は、これらの設計・生産に多額の費用が掛けられたことを示しています。
マグネトロン及びアンテナの発振周波数は██.████GHzに調整されています。この周波数は、人頭に向けられた場合に強力なマイクロ波聴覚効果を引き起こす特定の周波数の三倍に等しいことが指摘されています。
SCP-1345-Bは広域に拡散したミーム現象であり、フィラデルフィア計画として知られる架空事象1にまつわる陰謀論の形で発生します。SCP-1345-Bの正式な発生日時の特定はされていませんが、出版・印刷媒体の記録の詳細な調査から、SCP-1345の初実験以前にSCP-1345-Bに関する言及が存在しないことが確認されています。報告されたフィラデルフィア計画に関する最初の言及は、短期間の間に複数個人が独立に行ったものであることが推測されています。当該個人らは、初の(かつ唯一の)実験が行われた際に、SCP-1345-Aの真北に在住していました。影響された個人はフィラデルフィア計画の実験を直接目撃したこと、またはアメリカ海軍の秘密文書から計画について知ったこと、あるいは他の方法で知ったこと、を主張しました。個人らは間もなく、UFOや超常現象の研究家と連絡を取りました。なお、ミーム的影響は必ずしも明確ではありません。SCP-1345-Bを信じる者は、高い確率で他の陰謀論を信じておらず、ガンナーの懐疑指標2で"比較的高い"(50-80)に分類されます。
回収された文書は僅かです。SCP-1345に関連する記録の多くは最初の実験が行われた後の短期間の間に処分されました。残存する文書は、「プロジェクト・ビューポイント」の一環としてSCP-1345が発注されたことを示しています。当該プロジェクトに関する文書は殆ど現存していませんが、高効果の心理戦争兵器の開発及び技術研究が目的であったと推測されています。内部文書によれば、プロジェクトのメンバーはSCP-1345を非公式に「プロパガンダ装置」と呼称していました。
SCP-1345-Aは、未知の原理によって合衆国並びに他国の大衆の意見に影響を与える目的で製作されたことが、国立公文書記録管理局に残存する文書の分析から示唆されています。回収された設計図では、M35 2.5tトラックに搭載された、またはコンベアB-36"ピースメーカー"の爆弾槽に置かれた状態で、完成したSCP-1345-Aが運用されることが想定されていました。また、SCP-1345-Aのコンピュータからの実行を想定した複数の試験プログラムが発見されました。内部コメントに記されたプログラムの用途は様々で、「暴動を発生させ、合衆国に友好的な政府を樹立させる」、「アメリカ製製品への関心を高める」、「国内外における共産主義の支持を減少させる」等の内容が含まれます。最終プログラムの「推奨ターゲット」を示すリストが発見され、展開地域としてワルシャワ条約機構の周辺国、キューバ、カリフォルニア州バークレーが挙げられていました。
SCP-1345の初実験は1951/██/██に行われました。この実験は失敗に終わったと判断され、計画は破棄されました。実験はプロジェクト・ビューポイントに対する信頼を損なう結果となり、███████████████████の内部瓦解と粛清も合わさり、冷戦期の大国における異常心理兵器3や異常国際諜報4技術の利用を消極化させることとなりました。
1992年に██████・シャープス博士による書簡が発見されるまで、SCP-1345-AとSCP-1345-Bの関連は知られていませんでした。当該書簡は、新たに成立したロシア連邦と財団の間で交わされた機密情報共有協定に基づき、旧KGB記録文書から回収されました。シャープス博士はLANLの請負人として、SCP-1345-A制御装置のハードウェア・ソフトウェアのデザインを委任されていました。書簡の発見以前、SCP-1345-Bは伝染性が強いものの非異常な陰謀論として認知されていました。
SCP-1345は現在、コンピュータ並びに他の装置の劣化により動作不能な状態にあります。プロジェクトが放棄された後の不定の時期に、突風によって扉が壊され、装置の大部分が風雨による損傷を受けました。研究に用いることが可能となる水準にSCP-1345を再現する試みが進行中です。