アイテム番号: SCP-1454-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: 各クラウドファンディング仲介サイトは、財団の監視ソフトウェアによって常時監視されます。SCP-1454-JPの特徴に合致するプロジェクトが発見された場合、掲載サイトと連携してプロジェクトを中止しなければなりません。すでに支援者が存在する場合は、カバーストーリー"詐欺"を適用し、支援を取り消したうえで、返金を行います。
説明: SCP-1454-JPは日本のインターネット上のクラウドファンディング仲介サイトに出現する、治療費の収集を目的とした異常なプロジェクトです。
SCP-1454-JPは必ず次の共通点を含みます。
- タイトルは「(名前)ちゃんの病気を治してください」である(以下ここで言及されている児童を対象児童と呼ぶ)。
- プロジェクトの目的には、「対象児童の難病を治すために資金を集めている。難病のために多額の治療費が必要である」という旨と、具体的な病名、対象児童の顔写真が記述される。
- 目標金額は3000万円である。
- リターン(支援に対する見返りに関する項目)の説明は「お礼は必ずいたします。私たちの幸せをお配りさせていただきます」と記述されている。
- 対象児童の名前・外見は既知の行方不明の児童(4~9歳)と一致する(この児童を行方不明児童と呼ぶ)が、SCP-1454-JPの発生中は対象児童と行方不明児童のいかなる関連性にも気づくことができない。また、行方不明児童が目的に記述されている病気に罹患している/していたことを示す記録はない。
- 期限は1カ月間である。
- 主催者のアカウントに紐づけられた個人情報は偽情報であり、実際の主催者は特定できない。
期限中に目標金額が達成されなかった場合、支援者には出資金が返還されたうえで、電子メールによって「資金が足りず治療が間に合わなかったため、対象児童は助からなかった」旨の通知が送信されます。その後、行方不明児童がSCP-1454-JP内で記述されていた難病によって死亡した状態で発見されます。発見場所は多くの場合路上です。
期間中に目標金額が達成された場合、支援者には「目標金額を達成できたため治療を受けることができた」という旨の感謝の電子メールが送信されます。その後5カ月間の間、定期的に動画が添付された電子メールが送信されます。動画の内容は、対象児童がリハビリや治療を受けている様子、遊んでいる様子など、対象児童の回復の経過を示すものです。また、しばしば対象児童により感謝の言葉が述べられます。
以下はその一例です。
<映像開始>
[対象児童が歩行のリハビリを行っている。周囲には大人がいると考えられるが、顔は写っていない]
不明な人物: ██(対象児童名)ちゃん、頑張って!
対象児童: うん、うん。
[対象児童は補助器具を用いながらゆっくりと歩行する。途中で何度か倒れそうになるが、かろうじて持ち直す]
[床に貼られたテープのラインを超える]
不明な人物: やった! 頑張ったね! 前より歩けるようになってるよ!
[対象児童は笑顔で手を叩き、大きく何度も頷く]
<映像終了>
<映像開始>
[映像が食事の場面に移り変わる。対象児童は大きく口をあけている]
不明な人物: さあ苦手な粉薬です。今日は飲めるかな?
[粉薬が対象児童の口に投入される。対象児童は顔をしかめつつも、コップをつかみ水で粉薬を流し込む]
不明な人物: えらいね~! きっとお母さんも喜んでるよ!1
対象児童: うん。早く会いたいな。
不明な人物: 大丈夫。ちゃんと治ればすぐに会えるよ。がんばろう!
<映像終了>
<映像開始>
不明な人物: こんにちは、今日は██ちゃんがお礼を言いたいそうです。
[拍手の音がする。対象児童が画面端から現れて、小さく礼をする]
対象児童: みなさんありがとうございます。おかげでこんなによくなりました。わたしはとってもしあわせです。
[対象児童は頭を下げる。周りからは拍手の音が響く]
不明な人物: ご支援いただいたみなさま、ありがとうございました。おかげさまで私たちの幸せはこんなに笑顔になりました。ビデオレターは今回で最後になります。ほんとうにありがとうございました。
[この例に限らず、最後の動画では病気の種類に関わらず対象児童は全快しているようにみえる]
<映像終了>
目標金額の達成からおよそ半年後、支援者の住居に一通の手紙と荷物が配達されます。手紙には「ご支援ありがとうございました。お約束通り私たちの幸せをお配りいたします」と記述されています。荷物の内容物は身体の部位です。これは、全ての支援者に等しい質量分ずつ分配されており、全ての支援者が受け取った部位を縫合すると行方不明児童と外見及びDNA上同一な遺体に統合されます。