SCP-1405
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アイテム番号: SCP-1405

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-1405 はバイオ研究サイト13の標準的大型動物用の高セキュリティ区画に封じ込めされます。区画の天候制御は、北米中西部における春または初夏の標準的な条件、および適切な昼夜のサイクルを模倣するべきです。SCP-1405が想定される野生の状態と同様に草葉を食べる事が出来るように、区画には幾つかの大きな樹木を含め、北米の落葉樹林地帯と一致する植物を植えます。植物性物質は毎日25kgの新鮮で高品質な干し草と澄んだ水の供給によって補われます。プラスチックや絹の模造植物5kgから成る毎週のおやつを、良い行動の報酬として提供しても構いません。

SCP-1405は有線カメラ群によって常に監視されます。職員による相互作用は、対象に苦痛を与えるのを防ぐため、現在は給餌と清掃作業のみが許可されています。その他のあらゆるアクセスは、サイト常駐の獣医であるハウリー博士の承認を得なければなりません。

更新された収容プロトコル: SCP-1405それ自体は低リスクの対象と考えられるものの、インシデント13-1405a(下記のインシデントレポートを参照)を受けて、対象は外部攻撃による違反のリスクを軽減するため高セキュリティ収容エリアに再配置されます。バイオサイト13の警備システムはSCP-1405の収容エリアとサイト周辺部の両方で直ちに増設します。その他のセキュリティカメラは、収容エリアの外壁に設置され、警備映像は常時監視されます(低セキュリティ収容施設のプロトコル更新を参照)。SCP-1405のいかなる行動の変化も記録し、直ちにエージェント マコーム、または勤務中の警備責任者に報告してください。

説明: SCP-1405は、メガロニクス(Megalonyx)属の絶滅した地上生オオナマケモノの、実物大の博物館用模型です。対象が後肢で立ちあがった際の肩までの高さは2.9 mで体重は350kgです。

不活性(あるいは偽装)状態においては、SCP-1405は通常の模型と思われます。X線スキャンでは、主にプラスチック樹脂で構成されており、内部に金属製の骨組みがあると示されています。

対象の異常特性は、非一定期間(通常は6~8時間、45分から4週間の間で変動)放置された場合のみ発現します。邪魔が入らなかった場合、SCP-1405は活性化状態に入り、その身体に一見して分かるような筋肉組織・内臓器官の構造・さらには関節さえ持っていないという事実にも拘らず、収容区画の中を動き始めます。清掃中に区画から回収された毛は主に合成繊維でしたが、非常に少ない割合(<1%)で、現存するナマケモノ系統と同様のミトコンドリアDNAを有する哺乳動物の毛が含まれていました。

対象の活性化状態時の行動は、ナマケモノの現存種とその他の大型草食動物の両方に類似しています。時間のほとんどは区域内の草木を食べて過ごしていますが、引っ込んだ場所に構成した地上の巣で眠っている所・木を引っ掻いたり撫でたりしている所・様々なオブジェクトで遊んでいる所も観察されています。高解像度のビデオ映像の検査は、柔軟な獣皮の下で動く筋肉や胸における呼吸の動きを示しており、対象が不活性状態と活性状態の間でかなりの形態的な変化を遂げていることを示唆します。

SCP-1405は同サイズの草食動物と一致する量の植物性物質を消費しますが、排泄はしません。草食性の食事を非常に好むものの、肉・木材・プラスチック・石膏・一口サイズの金属片もまた消費します。如何にして食物を代謝しているのかは不明であり、不活性状態では食料・酸素・睡眠を必要とする様には見えません。SCP-1405はまた、財団の管理下に入る以前の食物だったと思われる装飾的な模造植物を好んでいる事を示します。

驚いた場合、SCP-1405は即座に不活性状態に戻り、後肢で立って前脚を片方上げた”ポーズ”を取ります。この状態は無期限に維持する事が出来るらしく、物理的外傷を含むあらゆる刺激に反応しません。SCP-1405は不活性状態時に起きた出来事の記憶を保有しています:組織サンプルの除去とその他の外傷を伴う実験を行った後には、かなり長期間にわたって不活性のままであり、活性化状態に戻ると神経質で興奮した挙動を見せました。興奮状態において対象は破壊的になり、封じ込め違反を試みて区域に重大な損害を与えました。このため不必要な人間の露出は中止されました。活性化状態が保たれていると、不活性状態で生じた損傷は通常の約3倍の速度で治癒します。

回収ログ: SCP-1405は1992年、不活性時のポーズを維持した状態で、████ ████自然史博物館の大型ジオラマ内に展示されているのを発見されました。博物館の目録は、オリジナルの模型が、日常的に博物館で勤務していた芸術家のアリシア・メイベリーによって1978年に作成された事を示しています。この芸術家の他の作品はいずれも異常性質を示しません。

SCP-1405は12年前から展示され、この間には何ら異常性質を表しませんでした。これが財団の注意を引いたのは、██████警察署に潜入していたエージェント マコームが、████ ████自然史博物館で繰り返し発生した器物損壊事件に反応した時の事です。1992年5月、博物館のドアは、相当な速度で走行する大きな物体が衝突したかのように歪み開いているのを発見されました。SCP-1405自体もまたかなりの損害を被っており、長いギザギザの切り傷が背中と顔に複数残され、数か所の体毛が大きく禿げ、爪や歯が幾つか破損した状態でした。これは修復され、展示のために返されました。

警察によって接着剤の一種と報告された、透き通った粘性液体の乾燥した跡が、博物館のロビーにある対象のジオラマに近接するドアから発見されました。液体に試験は行われませんでしたが、犯行現場写真の検査は、液体の飛び散り方が大型の負傷した生物から血液が飛び散る際のそれと一致している事を示します。

その後、約3ヶ月に1回の割合で、博物館の従業員はSCP-1405の領域内にある全ての装飾的な植生が丸裸にされているのを発見することになりました。SCP-1405自体は爪や歯の急速な劣化を表し始め、繰り返しの修復にも拘らず体毛の一部が大きく脱落し続けました。エージェント マコームは財団に連絡を取り、SCP-1405は展示から除去されてサイト19の標準収容施設に配置されました。監視カメラが3週間後に活性化状態に入るSCP-1405を観測し、その時点で生きた動物として再分類されバイオサイト13へ搬送されました。

補遺A: ハウリー博士は、博物館での展示期間におけるSCP-1405の定期的な損傷(脱毛、歯や爪の劣化等)が大型哺乳類における慢性的な栄養失調や不適当な生活空間による症状に一致しており、活性化状態の行動も長期的な虐待を受けた動物園やサーカスの動物にしばしば一致することを指摘しました。現在の収容プロトコルが採用されて以来、これらの症状は観察されていません。

補遺B: 清掃担当者が区域を出たわずか10分後にSCP-1405が活性化状態に復帰するのが観察されたことから、対象を人間の相互作用に対して徐々に順応させる計画が2011年5月の時点で承認されました。SCP-1405は以来、研究者が静かに沈黙している限りにおいて、研究者が囲いの中に居る状況下で活性化状態に数回戻っており、最近では清掃担当者がいる間も活性化状態を保っています。SCP-1405が人間の存在に慣れる事によって、活性化状態の機能に関するさらなる研究の他、先史時代の種の行動に対する潜在的な洞察が可能になると期待されています。

文書1405-1: 担当獣医ハウリー博士の追加メモ

SCP-1405の現在の封じ込め手順は、対象が生命を得た像の一種であるという印象を与える。個人的には、私はもはやこれが正確であるとは考えていない。我々の注意をSCP-1405に引きつけた出来事は、生物状態-無生物状態間の大規模な生理機能の変化という点でもそうだが、我々が持っているのが単なる不思議なナマケモノの像ではないことを示唆している。我々の下にいるのは、ナマケモノの像を便利な隠れ家として見出した、完全に別種の実体だ。この仮説はある疑問を呈してくる。すなわち、どうしてそれはナマケモノを選んだのか。そして、似たようなオブジェクトに入って生命を吹き込むように説得できないかということだ。もっとこう、週に200kgも干し草を食べないようなオブジェクトに。 — ハウリー博士

インシデント13-1405aログ: 2012年12月13日1時25分、SCP-1405の収容室の北側の外壁に、未観測オブジェクトが相当なスピードで激突しました。収容室の壁は破られなかったものの、問題のオブジェクトは外装のシンダーブロックを潰し、内部の鋼壁を膨張させるのに十分な質量と移動速度を兼ね備えていました。外壁には、クマその他の大型捕食生物の爪と同等のパターンを持つ複数の引っかき傷が残されていました。

境界の監視カメラは、施設に侵入するオブジェクトや人物を記録しませんでした。事件後、境界フェンスの南西部に縦に裂いた跡が見つかりました。フェンスはナイフまたは類似の刃物によって切り裂かれたと思われます。SCP-1405の収容室の近くにある外部カメラは、建物への激突や被害を記録しましたが、ダメージの原因となるオブジェクトは映像には表示されていません。このカメラと、SCP-1405の収容区域内にあるカメラは、激突後の4分間にわたって引っ掻く音・爪を立てる音を記録しています。

事件発生の約24時間前、SCP-1405は強い苦痛の兆候を示し、常に歩き回って飲食を拒否しました。対象は収容区域の北側の壁をしきりに見つめ、泣き声や唸り声を上げるのが観測されました。事件2時間前、対象は明白な挑発を受けることなく、南側の壁に背中を預け、前脚を上げて顔と頭を覆うという不活性状態へ移行しました。これは通常の不活性状態のポーズからの唯一確認されている逸脱です。対象は事件後2週間この場所で不活性状態を保ち、再び活性化した後は数週間にわたって興奮状態の挙動を示しました。

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