アイテム番号: SCP-1362-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: 現時点で新たなSCP-1362-JPの発生は確認されていません。SCP-1362-JPに類似する事象の発生が確認された場合は、記憶処理を主とした隠蔽工作が展開されます。
説明: SCP-1362-JPは2021/09/10、東京都在住の男子高校生である神野 優太(PoI-7823に指定、死亡済)を中心に発生した、反ミーム的特性を有する異常事象です。SCP-1362-JPは自身に関する核心的な情報の把握を阻害する異常性を持つものと考えられており、その全容は依然として判明していません。SCP-1362-JPの発生時、PoI-7823の家族から通報を受けて派遣された警察官は、当該事象を実際に目撃した上で現場の状況を全く理解する事が出来なかった為、財団の注目を引く切っ掛けとなりました。
PoI-7823に既知の要注意団体との接点は存在しておらず、何らかの異常性を有していた証拠も確認されていません。生前のPoI-7823は周囲の人間から“家計を助ける為に複数のバイトを掛け持ちしている家族思いの好青年”と評価されていました。その他、複数の証言を統合して、PoI-7823は極端に利他的な性格を有していたものと推測されます。
財団の調査により、少なくとも4名1の人物がSCP-1362-JPの発生に関与した事実が確認されています。それにも関わらず、SCP-1362-JPが具体的にどのような事象であったのかを説明できた人物は存在しませんでした。一方で、彼らはSCP-1362-JPによって自身が被った"負の影響"のみを、断片的ではあるものの他者に伝達することが可能でした。その結果、SCP-1362-JPの発生当初には被影響者の間で意思の疎通に多大な混乱が生じていたと報告されています。
以下はSCP-1362-JPに由来する"負の影響"の一覧です。これらは被影響者へのインタビューや発生現場の鑑識作業などから得られた情報を基に、確度の高い事項だけを関連する人物と共に抜粋しています。
被影響者: 神野 優作2
- 持ち家のフローリング部分の汚損
- 持ち家に備えられた家具類の破損
- 子息の喪失
- 葬式費用の負担
- 忌引き休暇の申請
- SCP-1362-JP発生以降の、世帯収入の減少
- 借金返済後の生活に対する不安
- 長女との関係の悪化
- 疲労感
- 虚無感
- 警察官に対する恐怖心
被影響者: 神野 宮子3
- 衣類の汚損
- キッチン用品の汚損
- 両手に残存する不快感
- 両足に残存する不快感
- 両耳に残存する呻き声
- 子息の喪失
- SCP-1362-JP発生以降の、世帯収入の減少
- 疲労感
- 良心の呵責
- 希死念慮
- 睡眠障害
- 警察官に対する恐怖心
被影響者: 神野 美雨4
- 両手に残存する不快感
- 両足に残存する不快感
- 両耳に残存する呻き声
- 兄弟の喪失
- 今後、自身に課される家計の負担
- 疲労感
- 父親に対する不信感
- 自身の将来に対する絶望感
- 良心の呵責
- 目眩と吐き気
- 警察官に対する恐怖心
被影響者: 神野 奏太5
- 自身の取り分に関する不満
補遺: 財団はSCP-1362-JPを収容するに当たり、当該事象の発生現場に対する修繕や関係者への記憶処理、周辺地域の情報統制とカバーストーリーの流布等を行使して"負の影響"の徹底的な隠蔽を行いました。これによってSCP-1362-JPの完全な収容に要した日数は5日間であり、それまでに計上した事後処理の合計費用は約3,400万円でした。この金額は、PoI-7823が財団フロント企業の“S&C プルデンシャル生命”を通じて加入していた生命保険プランの死亡保険金と一致しています。これが偶然の一致であるのか、またはSCP-1362-JPに内在する未知の異常性によるものなのかは現在まで判明していません。
PoI-7823の死亡事案は、財団の流布したカバーストーリーにより自殺として処理されています。その為、契約されていた死亡保険金がPoI-7823の遺族に支給されることはありません。