稼働中のSCP-1419-JP。
アイテム番号: SCP-1419-JP
オブジェクトクラス: Safe Neutralized
特別収容プロトコル: SCP-1419-JPはサイト-8011の標準収容ロッカーに収容されています。収容時は本体の電源を切り、外部電源の供給も遮断してください。SCP-1419-JPの半径10m以内に立ち入ることは禁止されています。
説明: SCP-1419-JPは使用者に異常な影響を与える███社製ドラム式洗濯機です。その異常性は使用者がSCP-1419-JPと接触することで発現し、接触時間が増加するのに応じて段階的に進行します。この場合の「接触」とは、SCP-1419-JPの使用・操作のような直接的接触から、SCP-1419-JPの視認やそれが置かれている部屋への入室のような間接的接触までも含みます。なお、使用者への影響は全段階においてクラスA記憶処理を用いて解消可能です。
第1段階 / 合計接触時間: 5分ー
使用者は「SCP-1419-JPの駆動音に子供の声が混ざっている」と訴えます。この段階では、使用者への影響は聴覚面のみに留まります。
第2段階 / 合計接触時間: 10分ー
使用者はSCP-1419-JPの洗濯槽内部に、1人の児童(SCP-1419-JP-1と呼称)の姿を瞬間的に視認します。SCP-1419-JP-1は使用者の肉眼でのみ視認可能であり、その姿を外部機器で撮影する試みは全て失敗しています。この段階では視認時間が極めて短いため、使用者はSCP-1419-JP-1の存在を特に気に留める事なく使用を続行します。
第3段階 / 合計接触時間: 15分ー
使用者は数分に1回、SCP-1419-JPの洗濯槽内部に、数秒間SCP-1419-JP-1の姿を視認します。SCP-1419-JPの蓋を開けると、視認中であってもSCP-1419-JP-1の姿は見えなくなります。使用者は徐々に違和感を強め、SCP-1419-JPの使用に躊躇いを見せます。
第4段階 / 合計接触時間: 25分ー
使用者は約60秒に1回、SCP-1419-JPの洗濯槽内部に、10秒間SCP-1419-JP-1の姿を視認します。この段階から使用者はSCP-1419-JP-1の実在を確信し、その容貌について「黄色いTシャツを着用した男児である」という一貫した証言をします。使用者はSCP-1419-JP-1が洗濯槽内に閉じ込められていると解釈し、「外に出す必要がある」と強く主張します。
第5段階 / 合計接触時間: 30分ー
使用者はSCP-1419-JPの洗濯槽内部に、ほぼ常時SCP-1419-JP-1の姿を視認します。この段階でSCP-1419-JPを視認した使用者は、洗濯槽の蓋を開けその内部への突入を試みます。使用者が上半身をSCP-1419-JPの洗濯槽内に差し入れると、電源の有無に関わらず洗濯槽が時速約80kmで回転し始め、使用者は頚椎捻転骨折または断裂により死亡します。第5段階に達した使用者が生存したケースは確認されていません。 補遺2を参照してください。
補遺1: 実験記録1419-JP-08 -20██/08/01-16
対象: D-2988(29歳女性、出産経験なし)
実施方法: 実験室にSCP-1419-JPを配置し、D-2988に一日2回使用させる。実験室内にはマイク・スピーカー・カメラを取り付け、D-2988が違和感を感じた際は即座に報告させる。合計接触時間を管理するため、D-2988の実験室への入室時間は厳密に管理する。そのルーティンは以下。
・07:00 洗濯物を取り出すために入室(1分間)
・19:00 洗濯物を投入するために入室(1分間)結果: 実験終了までの16日間の記録を、以下段階別にまとめる。
分析: D-2988の反応は概ね予想と合致しましたが、14日目の午後から口調や一人称が変化したことは特筆に値します。第5段階を迎えた使用者が生存した場合、この変化が持続するのか否かを観測するための比較対照実験を行う必要があります。
補遺2: 実験記録1419-JP-██ -20██/09/10-25
対象: D-1457
実施方法: 人為的に第4段階まで異常性を進行させた使用者D-1457に対し、特殊な拘束器具を装着。第5段階に達した際に、上半身全体ではなく両腕のみを洗濯槽内に差し入れ可能にすることで使用者を生存させ、その変化を記録する。
結果: 過去の実験と同様に、第4段階以降D-1457はSCP-1419-JPに関する態度が変容。第5段階でも予想された通りの行動を行った。その結果D-1457は両腕を喪失したものの、救護班の処置によって生存した。事後インタビューにより、SCP-1419-JPに関する一切の記憶を失っていると判明。
分析: D-1457はSCP-1419-JPの影響下から脱したとみられる。
D-1457が救護班に搬送されるのと前後して、稼働を停止したSCP-1419-JPの洗濯槽内部に1人の男児(SCP-1419-JP-2)が出現しました。その外見的特徴から、SCP-1419-JP-1の実体であると推測されます。SCP-1419-JP-2は身体の各部に痣が見受けられ非常に衰弱していましたが、微かに言葉を発せる状態であったため、搬送先の医務室にて応急処置と同時にインタビューが実行されました。以下はその際の記録です。
補遺3: 覚書
SCP-1419-JPの使用者は、常に「SCP-1419-JPの中に閉じ込められているSCP-1419-JP-1を、安全な場所に出してあげる必要がある」と主張した。そしてそれを聞き続けてきた我々も、いつの間にかその前提を肯定していた節がある。だが、それは本当に正しい見方だったのだろうか。
12日目、開いていたのに自発的に閉まった蓋。
15日目、開けようとする者に対し強まった震え。
そして、あのインタビュー記録。SCP-1419-JP-1にとって真の安住地とは、どちらだったのだろうか。
−██博士






