SCP-1445
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同時代におけるSCP-1445の描写(およそ西暦14██年)。

アイテム番号: SCP-1445

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-1445は骨董の保存を目的とする標準的な湿度制御機構を備えた保管サイト-23の標準型保管チャンバーに収容されます。オブジェクトは無菌状態を保ち、隔週で点検を行います。追加の骨董保全対策は、遺物部門所属・明代骨董の専門家であるC████学芸員の指示の下で、必要に応じて導入可能です。チャンバーの入り口に詰めている警備員は、入室者からマッチ、ライター、その他の点火用器具を捜索・没収してください。

その歴史ゆえに、SCP-1445の公共知識は収容以前から様々な程度で存在しています。従って財団は、異常性質に関する知識が普及するのを防止するために情報対策を展開しています。オブジェクトへの言及が19██年に文書で発見されている西洋においては、SCP-1445の歴史は伝説に過ぎないという烙印を押したうえでメディアへと広められており、実在を疑わしいものとしています。中華人民共和国では、中国政府からの援助が、同時代におけるSCP-1445の記述へのアクセス制限および中国インターネット上でのSCP-1445の噂の抑制のために行われています。具体的には、政府のインターネットコメンテーターたち(口語的に“五毛党/5 Mao Party”として知られる)は、SCP-1445の歴史が完全に”迷信的信念”で構成されているという前提の下、財団に代わってSCP-1445の実在を(過去であれ現代であれ)主張するユーザーへの軽蔑の念を示すように指示を受けています。加えて、彼らは中国国粋主義を触媒として使用し、現代中国の宇宙進出の成果へと注意を向け、話題を逸らすようにも指示されています。

説明: SCP-1445は1.5m×1.5m×3cmの正方形の台座の上に乗った、高さ約0.75mの木製の椅子です。台座には、おそらく最初の使用に起因する、炎による軽微な損傷があります。SCP-1445に使用されている木材は全てDalbergia odorifera1であると特定されました。炭素年代測定によって、SCP-1445は製造から約5██年が経過しており、14██年頃もしくは明代の初期に構築されたと判定されました。台座の左右の面にそれぞれ11個、合計22個のロケットが取り付けられています。ロケットには使用後に自己再生する可能性が疑われている導火線が付いていますが、それ以外の部品は同種の再生特性を見せておらず、予想通りに損傷します。C████氏はSCP-1445が年代から見て全体的に非常に良い状態で維持されていることに注目しており、これはオブジェクトが真空内に長く存在していたためと思われます。しかしながら、SCP-1445は微小な隕石によるものと判断された軽度のダメージを受けており、確保後にはC████氏の協力の下、可能な限り修復・復元されました。

SCP-1445はまず20██年、財団Webクローラが中国で人気のWebポータル████および█████で、明代の官吏ワン・フーの椅子が地球低軌道上で発見されたという永続的な噂を検出した際に財団の注意を引きました。噂は明らかに[編集済]の座標を詳述し、オブジェクトの低解像度の写真を提供していました。[編集済]にある財団の望遠鏡を使用して、研究者は問題のオブジェクトを、死体らしき物が着座した状態で見つけることに成功しました。さらに、財団歴史データベースの検索の結果、14██年から続く明代当時の記録は、ワン・フーによる打ち上げの歴史的性質を確証するものであると判明しました。噂の検証後、財団は中国政府と連絡を取り、問題のある点は即座に削除されました。その後、特別収容プロトコルに従って情報戦略が開発・展開されました。

地球外回収チーム█-█が現場に派遣され、SCP-1445、ならびに保管サイト-23到着時に検査するべく死体を回収しました。SCP-1445が保管サイト-23に到着した後、死体は除去され、解剖のために医療棟へ運ばれました。同時に遺物部門への専門家派遣要求が成され、SCP-1445を検査するためにC████氏が保管サイト-23を訪れました。彼はSCP-1445が明代に作製されたことを正しく推測し、被っているダメージを指摘し、オブジェクトの格納および維持のための措置を提案しました。彼は前述した措置の有効性を実証し、再吟味を経て、SCP-1445担当の学芸員として正式就任しました。

サイトの研究者によって行われたSCP-1445の詳細な検査の際には、脱出速度で移動している間に大気の摩擦や牽引力によって受けているはずのダメージを椅子も死体も被っていない点が指摘されました。また、死体は凍り付いていたものの、真空中で時間を費やしたために有意な腐敗は進んでいませんでした。死体はオブジェクトの起源年代と一致する、明代のスタイルとして適切な漢服2および烏紗帽3を着用していました。服は後に解剖のため除去され、死体が急減速に起因する脳損傷を被っていたこと、および死因は窒息であることが判明しました。SCP-1445のそれに類似した微小隕石によるダメージは死体にも見受けられました。

実験を介して直接対象の異常特性を識別するため、SCP-1445の試験がA███博士によって提案されましたが、熟慮と財団他部門との協議を1週間重ねた後、サイト管理者██████によって却下されました(補遺1445-A参照)。しかしながら財団歴史データベースにおける当時の文書・宇宙空間において観測された位置・実施された解剖の結果を基に、SCP-1445の幾つかの異常性質が将来的実験のため仮定されています。

  1. SCP-1445の導火線は再生可能です。発見時の導火線は点火されたことの無い状態でしたが、当時の文書は明確に”厳かに導火線へと点火”したと記述しています。
  2. 全ての導火線が点火された場合、SCP-1445はロケットから異常な規模の推進力を得て脱出速度に到達することが可能となります。この仮説はオブジェクトが地球低軌道上で発見されたことで後押しされています。打ち上げイベントの当時の描写はロケットが明確に関与していたことを示します ― “万戸は多大な炎と煙を伴って天へと至り、再びその姿を見なかった”。
  3. SCP-1445は周囲に異常な力場を生成し、大気中の摩擦や牽引力の影響を無効化します。地球の大気圏外への脱出速度に達した物体は重大な被害を受けているはずにも拘らず、オブジェクトにはそれらの影響によるダメージが見受けられません。
  4. SCP-1445は地球低軌道に到達した直後に突然停止します。死体は急減速による脳損傷を被っていたことが判明しており、問題の位置に達したオブジェクトが移動を停止したことを示唆しています。さらに、当時の文書はワン・フーの目標を”一人の人間として大地から天へと加わる”ことであると記述しており、これは地球低軌道に入ることで達成されたと解釈することが可能です。
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