SCP-1388-JP
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ライブパフォーマンスの練習中のSCP-1388-JPとD-1189

アイテム番号: SCP-1388-JP

オブジェクトクラス: Anomalous Safe Euclid

特別収容プロトコル: SCP-1388-JPはサイト-8128にてアクリル製の3m×3m×3mの箱に保管します。1日に1度、職員がSCP-1388-JP-1と会話を行って下さい。また、毎日9:00から17:00まで、ギター経験のある職員と共に音響室内で活動させて下さい。

SCP-1388-JP-aはサイト-8128にて低脅威大型物品収容室にて保管します。内部に舞台装置を設置し、定期的に点検を行って下さい。毎週土曜日20:00に担当者がSCP-1388-JPを所持してSCP-1388-JP-a内に進入し、1時間の間音楽的活動を行って下さい。

SCP-1388-JP-bはサイト-8128の中型動物収容ユニットに保管します。 SCP-1388-JP-bには特別な収容手順は必要ありません。

説明: SCP-1388-JPは1台の30桁算盤です。破壊耐性を持つ外枠部分と、動物的な振る舞いを示す150個の珠部分(SCP-1388-JP-1~150と呼称)に分類されます。

SCP-1388-JP-1~150は外見的に異常性はありませんが、視覚、聴覚、触覚、思考能力、運動能力を持つことが確認されております。主に表面を振動させることで、20~30代のヒトの男性の声を出し、日本語でコミュニケーションを行います。また、それぞれ自身を木の名前で呼称しており、種類は全て異なります。

SCP-1388-JP-aは高さ3m、直径6mの茶色の円盤型の物体です。外見は大きさを除いてSCP-1388-JP-1~150に酷似しています。飛行能力を有していますが、操縦方法、飛行原理、機構は不明です。1台の映像通信機器が内蔵されており、使用すると知的生命体との交信が可能です。このとき、SCP-1388-JP-aからの電波の発生及び受信は行われておらず、通信の原理は不明です。現在50台のSCP-1388-JP-aが確認されており、そのうちの1台を収容中です。

SCP-1388-JP-bは高さ1m、直径2mの茶色の円盤型の物体です。外見は大きさを除いてSCP-1388-JP-1~150に酷似しています。視覚、聴覚、思考能力、運動能力を持つことが確認されています。未知の言語でコミュニケーションを行い、SCP-1388-JP-1~150はこの言語を理解します。現在に至るまで、財団はこの言語の解読には成功していません。

SCP-1388-JPは2011/5/8に京都府██氏の民家にて発見され、常に珠が動く算盤としてanomalousアイテムに指定されていましたが、2011/8/8に異常性が判明し、SCP-1388-JPに再分類されました(映像記録1を参照)。担当者は三丸子博士に決定されました。

SCP-1388-JP-a、SCP-1388-JP-bは2011/11/1に、事案1388-1によって発見されました(事案記録1を参照)。

映像記録1
Anomalousアイテム収容室の監視カメラで撮影された映像です。

カメラは机に置かれているSCP-1388-JPを映している。

SCP-1388-JP-1: そろそろここに来て3ヶ月が経過しますが、どうします?まだただの算盤のフリを続けますか?

SCP-1388-JP-54: まあできてないけどね。

SCP-1388-JP-21: もうよくない?このままじゃずっと練習できないよ?

SCP-1388-JP-1: ですよね。では、今からでも練習を始めますか。

SCP-1388-JP-78: ここじゃだめだ。音響が悪い。この

[映像監視室から連絡を受けた三丸子博士が入室する。]

三丸子博士: なんてことだ。

17秒間音声なし。

以後は、インタビュー記録1を参照して下さい。

インタビュー記録1

対象: SCP-1388-JP-1~150

インタビュアー: 三丸子博士


<録音開始>

三丸子博士: 初めまして。突然ですが、インタビューをお願いしたいのですが。

SCP-1388-JP-1: 初めまして。いいですよ、よろしくおねがいします。

三丸子博士: では、まずは名前を教えて下さい。

SCP-1388-JP-1: では順に名乗っていきます。クヌギです。

SCP-1388-JP-2: マツです。

[以下同様のやりとりが続く。]

SCP-1388-JP-150: カキです。

三丸子博士: ありがとうございます。では次に、先程の会話について教えていただきたいです。まず、何故今まで一言も発しなかったのでしょう。

SCP-1388-JP-1: 私達が話せることを隠すためです。もし知られたら、管理は厳しくなるだろうと考えました。

三丸子博士: それなら、常に動くのも管理を厳しくする理由になりますが。

SCP-1388-JP-1: こればかりは私達の体質なのでどうしようもないです。じっとしていられなくて。

三丸子博士: では練習という言葉の意味について教えて下さい。

SCP-1388-JP-1: そのままの意味です。アイドルパフォーマンスの練習です。

三丸子博士: アイドルパフォーマンスですか。失礼ですが、あなたがたがそれが可能なようには見えません。

SCP-1388-JP-1: そこでお願いなのですが、この施設で私達にライブを開かせていただけないでしょうか。

三丸子博士: その要求には少なくとも私は答えることはできません。ともかく、あなたがたがパフォーマンスをできるのは確かなのですね。

SCP-1388-JP-1: すみませんが、続きは明日お願いします。今日はこれ以上話せそうにない。寝る時間です。

三丸子博士: 分かりました。

<録音終了>


SCP-1388-JP-1~150は財団の情報を入手していると考えられますが、物理的に記憶処理が不可能なこと、SCP-1388-JP-1~150が収容に協力的なことから、現在のところ処置は保留されています。

インタビュー記録2

対象: SCP-1388-JP-1~150

インタビュアー: 三丸子博士



<録音開始>

三丸子博士: では、昨日に引き続きインタビューを開始致します。まず、要望をもう一度お聞かせ下さい。

SCP-1388-JP-1: はい。私達はかつてアイドルとして活動していたのですが、人間にその活動を披露したことはありませんでした。そこで、ここで暮らすにあたって、時々ライブを開催させて欲しいのです。

三丸子博士: 分かりました。では、具体的にどのようなことを希望していますか?

SCP-1388-JP-1: まずは舞台装置を設置していただきたいです。それほど大掛かりなものではなくて、台とライトがあれば十分です。次に、開催にあたってポスターとチケットを製作し、ここの職員の皆さんに配布していただきたいですね。

三丸子博士: 分かりました。次に、ライブとはどのようなことを意図されていますか?

SCP-1388-JP-1: 人間と同じです。歌うだけですよ。

三丸子博士: ライブについては検討します。では、収容以前の活動について教えていただけますか。

SCP-1388-JP-1: プロデューサーのもとで珠達に活動を披露していた、とだけ言っておきましょう。彼らを危険に晒したくはないので、あまり多くを喋る訳にはいかない。

三丸子博士: 珠がライブを聞いていたと言うことですか?

[沈黙]

三丸子博士: インタビューを終了します。

<録音終了>


SCP-1388-JP-1~150の申請は許可されませんでした。また、SCP-1388-JPの発言について調査が行われています。

実験記録1388-1 - 日付2011/8/10

対象: SCP-1388-JP-1~150

実施方法: 音響室でパフォーマンスを依頼する。

結果: 全個体が男性4部合唱で「君が代」を歌った。

実験記録1388-2 - 日付2011/8/10

対象: SCP-1388-JP-1~150

実施方法: 実験1と同じ条件で、「君が代」以外のパフォーマンスを依頼する。

結果: 全個体が秋元康作「ヘビーローテーション」を歌った。

事案1388-1: 2011/8/16に、サイト-8128上空にSCP-1388-JP-aが出現しました。対象は出現から50秒間サイト-8128周辺を浮遊したあと、SCP-1388-JP収容室に衝突しました。収容室の壁が破損しましたが、それ以上の被害は発生していません。(映像記録2を参照)。

映像記録2
SCP-1388-JP収容室の監視カメラの映像です。

[SCP-1388-JP-1~150が激しく上下、回転している。]

SCP-1388-JP-73: ライブ開催、断られましたね。

SCP-1388-JP-118: そんなのんきなこと言ってらんないだろ。あー腹立つ。

SCP-1388-JP-77: 関節がギシギシ言ってるな。まあ歌おう。せーのっ。

[三留一純作「Monster」が歌われる。]

SCP-1388-JP-85: あの、喉肌痛いんで歌えません。少し休んでいいですか?

SCP-1388-JP-11: あ?何甘えたこと言ってんの?

SCP-1388-JP-135: しかたないさ、こいつほんとは高音パート苦手だもの。

SCP-1388-JP-55: そもそも雑に俺ら5玉を高音パートにしてるのおかしいだろ。そこから変えよう。

SCP-1388-JP-142: 無茶言うな。隣が違うパートだったらやりにくいだろ。だからこうするって決めたよな。

SCP-1388-JP-56: この機会にパフォーマンス方法を大きく変えるのもありじゃない?

SCP-1388-JP-131: そうするか。このままでも集中できなさそうだし。

SCP-1388-JP-150: じゃあ私が話を進めますよ。まず今の何が不満なのか順番に意見をどうぞ。

[721秒間、数十体が一斉に話し始める。]

SCP-1388-JP-27: キエエエエエ!

SCP-1388-JP-1: ちょっと皆さん、ストップストップ!

SCP-1388-JP-18: うるせえクヌギ! いつまでもこんなことやってられっか!

SCP-1388-JP-1: ライブができずに苛立つのは分かりますが、あまり体を痛めると歌えなくなりますよ。そもそもなんで今キレたのです?私はまだ持ちますよ。

SCP-1388-JP-49: お前さっき何聞いてたんだよ。

SCP-1388-JP-1: 寝てました。

[舌打ちに類似した音。]

SCP-1388-JP-49: 簡単にいうと、俺たちが受け入れてもらえないのは下手くそだと思われてるんじゃないかって話から始まったの。で、人間に意見を聞こうかと思ったけど決まらないの。他にも、新しい方向にチャレンジしようかという案が出たけど、どれも俺たちだけじゃできないの。人間に頼らないと。

SCP-1388-JP-1: 新しい方向ですか。それは考えたことがなかった。

SCP-1388-JP-49: で、人間に頼ってパフォーマンスを良くするべきか、このままを突き進むかの論争になって、だんだん本音が出始めたの。それでこの有様。

SCP-1388-JP-1: そんなのここの皆さんに手伝ってもらえばいいじゃないですか。どうです?あ、待って。誰か来て

[SCP-1388-JP収容室の壁が破壊され、SCP-1388-JP-aが侵入する。内部からSCP-1388-JP-bが浮遊しながら出る。]

SCP-1388-JP-84: ああもうめちゃくちゃだよ。

SCP-1388-JP-91: 今はライブはできませんよ。土曜日まで待って下さい。

SCP-1388-JP-126: 日本語じゃ通じねえよ。[解読不能:おそらく前述の発言と同じ意味と推測される。]

[1分間の沈黙後、収容室内に██警備員が侵入する。以後、SCP-1388-JP-bの収容活動が行われる。]

映像終了


SCP-1388-JP-1~150の会話内容と発生現象にどのような関係があるのかは現在調査中です。

インタビュー記録3

対象: SCP-1388-JP-1~150

インタビュアー: 三丸子博士



<録音開始>

三丸子博士: では、インタビューを開始します。まず、昨日の会話の内容について教えて下さい。

SCP-1388-JP-95: パフォーマンスをより良くするためにはどうすればいいか、ですね。 あれから話し合って決めました。やはりあなた達に協力をお願いしたい。

三丸子博士: 具体的に、何をすれば良いのでしょう。

SCP-1388-JP-95: まず私達を持って下さい。

三丸子博士: …ちょっと待って下さいね。

[三丸子博士が確認を取る。許可が出る。]

三丸子博士: こうですか?

SCP-1388-JP-95: ありがとうございます。次に、私達の1人を弾いて下さい。

三丸子博士: ならこう持ったほうがいいか。

[弦楽器が弾かれるものに似た音が鳴る。]

三丸子博士: この音はあなたがたが出しているものですか?

SCP-1388-JP-1: 初の試みです。どうぞ続けて下さい。

[音が鳴り続ける。]

三丸子博士: 理解しました。では次の質問に移ります。SCP-1388-JP-aとb、昨日あなたがたの部屋に侵入した2つの物体について何かご存知でしょうか。

SCP-1388-JP-11: あれはおそらくただのファンの1人です。私達のライブを見にここまで来たのでしょう。でっかいのはその乗り物です。

三丸子博士: それはつまりあれと同じものが他にも複数いるということでしょうか?

SCP-1388-JP-1: はい。もう隠せませんね。私達の故郷の星の住民の大部分は私達のファンです。およそ20万珠ぐらいでしょうか。

三丸子博士: それらがまたここに来る可能性は?

SCP-1388-JP-138: 高いでしょうな。あの乗り物でここまで来ることはそう難しいことではありません。

三丸子博士: それを防ぐ方法はご存知ですか?

SCP-1388-JP-9: できるだけお手伝いしますよ。ただ、ある程度無理をいいますが、引き受けて下さいますか?

三丸子博士: 可能な限りお応えします。

SCP-1388-JP-150: と言っても私達にできることは翻訳くらいでしょうか。

SCP-1388-JP-77: さすがにもう少し考えられるでしょ。先生、他に質問は?

三丸子博士: ありません。インタビューを終了します。

<録音終了>



後のSCP-1388-JP-bへのSCP-1388-JP-1~150を通したインタビュー記録で、事実確認が行われました。財団の保有するSCP-1388-JPへの知識の少なさを鑑みて、被害の拡大を抑えるためにSCP-1388-JP-1~150の要求は問題ない範囲で許可するように再決定されました。

現在のSCP-1388-JP-1~150の要求は以下の通りです。
番号 内容 意図 現状
1 対象を定められた名前で呼称し、全体をバン・ソロと呼称すること。 チームの本来の名前であるため。 実施。
2 サイト-8128内の音響室を毎日9:00から17:00まで使用させること。 SCP-1388-JP-1~150がパフォーマンスの質を落とさないため。 実施。
3. パフォーマンスの練習にギター経験者を参加させること。 SCP-1388-JP-1~150が新しいパフォーマンスを身につけるため。 D-1189が担当中。
4 SCP-1388-JP-a内部に舞台装置を設置し、毎週土曜日の20:00から21:00にSCP-1388-JP-a内部でのライブの開催を許可すること。 未収容のSCP-1388-JP-bの来訪を防ぐため。 実施中。
5 他の算盤オブジェクトと交流させること。 星間交流のため。 却下。

事案1388-2: 2011/11/1に、サイト-8128の約10000km上空に約50台のSCP-1388-JP-aが出現し、地球に接近しました。それに伴い、SCP-1388-JP-aの通信機器が対象からのメッセージを受信しました。当時、SCP-1388-JP-a内部ではライブパフォーマンスが行われており、三丸子博士が観客として視聴していたため、迅速な対応が可能でした。三丸子博士はSCP-1388-JP-1~150の翻訳のもと、対象と交信を行いました(会話記録を参照)。交信後、対象の中の1台がサイト-8128の敷地内に着陸し、収容中だったSCP-1388-JP-bを連れた後に消失しました。同時に、空中の全SCP-1388-JP-aが消失しました。なお、短時間での対応とはいえ、独断でSCP-1388-JP-bの収容違反を発生させた三丸子博士には厳重注意が言い渡されました。

会話記録

翻訳はSCP-1388-JP-1~150によって行われたものであるため、内容が不正確である可能性に留意して下さい。

<録音開始>

対象: 応答願います。応答願います。

三丸子博士: いかがしました。

対象: 初めまして。あの通信機を使うくらいのことはできるのですね。

三丸子博士: あなたがたに質問します。どのような目的でこの星に接近しているのでしょう。

対象: 決まっているでしょう、仲間を取り戻しに来ました。心当たりはあるはずですよ。

三丸子博士: 仰る通り、我々は1台の飛行物体と1人の珠を確保しておりますが、一切手は出しておりません。

対象: でも、部屋に閉じ込めることはないでしょう。理由は存じております。何も私達もあなたがたに迷惑をかけたいわけではありません。ただ、どうしても放さないのならば、こちらも実力を行使します。

三丸子博士: こちらも穏便に済ませたい。分かりました。お仲間を開放しましょう。

対象: 話が早くて助かります。こちらから迎えをよこします。もちろんあなたがた以外には見られないようにね。あ、そうそう。今翻訳を担当してるのはクヌギさん達ですね?

三丸子博士: その通りです。彼らの開放もお望みでしょうか。

対象: いいえ、彼らは彼らの意志でそこにいるようですから、そのままで構いません。それで、いつもそこでライブをなさっていますね?

三丸子博士: 何故それをご存知なのですか。

対象: そこからの映像は全てこちらに届いております。見たことのないパフォーマンス、いつも楽しませていただいてますよ。我々一同、応援しています。ではまた後で。

<録音終了>


これ以降、新たなSCP-1388-JP-a及びSCP-1388-JP-bは観測されていません。

補遺: 2012/2/14に、SCP-1388-JP-aが発信源不明のメッセージを受信しました。以下はその内容の翻訳です。

もしこれを見つけたら、できるだけ早く帰って来ることを願っています。母さんがついに倒れました。君たちに会いたいと言っています。どうか2度と会えなくなる前に。
チーム「バン・ソロ」創設者かつ君たちの父親 バン・ソロより

SCP-1388-JP-1~150はこのメッセージについてのコメントを拒否しています。

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