SCP-1350-JP
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アイテム番号: SCP-1350-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-1350-JPは緩衝材で覆い非生物保管ロッカーに収納します。SCP-1350-JPの実験に参加する職員は事前に『イヌ』の概念に対して問題がないかインタビュー等を用いて確認してください。

説明: SCP-1350-JPは異常性を有した30型の丸形蛍光灯です。屋内の照明器具に設置することで活性化します。活性化したSCP-1350-JPは通電の有無に関わらず部屋に人物が入ると自動点灯し、室内にSCP-1350-JP-1が出現するようになります。この点灯は室内から全ての人物が退室するまで維持されます。SCP-1350-JP-1の容姿は設置者によって変化しますが、全体が黒色で構成された『イヌ』と総称される個体として出現します。SCP-1350-JP-1は発声を行いますが、物理的な接触は不可能です。

SCP-1350-JP-1の容姿は、設置者にとって関心が高い個体を模すると推測されます。SCP-1350-JP-1は設置者及び室内に招き入れられた人物に対して好意的に接しますが、不法侵入者に対しては敵対的な行動を取ります。SCP-1350-JP-1は物理的な攻撃を行うことはできませんが、発声や行動によって不法侵入者に精神的な影響を及ぼします。

SCP-1350-JPが照明器具から取り外されるまで、SCP-1350-JP-1及び設置者となる対象は変化しません。SCP-1350-JPを取り外し別の人物が設置することで、SCP-1350-JP-1の容姿は別の設置した人物に準じて変化します。

発見経緯: SCP-1350-JPは静岡県██市にあるアパートで、201█年5月15日にSCP-1350-JPを発見する起因となった事件が発生し、オブジェクトの存在が判明しました。SCP-1350-JPが設置された部屋に侵入した空き巣狙いがSCP-1350-JP-1によって無力化され、部屋の住居者である永見██氏が空き巣狙いを発見し警察に通報。警察の事情聴取によってSCP-1350-JP-1の存在が明らかとなり、財団は永見██氏にインタビューを行いました。

対象: 永見██氏

インタビュアー: 水橋博士

<録音開始>

水橋博士: 初めまして、永見さん。今回はインタビューに応じて頂き感謝致します。

永見██: うん、よろしく。このインタビューって、事件と関係あるの?

水橋博士: えぇ、多少は。貴方の部屋にいた……空き巣を捕まえたというあの黒い物体の正体について、お聞きしたいと存じます。

永見██: あの子のことね。ふふ、カワイイでしょ。泥棒も退治してくれるって言ってたけど、本当だったみたい。

水橋博士: 言ってたとは、どなたでしょうか?

永見██: あの蛍光灯をくれた人よ。あぁ、はじめから説明した方がいいわよね。アレは蛍光灯のおかげで出てくるのよ。くれた人がそう言ってたわ。自分にピッタリの番犬が出てくれるってね。

水橋博士: 蛍光灯……ですか。その蛍光灯をくれた人物に関して、どんな方なのか詳しくお聞かせください。宜しければ、出会った際の状況なども。

永見██: えぇ。でもあんまり覚えてないわね……もう1年も前だし。あの人とは、バーで1人で飲んでた時に出会ったのよ。男の人で、40代くらいかしら。話し方がなんか理系っぽかったわね。でもどんな話をしたっけ……よく覚えてない。ただ、その当時ね、数日前に私の犬が亡くなったのよ。そのことを話したら、またこの店で会いましょうって。それで明後日にまた会って、大きな箱の入った袋を私に渡してくれたわ。

水橋博士: それが……その蛍光灯ですか?

永見██: (小さく頷く)その人は、貴方にとって一番の番犬が現れる特別な蛍光灯って、そう言ってたわ。言われた時はあんま信じてなかったけど、家に取り付けてみたらあの通り。死んだ筈の彼が出てきたのよ。触れられないけど、体つきや仕草、鳴き方も何1つ変わってなかった。

水橋博士: その蛍光灯をくれた方について、名前などはご存知ですか?

永見██: さぁ……どっかで働いてるみたいだけど、名刺も貰わなかったね。あぁそういえば、自分は特別な場所にいる動物をここに出現させる実験をしている。これはその副産物って、そんなこと言ってた気がする。よく分かんないけど、こんなのを作るんだからすごい人よね。

水橋博士: 有難うございます。ではあの黒い物体……番犬について。あれは貴方が飼っていた犬と仰いましたが、それについても詳しく教えて頂いても宜しいでしょうか?

永見██: えぇ、出会いから話す?

水橋博士: はい、話せる範囲でもいいのでお願いします。

(永見氏は少し腰を浮かし、椅子を少し前に移動させた)

永見██: 名前はたっくんって言うの。私はペットを可愛がる仕事をしてるんだけど、たっくんとはそうね、そのお店で出会ったわ。ほら私って、こう見えても扱い上手いからさ、色んなコにけっこう好かれるのよ。その中でもたっくんは特にそうね。いつも私のところに来てくれて、特にゾッコンだった。で、たっくんは特別に家に連れてこようかなって、そう思ったの。

水橋博士: 家で飼うようにしたということですか?

永見██: ん、まぁそんな感じ。たっくんはね、私に色々と元気をくれたわ。お蔭で家に帰るのが楽しみになってさ。いつもは仕事で他のペットたちと遊んで元気を貰ってたけど、たっくんと住んでからだんだんシフト減らして、結局辞めちゃったね。

水橋博士: たっくんとはそれからも、一緒に暮らしてたわけですね。

永見██: うん。(俯き、視線を落とす)でもある日にね……亡くなったのよ。車に撥ねられて。

(4秒間沈黙)

水橋博士: ……もし話すのが辛いようでしたら、結構ですよ。

永見██: (首を横に振る)ううん、大丈夫。でも当時のことを思い出すとね、やっぱりね……。もう遊べないんだな、あの鳴き声も聞けないんだなって思ったら、なんか、空っぽな気分になっちゃったのよね。何を考えても、頭にたっくんがちらついて。その度に、もういないんだなって思い知らされちゃって。あんまり意識してなかったけど、とっても好きだったんだなって、たっくんのことを、私は。

水橋博士: そしてその蛍光灯のおかげで、再会できたわけですね。

永見██: (顔を上げる)今の科学ってすごいわよね。またたっくんと会えるようになってから、暗い気持ちなんて吹き飛んじゃった。たっくんといるのがこんなにも素敵なんだなって、改めて教えてくれたあの人に感謝したいわ。

<録音終了>

終了報告書: インタビュー終了後、SCP-1350-JPは永見氏によって取り外してから受け取り、永見氏にはSCP-1350-JPに関する記憶処理を行いました。SCP-1350-JPに関する記憶がなくなり永見氏の精神状態の変化による経過観察が行われましたが、永見氏は「この1年間、あのコと一緒にいられた夢を見ていた気がする」と述べており、問題は見られませんでした。なお、永見氏の部屋に侵入した空き巣狙いの証言によると、SCP-1350-JP-1は犬の顔を模したマスクを着用した男性と思われ、ゴムを擦り合わせるような音に対して猛烈な不快感を覚えて気を失ったと証言しています。調査を行ったところ、当時のSCP-1350-JP-1は事件より1年前に交通事故で死亡した田畑██氏がモデルであると思われます。

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