SCP-1372-JP
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アイテム番号: SCP-1372-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-1372-JPは固定されている床の間上の床板と共に低脅威度物品収容ロッカー内に保管されます。記載された文章の変更が確認された場合は、速やかに連絡する必要があります。

説明: SCP-1372-JPは山口県内の旅館「旅館松境」の部屋「コスモスの間」内部に存在していた木製の貯金箱です。全長約18cm、直径約5cmの切り株を模した外見を有しており、床の間の底面に合金製と思わしきねじを用いて固定されています。これまでにおいてはねじを取り外す行為は全て失敗しています。同様に投入した硬貨の取り出し口は確認されていません。
SCP-1372-JPの側面には以下の文章が記載された紙が貼り付けられています。

ぼくたちの癒しサービス~ステキな朝をむかえたい人に~


Aコース(お茶)…………200円
Bコース(お茶+朝ごはん)…………600円
Cコース(お茶+朝ごはん+デザート)…………1000円
☆おかねをいれたら、夜から朝はやくまではちゃんとねてください
☆おつりは朝に返しますが、お金をいれてくれた人にだけサービスします

記載された通りの金額をSCP-1372-JP内に投入し、投入した対象が日の出までに熟睡している場合、SCP-1372-JPの内部から動物群(以下、SCP-1372-JP-A群と記載)が出現します。種類は山口県内で発見可能なものから本来海外にしか存在しない種族までこれまでに約20種類以上の動物が確認されています。SCP-1372-JP-A群はメッセージ内に記載されたサービスを行った後、SCP-1372-JPの硬貨投入口に自分の身体を押し込む様にして消失します。活動中のSCP-1372-JP-Aが起床している人物によって目撃された場合、即座にSCP-1372-JP内部へと消失する様子が確認されています。
SCP-1372-JPは2017年8月、休暇中であったエージェント・森ノ宮が発見、興味からAコース分の金額を投入した翌日の朝に旅館経営者から「気が付いたら置かれていた、サービスに関して何も関係ない」旨の発言を聞いた事から異常性を有するオブジェクトであると判断、後の実験によって異常性が認められ、関係者に対するカバーストーリー「補修工事済み」の流布が施されました。

SCP-1372-JP実験記録-01

付記: 2017年9月10日、SCP-1372-JPにコースAに相当する料金をDクラス職員に投入させた後、就寝中の様子を撮影したカメラ記録の抜粋。エージェント・森ノ宮が発見した異常性の再現が目的である。

<記録開始>

[22:14:09]: (D-1372-JP-1が支給された200円をSCP-1372-JP内に投入後、就寝に取り掛かる)

[22:51:17]: (D-1372-JP-1の熟睡を確認)

(変化が確認されない為省略)

[05:30:07]: (SCP-1372-JP内からシジュウカラ(Parus minor)、ニホンジカ(Cervus nippon)、ホッキョクウサギ(Lepus arcticus)がと思わしき動物の生体が茶器等を携えた状態で1体ずつ出現する)

[05:32:25]: (ニホンジカが咥えていた木製のカップが床に置かれ、上にシジュウカラが所持していた漉し布が被せられる。ホッキョクウサギによって植物が細かく刻まれては、漉し布の上に乗せられる行為が繰り返される)

[05:34:41]: (漉し布の上面が植物で満たされる。SCP-1372-JPからリクガメ(Testudinidae))が甲羅の上に金属製ケトルを乗せた状態で出現する)

[05:35:34]: (ニホンジカに咥えられたケトルから熱湯がカップ内に淹れられる。シジュウカラとホッキョクウサギは漉し布の端を押さえている)

[05:37:38]: (蒸らし終えた茶の上部から湯が注がれ終える。ケトルを咥えたままニホンジカはSCP-1372-JPの投入口に顔を寄せ、吸い込まれる様に消失)

[05:38:11]: (漉し布で茶葉をくるんだものをホッキョクウサギは咥えたまま、シジュウカラと共にニホンジカと同様の手順で消失)

[05:41:27]: (リクガメが同様の手順で消失)

<終了>

終了報告書: カップの中は香草を数種類組み合わせて淹れられた茶で満たされており、エージェント・森ノ宮は「発見した時と味も香りも違う」と回答。D-1372-JP-1は茶を飲用後「極めて美味である」と回答。その後の調査において、身体的な異常の発生は確認されなかった。

SCP-1372-JP実験記録-04

付記: 2017年9月15日、SCP-1372-JPにコースCに相当する料金をDクラス職員に投入させた後、就寝中の様子を撮影したカメラ記録の抜粋。

<記録開始>

[22:11:09]: (D-1372-JP-1が支給された1000円をSCP-1372-JP内に投入後、就寝に取り掛かる)

[22:38:17]: (D-1372-JP-1の熟睡を確認)

(変化が確認されない為省略)

[05:00:02]: (SCP-1372-JP内からオカメインコ(Nymphicus hollandicus)5羽、エゾリス(Sciurus vulgaris orientis)3匹、アライグマ(Procyon lotor)2匹、キタキツネ(Vulpes vulpes schrencki)2匹が調理器具・食器等を携えた状態で出現する)

[05:06:59]: (全動物によって床の一部分に草が円を2つ組み合わせた様な形状に敷き詰められ、それぞれの円の中心上に石と薪と金網を用いた簡易的な竈が作られる。オカメインコが所持していたマッチによって火が付けられる)

[05:10:41]: (金属製の鍋に湯が張られた状態で火に掛けられ、アライグマ2匹の爪によって刻まれた根菜類が内部に投入される)

[05:12:34]: (キタキツネによってパイ生地と思わしき物体が敷かれた葉の上で形成され、上部にエゾリス群がベリー等の果実類を埋め込む)

[05:18:38]: (鍋の上からオカメインコが調味料と刻まれた青ネギ類を投入。アライグマによって味噌と思わしき物体が鍋の中で溶かされる。形成されたパイがもう一方の竈でフライパンに乗せられ、アルミ箔で覆われた状態で焼かれ始める)

[05:22:11]: (鍋がオカメインコ4羽によって竈から離され、入れ違いで金属製のケトルとキタキツネが所持していたサンマ(Cololabis saira)が火に掛けられ始める。SCP-1372-JPからリクガメが甲羅の上に羽釜を乗せた状態で出現)

[05:27:44]: (組み立て式の木製のテーブルがD-1372-JPの横に組まれ、アライグマとエゾリスによって木製の食器が並べられる。オカメインコによって関連記録-01に基づいた食器が用意されるが、植物類は以前の物と種類が異なるのを確認)

[05:29:34]: (テーブル上の木製の椀にアライグマが鍋内部の液体を注ぎ、羽釜の内部から炊飯された白米を碗の上に盛る。キタキツネによって別の皿の上にサンマが乗せられる)

[05:35:01]: (オカメインコとエゾリスによってテーブル上の茶が注がれ、小皿の上にアライグマが動かしたフライパンの中から取り出したパイが乗せられる)

[05:38:11]: (リクガメ以外の全動物が竈を崩した後、敷かれた葉を球体になる様に丸めながらSCP-1372-JPの投入口へ向かい、吸い込まれる様にして消失する)

[05:43:27]: (リクガメが同様の手順で消失)

<終了>

終了報告書: 用意された食事に異常な成分は発見されず、D-1372-JP-1は食事を摂取後「普段支給されている物よりも格段に美味である」と回答。その後の調査において、身体的な異常の発生は確認されなかった。

SCP-1372-JP実験記録-06

付記: 2017年9月22日、SCP-1372-JPに巻き付けられている紙の左下端に以下の文章が極めて小さい文字で記載されていた事が確認、検証の為のカメラ記録の抜粋。

S1P:8000 チョコ1:15000

<記録開始>

[23:03:16]: (D-1372-JP-2が支給された8000円をSCP-1372-JP内に投入後、就寝に取り掛かる)

[23:14:46]: (D-1372-JP-2の熟睡を確認)

(変化が確認されない為省略)

[03:17:39]: (SCP-1372-JP内からイワトビペンギン(Eudyptes chrysocome)が出現する。白色の粉末の封入された小袋を咥えた状態で、D-1372-JP-2の隣まで近寄る)

[03:19:55]: (枕の下に袋を押し込んでいる。SCP-1372-JPが軽く振動しながら内部よりアメリカバイソン(Bison bison)が出現する。イワトビペンギンは即座にアメリカバイソンの方を凝視する)

アメリカバイソン: 貴様ーっ!今猶予中で今度やったら無期食らうって分かってんのかーっ!(中年男性に酷似した声)

イワトビペンギン: いえ違います!これは合法、本当に合法なんです!(高い男性の声を放ちながら、左右に首を振る)

アメリカバイソン: だったらこっちに提出しても何も問題ないよなぁ!(荒い鼻息と共に、床を爪で引っ掻き始める)

イワトビペンギン: あっそれは……えーと……(枕の下から小袋を咥え、露骨にアメリカバイソンから視線を逸らす)

アメリカバイソン: 覚悟ー!(イワトビペンギンに向かって突進する)

イワトビペンギン: ひぇー!(ベッドから飛び降りる。D-1372-JP-2の身体がアメリカバイソンに踏み付けられる)

(以下、約10分間に渡りアメリカバイソンへの突進をイワトビペンギンは避け続けた後、SCP-1372-JPの投入口へ飛び込んで消失、ほぼ同時にアメリカバイソンも消失。実験エリア内の扉の一部損傷と内臓破裂によるD-1372-JP-2の死亡が確認された)

<終了>

終了報告書: 記録後、SCP-1372-JPに張り付けられた紙が以下の文章に変化していたのを確認。

おわび
この度は不祥事を起こしてしまい大変申し訳ありませんでした。
まことに勝手ながら、しばらくの間営業を停止いたします。

補遺: 2018年3月13日、SCP-1372-JPに張り付けられていた紙内に記載されていた文章が以下の様に変化しているのが確認されました。

ガネーシュ~インド料理・カレー専門店~


チャイ……250円(お代わり100円)
本日のカレー(ナンお代わり自由、プレーン・チーズ・ガーリック・セサミ)……780円
キーマカレー……800円
ベジタブルカレー……800円
営業時間10:00~19:00
注意:お釣りありません

文章変化以降のSCP-1372-JP-A群はインドゾウ(Elephas maximus indicus)の成体以外確認されなくなっており、出現する頭数は確認された限り最低4頭です。実験に参加したDクラス職員の著しい死亡率の上昇・実験エリア内の損傷から実験の凍結が審議されています。

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