SCP-1368-JP
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SCP-1368-JPへアクセス可能な路地の一つ

アイテム番号: SCP-1368-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-1368-JPにアクセス可能な路地は封鎖し、常に1名以上の警備員が駐留します。

説明: SCP-1368-JPはイタリアのカタンザーロにある5つの路地からアクセスできるレストランです。SCP-1368-JPへ続く路地からは雑音交じりのジャズやテンポの速いクラシック音楽が聞こえ、これは対象が概ね好ましいと考える音楽であるようです。路地へ約20m侵入すると開けた空間が出現し、その場所にSCP-1368-JPが位置しているのが見えます。

SCP-1368-JPの店員(以下、SCP-1368-JP-1)は外見的には一般的なヒト(Homo sapiens)です。しかし、SCP-1368-JP-1の発声は全て雑音、擬音、“奇妙”と形容される不明な音のため会話は不可能です。その性質にもかかわらず、対象はこの発声音を好意的に捉えます。

SCP-1368-JPには一つの薄型の大きなテレビ画面が存在し、常に何らかの映画を映し出しています。映画はどれも未知のものですが、映画内の飲食物がカセットテープである点で共通しています。また、SCP-1368-JPで提供される食事はカセットテープかその加工品のみです。

補遺.1: 以下はウィトラフス博士によって行われたSCP-1368-JPの探査記録です。D-58932は金銭と映像/通信装置を持たされSCP-1368-JPへアクセスしました。

探査#1
担当者: ウィトラフス博士
探査実行: D-58932
対象: SCP-1368-JP


[路地での記録は省略。]

D-58932: 着きましたよ、先生。

ウィトラフス博士: D-58932、そこはどんな場所に見える?

D-58932: 普通の路地ですけど建物がありますね。外観は濃い緑色とオレンジ色で……レストランだと思います。

ウィトラフス博士: 分かった。その中に入ってくれ。

D-58932: 分かりました。

[D-58932がSCP-1368-JPへアクセスする。]

D-58932: 中も明るめでいい感じですね。清潔な感じがして温かみがあります。

[D-58932はSCP-1368-JP-1にジェスチャーで誘導され席に着く。]

ウィトラフス博士: 何か変わったものがあるか?

D-58932: テレビがありますね。どこのメーカーのものかは分かりませんが、凄く高そうです。映画かドラマだかが映ってます。

[映画はステレオタイプな探偵の服を着た男が新聞を読んでいる場面から始まる。新聞の内容は“スミス・スミス”を名乗る双子の殺人鬼による連続殺人のニュースである。]

[D-58932はメニュー表を手に取る。]

D-58932: 何頼んでも良いんでしたよね?

ウィトラフス博士: ああ。

D-58932: じゃあ……すいません。カセットテープのフルコースを下さい。

[SCP-1368-JP-1はジェスチャーで了承の意を示した後、調理場の別のSCP-1368-JP-1に発声する。]

D-58932: とてもいい声ですね。良くリニア編集されてる。

ウィトラフス博士: ……なるほど。

[テレビは男が朝食のカセットテープを頬張っている様子を映している。男はトヨタ社の車に乗り、ジャズを聞きながらどこかへ向かっている。通行人の何人かは頭部がカセットテープに置き換わっている。]

[D-58932はテレビを眺めている。]

[男は目的地のビルに入った後、部下と思わしき人物を見つけ、文句を言う。内容はカセットテープの値上がりと編集技術の低下についてである。部下はため息をつき、仕事の書類を差し出す。]

[書類にはセロハンテープでカセットテープが取り付けられている。書類自体は無秩序にアルファベットの羅列が書かれている。男はビルの地下に向かう。地下に続く階段の壁には実際に存在する映画ポスターのパロディが貼られている。男は“カセットテープとアズカバンの囚人”というポスターを一瞥した後、悪態をつく。]

D-58932: 来ました。

[D-58932のテーブルにボウルに入ったカセットテープの残骸が運ばれる。]

D-58932: 美味しそうですね。食べていいですよね?

ウィトラフス博士: ……ああ。

[D-58932はボウルを口に近づけ、残骸を口にする。5分をかけてD-58932は全ての残骸を消費する。]

D-58932: 今まで食べたどのサラダよりもおいしい気がします。

ウィトラフス博士: それはよかったな。

[映画は男の自室に死体が発見されたところを映している。男は死体を外に運んだ後、自室でカセットテープを再生する。“23985”という数字が不明な人物の声で読み上げられている。]

[D-58932のテーブルに深皿に入ったカセットテープとタールが運ばれる。]

[D-58932は4分をかけて内容物を消費する。]

D-58932: このスープとっても良い。温まる味です。

[男がテレビを素手で破壊している様子が映っている。男が部下に連絡すると助けを求める部下の声が聞こえる。男は自室から飛び出し、ビルの頂上に向かう。頂上に着いた男はそこにカセットテープがあるのを見つける。男はカセットテープに自宅の住所が書かれているのを発見する。]

[D-58932のテーブルにボウルに熱せられたカセットテープが運ばれる。]

[D-58932は3分をかけてカセットテープを消費する。]

D-58932: これは最高級の食材だ。

[男が車で自宅に向かう様子が映っている。自宅についた男がドアを開けると、弾丸が男の腕に命中する。部下が拳銃を男に向けている。部下が“スミス・スミス”であったことが判明する。]

[D-58932のテーブルに小さなカセットテープとコップに入った液状化したカセットテープが運ばれる。]

[D-58932は即座にそれらを消費する。]

D-58932: いい食事でした。

[部下はあの死体は男が殺したものであると告げる。男は“スミス・スミス”が双子であったことを思い出し、自分が“スミス・スミス”であることに気付く。]

[男は“23985”という幻聴を聴く。男はその場で倒れる。]

[D-58932は店員に金銭を払い、SCP-1368-JPから退室する。]

[男が、頭部がカセットテープに置き換わった医者と思わしき人物と対話している様子が映し出されている。男の目の焦点は合っていない。]

補遺.2: 帰還したD-58932に後に精神鑑定が行われましたが異常な点は見当たりませんでした。その後、D-58932の体内の検査が行われました。D-58932の胃から無傷のカセットテープが回収され、職員の監督の下で再生されました。内容は“23985”という音声が終わりなく続いているのみでした。

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