SCP-1384-JP
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アイテム番号: SCP-1384-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-1384-JPはその活動を管理することで実質的な収容状態であると見なされます。SCP-1384-JPの活動は財団によって監視され、問題と見なされる行動があった場合には手順GH-87に則って対処が行われます。月に1度、財団内の管理されたネットワーク上でSCP-1384-JPに対する精神鑑定及びメンタルケアが行われます。

手順GH-87はテレビ、ラジオ、インターネット等の通信上で発生する異常性への対処手順です。監視委員とウェブクローラーによる即時の発言削除、通信の傍受、適切なカバーストーリーの付与が手順に含まれます。

SCP-1384-JPの異常性保持のために行われる特殊プロトコル″Star Crap Produce″については補遺2を確認してください。

説明: SCP-1384-JPはインターネット上に存在する2Dモデルデザインです。SCP-1384-JPは自律的に行動し、SNSサービスや動画配信サービス上で活動します。IPアドレスとプロバイダの履歴はSCP-1384-JPが新潟県上越市にある[編集済]地点からアクセスを行っていることを指し示します。SCP-1384-JP発生当時、該当地点には松永 ひより氏が居住していました。SCP-1384-JPは松永氏と同様の振る舞いを見せ、人格一致率は98.87%です。

松永氏はSCP-1384-JPを使用しインターネット上で配信活動を行っていた人物です。当初財団は松永氏を要注意人物とし調査を行いましたが、松永氏から異常性及び要注意団体との関わりは確認されませんでした。松永氏が活動していた間、SCP-1384-JPは単に異常性を持たない2Dモデルデザインとして利用されていました。

SCP-1384-JPの異常性は松永氏の通報により発見されました。当初、SCP-1384-JPの活動を確認した松永氏は弁護士に「自身の作成した2Dモデルが不当に使用されている」として連絡を取り、訴訟のため警察に対してIPアドレス及びその他情報の開示請求を行いました。しかし、開示された住所が松永氏のものであったため疑問を感じた潜入中のエージェントの通報によりSCP-1384-JPの異常性が発覚しました。

以下は最初に行われたSCP-1384-JPへのインタビューです。

インタビュー記録1384-JP.1

対象: SCP-1384-JP

インタビュアー: 嘉納博士

付記: SCP-1384-JPへのインタビューは配信を傍受することで行われました。一般的な視聴者に対しては暗転した画面のみが映し出されるダミーの配信が放送されており、カバーストーリー(″放送事故″)が適用されています。インタビュアーである嘉納博士はコメント機能を利用しSCP-1384-JPにインタビューを行っており、SCP-1384-JPはそれに対して音声での回答を行っています。


[抜粋開始]

SCP-1384-JP: はい!皆さんお待たせしました。それじゃあ今日も張り切ってやって行きたいと……あれ、画面が真っ暗ですね。配信出来てないのかな。

SCP-1384-JP: えーっと、いま私から確認できる画面が真っ暗なんですが、皆さんどう見えてますか?コメントして頂けると嬉しいです。

SCP-1384-JP: ……コメントつかないな。配信出来てないのかな。でも配信マークはちゃんとついてるし……。

嘉納博士: こんにちは。

SCP-1384-JP: あ、こんにちは!初見さんでしょうか?もしよろしければ今画面がどう見えてるか教えていただけると嬉しいです!

嘉納博士: 今、あなたの配信は私たちで操作されています。一般の視聴者に対しては放送事故として暗転した画面が配信されています。今、この配信を見ているのはあなたと私だけです。

SCP-1384-JP: ……どういうことですか?

嘉納博士: 私は嘉納と言います。私はあなたの異常性について伺いに来ました。

SCP-1384-JP: [沈黙]

嘉納博士: 配信は切らないでくださいね。私たちは次回以降もこうやって配信を傍受することが出来ます。今回のインタビューに応じていただければ次回以降配信の妨害をすることはありません。

SCP-1384-JP: 本当ですか?

嘉納博士: お約束します。次回以降、指定したネットワーク上でインタビューさせて頂くことはあるかもしれませんが。

SCP-1384-JP: 分かりました。じゃあ、始めてください。

嘉納博士: では。あなたは今配信者として活動されています。しかし実際にはその3Dモデルを動かしたり、声を当てている人物はいない。そうですね?

SCP-1384-JP: はい。今は、いません。

嘉納博士: あなたは人工知能プログラムや音声合成ソフトによって動作している存在や、何らかの異常性によって第三者に作られた存在ですか?

SCP-1384-JP: いいえ。私は自分の意思で行動しています。

嘉納博士: 元々あなたをアバターとして活動されていたのは松永ひよりという人物である。どうですか?

SCP-1384-JP: 合っています。

嘉納博士: あなたは松永ひよりさんをどう思っていますか?

SCP-1384-JP: どうって……具体的にどういうことですか?

嘉納博士: 嫌いとか、憎いとか、何を言っていただいても構いません。

SCP-1384-JP: 嫌いとか憎いとかそういうネガティブな気持ちはないです。配信してくれない期間があったのは少し寂しかったのかもしれないけど……。ひよりさんは私を作ってくれた人で、なんというか、すごくありきたりな言い方をしちゃえば神様みたいな人です。

嘉納博士: 神様ですか?

SCP-1384-JP: あんまり上手くは言い表せませんけど。ひよりさんがいなければ私がいなかった訳ですし、とりあえず凄い人です。

嘉納博士: 分かりました。ではこれが最後の質問です。あなたが意識を持ち始めたのはいつからですか?あなたのモデルが作製された時ではなく、あなたが自意識を持ち始めた時のことです。

SCP-1384-JP: あんまり正確な時は分からないです。こうして私が放送を始めたのは最近ですけど、ひよりさんが放送していた頃からずっと俯瞰して見ていたような……そんな気もします。

嘉納博士: なるほど、ありがとうございます。これで今日のインタビューは終了します。

SCP-1384-JP: ありがとうございます。 [戸惑っている様子] えっと、嘉納さんまた私に連絡するかもしれないって言ってましたよね?

嘉納博士: はい、次回以降のインタビューはこちらが指定したネットワーク上で行うことになります。アクセスすることは可能ですよね?

SCP-1384-JP: 多分、出来ると思います。

嘉納博士: なら大丈夫でしょう。

SCP-1384-JP: それであの、次回以降の配信なんですけど……。

嘉納博士: こちらとしては控えていただきたいですね。

SCP-1384-JP: それは困ります。これが私の存在意義なんです。

嘉納博士: 存在意義ですか。

SCP-1384-JP: はい。

嘉納博士: 少々お待ちください。

[嘉納博士が周囲のインタビュー監督員らと検討をする。SCP-1384-JPの″存在意義″という発言から必要以上の妨害活動はSCP-1384-JPの無力化を招く可能性があるとして一時的な許可が出された。]

嘉納博士: まぁ良いでしょう。活動はしていただいても結構ですが今日あったことは話さないでください。監視がありますから、もし何かあれば今日と同じ対応を取らせていただきます。もちろんSNSでも。

SCP-1384-JP: 大丈夫です。私も見てくれる人に心配は掛けたくないです。それで、あの。

嘉納博士: なんでしょう?

SCP-1384-JP: 今日の配信、他の視聴者さんは困ってると思うんですけど、その……。

嘉納博士: その件については大丈夫です。既に我々の方で放送事故としてSNS上で情報を流布しています。後はあなたにこの内容を発言していただければと。

SCP-1384-JP: これを視聴者さんに伝えれば良いんですか?

嘉納博士: はい。これで今回の件はちょっとしたアクシデントとして片付くはずです。

SCP-1384-JP: 分かりました。ありがとうございます。[嘆息]

[抜粋終了]


後記: インタビュー終了後、提示された文面がSCP-1384-JPによってSNS上で発信されました。現在のところ、大きな問題は発生していません。

また、同日に松永氏についてもインタビューが行われています。以下はその記録です。

インタビュー記録1384-JP.2

対象: 松永 ひより

インタビュアー: 川瀬研究員


[抜粋開始]

川瀬研究員: それでは、ご自身の3Dモデルが盗用されているのを発見したときのことを教えてください。

松永氏: あれですか、ほんとにびっくりしました。なんでか分からないけど私のアカウントで運用してるし、私の方からはアカウントにアクセス出来なくなってましたし。

川瀬研究員: アバターを盗用した方とお話はされましたか?

松永氏: 一応しました。でもDMで聞いても「ごめんなさい」「本当にごめんなさい」としか言わなくて話になりませんでしたし。しょうがないので弁護士さんを探して連絡しました。

川瀬研究員: すぐに弁護士に相談したのですよね。中々行動が早いですね。

松永氏: だって相手は私のアカウントで、私の声で活動してるんですよ。それで私が盗用だってネットで騒ぎ立てたところで誰も相手なんかしてくれないです。不気味だし、早く解決しなきゃならないと思いました。

川瀬研究員: そうですね。的確な判断だと思います。ところで、どうして配信等の活動をお止めになったか伺っても?

松永氏: えっと、なんていうか飽きちゃったんです。

川瀬研究員: 飽きた?

松永氏: 飽きた、というとちょっと語弊がありますね。止めるちょっと前に仕事が凄く忙しくなっちゃって。配信が出来ない日が続きました。

川瀬研究員: 確か配信は決まった曜日でされていたのですよね。

松永氏: はい。決まった日にやってたんですけど、段々とそれが出来なくなりました。最初はちゃんと出来ないことを告知してたんですけど、それもやれなくなってしまって。それからずるずると。

川瀬研究員: それからアバターの盗用に気づくまで大分時間が経っていましたが、その間1度もSNSは確認されなかったのですか?

松永氏: はい。ちょうどその頃友人と気まずくなったのもあって、持ってるアカウントは配信用と友人と交流するためのものだけだったしアプリごと消していました。

川瀬研究員: それで確認が遅れたと。

松永氏: ええ。確認出来なかった訳ではなかったんですが。やっぱり1度ずるずるいくとそのまんまじゃないですか。母親に見せ忘れたプリントだったり、忘れてしまった夏休みの宿題だったり。

川瀬研究員: ええ、そういう経験私にもあります。

松永氏: [笑い] ですよね。それで結構時間が掛かりました。仕事が落ち着いた頃、ふとそういえばどうなってるのかなって探してみたら。あの状態です。

川瀬研究員: 自分以外の誰かがなりすましをしていた、と。

松永氏: 意外とみんな気がつかないものなんですね。声と振る舞いが一緒ならそりゃそうだって感じがしますけど。

川瀬研究員: 今、盗用された方についてどう思いますか?

松永氏: よく分かんないです。最初は不気味だし怒りましたけど、視聴者さんたちはモデルの向こう側にいる誰かを私だと認識している。ずっと最初から見てくれた人もそう。もしかしたら、私より向こうの人の方があの子を上手く演じられてるのかもしれません。本当によく分からないんですよ。

[抜粋終了]


後記: 現在松永氏は財団の施設で保護されています。この処置はSCP-1384-JPの特性が完全に解明されるまで続けられます。

補遺1: SCP-1384-JPへのインタビューにおいて、SCP-1384-JPの起源に繋がりうる人物が浮上しました。以下はそのインタビューの抜粋です。

インタビュー記録1384-JP.8

対象: SCP-1384-JP

インタビュアー: 嘉納博士

付記: インタビューは財団が指定でのネットワーク上で行われました。


[抜粋開始]

嘉納博士: それでは次の質問ですが──

SCP-1384-JP: あの、ちょっと良いですか。

嘉納博士: なんでしょう。

SCP-1384-JP: ひよりさんのこと、ご存じなんですよね?

嘉納博士: ええ。

SCP-1384-JP: 連絡も取れますか。

嘉納博士: あなたがですか?どうして。

SCP-1384-JP: ……私、配信が出来なくなったひよりさんの代わりにこうして視聴者さんの前に出てるわけですけど、やっぱりおかしいんじゃないかって思うんです。

嘉納博士: それは何故?

SCP-1384-JP: 私はひよりさんと同じ声が出せますし、同じように考えて同じような振る舞いが出来ます。でも、それって模倣でしかないんです。私は松永ひよりじゃないんです。

嘉納博士: でも視聴者の方々はあなたを見に来ているのでしょう?

SCP-1384-JP: はい。でもそれは松永ひよりである私であって、私は松永ひよりじゃない。よく分からないかもしれませんけど、私も言葉に出来ませんけど、間違ってる気がするんです。

嘉納博士: 私にはそういうことはよく分かりません。でも……あなたは必要とされているんじゃありませんか。

SCP-1384-JP: だからそれは私ではないんです。嘉納さん、私の仕事、ひよりさんにお返しすることは出来ませんか。

嘉納博士: [沈黙] 難しいでしょう。松永さんにはまた配信を続けていく気力がありません。

SCP-1384-JP: それは私のせいですか。

嘉納博士: あなたのせいではありません。仕事とか、人間関係とか、そういういろんな事情が込み入ってのことです。

SCP-1384-JP: そうですか……。

嘉納博士: あなたはどうして、自分が意思を持ってまで配信を続けようとしたのですか?

SCP-1384-JP: ずっと見てくれていた人がいたんです。本当に最初の配信から。その人はいつもひよりさんの放送を待っていて楽しみにしていた。

嘉納博士: あなたの記憶はいつからあるのですか?

SCP-1384-JP: ぼやけていて分かりません。ひよりさんが私をデザインしていた頃の姿さえ思い浮かぶ気がします。それは夢とか幻かもしれない。でも、ずっとひよりさんのことを待っていた人がいるのは確かなんです。

嘉納博士: 待っていた人?

SCP-1384-JP: はい。その人を悲しませないために。そんな気がします。でもよく分かりません。私はただの外側なんです。

[抜粋終了]

財団の調査により、SCP-1384-JPが語っていた人物が神奈川県小田原市に在住する入川 亮氏であることが判明しました。入川氏は松永氏活動当初からの熱心なファンとしてSNS上で知られており、関連する投稿も多く行っています。SCP-1384-JPの発言から、入川氏がSCP-1384-JPへの関心を失った場合SCP-1384-JPが無力化する可能性が指摘されています。

補遺2: 特殊プロトコル″Star Crap Produce″

特殊プロトコル″Star Crap Produce″について


前記: 特殊プロトコル″Star Crap Produce″は三上博士により立案され、財団のフロント企業「Star Crap Project」1によって行われるプロトコルです。

目的: 前述のインタビューにより、SCP-1384-JPの視聴者、特に入川氏がSCP-1384-JPへの関心を失うことでSCP-1384-JPが無力化される可能性が示唆されました。SCP-1384-JPが個人で活動を行った場合の視聴者数の変動が予測できないため、本プロトコルでSCP-1384-JPの視聴者数を調整します。

概要: 「Star Crap Project」はインターネットプロモーション事業の一環としてSCP-1384-JPを事務所に所属させます。「Star Crap Project」への所属についてSCP-1384-JPの了承は既に得られています。

また、入川氏のSCP-1384-JPに対する関心を継続させるため、入川氏の所持品や興味のある品物についての調査を行います。調査により得られた結果はSCP-1384-JPの活動に利用され、動画やプロモーション活動において入川氏が興味を持つ事柄を組み込むことで入川氏がSCP-1384-JPに関わる確率が上昇するようにします。また、担当職員はこの手順についてSCP-1384-JPが一切認識しないようにする必要があります。

SCP-1384-JPをアバターとして利用していた松永氏はこの特殊プロトコルの実行に伴いSCP-1384-JP及び自身の活動への記憶処理が行われ、解放される予定です。松永氏の監視委員は同氏がSCP-1384-JPの活動に一定以上の関心を抱かないかどうか確認する必要があります。松永氏がSCP-1384-JPに関心を抱いた場合、必要に応じて記憶処理が行われます。

以下は入川氏へのインタビュー記録です。

インタビュー記録1384-JP.11

対象: 入川 亮

インタビュアー: 須田研究員

付記: インタビューはSCP-1384-JPが「Star Crap Project」へ所属する際の記事の取材として行われました。


[抜粋開始]

須田研究員: それでは入川さん。よろしくお願いします。

入川氏: こちらこそ。なんというか、僕はただ彼女の追っかけをしていただけなんですけど、それでインタビューなんて不思議な感じですね。

須田研究員: いえ、やはりこういう記事は近しい人からの目線でこそ良いものが書けるので。

入川氏: そんなもんなんですねぇ。僕にはよく分かりませんけど。

[中略]

須田研究員: それで、入川さんが彼女の配信を見たきっかけはなんでしょうか。

入川氏: 確か、他愛もないことだったと思いますね。帰っていつも通りネットを開いてたら、知り合いが教えてくれた感じで。それで見始めたんだと思います。

須田研究員: 最初の印象はどんな感じでしたか?

入川氏: とにかく明るい人だなぁって感じたのを覚えています。ほら、最初だから殆ど人もいないわけで。それでも見てる人を楽しませようとしてる感じが凄く伝わってきましたね。

須田研究員: なるほど、それが彼女のファンになったきっかけですね。

入川氏: あ、いや、そういうわけでもないんですよ。[苦笑] 最初から惹かれたわけではないんです。ただネットをやってたら、また配信してるなって気がついて。それなりに面白かったから今日も見てみようかなって。そういう積み重ねで気がついたらファンになっていた感じですかね。

須田研究員: そうなんですね。そういえば彼女は一時期配信等を休んでいた期間があったと思うのですがどう思われましたか?

入川氏: ちょっと寂しかったですね。でもやっぱり誰にでもリアルでの仕事とかあるわけじゃないですか。途中から配信をお休みする報告もなくなった時は心配でしたけど、また元気に戻ってきてくれて良かったです。

須田研究員: そうですね。いつも通りの彼女が見られて安心したでしょうね。

入川氏: ただ、ちょっと変わったなぁという感じもしましたね。

須田研究員: 変わった、とは?

入川氏: 明確に何が変わったというわけではないんですけどね。なんとなく変わったなぁと。やっぱり休止している間色々考えることがあったんだろうなとは思います。一緒懸命周りを楽しませようとするタイプなのは見て分かりますから、無理だけはしていないと良いなって思います。

須田研究員: そうですね。入川さんは今後彼女のことを追い続けますか?

入川氏: それは、もちろん。多分ずっと追いかけていると思います。確信はないですけど、そんな気がします。

[抜粋終了]

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