クレジット
タイトル: SCP-1421-JP - オトナ帝国を夢見た者達とその結末
著者: ©︎
kossy
作成年: 2019
アイテム番号: SCP-1421-JP
オブジェクトクラス: Euclid Keter
特別収容プロトコル: 現在、SCP-1421-JPは1週間ごとに実施される定期検査を除き、半径300メートル以内への立ち入りが原則禁止されています。入園客に変装した財団エージェントが定期的に周囲を巡回し、SCP-1421-JPへの民間人の侵入を阻止しなければいけません。SCP-1421-JP-1に入室する場合は原則として10分以内に退室することが義務付けられます。SCP-1421-JP-2と接触する必要が生じた場合はDクラス職員を使用して下さい。
SCP-1421-JP-Aは発見次第直ちに拘束し、恒久的な収容下に置く必要があります。SCP-1421-JP-Aの親族や友人に対しては、カバーストーリー「交通事故死」を適用して死亡したものと偽装して下さい。
SCP-1421-JP-1内部の様子を撮影した映像や画像がインターネット上に公開された場合は、速やかに財団のネットパトロール部隊によって削除されなければなりません。速やかな削除が困難な場合はカバーストーリー「記念写真」を適用して情報工作を実施して下さい。事態を収拾した後は映像・画像を公開した人物を速やかに特定・追跡し拘束して下さい。
説明: SCP-1421-JPは大阪府吹田市の█████████公園に存在する、内部に異常な空間が広がっている展望塔です。SCP-1421-JPは全長約127メートル・全14階で構成され、60メートルから85メートル付近の7階から9階にかけて複数の展望室が設置されています。また、老朽化が進行しているように見えるにも関わらず、極めて高い耐久性を有していることが判明しています。
展望室の内部に入室した人間(SCP-1421-JP-Aと指定)は未知の異空間(SCP-1421-JP-1と指定)へ転移します。内部ではかつての日本万国博覧会に酷似したイベントが開催されており、内部の構造も当時の日本万国博覧会の会場に酷似していることが判明しています。SCP-1421-JP-1の上部は室内であるにも関わらず空が広がり、常に晴れの状態が維持されています。SCP-1421-JP-1の時間の流れは基本的に外部と同様であり、夜間は営業時間外であるとして入室することができません。イベントが終了した場合、SCP-1421-JP-Aは警備員の姿をしたSCP-1421-JP-2に促されSCP-1421-JPから帰還します。SCP-1421-JP-1は非常に広い構造のように見えるにも関わらず、GPS反応は常に同じ場所を示し続けます。また、外部からの通信は問題なく可能です。
SCP-1421-JP-1には様々な年代で構成された多数の人型実体(SCP-1421-JP-2と指定)が存在します。彼らは入園客やスタッフとして振舞っているように見え、基本的にSCP-1421-JP-Aに対して親切であり危害を加えようとする様子は見られません。コミュニケーションを行うことは可能ですが、1970年以降の歴史や出来事については全く知らない素振りを見せます。また、SCP-1421-JP-2は外部に対し無関心であることが確認されており、これまで収容違反が発生した事例は存在していません。
SCP-1421-JP-1に入室したSCP-1421-JP-Aは段階的に複数の異なる異常性を発現し、最終的に恒久的に続くと考えられている第3段階へと至ることが明らかになっています。詳細は以下の通りです。
第1段階 ― SCP-1421-JP-Aは内部の様子について例外なく「非常に懐かしい雰囲気を感じる」という旨を表現するようになる軽度の精神影響を発症します。この段階でSCP-1421-JP-1から退室した場合、特別な異常性は確認されず、先述の精神影響も消失することが確認されています。
第2段階 ― 入室から一定時間が経過するとこの段階に移行します。SCP-1421-JP-Aは「子供の頃に戻ったような気持ちになる」と称し、SCP-1421-JP-1内部のアトラクションや展示物に熱中するようになります。この段階のSCP-1421-JP-1は外部から制止されたり強制的に帰還させようとすると抵抗を示します。また、入室した直後でもSCP-1421-JP-2とコミュニケーションを取った場合はこの段階へ移行することが確認されています。
第3段階 ― これは現在、最終段階であると考えられています。第2段階に至ったSCP-1421-JP-Aが外部へ帰還するとこの段階へ移行し、それまでと比較して生活態度や行動に著しい変化が生じるようになるミーム汚染を発症します。これまでに確認されているSCP-1421-JP-Aによる帰還後の変化で特筆すべき主な点は以下の通りです。
- 極端な懐古主義への傾倒
- 勤務している職場・学校への無断欠勤
- 子供や児童の話題に対する無関心化
- 育児放棄や児童虐待の発生(実子が存在する場合)
- 過去の所有物に対する執着心の発達
この段階まで進行したSCP-1421-JP-Aは多くの場合、正常な社会生活を営むことが困難となり、社会的な地位の喪失や家庭の崩壊に至ります。また、他人がSCP-1421-JP-Aが行う懐古主義的思想・行動に疑問を呈すると、可能な限り反論・攻撃し自身の正当化を試みるようになります。SCP-1421-JPによるミーム汚染は非常に強力であり、記憶処理を行っても除去することができません。SCP-1421-JP-Aの記憶ではなく、性格や人格そのものに影響を及ぼしている可能性が高いと財団は推測しています。
実験記録: 以下はSCP-1421-JP-Aの異常性発現の詳細を調査するために実施された実験記録の一部を記録したものです。実験はDクラス職員を使用し、小型カメラと通信機を所持させた上で実施されました。なお、実験に参加した全ての被験者が財団の指示を無視し、SCP-1421-JP-1内部のアトラクションや展示物への遊行を優先するようになったため、実験終了時には強制的な回収が実施されました。
実験記録001 - 日付2010/08/13
対象: D-142101(57歳日本人男性)
付記: 対象は日本万国博覧会に参加した経験が存在せず、日本万国博覧会に関する知識も有していないことが事前に確認されている。
実施方法: SCP-1421-JP-1に入室させ、内部を1時間探索させた後に対象を回収する。
結果: 入室から間もなくSCP-1421-JP-Aとしての異常性を発現し、23分後に第2段階へ移行した。対象はSCP-1421-JP-1の印象について「とても懐かしい気持ちがする」と発言した。その後の尋問で対象が日本万国博覧会の詳細な知識を有していることが確認された。
分析: SCP-1421-JPの異常性は、SCP-1421-JP-Aが日本万国博覧会に参加した経験及び関連する知識が存在しない場合でも発現することが明らかとなった。SCP-1421-JPには異常性が発現した時点で、SCP-1421-JP-Aが日本万国博覧会に関する知識を有するように記憶を改変する効果が存在するものと考えられる。
実験記録002 - 日付2011/02/04
対象: D-142102(45歳日本人男性)
付記: 対象には実子が存在しており、度々実子との面会を財団に要求していることが確認されている。
実施方法: SCP-1421-JP-1に入室させ、内部を1時間探索させた後に対象を回収する。
結果: 入室から間もなくSCP-1421-JP-Aとしての異常性を発現し、30分後に第2段階へ移行した。対象はSCP-1421-JP-1の印象について「故郷の雰囲気を思い出す」と発言した。実験後に実施された尋問の結果、対象から子供に対する関心が消失していることが確認された。対象に実子の写真を閲覧させたところ露骨な嫌悪感を示し、写真を破り捨てた。
分析: SCP-1421-JP-Aの第3段階における「子供への無関心化」が実証された形となった。実験の前後で実子に対する言動が大きく変化していることから、SCP-1421-JP-Aが第3段階へ移行した場合、実子へ悪感情を抱くよう人格が改変されるものと考えられる。
実験記録003 - 日付2011/11/15
対象: D-142103(17歳日本人男性)
付記: 対象が未成年者であることから、この実験のみ倫理委員会の立ち合いの元で実施された。また、この実験以降、未成年者を実験に使用しないことで倫理委員会と合意している。
実施方法: SCP-1421-JP-1に入室させ、内部を1時間探索させた後に対象を回収する。
結果: 入室から間もなくSCP-1421-JP-Aとしての異常性が発現し、54分後に第2段階へ移行した。SCP-1421-JP-1の印象について他のSCP-1421-JP-Aと同様に「懐かしい」という旨の感想を述べた。
分析: SCP-1421-JP-Aが未成年者であっても、SCP-1421-JPの異常性が発現することが判明した。第1段階から第2段階への移行時間は世代や年齢によってやや個人差が生じる可能性が存在するが、SCP-1421-JP-Aの異常性発現そのものの条件には関連性は存在しないと推測される。
実験記録004 - 日付2012/07/08
対象: D-142104(37歳アメリカ人男性)
付記: 対象はアメリカで生まれ育った人物であり、本実験を実施するために実験当日に日本へ移送された。対象はGoI-0051(‘‘SAPHIR”)の構成員であることが判明しており、日本万国博覧会に関連する懐古主義的感情について「気持ち悪い」という旨の嫌悪感を示していることが確認されている。
実施方法: SCP-1421-JP-1に入室させ、内部を1時間探索させた後に対象を回収する。
結果: 入室から間もなくSCP-1421-JP-Aとしての異常性が発現し、34分後に第2段階に移行した。対象はSCP-1421-JP-1の印象について「子供の頃のアメリカと同様の郷愁を感じる」と述べた。実験後に実施された尋問の結果、対象は懐古主義活動について肯定的な意見を述べ、これまでのSAPHIRとしての活動は間違いだったと反省する姿勢を表明した。
分析: SCP-1421-JP-Aとしての異常性は日本国外で生まれ育った人物に対しても発現することが判明した。異常性の発現に宗教や懐古主義に対する善悪の感情は関係していないと考えられる。また、対象の懐古主義に対する言動が実験の前後で大きく変化していることから、SCP-1421-JP-Aが懐古主義に対して嫌悪感を抱いていたとしても、人格を懐古主義に迎合するよう改変するものと推測される。
補遺: SCP-1421-JPの発見はSCP-1238-JPの回収後に実施された追加調査が切っ掛けでした。追加調査の一環として、SCP-1238-JPの元々の所有者だった青田氏の交友関係について調査を行った結果、青田氏が過去にGoI-1958(夏鳥思想連盟)の構成員として活動していたことが判明しました。事件ファイル-1238のインタビューで、青田氏と夏鳥思想連盟との間に何らかの関わりが存在していた可能性が示唆されていたこともあり、青田氏と交流の存在した人物に対してインタビューが実施されました。
以下はインタビュー記録の内容です。
対象: 佐藤 守(ホームレス)
インタビュアー: 梅田綾
付記: 佐藤氏には財団が調査した青田氏の情報について事前に説明が行われている。
<録音開始>
インタビュアー: では、インタビューを始めます。佐藤さん、質問に正直にお答えください。
佐藤: ハァ…仕方ねぇな。どうせ答えるまで拘束しておくつもりなんだろ?お前らみたいな連中はいつもそうだ。
インタビュアー: ではさっそくですが、青田氏と「夏鳥思想」の関わりについて、何か聞き覚えはありますか?
佐藤: 昔、青田の奴が1度だけ話してくれたことがあるんだが、なんでも昔、職場の上司に勧誘されて夏鳥思想連盟とかいう組織で活動していたことがあるらしい。最初はバカバカしいと思っていたらしいんだが、活動している内に自分も昔は良かったと強く思うようになったと言ってたな。
インタビュアー: 青田氏の過去について他に何か聞いていませんか?
佐藤: そうはいってもよ、俺達ホームレスは他人の過去に触れないことが不文律なんだ。その時は偶然青田の機嫌が良かったから話してくれただけで、俺の方からあれこれ聞くなんてことはできねえんだよ。俺が知ってる事といえば…その「夏鳥」っていうのががかなりヤバい組織だってことぐらいだな。
インタビュアー: 夏鳥思想連盟についてご存じなのですか?
佐藤: 仲間から聞いた話だが、「夏鳥」と関わった人間は過去に縋って生きていくようになっちまうんだ。それも俺達ホームレスのような底辺の人間じゃない。家庭を持って働く普通の人、過去に縋る必要があるとは到底思えない人が、俺達みたいになっちまうんだって言うんだよ。それで人生を狂わされた人が大勢いるらしい、恐ろしい話だよ。今思えば、青田の奴もそうだったんじゃないかって思う。…そうだ、思い出した。青田の奴、妙なことを言っていたな。「夏鳥」で活動していた時に神秘的な体験をしたって。
インタビュアー: 神秘的な体験とは…具体的には何でしょうか?
佐藤: 何でも、子供の頃に経験した大阪万博を再び体験したって言うんだよ。知り合いに紹介されたっていう建物の中に入ったら、あの当時のままの光景が広がっていて度胆を抜かれたんだって俺に興奮気味に話してたな。それから「夏鳥」の教えを正しいと本気で信じるようになったと…。俺も行ってみないかと誘われたが、バカバカしくて相手にもしてなかった。もし行ってたら、俺も青田のようになっちまってたかもしれねえと思うとゾッとするよ。
インタビュアー: なぜそのように思うのですか?
佐藤: その話をしていた時の青田の顔を見ればあんたも絶対そう思ったはずだ。あの時の青田の様子はなんというか、宗教とかそういうのを勧めていたのに近かったんだよ。俺が相手にしてないと見ると、激昂して殴り掛かってきたし、絶対にまともじゃなかった。それから、例のライターの件があるまでずっと距離を置くようになったんだ。
インタビュアー: そうでしたか…貴重な情報ありがとうございます。
佐藤: 最後にもう1ついいか?
インタビュアー: 何でしょうか?
佐藤: 「夏鳥」は一時期、ホームレスへの支援活動とか言って、仕事の斡旋をしていたことがあるんだが、行ったきり消息がわからなくなった奴が大勢いるって話なんだ。皆「夏鳥」がヤバい仕事させたんじゃないかって噂しているよ。最近はめっきり「夏鳥」の話を聞かなくなっちまったが、あんたももし「夏鳥」について調べるんだったら気を付けた方がいいぜ。
<録音終了>
インタビュー終了後、佐藤氏の証言を元にホームレスとなる以前の青田氏について追加調査を実施しました。その結果、青田氏は199█年頃まで夏鳥思想連盟にて活動を行っていたことが確認されたものの、当時の青田氏に過激な言動や行動は特に見られませんでした。そのため、青田氏が過度な懐古主義に傾倒したのは夏鳥思想連盟が保有しているとみられる何らかのアノマリーが関わっている可能性が高いと判断されました。後日、大阪府内に存在する夏鳥思想連盟の拠点と思われる複数の秘密施設を襲撃した所、SCP-1421-JPとの関連性が疑われる文書が回収され、SCP-1421-JPの存在が記載されていたことから、存在が発覚し収容に至りました。特筆すべきことに、襲撃した施設は既にほとんどが放棄されており、どの施設においても内部には昭和時代の玩具が無数に散乱していた状態となっていました。
夏鳥思想連盟の秘密施設で回収された文書:
平成██年1月25日
この度、我々が待ち望んでいた展望塔がついに竣工を迎えます。
我々が子供の頃に体験した理想郷が遂に実現する時がやってきたのです。
私も事前に展望室の内部を若干確認致しましたが、非常に素晴らしいものでした。
あの頃の情景を本当にそのまま体感できることは間違いありません。
さて、今の世情は我々にとって、非常に厳しく辛いものです。常に技術の進歩が叫ばれ、
我々が本当に大切にしてきたものが置き去りにされている現状は決して看過できるものではありません。
更に、昨今では酩酊街という、「全てを忘却することで救われる」と宣い、過去に存在した大事なものを
全て忘却することが、まるで救いであるかのように吹聴する者達が存在することを当団体で確認しています。
本当に許し難い話であります。
しかしながら、我々は組織としてまだまだ非力な存在であり、そのような状況を打破するために
四苦八苦しているのが遺憾ながら実情であります。
そんな折、我々の状況を知って是非御力になりたいと言ってきた人達がいました。
彼らはなんと酩酊街の元住民であり、我々と同じく
「過去を忘却することで救いを求める」ことに強い反感を抱いていると言うのです。
そして、我々の「かつての懐かしい雰囲気を思い出したい」との願いを一緒に実現しませんかと言って下さり、
「連盟の志は我々と同じである」と熱く語ってくれたことを今も覚えています。
連盟に多大な協力をして下さった如月工務店の皆様方へこの場を借りて感謝を申し上げる次第であります。
さて本題ですが、七零展望塔の竣工に当たって記念式典を行いますので、参加者は以下の日時と住所までお越し下さい。将来的な一般公開を如月工務店様と共に検討致しておりますが、現状は連盟構成員に限らせて頂きます。
平成██年2月1日 午後2時
大阪府吹田市 █████████公園
以上です。
疑問点が存在する方は私の所まで連絡して頂くようお願いします。
平成██年2月1日
夏鳥思想連盟 大阪支部代表様及び連盟の皆様へ
平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、この度は夏鳥思想連盟の皆様と貴重なご縁を結ぶに至りましたこと、大変喜ばしく思います。
この世の中は常に進歩を続け、その変化に対してあまりにも目まぐるしい思いをすることも
決して珍しいことではありません。そんな世の中だからこそ、古き良き時代のことを人々の忘却から
どのように守っていくかは非常に重要な課題と認識しております。
そんな中で、懐旧や郷愁の情を忘却させまいと努力されている皆様の姿勢に、社員一同大変感動致しております。
我々は酩酊より覚め、忘却を焼き、停滞を打ち砕く者。弊社の創業も停滞や忘却を独善的に押し付ける、
かつて居住していた街の住民達を拒絶することから始まりました。
弊社と志を同じくする人達と巡り会えたこと、真に喜ばしく存じます。
皆様の「今を生きることに自信をなくしてしまった人々に、未来を信じることのできたあの時代の雰囲気を
再び体験してもらいたい」というご依頼に弊社一同心を込めて、全力で建設させて頂きました。
大阪府内で夢を見失っている人達が大勢存在するとお聞き致しましたので、
こちらで引き取らせて頂きましたこと、ご了承下さい。
また、いずれ一般公開を計画したいとのお言葉に弊社も胸を打たれました。弊社も皆様のお力になれるよう、
しかるべき時期をみて全国津々浦々の方々に知らしめるよう手配させて頂く所存です。
微力ではありますが、懐古の情を忘れぬ皆様の助力になれたのでしたら、大変嬉しく、また誇りに思います。
この世から古き良き時代が忘れ去られることの無いことを願って、締めの言葉とさせていただきます。
皆様の今後より一層のご発展を、心より祈念申し上げます。
これらの文書から、SCP-1421-JPは懐古主義思想に基づく活動の一環及び、GoI-008(酩酊街)に対する対抗策として、夏鳥思想連盟の発注を受けたGoI-8114(如月工務店)が建造したものと結論付けられました。また、財団が夏鳥思想連盟に対する追跡調査を実施した所、大阪府内における組織としての活動規模が激減していたことが判明しました。構成員だった人物の多くが社会的地位の喪失を経験したり、児童に対する虐待及び暴行で逮捕されていたりとSCP-1421-JP-Aと思われる行動が確認されています。このことから、夏鳥思想連盟はSCP‐1421-JPについて、詳細な異常性について知らされないまま利用し、多数の構成員がSCP-1421-JPの異常性に曝露してしまったものと見られています。
また、文書を受け過去に大阪府内にて行方不明となった人物の調査が実施されました。その結果、行方不明者の一部の中に、SCP-1421-JP-2と風貌が一致している人物が存在していることが判明しました。このことから、佐藤氏の証言にあった大阪府内のホームレスに仕事を斡旋していた業者とは、夏鳥思想連盟ではなく実際には如月工務店だったものと考えられています。
インシデント1421-JP: 2025/04/11、SCP-1421-JP内部の定期検査を実施した所、SCP-1421-JP-1内部が完全に廃墟と化し、無人状態となっていたことが判明しました。直ちに、SCP-1421-JP-1内部に対する詳細な調査を実施した結果、下記に後述する文書が複数の施設で回収されました。このことから、財団はSCP-1421-JP-2による大規模収容違反が発生した可能性が高いと判断し、オブジェクトクラスをKeterクラスへ再分類する方針を決定しました。現在、SCP-1421-JP-2の再収容を実施するための機動部隊設置を準備中です。
以下は、回収された文書の内容となります。
令和7年4月10日
博覧会をお楽しみ中の皆様へ
新たなる時代へのご案内
こんにちは、皆様。この博覧会をお楽しみ頂けてらっしゃるでしょうか?
喜んでいただけたのなら、この施設を造営した甲斐があったというものです。
さて、もうすぐこの大阪の地で新たなる時代の幕が上がります。
それ自体はとても素晴らしきことです。
しかしながら、そのことが古き良き時代を忘れる理由となってはいけません。
長きに渡る苦難を受けてきた皆様のことが忘れ去られること等あってはならないのです。
そこで、弊社はこの新時代の幕開けを絶好の機会と捉え、
皆様の存在を、あの素晴らしき時代が存在したことを
今を生きる世界中の人々に知らしめようと思い立ちました。
これは皆様が楽しんでいる博覧会の主催者様とのお約束でもあります。
皆様が博覧会をお楽しみになっている所、ご迷惑とお感じになる方もいらっしゃるでしょう。
それでも、弊社の考えに賛同して頂ける方は新たな時代にこれまで生きてきた証を刻めるよう
弊社が全力で努力することをお約束する所存です。
多くの方のご賛同をご期待致しております。
文書中の「新たなる時代」がどのような意味を示しているのかは現在調査中ですが、如月工務店が近日中に何らかの行動を起こす可能性が極めて高いと財団は判断しました。2025/04/12現在、大阪府内に全国から財団の機動部隊及びエージェントを集中させ、厳戒態勢を敷く方針を決定しています。