SCP-1441-JP
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うねうね

SCP-1441-JP-Aの成体。体内から摘出後、20分で死亡。

アイテム番号: SCP-1441-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-1441-JPの生息する██村███集落は、赤外線暗視機能付きの監視カメラで24時間監視を行ってください。また、集落唯一の駐在所へ財団職員を派遣し、週に1度定期連絡をさせてください。██村███集落に住む全住人はSCP-1441-JPを保有する可能性が高く、SCP-1441-JPを外部へ伝播させる可能性があるため、動向を全て監視し記録してください。万が一、該当住民が██村███集落以外の場所で死亡した場合は、財団によってただちに火葬されます。その後、カバーストーリー「行方不明」を適用し、親族に説明を行います。██村███集落の全住民の個人情報は関連文書1441-JP-Aを参照してください。██村███集落の住民が、土葬の習慣を持つ地域へ移住を検討している場合は消極的方法にて移住を妨害してください。土葬の習慣を持つ地域の一覧は、関連文書1441-JP-Bを参照してください。

説明: SCP-1441-JPは、ヒトカイチュウ(Ascaris lumbricoides)と類似した生態を持つ生物の総称です。体型は細長い糸状で体の周囲約1cm、全長は成体の雄で10~25cm、雌は15~35cmまで到達します。感覚器は退化していますが生殖器が非常に発達しています。

SCP-1441-JPは一般的なヒトカイチュウと同様にヒトへ寄生を行いますが、雌と雄とでその寄生方法が異なります。

SCP-1441-JPの雌(以下、SCP-1441-JP-A)の成体は、一般的なヒトカイチュウと同様にヒトの腸内に寄生します。寄生後、SCP-1441-JPはヒトの体内で産卵を行います1。この時、SCP-1441-JP-Aは一日で約30万個以上の卵を腸内の糞便に産みつけます。その後、SCP-1441-JPの卵は、宿主の糞便とともに体外へ排出されます。糞便とともに排出された卵は、人糞尿肥料としての使用および肥料作成後に農作業を行うことで野菜やイネに付着します。これらの食物を煮沸処理せず経口摂取することで、SCP-1441-JPの卵はヒトの体内に入り込みます。食物と共に胃へ到達した卵は、胃液によって卵殻が溶かされ孵化します。孵化したSCP-1441-JPの幼体は小腸壁から血管へ侵入し、肝臓、心臓を経由して肺に到達し、そこで一定期間潜伏します。体長が1cmほどになった後、SCP-1441-JP-Aは気管支を這い上がり、口から食道を経由して、再び小腸に戻ります。そして、成体となるまで小腸に滞在することになります。

肋骨

肋骨を図式化したもの。
SCP-1441-JPの雄は赤く示された「胸骨」から寄生を行います。

SCP-1441-JPの幼体が雄(以下、SCP-1441-JP-B)であった場合、肺で潜伏を開始する段階まではSCP-1441-JP-Aと同様の経過を辿ります。体長が1cmほどになった後、SCP-1441-JP-Bの幼体はSCP-1441-JP-Aと異なり、肺から肋骨部へ侵入します。肋骨の胸骨に到達したSCP-1441-JP-Bの幼体は全身を胸骨に癒着させ、宿主の胸骨へ寄生します。胸骨に寄生したSCP-1441-JP-Bの幼体は、胸骨の骨髄部へ侵入し、胸骨全体と成り代わります。胸骨全体へ寄生した後、SCP-1441-JP-Bの幼体は胸骨に接続する第二~第五肋骨へ侵入し、同様に肋骨へ成り代わります。これ以降は、SCP-1441-JP-Bによる骨への侵入が発生しません。そのため、この時点でSCP-1441-JP-Bは成体への変化を完了させていると考えられています。SCP-1441-JP-Bが一連の寄生を完了させるまでに約2年を有することが判明しています。但し、寄生が完了する前に宿主とするヒトが死亡した場合は、SCP-1441-JP-Bも同時に死亡します。また、寄生完了後であっても、肋骨自体が燃焼した場合、SCP-1441-JP-Bは死亡します。

SCP-1441-JP-Bは宿主であるヒトが死亡するまでは、人間の胸骨および肋骨の機能を模倣する以外の行動を取りません。SCP-1441-JP-Bが目に見える行動を起こすのは、宿主であるヒトが死亡したときになります。宿主が死亡して約100~150時間が経過すると、SCP-1441-JP-Bは随意行動を取ることが可能になります。その際、SCP-1441-JP-Bは宿主であったヒトの胸部を破った後、胸部から這い出し、体外へ脱出を試みます。体外に出たSCP-1441-JP-Bは、肋骨を節足動物の脚部のように動かし移動を行います。この時の動きは、アシダカグモ(Heteropoda venatoria)と非常に酷似しています。

くもっぽいやつ

SCP-1441-JP-B成体の模写。

SCP-1441-JP-Bは外部の生物に対し非常に警戒心が強く、哺乳類および鳥類の気配を察知すると近くの茂み、地面の中などへ身を隠します。この察知能力は非常に高く、自身から半径約70m先にいる動物の動きを察知できることが調査によって明らかになっています。また、SCP-1441-JP-Bの移動速度は平均██km/h、緊急時には最高██km/hで移動が可能であること、日中は地中深くに潜っていることから、SCP-1441-JP-Bは日中に他の動物と接触することが殆どありません。特に人間はSCP-1441-JP-Bにとって一番の警戒対象となっているとみられ、日中、夜間問わず接触を避ける動きを見せます。

SCP-1441-JP-Bは、例外はあるものの一個体につき一つの水田あるいは畑を縄張りにすることが知られています。縄張りとする場所はSCP-1441-JP-Bの宿主と関わりの深い場所が選ばれることが多く、大抵は宿主が耕していた田畑です。SCP-1441-JP-Bは深夜になると、地面から這い出し、縄張りとしている田畑の外周および内部を周回します。SCP-1441-JP-Bは移動の際、肋骨部で地面を掻くようにして進んでいきます。この時、農作物を避けるように歩き、結果として田畑に生える雑草を根から掘り起こしていきます。そのため、SCP-1441-JP-Bが縄張りとする田畑には雑草が非常に生えにくくなります。また、人間を除く生物が田畑に侵入してきた場合、SCP-1441-JP-Bは生物を物理的方法によって排除することを試みます。以上のことから、SCP-1441-JPは田畑で栽培されている農作物の成長を促進させることとなります。各種実験の結果、SCP-1441-JPは知能及び感情を持ち合わせていないことが判明しています。そのため、上記行動は農作物の成長を促して自身の繁殖可能性を上げるために行われたものであり、あくまで本能的行動であるものと推測されています。

SCP-1441-JPは現在のところ██村███集落でのみで存在が確認されています。この原因は現在も明らかではありませんが、██村███集落の住人が持つ信仰および思想が大きな要因となっていると考えられています。███集落の住人は古来より穀物、農業を司る神として「保食神ウケモチノカミ2」を信仰の対象としていました。このことから███集落の住民は「祖先の血肉が作物の源となる。故に直接自然に還すべき」という思想を持っており、死者に対し棺桶を使用せずに直接地面に埋葬をする習慣を持っていました。この結果、他の地域と異なりSCP-1441-JP-Bの成体が比較的容易に地中へ出ることができ、土着をすることができたという説が研究チームの中では有力とされています。


発見経緯: 山形県██村███集落は、1995/9/30発行の██新聞に記載された記事によって財団の注目を集めました。以下は、記載された記事の抜粋です。

肋骨だけが無い遺骨が多数発見 自然の力か ██村

昨日、██村の███集落にて肋骨のない死体が多数発見されました。先日9月30日、██村では大雨が原因で大規模な地すべりが発生していました。地すべりによって集落の共同墓地の一部が破損、そこから肋骨部分だけが存在しない遺骨が8体発見されました。

[中略]

██村警察による捜査が始まっていますが、事件性は低く、自然現象によって肋骨部分だけが破損したものとみられています。

この記事の真意を確認するために職員が出向いた結果、集落に埋葬された死体の殆どに肋骨が存在していないことが判明しました。このため、山形県██村███集落に財団職員が派遣され、調査が開始されました。

SCP-1441-JPが初めて確認されたのは1995/10/8のことでした。発見の5日前である1995/10/3、███集落付近で大規模な土砂崩れが自然発生しており、土砂に巻き込まれた村民11名が行方不明となっていました。事件現場が先述の調査区域と近いことから、派遣された財団職員が当該事案の後処理を担当しました。この際、作業場所から約100m先の土砂の中からSCP-1441-JP-B-1~11が這い出してきたところを職員が発見し、財団の知るところとなりました。現場にいた財団職員はSCP-1441-JP-Bの1体(以下、SCP-1441-JP-B-1)の捕獲に成功し、簡易型収容容器に収容を行いました。しかし、SCP-1441-JP-B-1は簡易型収容容器の壁に体をぶつけ続け、脱出を試みました。SCP-1441-JP-Bは最終的に自壊し、動きを停止しました。SCP-1441-JP-B-1のDNA検査をしたところ、███集落に住む██氏3の骨であることが判明しています。また、SCP-1441-JP-B-1は収容時、生前██氏が所有していた水田の方角に向かって体をぶつけていたことが判明しています。

当該事案を受け、残りのSCP-1441-JP-Bは生前住んでいた場所へ向かっていると仮定し、SCP-1441-JP-Bを追跡および収容する方法を検討し始めました。後述の映像記録を含む調査の結果、SCP-1441-JPは、人間の前へ姿を見せることはほとんどなく、また██村███集落から出ることはないと判明しました。そのため、オブジェクトクラスはEuclidに分類されました。


補遺: 以下はSCP-1441-JP-Bの行動を初めて映像として記録できたものです。

映像記録 - 日付 1995/11/6

03:13:54: SCP-1441-JP-B-18は、縄張りである畑を周回している。

03:15:41: 畑の北西から野生のイノシシ4が出没し、畑に侵入。SCP-1441-JP-B-18との距離は約60mと推定。SCP-1441-JP-B-18は動きを止め、作物の陰に隠れる動作を見せる。

03:16:28: イノシシが畑の作物を食べ始める。

03:18:38: SCP-1441-JP-B-18がイノシシへ突撃を開始する。

03:19:11: イノシシがSCP-1441-JP-B-18の突撃を回避し、左側部へ突進をする。SCP-1441-JP-B-18は5mほど地面を転がる。この際、左第2肋骨、左第3肋骨にあたる部分が折損。

03:20:21: SCP-1441-JP-18が再びイノシシへ突撃を開始するも、先程同様にイノシシの突進を受ける。これにより右第4肋骨、右第5肋骨にあたる部分が折損。

03:22:38: SCP-1441-JP-B-18がイノシシから30m距離を取る。

03:24:21: SCP-1441-JP-B-18が助走をつけてイノシシへ突撃をする。

03:24:49: イノシシが体勢を崩して倒れる。SCP-1441-JP-B-18は左第二肋骨の残存部を使用してイノシシの目、胸部、腹部を数回刺突する。以降約3分半互いに動きを止める。

03:28:20: SCP-1441-JP-B-18が動き出し、イノシシを南東に向かって押すように移動させる。

03:38:10: SCP-1441-JP-B-18はイノシシを草陰まで押し込み、イノシシに土をかける。

03:40:49: SCP-1441-JP-B-18は縄張りである畑に戻り、畑の脇に穴を掘って中に入る。

04:49:30: 隣の畑を縄張りにしているSCP-1441-JP-B-37が畑に出没する。SCP-1441-JP-B-18の穴に土をかけた後、元の縄張りと合わせて畑を周回し始める。

06:08:48: 日の出と共にSCP-1441-JP-B-37は縄張りとする畑の地面に潜り始める。

<映像終了>

追記: 後にSCP-1441-JP-B-18が潜った地面を確認しましたが、SCP-1441-JP-B-18の残骸は確認できませんでした。

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