アイテム番号: SCP-1483
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-1483の特性と出入りの困難さから、SCP-1483の収容に必要なのは最小限の安全措置のみです。世界B-10208-アルファ-1483への出入り場所はすべてファルコン・ステーションとダストサイド・ステーションに制限されています。両ステーションは遷移領域の両端に存在します。SCP-1483によって基本世界への侵攻が行われた場合は、ダストサイド・ステーションの周囲の緊急爆破装置が起爆され、SCP-1483への出入り手段を遮断することになっています。
SCP-1483の内部の財団の大使館や他のサイトでの業務に割り当てられた全職員の行為の責任は、監督評議委員会による基本活動宣言の規定にのみ帰すものとします。他のすべての事項について、職員はSCP-1483の法律並びに女帝および帝立超常神秘学術研究所 (the Imperial Institute of Paranatural and Esoteric Study、以降、IIPESと呼称) との間に結ばされた協定のすべての規約に拘束されることになっています。
SCP-1483内の財団のサイトは探検調査規約 (O5特別命令108-A) に基づく、活動のための半自治的な区域と考えられています。理事の地位はレベル5クリアランスと指定されています。これは、SCP-1483の内部での財団の活動を監督するためのものです。この地位にある人物はこの管轄区域の外部に関しては権限を有しません。
説明: SCP-1483は南極大陸です。このことはその地域の地図および日中と夜間の周期から確認されています。SCP-1483は世界B-10208-アルファ-1483に存在し、クイーン・アレクサンドラ山脈にある小規模のクレバス1 (位置座標:[編集済み]) を通じて立ち入ることができます。この遷移位置はSSUIS2 (Stable:安定/Stationary:静止/Unaided:独立/Instantaneous:同時/Safe:安全/Two Way:双方向) 世界重複と分類されています。
SCP-1483の環境について最も注目に値する点は、全体として表層に氷がないことです。大陸の大部分は中央砂漠気候の砂漠地帯であり、季節的な河川や湖が点在しています。植生はまばらであり、主に海岸林や低木林で構成されています。農業は夏季に用水路と大規模な農園の複雑な一続きの組み合わせによって行われ、氷河の融解で生じた水を利用します。
夏季の平均気温は約35°C (95°F) であり、冬季は-35°C (-31°F) にまで及びます。この温度の原因と、別の地域の気候にこの気候がどう影響しているかは現時点では不明です。生息する生物の多くは基本世界の生物とは類似点がなく、特に数種の生物はSCP-1483-1によって飼育、あるいは調整されています。SCP-1483と基本世界との間での生物の交配による生態系の汚染の兆候は確認されていません。生物の間の類似性は収斂進化によるものです。
SCP-1483に生息する知的動物はSCP-1483-1 (Homo antarcticus) と指定されています。SCP-1483-1が実際にはどの生物に由来しているのかは現時点では不明ですが、最後にHomo sapiensと同じくする祖先は、Homo heidelbergensisのB-10208-アルファ-1483個体であると考えられています。単一の亜種と多数の人種的な変異種が存在し、また、特定の特異的な特質を一定の集団に割り当てることで形成された数種類の分岐群も存在します。
SCP-1483-1の主要な分岐群の一覧については補遺-02を参照してください。
SCP-1483は現在、第三南極帝国によって統一されています2。第三南極帝国は17の従属する州を監督する母系の帝政君主政体です。州政府は首都の外で活動する中央統制官僚に対して自身の責任を負います。現在の帝国政府は西暦1526年に創立したもので、大陸を統一する第三の政体です。2-151年 (西暦553年)3 以前の記録はあまり存在せず、概して不正確です。
帝国の技術の程度はいくつかの例外を除けば、およそ基本世界の20世紀の技術に相当します。エネルギー源としては化石燃料よりも原子力発電や地熱発電、太陽光発電が普及しており、一方で通信技術と航空宇宙技術は基本世界よりも著しく遅れをとっています。有線遠距離電気通信と原始的なコンピュータ・システムは発展した地域にのみ存在しています。SCP-1483の人口の大部分は鉄道網で結ばれた都心、または大規模な農園の居留地に居住してます。居留地の大多数には冬季の居住用の地下区域が存在します。帝国の主流の文化は高度に成層化した、女性優勢の階級システムですが、僻地には地方特有の変異した文化や古い文化構造へ先祖返りした文化が存在しています。
帝国内では異常な事物の存在が一般に知られています。異常な事物は公的には帝立超常神秘学術研究所が取り扱い、必要があれば軍もそれを担当します。財団はIIPESの公的な下位部門として扱われています。財団の存在やSCP-1483における活動の目的については帝国当局に許容されています。しかし、財団の活動は許可された地域内に制限されています。封印された記録、IIPESの管轄下にある物品に関する特定の情報、および帝国やIIPESによって慎重を期する必要があると見なされた情報の利用も同様に制限されています。
帝国の管轄下にある異常な事物のうち主要なものの一覧については補遺-01を参照してください。
SCP-1483の国境より外部の地域について質問したところ、帝国の連絡機構は次のように回答しました。「未開人との交渉や彼らの堕落した土地については我々の関与するところではない。彼らの状況に関する質問をして時間を無駄にしてはならない」
補遺-01: IIPESは第二帝国時代4に設立されたときから3千点以上の異常な物品や実体を記録しています。重要なことは、基本世界には存在しない異常な物品にはあるパターンがSCP-1483cと関連して存在することです。IIPESの異常な物品に対する見解は、主に脅威の破壊、研究、および公衆の備えに焦点が当てられています。現時点で約500の物品が積極的にIIPESによって収容または監視が行われています。これらの物品のうち最も注目すべきものについては次の項目を含みます。
• SCP-1483a: 「サナク・シウ (Sanak Thiuh) 」- 巨大な未知の生物の死骸であり、その多くが現在は帝国宮殿の骨組として使用されている。SCP-1483aの元来の大きさの推定から、SCP-1483aは10,000tを超える体重を誇っていたことが示唆されている。SCP-1483aは地元の民間伝承に重要な役割をもって登場するが、その伝承は一般に真実であると立証されておらず、たいてい自家撞着した話になっている。確実に言えることは、SCP-1483aの死が第一帝国の形成につながったということである。
• SCP-1483b:「イーザーの口 (The Maws of Eser) 」 - 一連のUMUID1 (Unstable:不安定/Mobile:移動性/Unaided:独立/Instantaneous:同時/Dangerous:危険/One Way:一方向) 世界重複であり、SCP-1483内で不規則に発生する。これらの世界重複は目に見えるものであるが、実体はなく、地表に黒い雲の形で出現する。SCP-1483bが出現する際は3~20人のSCP-1483-1fも出現し、進路上のすべての生物を死亡させながら、1から6時間持続し続ける。出現期間は15秒間から45日間までと様々で、平均は10から12時間である。
• SCP-1483c:「アクムの祝福 (The Blessings of Aqum) 」 - 18の既知の超自然的な慣習の流派の総称。民間伝承によると、これらの流派はSCP-1483aを殺害するために使用された一連の事物に起源をもつものとされているが、この伝承は確証が得られていない。SCP-1483cに関する情報はIIPESによって強く規制されているが、SCP-1483cの方式が民衆の改変に使用されていることと、この18の流派が帝国中で習慣的に行われていることについては知られている。
補遺-02: 注目すべきSCP-1483-1の分岐群は次のものを含みます。
• SCP-1483-1a: 「夏の廷臣サマー・コート (The Summer Court) 」 - SCP-1483-1の大多数。概して基本世界の人間と類似しているが、基本世界の人間よりも極端な気温に耐性があり、全体的によりがっちりとした体躯をしている。
• SCP-1483-1b: 「黒い廷臣ブラック・コート (The Black Court) 」 - SCP-1483-1の亜種であり、脂肪と柔毛の分厚い層によって冬季に屋外で生き延びることに特化している。他の分岐群とは子孫を残すことができない。伝統的にSCP-1483-1bは冬の間では議会や軍事、行政の地位を含む公務について多くの面で独占している。夏季では放浪して共同生活を送る。
• SCP-1483-1c: 「正す者メンダー (Mender) 」 - 帝国の宗教的な階級組織の構成員で、腕が2組あり、手足と胴を囲む装飾的な金属の外骨格をもつ。SCP-1483bを消散させることができる。
• SCP-1483-1d: 「すべてを見渡す者ウォッチャー・アポン・オール (Watcher-Upon-All) 」 - SCP-1483-1で最も少数の分岐群であり、一般に、皇帝直属の機関やSCP-1483-cを主導する団体の特別な地位に就いている。SCP-1483-1dは身長が約2.5mあり、腕が2組多く、より多く外骨格をもつ。虹彩と強膜は黒色をしている。地元の伝承によると、SCP-1483-1dはSCP-1483cの「あらゆる祝福」を受けた者であるとされる。
• SCP-1483-1e: 少数分岐群 - この分類には、財団の研究が詳細には進んでいない僻地の州に土着するすべての少数分岐群が含まれる。
• SCP-1483-1f: 「祝祭の人フィーストリング (Feastling) 」 - SCP-1483bを伴って出現する実体。やせ細ったSCP-1483-1の姿をとって現れて、著しく暴力的に振る舞い、そばにいるあらゆる生物を攻撃して死亡させる。
補遺-03:
財団とSCP-1483との関与の経緯の時系列は次のとおりです。
• 1912年██月██日: SCP-1483の実在性を示す最初の証拠は、ロバート・ファルコン・スコットの下の1910年のイギリス南極探検隊の隊員である████████・██████の日誌の記述に遡る。████████はクレバスから黒い肌の人影が現れるのを見たと日誌の中で主張した。彼はその実体と接触することはできなかったが、それでもその人影についての詳細な記述を残した。████████は探検隊の他の隊員の誰にもこの出来事について注意を喚起することはしなかった。
• 1989年██月██日: ████████の日誌がマーシャル・カーター&ダーク競売会社から回収される。この日誌は研究されず、その存在が記録されただけであった。
• 1991年██月██日: 日誌をイーディス・ヤード博士が倉庫から搬出する。探検の計画が立案される。
• 1994年██月██日: 特別部隊イオタ-15からなる踏査隊がSCP-1483への最初の進出を行う。O5-08がSCP-1483への更なる探査と現地人との接触を推進する。
• 1996年██月██日: 第二の踏査任務がイオタ-15により遂行される。
• 1997年██月██日: 第三の、そして最後の踏査任務がイオタ-15により遂行される。
• 1998年██月██日: ヤード探検隊が初めて帝国政府と接触する。
• 2000年██月██日: 財団の大使館が帝国の首都・ルートレル (Rootrel) に設立される。土地の利用の公式の合意が女帝・ユートマイ・ツェン4世 (Utmai Cjen VI) によって調印される。これにより、SCP-1483内での財団職員の権利と職分や、外部との連絡の手続きの詳細が取り決められる。
• 2000年██月██日: イーディス・ヤード博士が理事の地位に任命される。
• 2001年██月██日: ダストサイド・ステーションが遷移地点に建設される。
• 2002年██月██日: ファルコン・ステーションが基本世界の遷移地点に建設される。
• 2004年██月██日: サイト-1483-アルファがサキン州 (Saqin Province) に設立される。
• 2007年██月██日: サイト-1483-ベータがグレイ・マウンテン州 (Grey Mountain Province) に設立される。
• 2009年██月██日: サイト-1483-ガンマがイスル州 (Isul Province) に設立される。
• 2010年██月██日: イーディス・ヤード博士が呼吸器の病気で死亡する。
• 2011年██月██日: トーマス・ベイリー博士が理事に任命される。