注記: 以下の内容は改訂前のものになります。
アイテム番号: SCP-1390-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-1390-JPは現在未発見です。現在、SCP-1390-JPを発見するための試みとしてプロトコル(″ビッグローラー″)が実行されています。
説明: SCP-1390-JPは存在していると考えられる何らかの異常物品/もしくは異常現象です。現在のところ、SCP-1390-JPの認知は財団の所有するあらゆる技術を利用しても不可能です。SCP-1390-JPに対しては、″[ある任意の地点に対して]SCP-1390-JPは存在しない″という情報のみが知覚可能であり、この判別はSCP-1390-JPが存在していることを認識している人物であれば誰でも可能になります。SCP-1390-JP自体の特徴、異常性は判明していませんが、SCP-1390-JPが存在しない地点を観察したDクラス職員からは以下の情報が得られています。
- SCP-1390-JPが存在しない地点では抑うつ感を感じない。
- SCP-1390-JPによる異常性が存在しない。
- 身体への負担を感じない。
- 認識への異常な干渉が存在しない。
- 不安の増加、自殺願望の増幅が発生しない。
- 規則的な叫声が存在しない。
これらの″SCP-1390-JPが存在しない″地点に対する証言から逆算してSCP-1390-JPを特定、発生させる試みは全て失敗しています。また、SCP-1390-JPの観測を試みた被験者から″SCP-1390-JPは存在しない″旨以外の回答が得られたことはありません。(総観測者58名、観測地点2026ヶ所)
プロトコル(″ビッグローラー″)ではSCP-1390-JPの存在、及びその異常性を把握するために地球全土における存在確認を行っています。調査は秘匿や発見後の処理が容易な海洋、山脈などの非居住地域から行われ、最終的に大規模な記憶処理と並行しながら居住地域へと移行します。現在の進捗率は地球の面積に対して約17.8%であり、2026年での完了を予定しています。(2019/09/01、本稿執筆時点)
SCP-1390-JPの情報は1988年にロンドン地下部の調査中に発見されました。当初、SCP-1390-JPの情報が記されていた媒体は″未知の言語で記述されている一切の劣化を見せない紙″としてAnomalousアイテムに指定されていましたが、内容が解読されたことでSCP-1390-JPの存在が発覚しました。記述形式は財団の報告書に類似していましたが、作成した団体は不明です。
風間博士による質問状
SCP-1390-JPは未だ発見されていません。我々の使命は確保・収容・保護ですから、これを達成するためにあらゆる手段を用いてSCP-1390-JPを見つけ出す必要があります。
しかしながら、SCP-1390-JPは本当に実在しているのでしょうか?SCP-1390-JPについては″そこにない″ということしか判明していません。本当にSCP-1390-JPは存在するのでしょうか?我々は存在しないものを追い続けているだけではないのでしょうか?
O5-4による答申書
同様の質問が現場などからも寄せられているためこれを以て回答とする。
まず、SCP-1390-JPについてだが、これは確かに実在すると考えることができる。″SCP-1390-JPは存在しない″という情報についてミーム異常や認識異常がないか審査されているが、いずれの結果も陰性であった。これは″ある地点にSCP-1390-JPは存在しない″という認識が正しいことを指し示し、対偶論的に″その他の地点にはSCP-1390-JPは存在し得る″ということを指し示す。存在するのならば我々は確保・収容・保護の理念に従ってこれを見つけ出さなくてはならない。
もちろん、SCP-1390-JPが本当に存在しない可能性も否定できない。しかし、もしSCP-1390-JPが存在しなかったとしても、我々は″人類の脅威になり得る異常は存在しなかった″ということを確定させられるのだ。結果を得られなかったと言うことは決して無駄なことではないのだ。
2020/09/01時点でのプロトコル完遂率は34.9%です。調査終了予定時期に変更はありません。
2021/09/01時点でのプロトコル完遂率は48.6%です。調査終了予定時期に変更はありません。
2022/09/01時点でのプロトコル完遂率は57.2%です。調査終了予定時期に変更はありません。
2023/09/01時点でのプロトコル完遂率は67.3%です。調査終了予定時期に変更はありません。 プロトコルは永久凍結されました。詳しくは最新版の報告書を確認してください。
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4/1390-JP LEVEL 4/1390-JP
CLASSIFIED
アイテム番号: SCP-1390-JP
オブジェクトクラス: Uncontained
特別収容プロトコル: 本報告書の閲覧はセキュリティクリアランス4/1390-JPを持つ人員に限られ、その総数は常に15人以下を維持します。プロトコル(″ビッグローラー″)は永久凍結され、プロトコルに関わっていたセキュリティクリアランス3/1390-JP以下の全ての人員は終了される必要があります。
実験の手順及びその詳細な結果など、全てのより高度な情報は特設チャンバー1390-JPに保管されています。チャンバーへの侵入はセキュリティクリアランス5/1390-JPを持つ人員に限られ、その総数は常に5人以下を維持します。記録媒体を利用したチャンバー外部への情報持ちだしは許可されず、チャンバー内部での確認出来る記録も必要最低限のものに限られます。
説明: SCP-1390-JPは存在していると考えられる何らかの異常物品/もしくは異常現象です。現在のところ、SCP-1390-JPの認知は財団の所有するあらゆる技術を利用しても不可能です。SCP-1390-JPに対しては″[ある任意の地点に対して]SCP-1390-JPは存在しない″という情報のみが知覚可能であり、この判別はSCP-1390-JPが存在していることを認識している人物であれば誰でも可能になります。
″ある地点に対してSCP-1390-JPは存在しない″という情報は″それ以外の地点でSCP-1390-JPが存在する″という可能性を向上させます。結果、SCP-1390-JPの存在性はSCP-1390-JPへの調査が進むごとに上昇していきます。初期の調査では″SCP-1390-JPが存在しない″証拠として以下のものが上げられていました。
- SCP-1390-JPが存在しない地点では抑うつ感を感じない。
- SCP-1390-JPによる異常性が存在しない。
- 身体への負担を感じない。
- 認識への異常な干渉が存在しない。
- 不安の増加、自殺願望の増幅が発生しない。
- 規則的な叫声が存在しない。
上記の″SCP-1390-JPが存在しない″地点に対する証言はSCP-1390-JPが存在する地点でこれらの異常性が発現していることを指し示します。プロトコル(″ビッグローラー″)では調査の容易な非居住地域を中心に調査が行われてきました。結果、未調査の地域の″SCP-1390-JPが存在する″可能性が向上しました。プロトコルの開始以前は各地域におけるSCP-1390-JPの存在可能性が低い値であったため、これらの異常性は発現していなかった(もしくは確率的に無視できるほど小さかった)ものと考えられます。
SCP-1390-JPの異常性のため居住地域では治安が悪化しており、殺人や強盗などの重犯罪、若年齢層の自殺率の増加が確認されています。世界人口は現在減少傾向に転じており、プロトコル(″ビッグローラー″)凍結後もこの傾向は進んでいます。試算では2050年に世界人口は30億人まで減少すると考えられます。
″SCP-1390-JPが存在しない″地点においてSCP-1390-JP存在可能性を回復させるため、大規模な研究資料の破棄、及び人員の終了が試みられましたが、有効な結果は得られませんでした。SCP-1390-JPの存在可能性の低下は非常に緩やかであり、半減期は1.0×10█年であると推測されます。収容初期に発見されたSCP-1390-JPの報告書はこれより以前に作成されたものであったと考えられます。
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特殊発見物コード P-45
概要: 発見物は観測技術向上によってその存在が確定しました。これまで取得されてきた画像、映像、波形、その他あらゆる測定物に共通して発生していたパターンは全てP-45から発生するものです。P-45自体は[欠落]です。以前の私達はこれを機器観測に混入するノイズであると推測していましたが、それら全てはP-45の発するパターンです。全ての観測者はこれを叫声であると認識しています──特に留意すべきなのは観測者は媒体を問わずこれを叫声であると認識することです。聴覚を刺激する映像や音声はもちろん、視覚情報を刺激する画像や波形においても、観測者はこれを叫声であると認識しています。これは研究によってパターンが存在することを認識したものに限られています。現在P-45が如何なる原理でパターンを発生させているかが研究されています。
追記事項: 多くの市民達がパターンを認識し始めています。研究機関はP-45についての情報を市民に公開しておらず、これは自然発生した現象であると考えられます。
追記事項2: パターンの認識は拡大しています。現在パターンはあらゆる場所で観測されています。レストラン、シアター、モールなどは特にパターンが観測されやすい場所です。スパゲッティの味や匂い、車の走行音、柔らかい布の感触、人の笑い声や叫び声、あらゆる物からパターンは観測され、それに伴う叫声も認識されます。
パターンの認識はこれが無視できないほどにまで拡大しました。研究機関はこれを議会に訴え、議会はP-45を封じ込めることを決定しました。P-45は[欠落]の静的な空虚の先へ封じ込められる予定となっています。
追記事項3: P-45の封じ込めは完了しました。P-45は実在しなくなりました。
追記事項4: P-45は実在しません。しかしながら依然としてパターンは存在しています。これはP-45の実在性とは別にP-45の存在が認識されているためであると考えられます。パターンの存在を除去するためにはP-45の認識を完全に除去することが必要であると考えられます。P-45の認識除去のために行われる作業は以下の通りです。
- P-45が存在しないという情報の流布。
- あらゆる記録媒体からのパターンの除去。
- パターンが存在している地点からの移住。
追記事項5: P-45が存在しないことを確定させる上記の作業はP-45が存在する前提のもと行われるという矛盾を孕みました。パターンは[欠落]。
私達は失敗しました。触れてはいけないものに近づきすぎてしまったのです。全ての人々が不安に駆られ、誰かを襲い、あるいは自ら身を投げます。特に都市部ではプロトコル開始5年間で人口の3割が死亡しました。皮肉にも、その影響を受けないのは″SCP-1390-JPが存在しない″場所を知っている私達だけです。引き金を引いてしまった私達が最も安全な場所にいられるのです。
100ある箱の中から隠されたボールを見つけなさいと言われたら、恐らく誰もが無理だと答えるでしょう。でもそれが50の箱を開けた後なら、90の箱を開けた後なら、99の箱を開けて最後の1つだけを残したとするなら、ボールの位置は自ずと分かります。そしてその箱の中に入っていたのはボールではなく悪魔でした。
居住地域でSCP-1390-JPが存在しないことを確認する計画は凍結されました。確かにその地域での混乱は収まりますが、対偶論的にSCP-1390-JPが存在する場所を確定させます。幸運にも、私達はまだ開けていない箱を少しだけ残しています──それでも、もう箱を開けるわけにはいかないのです。箱を最後の1つにしてしまったなら、そこにあるのは″SCP-1390-JPが存在する可能性″ではなく、″SCP-1390-JPがそこに存在する″という純然たる事実です。我々は閉じた部屋の中で飢え死にを待つか、悪魔に対面する以外の道を失ってしまったのです。