アイテム番号: SCP-1367-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-1367-JPは小型GPSチップを埋め込んだ上で、セクター8103の森林型収容区域中心部にある小型収容室に収容されます。
SCP-1367-JPが収容室から脱走した場合、収容チームを出動させてください。収容チームはGPSの位置情報を利用してSCP-1367-JPを遠隔から観察し、非活性化を確認してから確保、収容室に再収容してください。SCP-1367-JPが収容区域外縁部200m以内に接近した場合、非活性化の有無にかかわらず捕獲部隊り-4("サービス残業")を出動させ、確保を行ってください。
説明: SCP-1367-JPはシマリス属(Tamias)に属する不明種です。活性化時の異常に高い知性と後述の異常性を除き、一般的な他のシマリス属と同様の生態・性質を示します。
SCP-1367-JPは檻や部屋など特定の空間内に収容されている場合に、不定期に活性化します。活性化時、SCP-1367-JPは対象空間からの脱走に必要な知性と下記の異常性を獲得し、脱走を図ります。SCP-1367-JPは脱走を完了した時点で非活性化します。非活性化後1時間以内に活性化した事例は確認されていません。
SCP-1367-JPは活性化時、空間歪曲により口腔内を不明な空間に接続して物体・物質(以下SCP-1367-JP-A)を出現させ、脱走に使用します。SCP-1367-JP-AがSCP-1367-JPの口唇および口腔より大きい場合、SCP-1367-JP-Aの口腔内からの排出が完了するまでSCP-1367-JPの口唇および口腔はSCP-1367-JP-Aの大きさに合わせて拡張されます。SCP-1367-JPの活性化中は口腔内の複雑かつ高強度の空間歪曲による副次的影響のため、SCP-1367-JP-Aの出現元を調査する試みは本報告書執筆現在まで全て失敗しています。
補遺1: SCP-1367-JPは20██/02/07、██県██市で「リスが口から針金を吐き出した」という通報を傍受したことにより発見、財団エージェントにより確保されました。収容当初は口腔から針金を排出し檻の錠をピッキングすること以外の異常性が確認されなかったため、Anomalousアイテムとして収容されていました。
インシデント記録: 現在の特別収容プロトコルが策定されるまで、SCP-1367-JP実体により頻繁に収容違反が発生していました。インシデント1367-JP-1以降SCP-1367-JPはEuclidクラスに再分類されました。以下はSCP-1367-JPによるインシデント記録の抜粋です。
インシデント1367-JP-01 - 20██/02/09
収容方法: Anomalous小動物型実体収容室への収容。
脱走方法: SCP-1367-JPは口腔内から出現させたシリコンで█博士の指紋を偽造して認証をパスし、パスワードを入力して扉を解錠した。指紋の位置からパスワードを推測したものと思われる。
付記: 当インシデント以降SCP-1367-JPは収容違反の発生およびSCP-1367-JP-Aの出現元と種類の不明確さからEuclidクラスに再分類された。以降の収容方法の考案は██博士、収容スペシャリスト・栗木他2名によって行われた。
インシデント1367-JP-04 - 20██/02/14
収容方法: 低脅威度小動物型実体収容室への収容および監視カメラを用いた監視。入口の認証は静脈認証による認証が用いられている。
脱走方法: SCP-1367-JPは口腔内から発煙筒を出現させた。発煙筒の処理後、室内にいるSCP-1367-JPと思われる実体が確保されたが、後の調査で異常性のないエゾシマリス(Tamias sibiricus lineatus)であることが判明した。SCP-1367-JPは煙幕が有効な間に通気口から脱走していた。
インシデント1367-JP-07 - 20██/02/17
収容方法: 低脅威度小動物型実体収容室への収容および監視カメラとサーモグラフィカメラを用いた監視。入口の認証は静脈認証による認証が用いられている。
脱走方法: SCP-1367-JPは口腔内から大量の海水を排出。騒動に乗じて脱走した。
付記: 海水の成分はフロリダ州沿岸部のものと一致した。
インシデント1367-JP-14 - 20██/02/28
収容方法: 中脅威度小動物型実体収容室への収容および監視カメラとサーモグラフィカメラを用いた監視。入口の認証は静脈認証による認証が用いられている。収容室には排水装置が備え付けられている。
脱走方法: SCP-1367-JPは口腔から出現させた[編集済]により壁面およびその直線上の物体をおよそ200mに渡って溶解させ、脱走した。
付記: 当インシデントにより生物サイト8102の職員██名が死傷した。当インシデントを受けて収容スペシャリスト・栗木よりKeterクラスへの再分類と予算増額申請が行われたが、サイト管理者██により却下された。
厳重に収容するだけで全てが解決するならば、あなたの職務はもっとシンプルになるでしょう。これまでの事例から、このアノマリーは収容を厳重にすればするほど脅威度を増してしまうと考えられます。工夫してください。皆さんの努力に期待します。-サイト管理者██
付記2: 上記の申請が却下されたのち、収容スペシャリスト・栗木が配置換えを申請したが、却下された。
インシデント1367-JP-15 - 20██/03/01
収容方法: 低脅威度小動物型実体収容室への収容および監視カメラを用いた監視。監視カメラにより活性化の兆候が確認された場合、収容室内に睡眠ガスを噴射、充満させる。
結果: SCP-1367-JPが活性化するも、睡眠ガスにより鎮圧。
付記: 活性化時も呼吸は室内の空気に対して行っていることが確認された。また、昏睡状態になった時点で非活性化することが確認された。
この仕事もようやく終わりだ。-収容スペシャリスト・栗木
インシデント1367-JP-16 - 20██/03/01
収容方法: 同上
脱走方法: SCP-1367-JPは口腔内に出現させた換気扇により口腔内に接続されている空間との換気を行いつつ、インシデント1367-JP-01と同様の方法で脱走した。
付記: 前回活性化時の記憶を引き継いでいると考えられる。また、前回睡眠ガスの噴射装置に気付かなかったことから、知覚に関する異常性を持たないと推測される。
前言を撤回する。-収容スペシャリスト・栗木
インシデント1367-JP-21 - 20██/03/10
収容方法: 森林に偽装した収容室による収容。
結果: SCP-1367-JPは内壁に接触してから10分後に活性化し、インシデント1367-JP-01と同様の方法で脱走した。
付記: 活性化までの期間は最長だったものの、結果的には活性化した。壁の認識が活性化の条件である可能性がある。要検証。
インシデント1367-JP-23 - 20██/03/13
収容方法: 屋上に仮設した擬似収容室による収容。一般的なシマリス属の視力でガラスの有無を視認できない距離に高透明度ガラス壁を設置し、赤外線センサーと連動した全方位内向きトラベレーターにより壁への接近、接触を防ぐ。
結果: トラベレーターに押し戻された時点で活性化した。下記映像記録を参照。
映像記録: 収容違反時の映像記録。仮設収容室および捕獲部隊の映像を編集した。
<映像開始>
[SCP-1367-JPが活性化、発煙筒を出現させる。監視員は応援を要請し、屋上に捕獲部隊が到着する]
██隊長: クソッタレのクソネズミめ!また収容違反か!
[収容室内部は煙が充満している]
██隊長: サーモグラフィカメラを使用しろ。
[部隊員全員がサーモグラフィカメラを装着。同時にガラスの割れる音が発生。サーモグラフィカメラにはSCP-1367-JPと思しき物体と直径10cm強の球体が映っている]
█隊員: ガラスが割られましたが、どうやら対象はまだ屋上にいるようです。
██隊長: よし、対象が逃げる前にさっさと捕まえるぞ。
█隊員: 隊長、様子が変です。
[サーモグラフィカメラによりSCP-1367-JPの口腔及び口唇の拡大が確認される。同時に周囲の床及び壁と同程度の温度である高さ3mほどの物体の出現が確認できる]
██隊長: 何かの機械か?おい、気を付けろ。
[騒音が発生。同時に煙が晴れる]
██隊長: 何だ?クソッ。奴は何を出した?
█隊員: 隊長、送風機です!あれは送風機です!
[小型のウィングスーツを着たSCP-1367-JPが巨大送風機の風を利用して飛翔し、ガラス壁に空けた穴を抜けて飛び去る]
██隊長: ああ、クソネズミめ!ムササビの真似か!
<映像終了>
追記: 送風機は財団製だったが、製造以降インシデント当日まで同型機が紛失した記録はなかった。また、ウィングスーツには財団が秘匿している技術が使用されていたが、リス用ウィングスーツが開発された記録は存在していない。
付記: 仮説は棄却。一定範囲内への封じ込めの認識が活性化の条件だと推測される。
補遺2: 20██/05/13、SCP-1367-JPが非活性化状態であるにもかかわらず、サイト8102における小動物型実体捕獲部隊の隊員である██がSCP-1367-JPの収容室の扉を開き、収容違反を起こしました。██隊員のカオス・インサージェンシーとの関与が疑われましたが、財団の調査により否定されました。SCP-1367-JPの未知の異常性の影響が疑われたため、██博士立ち合いの元で収容スペシャリスト・栗木によるインタビューが行われました。
対象: ██隊員
インタビュアー: 収容スペシャリスト・栗木
<録音開始>
収容スペシャリスト・栗木: インタビューを開始する。
██隊員: ああ。何でもいいから早くしてくれ。
収容スペシャリスト・栗木: 何だ、何か急ぐことでもあるのか?
██隊員: ここ数日寝てないんだよ。あのクソッタレの茶色いネズミのせいでな。
収容スペシャリスト・栗木: 寝てない?それはSCP-1367-JPに何かされたのか?
██隊員: そうだけどそうじゃねえよ。わかるだろ。あのクソネズミ、この3ヶ月で昼も夜もなく██回も収容違反を起こしやがって!こっちには他にも仕事があるし、睡眠だっているんだよ!
[机を叩く音]
収容スペシャリスト・栗木: ああ、つまり……寝る暇がないってことか。
██隊員: そうだよ!お前もこんなところで油を売ってないで、さっさとあのクソネズミの完璧な収容方法を考えてくれよ。
収容スペシャリスト・栗木: わかってる……。だが、そのためにはSCP-1367-JPのことを知らなきゃならない。もし今回の収容違反にSCP-1367-JPの未知の異常性が関わってるなら、それを知らなくちゃ収容なんてできっこない。それを調べるのは俺の役目じゃないが、今は少しでも、何でもいいから手掛かりが欲しい。だから直に話を聞きに来た。
██隊員: 未知の異常性?そんなもんねえよ。いや、断定はできないが、少なくとも俺はたぶんその影響を受けたわけじゃない。自分の意思でやったことだ。
収容スペシャリスト・栗木: 自分の意思で?何故自分で仕事を増やすようなことを?
██隊員: 正直、疲れすぎてわけわかんなくなってたんだよ。あのクソネズミがどうしても収容違反を起こすってんなら、もうどっかに逃がして俺のいないところに行っちまえばいいと思ったんだ。
収容スペシャリスト・栗木: それだ!
[椅子の倒れる音と、収容スペシャリスト・栗木が乱暴に扉を開けて退室する音]
[約4秒間の沈黙]
██隊員: えぇ……。
<録音終了>
終了報告書: 本インタビューの後、収容スペシャリスト・栗木により現在の特別収容プロトコルが策定された。
しばらくリスは見たくない。-収容スペシャリスト・栗木
ページリビジョン: 12, 最終更新: 21 Feb 2024 12:33