アイテム番号: SCP-1506-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: 理論上、SCP-1506-JPは収容することができません。現在、ワームホールの周辺には4隻の航宙艦が駐屯しており、行き交うSCP-1506-JP-2に対して監視を行い、観測宇宙に接触しないよう呼びかけています。必要物資の補給はGPEL式亜空間テレポーターを通して行われます。
説明: SCP-1506-JPは観測宇宙の外部に広がる異常空間です。オブジェクトへは射手座χ星付近に存在するワームホールを通じてアクセスすることが可能で、西暦4186年、財団によるIJシグナル2追跡プロジェクトの過程で発見されました。オブジェクトは25,000立方ギガパーセク以上の広さを内包しており、現在の航行技術では、全貌を観測することは不可能と考えられています。オブジェクト内は無重力状態である一方、窒素を主成分とした大気が存在し、音声を正常に伝達させることが可能です。
SCP-1506-JPの内部には飲食物の容器や包装紙が無秩序に浮遊している他、照明器具や音響装置、自動販売機に類似した物品が随所に設置されています。これらの物品は総じて複数の宇宙が収まるほどのサイズを有していますが、材質・構造的な異常は見られません。
SCP-1506-JPには多数の生物実体が生息しており、概ね2つのタイプ(SCP-1506-JP-1、-2)に区分できます。SCP-1506-JP-1は身体を常に激しく動かしており、こちらからの呼びかけには一切の反応を示しません。外観は明確に定まっておらず、宇宙規模の巨体を持つ獣型実体から、古風な衣装を身に付けた等身大の人型実体まで、様々な個体が存在します。時折、動かない個体に遭遇することもありますが、これは興奮によるトランス状態にあるとの推測が立てられています。
SCP-1506-JP-2はオブジェクト内の機器を操作し、楽曲の演奏や再生、照明の操作等を行っている実体です。球体に突起物を生やした簡素な外観をしていますが、オブジェクト内を自由に移動し、機器を遠隔で操作する能力を有しています。SCP-1506-JP-2は人間との意思疎通が可能であり、既知のあらゆる言語に対して、スラングを交えた流暢な返答を行うことができます。しかしながら、SCP-1506-JPの存在意義や起源に関する質問に対しては、曖昧な供述を繰り返しており、実態の解明に役立つ情報はほとんど得られていません。
SCP-1506-JP内に流れる楽曲は大部分が未知の曲ですが、観測宇宙に存在する曲も稀に流れることがあります。以下はこれまでに確認された既知の楽曲のリストです。
インタビューログ1506-JP-1
4187/02/04 05:38(UTC)、SCPS テレシコワが複数のSCP-1506-JP-2個体を発見し、ワッカーマン=ラディン型精神感応を用いたコミュニケーションに成功しました。以下はシュウ・サンファ艦長によって行われたインタビューの記録です。
[記録開始]
シュウ艦長: すみません、ここは……どういった場所なんですか?
SCP-1506-JP-2: よう兄弟、"無"のフロアに来るのは初めてか?細けーことは考えずに、頭カラッポにして踊っちまいな。
シュウ艦長: 見た所、あまり"無"という感じはしませんが。
SCP-1506-JP-2: 何だよお前、ノリ悪いなあ。無を流して、無になって踊る。十分ナッシングでしょ?
シュウ艦長: よく分かりません。無の定義について、詳しく教えて頂けないでしょうか。
SCP-1506-JP-2: そりゃもう、何も存在しないアレだよ。
シュウ艦長: 何も存在しているように見えますが。少なくとも、物理的には。
SCP-1506-JP-2: 難しいこと言うね。
シュウ艦長: 沢山の生き物が踊っていますが、これは宇宙と何か関係あるのでしょうか。
SCP-1506-JP-2: んん?ダンス自体宇宙みたいなもんだし、関係あるんじゃね?
シュウ艦長: はっきりとは知らないんですか?
SCP-1506-JP-2: ウチらはしがないDJだぜ?そういうのは偉い人に聞いてくんな。
シュウ艦長: あなた方に上司がいるんですか?マネージャーとか、店長とか。
SCP-1506-JP-2: おうよ。いなけりゃマッポにパクられんぞ。
シュウ艦長: 詳しい話を伺いたいので、こちらへ呼んで頂けませんか?
SCP-1506-JP-2: んーとな、確か、前回の来店は138億年前だったから……そのうち来るんじゃない?
シュウ艦長: そのうち……?
[沈黙]
SCP-1506-JP-2: つーかさ、アンタらどっから来たのよ。ちゃんとアセンションした?入場料払ってる?
シュウ艦長: 宇宙の内側から、ワームホールを通じてやって来ました。
SCP-1506-JP-2: [頭をかしげる]
シュウ艦長: ええっと、ミラーボールです。ほら、あそこの。穴が開いているやつ。
SCP-1506-JP-2: えっ、えっ? アレ、中身入ってんの?
シュウ艦長: 知らなかったんですか?
SCP-1506-JP-2: マジかよ。電気代食うし、無駄に多いし、いくつか捨てちゃったんだが……爆発したりしないよね……?
[記録終了]