
SCP-1406-JP、点灯。
アイテム番号: SCP-1406-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-1406-JPは当オブジェクトのため新たに建造されたサイト-81██に収容されます。SCP-1406-JPは可視光外部透過率が70%を超える全面ガラス張り容器内に、完全に水没させた状態で留め置かれます。収容室には自動消火装置と緊急排気システムが備えられ、複数の独立した電源から電気供給を受ける照明具の照射により常時500lux以上の明るさが保たれます。少なくとも週に1度、収容設備に対するメンテナンスが実施されますが、これらの作業はすべて日中のうちに完了しなければなりません。またサイト-81██内に存在する照明を除いたすべてのセキュリティ関連設備は発光機能が除去されたものが使用されます。SCP-1406-JPと一定時間以上近接した職員は、その後の精神鑑定によってSCP-1406-JPによる精神作用の影響下にないことを証明する必要があります。
説明: SCP-1406-JPは起源不明のオイルランプです。SCP-1406-JPはその地域における日の入りから日の出までの時間帯、かつ1lux以下の明るさの環境下に置かれたとき、内部で異常性を有する炎(以下、SCP-1406-JP-1)を発火させ点灯します。SCP-1406-JP内のSCP-1406-JP-1は燃焼に燃料を必要としている様子がなく、気流の衝突、無酸素空間への曝露、不燃性液体への浸漬といった外的要因によって鎮火されない限り燃え続けます。
SCP-1406-JP-1から3.7km以内に存在する発光体は負の影響を受けます。それらは電気系統の故障、急速な消耗や劣化、物理的な崩壊、化学組成の変化、エネルギーの散逸など、様々な要因をともなってただちに発光能力を喪失します。これは可視光線を発しているものであれば、映像機器や携帯機器といった電子機械、ルミノールやアルミン酸ストロンチウムなどの化学発光体、ホタル科や発光性キノコなどに見られる生物発光、炎など、照明を目的としたものに限らず影響を受けます。財団が把握する限り、この影響への完全な耐性を有する光源はSCP-1406-JP内で燃焼するSCP-1406-JP-1だけです。この耐性はSCP-1406-JP内から持ち出された時点で不完全なものとなり、SCP-1406-JP-1は自身の特性によって火勢を削がれ続けます。
SCP-1406-JP-1から発せられる光は、直接の目視をトリガーとする認識災害的性質を有しています。この影響を受けた被験者は時間の経過とともに夜盲症に似た著しい視覚機能の減衰と、具体的対象の存在しない漠然とした恐怖、不安、焦燥、緊張といったネガティブな感情の過剰な増進を報告します。多くの被験者は当初これに対して当惑するに留まりますが、視覚的/精神的な影響が深化するにつれ、やがて自身を現在の心理状態に至らしめるに足る何らかの要素の可能性を考え始めます。この疑惑は不確かな知覚情報、もしくは拡大した視認不能な領域から、被験者の想像力によって見い出されることで正当化されます。こうした一連の思考プロセスは、SCP-1406-JP-1の精神作用から生じた認知的不協和を解消しようとする潜在意識の防衛機制だと考えられていますが、この結果として被験者は現状への危機意識を確固たるものにまで強化するに至ります1。
こうした症状はSCP-1406-JP-1から遠ざかることで容易に回復しますが、あらゆる光源を駆逐するというその性質上、必然として周囲の人間はSCP-1406-JPの元へ誘引されます。彼らはSCP-1406-JP-1を種火に焚火を起こすなどして光源の確保を試み、無自覚にその症状を最大まで悪化させます。
SCP-1406-JPは██県に存在する山村のおおよそ中心部で発見されました。財団が異常を知覚した時点で、集落は火災によってその大部分を炎上させていました。火災は周囲の山林付近にまで及びましたが、未明からの降雨、まばらに点在する建造物、そしてSCP-1406-JP-1を延焼させる役割を担う住人の大半が死亡したことで火勢は衰え始め、大規模な林野火災への発展は免れました。