アイテム番号: SCP-1508-JP
オブジェクトクラス: Anomalous Eparch1
特別収容プロトコル: SCP-1508-JP及び内蔵の物品群は低脅威度物品保管庫に保管されます。収容プロトコルはAnomalousアイテムとして管理されていた状況から原則変更はありません。
説明: SCP-1508-JPは非異常性の材質で構成された、蓋付きブリキ缶です。本来の用途は菓子類の保管であったと推測されますが、関係者へのインタビューから「タイムカプセル」2として使用されたことが判明しています。
SCP-1508-JPは19██年6月12日、当時████小学校に在籍していた生徒達(以下SCP-1508-JP-Aと表記)により内部に物品を封入し、同校の花壇に埋められました。20██年6月12日、SCP-1508-JPはSCP-1508-JP-Aらにより掘り返されましたが、開封の結果SCP-1508-JP-Aほぼ全員が「全く身に覚えのない、自身の入れた記憶がない物である」旨の主張を行い財団の注目を集めました。調査の結果物品の内8品が19██年当時には製造され得ない物であるにもかかわらず、全ての物品にSCP-1508-JP-A各人の指紋が付着していたことから財団はSCP-1508-JPを異常物品であると認定。当初は「内部に入れた物を別の物品へ置換する」オブジェクトとして精査された中、複数回の実験でも異常性の確認と再現に失敗したことより、異常性を喪失したAnomalousアイテムとして管理されていましたが、後述する事案1508-JPの発生からその方針を修正、Eparchクラスのオブジェクトと識別されました。
以下はSCP-1508-JP-Aの人物名と、対象の証言する自身の封入物、対象の指紋が付着していた置換物の抜粋です。SCP-1508-JP-Aの人物名 | 封入物 | 置換物 |
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山村綾 | 缶詰。柑橘類であった。 | 食べかけの大福。歯型と唾液の身元は対象と一致。 |
奈良原省吾 | 野球ボール。ほぼ新品の物だった。 | 野球ボール。激しく損耗しており10年以上は継続して使用されたと推測。 |
有村隆治 | ミニカー。詳細な型は不明。 | 軽自動車のものと見られるハンドル。車両は特定出来ず。 |
広瀬慎二 | 鉛筆。入学当初より使用していた。 | ガラス片。切断面は非常に新しい。原形は不明。 |
池田春明 | あやとり。祖母に貰ったもの。 | ゲーム機のものと見られるコード。中心部は変色しており強い圧力がかけられたと推測。 |
井上裕太 | 不明。記憶していない。 | 折り畳み式の革財布。現金2万円が封入されていた。 |
事案1508-JP: 20██年8月22日、SCP-1508-JP-Aの1人である井上裕太が█████の路上で死亡しているのが、近隣住民により発見されました。死因は下腹部が重点的に殴打されたことによる消化器の破裂です。現場には井上裕太の他、10代と見られる男性の遺体も発見されており、頸部の静脈が切断されたことによる出血多量が死因とされています。後の調査で男性の身元は、近隣の公立高校に在籍していた████ ██であると判明し、同時に夜間に外出・帰宅中の中年男性を対象に暴行、恐喝並びに金銭の略取を日常的に繰り返していた人物であったことが警察関係者の証言から明らかになっています。また現場には井上裕太の所持品と見られる保険証や銀行のクレジットカード等が散乱していましたが、それを収納していたと思われる財布類及び金銭の類は発見されなかったことは特筆すべき事項です。
井上裕太は自身の右手に切出形の彫刻刀を1本、左手に手紙と思われる紙片を握りしめていました。分析の結果この彫刻刀は19██年の製品と同定され、先端に男性の血液が付着していました。以下は紙片に書かれていた文章の全文です。
未来のぼくへ
お元気ですか。きょう████小学校のみんなで、「僕たちの一生に残る思い出」ってテーマでタイムカプセルを作りました。
ぼくはちょうこく刀をうめます。未来のぼくはこれを覚えてますか。
11さいのぼくは、友だちのひでお君やしのはらさんをこのちょうこく刀でいじめて、お金とか███のレアカードをとったりしてたよ。
でも███先生におこられて、弱いものいじめはやめようって反せいしました。
こんなのにたよって強いふりしてるのカッコ悪いしね。
もう人にけがさせたりしないよう、これは二度と使いません。
タイムカプセルにこれを入れたのは、その約束を守るためです。
未来のぼくには、なにか大切な宝物はありますか。もしあるならみてみたいなあ。
きっとはだ身はなさず持ってる、死ぬさい後のしゅんかんまで手放せないようなものだと思ってます。
じゃあね、未来のぼく。
あなたが武器なんていらない、つよい大人になってることを祈ってます。
井上ゆう太