SCP-1380-JP
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アイテム番号: SCP-1380-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-1380-JPは適切な大きさの箱に収められた状態で、サイト-8114の低脅威度物品用ロッカーに収容されます。実験の際はDクラス職員のみを対象者とし、レベル2以上の職員2名の承認が必要となります。

説明: SCP-1380-JPは大きさ150 × 300mmの透明なビニール袋です。SCP-1380-JPの内部に人間が手を挿入した場合(以下、手を挿入した人間を対象者と記載)、内部にニンジン(Daucus carota)に酷似した実体(以下、SCP-1380-JP-1と記載)が出現します。

SCP-1380-JP-1は現在までにおよそ5cm~9cmの大きさの物が確認されており、一般的なニンジンと比較して以下のような特徴を持っています。

・刃物による切断に対し高い耐久力を持つ。ただし切断する事自体は可能。
・腐敗が速く、低温の環境下で保存しない場合、出現した数時間後には腐敗が始まる。
・素手によって容易に曲げる事が可能だが、一定の方向以外には曲がりにくい。
・根の先端部分で一般的なニンジンよりも遥かに高いブリネル硬さ1が計測されている。

SCP-1380-JP-1の出現後、対象者は体重の僅かな減少、及び挿入した手による筆記、箸やスプーンといった食器の使用等の動作が不可能になるといった影響が発生し、手の動作を行おうとした際には「物を掴んでいるはずなのに掴めていないような感覚」に襲われると証言しています。この影響による対象者の死亡事例は現在まで確認されていません。また、SCP-1380-JP内部にSCP-1380-JP-1が存在している場合に手を挿入した場合はSCP-1380-JP-1は出現せず、対象者への影響はありません。

SCP-1380-JPは███・███・███県で発生したホームレスが突然片手・もしくは両手が動かせなくなるという異常現象の調査中に発見されました。当初異常現象の原因は新種の奇病だと考えられていましたが、対象者となったホームレスの「手が動かなくなる前にボランティア団体から不思議な袋とレシピを渡された」という証言からSCP-1380-JPの存在が明らかになりました。回収したレシピにはSCP-1380-JP-1と[削除済み]を用いたサラダの調理法と思われる内容が記載されており、レシピ自体には異常性は確認されていません。現在までに確認されているSCP-1380-JPの対象者となった人数は███名に上り、計67個のSCP-1380-JPが回収されています。関係者にはAクラス記憶処理を行い、カバーストーリー「集団食中毒」を流布しています。

実験記録1380-JP-1 日付20██/██/██

対象: D-7415、D-8931

実施方法: D-7415にSCP-1380-JP内部に手を挿入させ、SCP-1380-JP-1を出現させる。その後、D-8931に摂食させる。なお、D-8931は「ニンジンは大して好きではない」と証言している。

結果: D-7415が左手を挿入した結果、SCP-1380-JP-1が5本出現した。D-8931はSCP-1380-JP-1を摂食後、直後にSCP-1380-JP-1を吐き出し以降の摂食を拒否した。SCP-1380-JP-1については「今まで食べたどんな食い物よりも不味い」と発言している。摂食後に検査を行った結果、異常性は確認されていない。

分析: 摂食による悪影響は無いようだ。

実験記録1380-JP-2 日付20██/██/██

対象: D-7415、D-9257

実施方法: D-7415にSCP-1380-JP内部に手を挿入させ、SCP-1380-JP-1を出現させる。その後、D-9257に摂食させる。なお、D-9257は「ニンジンは大好物だ」と証言している。

結果: D-7415が左手を挿入した時、SCP-1380-JP-1は出現しなかった。その後D-7415が右手を挿入した結果、SCP-1380-JP-1が5本出現。D-9257はSCP-1380-JP-1を摂食後、直後にSCP-1380-JP-1を吐き出し以降の摂食を拒否した。SCP-1380-JP-1については「とてもニンジンとは思えない味だ」と発言している。

分析: 左手と右手それぞれ一度きりしか出現させる事が出来ないようだ。

実験記録1380-JP-3 日付20██/██/██

対象: D-8931、D-9257、D-9910、D-10010

実施方法: D-8931にSCP-1380-JP内部に手を挿入させ、SCP-1380-JP-1を出現させる。その後、SCP-1380-JP-1を回収したレシピに記載されていた内容とは異なる方法で調理し、D-9257、D-9910、D-10010に摂食させる。なお、D-9910、D-10010は「ニンジンは別に好きでも嫌いでもない」と証言している。

結果: D-8931が左手を挿入した時、SCP-1380-JP-1が4本出現。調理を試みた結果、SCP-1380-JP-1が刃物による切断に対し通常のニンジンを上回る耐久性を持っている事が判明したため、刃物を使用せずにピクルスとして提供した。3名は摂食後、D-9257、D-9910は以前の実験記録と同様にSCP-1380-JP-1を吐き出したが、D-10010のみピクルスを完食した。D-10010はSCP-1380-JP-1については「懐かしい味がした。また食べてみたい」と発言している。

分析: 他の対象者と異なり、D-8931はDクラス職員となる以前に事故で障害を負っていた事から、対象者の健康状態によりSCP-1380-JP-1の出現本数が変化する事が考えられる。また、D-10010が完食出来たのは注目すべき点だろう。

実験記録1380-JP-4 日付20██/██/██

対象: D-8931、D-9257、D-9910、D-10010

実施方法: D-8931にSCP-1380-JP内部に手を挿入させ、SCP-1380-JP-1を出現させる。その後、SCP-1380-JP-1を回収したレシピ通りの調理法で調理し、D-9257、D-9910、D-10010に摂食させる。

結果: D-8931が右手を挿入した時、SCP-1380-JP-1が5本出現。その後問題無く調理が行われた。3名は摂食後、全員がサラダを完食した。インタビューの結果全員が味について絶賛し、「やみつきになる味」と発言している。特にD-10010は「我慢してきたがもう耐えられない。もう一度あれを食べさせろ」と発言し、D-8931に再度SCP-1380-JP内部に手を挿入させようとした為、駆けつけた警備員によって鎮静させられた。摂食した3名を検査した結果、異常性は確認されなかった。D-10010にインタビューを行った結果、「何故だか解らないがここに来る前に良く食べていた味がする。間違いなく[削除済み]の味だった」と証言している。

分析: 健康状態と出現本数は関係ないようだ。興味深いのはD-10010の証言だ。以降の実験で検証する必要がある。

実験記録1380-JP-5 日付20██/██/██

対象: D-9257、D-11114、D-13805

実施方法: D-9257にSCP-1380-JP内部に左手を挿入させ、SCP-1380-JP-1を出現させる。その後、SCP-1380-JP-1の長さを計測し、回収したレシピに記載されていた内容とは異なる方法で調理してD-11114、D-13805に摂食させる。

結果: D-9257が左手を挿入した時、SCP-1380-JP-1は出現しなかった。その後D-9257が右手を挿入した結果、SCP-1380-JP-1が5本出現。計測した結果、それぞれ6.08、7.13、7.95、7.45、5.90cmであった。SCP-1380-JP-1はピクルスとして提供され、2名は問題なく完食した。摂食後のインタビューでは共に「非常に美味だった。食べた事のある味だ」と発言している。

分析: 計測結果、摂食結果共に予想通りの結果となった。これにより、SCP-1380-JPはSCP-1380-JP-1を出現させるだけでなく、視認した人間に一種の認識災害を引き起こしている事が判明した。これ以上の実験は無駄にDクラス職員に障害を残すだけである為、不要だろう。

補遺1: SCP-1380-JPの回収作業中、マナによる慈善財団が集会に使用していたと思われる施設が発見されました。以下は施設内部にて発見した電子メールの内、復元に成功した物です。

███████ 様
これまでの活動を収めた映像記録はご確認いただけたでしょうか。
何故かあの野菜は私以外の人間にとって、我々がよく知っている大地の恵みに比べ非常に不満の残る物でありますが、遂に私はあの野菜の為の調理法を発見しました。
実際にこの国の方々に試食を行ってもらいましたが、全員が私に対して「美味しい料理をありがとう」と言ってくださいました。これは私が規範に反するような人間では無い事を示す証拠です。
ですからどうか彼らの話を鵜呑みにしないでください。確かに私には彼らの言う"悪癖"があるのかも知れませんが、その為に人々の命を脅かすような事は決していたしません。

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