アイテム番号: SCP-1357
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-1357の周囲は常に財団の関係者によって監視を行い、最少でも2人の警備員が各出入口に配置されなくてはなりません。SCP-1357に近づく者がいたら、財団の関係者が拘束した後、クラスB記憶処置を実行することになっています。その際、もしSCP-1357-Bを所持している場合は没収し、将来の実験のためにサイト45の記録室74番の棚に保管すること。毎月13日に、財団のエージェントは新しくSCP-1357-Bを受け取った人物を特定し、それらを回収し、関係者にクラスB記憶処置を実行しなくてはなりません。
超常的な現象を発生させるには特定の条件を満たした人物が必要となるため、クラスDを用いた実験は事実上不可能です。このオブジェクトへの実験は、SCP-1357-Aを出現させるために必要な被験者を用意できる財団関係者によって実行されなくてはなりません。実験に関わった人間のうち、財団の直接の関係者でない者に対しては実験終了後にクラスA記憶処置を行い、2ヶ月間監視を行います。記憶が残っていると思われる被験者に対しては再度クラスA記憶処置を行い、さらに2ヶ月間の監視を行うこと。これらの制約のため、すべての実験は最小の規模で、かつ最低でもレベル4職員3人とレベル3職員5人の承認のもと行われなくてはなりません。
説明: SCP-1357はポーランドの██████████にある、約4平方キロメートルの面積を持つ遊園地です。エリアの東西南北に1つずつある4つのチケット売り場から進入が可能となっています。SCP-1357は、一般的な遊園地にもみられるような大きな乗り物やゴーカート、グッズ売り場などの施設を持っています。遊具を利用したり、商品を買ったり、飲食したりするために料金を要求されることはありません。乗り物やアトラクションは、SCP-1357の超常的な現象を発生させた者たちのうち、最も年齢の低い者の好みを反映させたものとなっていると思われます。通常の遊園地に見られる乗り物から、知性を持った食べ物や動物、瞬間移動装置、異次元への扉などの超常的なアトラクションが観測されています。
SCP-1357の超常的な現象は、特定の条件を満たした団体が遊園地へ入場した時に発動します。団体に求められる条件は以下の通りです。
- 最少2人、お互い恋愛関係にある人物が存在する。
- 最少1人、18歳未満の人物で、前述の人物を保護者としている人物が存在する。
- 全員がSCP-1357-Bの現物を所持している。
すべての条件が満たされた時、ヒトの一団(SCP-1357-Aと記述)がSCP-1357内の至る場所に出現します。SCP-1357-Aは様々な年齢、人種、性別で構成されており、全員が統一された衣装を身に着けています。衣装はおよその場合、様々なメディアの影響を受けたものとなっています1。SCP-1357-Aの外見は、団体のうち最も幼い人物の個人的な経験に強く影響を受けます。SCP-1357-Aの個体は遊園地内において、客としても従業員としても存在し、また異常なまでに社交的です。
SCP-1357-Bは、”Playland: チケット1枚につきお1人様まで入場できます。魔法のような体験を家族と共に!”と記されたチケットです。チケットの説明文は、受け取った人間の母国語によって記述されています。SCP-1357は、周辺に住む様々な家族へ、交通案内や簡単なパンフレットと共に、毎月13日に郵送されます2。財団は未だチケットの発送元を特定できておらず、送付の対象となる人物の法則性も特定できていません。報告によると、どの家族も一度に3枚から6枚のSCP-1357-Bを受け取っているようです。もし、次の月の13日までにチケットが遊園地の入り口で使われなかった場合は、チケットは消滅します。SCP-1357-Bを用いた入場は、チケットを受け取った本人であるか否かを問わず、すべての人物が許可されます。もしチケットを持たずに入場しようとした場合は、数体のSCP-1357-Aによって入場を拒否されます。
SCP-1357は「一瞬で姿を変えるエイリアン遊園地」という報道がポーランドの██████████の街から成されたために財団によって発見されました。宣伝の情報を調査した結果、SCP-1357が超常的現象が発生している最中に発見されました。街のすべての住人は尋問された後、クラスB記憶処置が行われました。
付属書類-1357-Gamma:
おめでとうございます! あなたの家族はPlaylandでの昔ながらの家族の楽しみに参加する権利を獲得しました! ご両親はお子様を、お子様はご両親を連れていきましょう!仕事からはしばらく離れて、楽しいひとときを!私たちの遊園地はジェットコースターでも、パレードでも、花火でも、お望みならばあなたの想像できる全てのものをご用意させていただきます!お問い合わせは電話番号(███)███-████3またはインターネットで████████████.com!
取材ログ-1357-Lambda-1: 2005年08月04日、エージェントFredricksとその家族が、財団のコンピュータへリアルタイムでデータを送るタイプの音声記録装置と、財団が押収したSCP-1357-Bを装備してSCP-1357へ入場。FredricksはSCP-1357-Aのある個体に対して取材を試みた。
取材対象: SCP-1357-A-4878、子供向けテレビ番組"ブルーズ・クルーズ"の登場人物"スティーブ"の衣装を着用。
取材者: エージェントFredricks
前文: エージェントFredricksはこの取材のため、SCP-1357-Aの1個体を他から引き離す。
<取材ログここから>
Fredricks: この場所について何か教えてくれないか?
SCP-1357-A-4878: わかりました! このPlaylandはあなたの家族全員の楽しみに応える場所です! 私たちはご家族の要望にいつもお答えし、皆様にご満足していただくためにために常にベストを尽くします!
Fredricks: お前たちを作ったのは誰だ?
SCP-1357-A-4878: Fredricksさん、そんな些細なこと、大事なことではありません![注釈:Fredricks一家全員、この発言以前にどのSCP-1357-Aに対しても苗字を明かしていない]
Fredricks: 大事なことなんだ。ただ質問に答えてくれさえすればいい。[娘のほうを向いて]いまはダメだよ、仕事中だからね。
SCP-1357-A-4878: 仕事? なぜです、Fredricksさん!仕事なんて馬鹿げたこと、心配しなくてもいいでしょう!楽しみましょうよ!見てください、娘さんは遊んでほしがっていますよ!
Fredricks: [娘のほうを向いて]Hailey、後で行くからね、約束するよ。大丈夫、スティーブに意地悪なんてしないから。お母さんと行っておいで?[SCP-1357-Aへ向かって]悪いがどうしてもこうするしかないんだ。お前のような奴がいるから私の仕事があるんだよ。
SCP-1357-A-4878: [ため息をついて]申し訳ありませんが、これ以上は他のお客様のお楽しみを台無しにすることになります。どうかお止めください。
Fredricks: 頼むから質問に答えてくれよ。この遊園地はいつから出来たんだ?
SCP-1357-A-4878: こんな事したくありませんでした。しかしあなたの娘さんはひどく心配しております。
<取材ログここまで>
後文: エージェントFredricksは3体のSCP-1357-Aによって強制的にSCP-1357から追放。エージェントFredricksの妻Adelaide Fredrickは娘に激しく反対されながらも遊園地からの退去を試みた。その際、数体のSCP-1357-Aが2人を分断し、Fredricksの妻の再進入と、Fredricksの娘の遊園地からの奪還を阻止。またこの時、ある個体が"心配するな、お嬢さん。帰りたくないなら帰る必要はないんだ!ご両親も君が帰りたくなったらそのうち来てくれるさ!"と発言。
取材ログ-1357-Lambda-1の出来事の後、機動部隊-Delta-2(別名"レスキュー・レンジャー")によってHailey Fredricksの救出作戦が行われました。優れた兵器と高い訓練度にもかかわらず、機動部隊-Delta-2はSCP-1357-Aの数に圧倒され、救出は失敗に終わりました。更なる救出作戦の実施については未定です。
取材ログ-1357-Lambda-2:Hailey Fredricksの音声記録装置は、取材ログ-1357-Lambda-1の出来事の後も音声信号の送信を続けた。以下は受信したものの一部を抜粋したものである。音声の中には、Hailey Fredricksを取り囲むSCP-1357-Aの音声も確認されている。
Hailey: ねえ、どうして女の子のスティーブがいるの?
SCP-1357-A: 男の子のスティーブはみんな君のために遊園地の準備をしてて忙しいからよ!
注釈: これは、失敗した機動部隊の救出作戦の最中に受信された。
Hailey: これすごく、すごく、すっご~くたのしい! ずっとず~っとここにいたいな、スティーブ!
SCP-1357-A: はっはっは、僕も君と一緒にいられて楽しいよ、Hailey! 来てくれて本当に嬉しい!
SCP-1357-A: これなんだと思う、Hailey!
Hailey: なにこれ、なにこれ?!
SCP-1357-A: "Heeere comes the mail, it's just a snail, it makes me wanna wag my tail, when it comes I wanna wail, MAAAIIIL!"
Hailey: 違う違う、そんな歌じゃないよ。"it never fails,"だよ、"it's just a snail!"じゃないよ。
SCP-1357-A: ははは、冗談だよ、忘れてただけさ!お母さんとお父さんから君に手紙だよ。やったね!4
Hailey: ありがとう!でもスティーブ、わたし字が読めないの。なんて書いてあるか教えて?
SCP-1357-A: いいとも!"Haileyへ、楽しんでくれているかな?私たちも迎えにいきたいんだけど、仕事がいっぱいあって忙しいんだ。家に帰りたくなったら手紙を送ってね。すぐに迎えに行くからね。追伸:お父さんがちゃんと歯を磨けって言ってたぞ!"だってさ!
SCP-1357-A: …それで、ここが一番大きなベッドルームだよ。君はここを自由に使っていいんだよ、Hailey! あそこにあるシンキングチェア、君のために作ったんだ! 気に入ってもらえるとうれしいな!ベッドも大きくて、毎晩心地よく眠れるはずだよ!
Hailey: [歓声をあげて]わあ、すごい! ありがとうスティーブ!
Hailey: どうしてお母さんもお父さんも来ないの? お手紙がんばって書いたのに…
SCP-1357-A: それはきっと、2人とも忙しいんだよ。きっと手紙を読んだらすぐにきてくれるさ。
Hailey: スティーブ、いつになったらお母さんとお父さんは戻ってきてくれるの?
SCP-1357-A: どうしたんだい? もう楽しくなくなっちゃったのかい?
Hailey: もちろん楽しいわ! 私はただいつ家に帰らなくちゃいけないのか知りたいだけなの!
SCP-1357-A: [笑って]ああ、Hailey、君はずっとここにいてもいいんだよ!
Hailey: やったあ!ありがとうスティーブ!
Hailey: 足が痛いし、もうずーっと待ってるよ。本当に今日迎えに来るって手紙に書いてたの?
SCP-1357-A: うーん、もう一回見てみようかな…”お手紙読んだよ。一日休みを取ったから、土曜日に正面入り口まで迎えに来るよ。”うん、こう書いてあるな。
Hailey: ふん。 中に入ってもいいかなあ? Slushieを飲みたくなっちゃった。
SCP-1357-A: いいともHailey。中に戻ったら、もう一枚手紙を書いて、来てくれなかったわけを聞いてみようじゃないか。
SCP-1357-A: ”昨日だって言ってたかな?ごめんよ、すっかり忘れてた。私たちは大人だから忙しくて迎えにいくのをすっかり忘れてた。本当にごめんよ。 来月にまた休みを取って迎えに行くからね!愛してるよ。 お父さんとお母さんより。”
Hailey: [鼻をすする音]
Hailey: ねえスティーブ、お母さんやお父さんって自分の子供を嫌いになっちゃったりするの?
SCP-1357-A: うん、そういうことも、あるんじゃないかな。どうして?
Hailey: お母さんもお父さんも、私のこと嫌いになっちゃったんだと思うの。[すすり泣く声]
SCP-1357-A: おや、おや、おや、大丈夫だよ、心配しないで!僕たちは君のこと大好きだよ!君のご両親が君を嫌いになっても!
Hailey: [鼻をすする音]ずうっと?
SCP-1357-A: ずっとさ。
Hailey: 約束してくれる?
SCP-1357-A: 約束するよ。 僕たちはずっと君のためにここにいるよ。ご両親がいなくても。
Hailey: ねえスティーブ、お母さんとお父さんがほしい。
SCP-1357-A: Hailey、そんな意地悪な人たちのことを考えるのはよそうよ! ほら、フェンネルケーキでも食べて、またメリーゴーランドにでも乗ろうよ!
Hailey: やだやだやだ!お父さんとお母さんがほしい!
SCP-1357-A: [笑って]あいつらなんか面白くないよ。 ほら、私たちは君のためにいるんだよ! 私たちは家族だよ! ね、いこうよ!
Hailey: [何かを落とす音]もう遊びたくないよ、スティーブ!
SCP-1357-A: どうぞ、おばかさん! ほら、あそこに新しい遊び場が君のために出来たよ!
Hailey: お父さんとお母さんのところに連れてってくれるの?
SCP-1357-A: どうして? もう楽しくなくなっちゃったのかい?
Hailey: お母さんとお父さんがいなくてずっと、ずっと寂しいの。
SCP-1357-A: でもほら、僕たちは君の家族だよ!
Hailey: 違うよ! みんなは私の友だちだよ。 欲しいのは家族なの。
SCP-1357-A: それじゃ、もう僕たちのこと嫌いになっちゃったのかい?
Hailey: もちろん好きだよ! でも家族のほうがもっと好きなの。
[長い沈黙]
SCP-1357-A: [ため息]うーん、まあこういうこともあるよね。 おいで、君の家族に会わせてあげるよ。
[5分ほど、足音が続く]
Hailey: スティーブ? スティーブ、道に迷っちゃったんじゃないの?
SCP-1357-A: 大丈夫だよ、大丈夫。
Hailey: 何あれ? なんだか怖いよ…
SCP-1357-A: 家族に会いたい、そうだねHailey? さあおいで! これに乗って君の家族のところまで行けるよ!
Hailey: ほんとに、ほんとに約束してくれる?
SCP-1357-A: もちろんだよHailey! 君にウソなんてつかないよ!
Hailey: うーん…分かった。
[摩擦音、ビープ音、回転音などがする]
SCP-1357-A: また会おう、お嬢ちゃん。
Hailey: [悲鳴]
注釈: この時点で音声送信装置は故障した。
事件報告-1357-Zeta: 前述の事件後、エージェントFredricksが許可なくSCP-1357に戻り、侵入した後、罵声を上げながら約30体のSCP-1357-Aを殺害しました。Fredricksは、正面入口にHaileyと思われる人物を目撃するとすぐに発砲をやめました。その人物はエージェントFredricksに近づき、抱きしめた後”言ったでしょ、まだ帰りたくないの”と言いました。その直後、2体のSCP-1357-Aがエージェントに近づき、頭を殴りつけて気絶させました。エージェントFredricksには、財団から職務に反する振る舞いやオブジェクトに危害を加えた事に関して警告が与えられました。
事件報告-1357-Eta: エージェントFredricksには2005年10月16日に行われるSCP-1357への実験の監督許可が与えられました。実験の最中、エージェントFredricksは予備のSCP-1357-Bを使って実験の被験者とは別に区域内に進入しました。その後Haileyに似た人物を探しだし、会話を試みました。その人物は会話に応えず、エージェントFredricksは約15分間意思疎通を試みた後、諦めて退場しました。
音声記録-1357-Psi: 以下の記録は、SCP-1357-Bと共に送られてくるパンフレットに載っていたSCP-1357の電話番号への通話を傍受したものを文字に起こしたものです。一人の声はHailey Fredricksのものであると確認されています。
Hailey: こんにちは、こちらPlayland、家族に最高の楽しみを提供します!ご用件をどうぞ?
男性の声: 娘を返してくれ。
Hailey: 申し訳ございません。あなたの娘さんは私たちと一緒に居たがっています。でもいつでも来てください。お知らせしていただければ、2枚のチケットをお送りします!それでも、娘さんはここに居たがると思いますが。