SCP-1510-JP
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アイテム番号: SCP-1510-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-1510-JPは現在、完全な収容に至っていません。財団ネット管理部門はSCP-1510-JPに関するインターネット上の投稿を監視し、該当する投稿が確認された場合はカバーストーリー「釣り」に基づきB-Netクラス記憶処理1を実施し、投稿者にはBクラス記憶処理を適用してください。担当研究員は財団ネット管理部門と共同研究をして、SCP-1510-JPの発生条件の解明および作成者の特定を最優先事項とします。

説明: SCP-1510-JPはライブチャット上で発生する異常現象です。現時点では、日本国内間の通話中、双方の通話者が室内に単独で、通話端末以外の光源が映像内に存在しない状態で、チャット中の通話者のうち1人に対してのみ発生することが判明しています。発生には上記条件を満たした上で「ライブチャットに出てくる幽霊の噂」を口語的に話すことが含まれていますが、実験による再現は成功していないため、低確率であるか別の条件が存在する可能性があります。財団の把握した範囲では40件の発生事例(うち死亡件数2件)が確認されており、未発見事例も多数存在すると推測されます。

発生したSCP-1510-JPは以下の段階に従います。

第1段階 空間内に設置されたものと同型のドアが出現します。出現場所は必ず通話者の背後1メートル以内であり、遮蔽物が存在する場合はより近い位置に出現します。接触事例により、このドアは模倣元のドアと同質のものであり、物理的に存在していることが判明しています。通話者が背後に振り返って視認すると即座に消失し、以後再出現しません。また、通話者が壁に張り付くなどして背後に空間がない場合に発生した事例は確認されていません。
第2段階 第1段階から通話者が出現したドアを10分以上直接視認しなかった場合、ドアが内側に開き、地面からおよそ1.5〜1.8メートルの高さからSCP-1510-JP-1と分類される人型実体の顔の鼻から上が出現します。この段階では暗闇のため顔の識別は困難ですが、白目のみ不自然なほど明瞭に確認できます。頭髪は重力に従いますが、顔の角度はドアに対して垂直を維持します。通話者が背後に振り返って視認すると、SCP-1510-JP-1はドア内部に即座に戻り、大きな音を立ててドアを閉じて瞬間的に消失し、以後再出現しません。
第3段階 第2段階から通話者が出現したドアを25分以上直接視認しなかった場合、ドアがより大きく開き、SCP-1510-JP-1は腹部から上まで出現します。この時実体は通話者に近寄るように上体を折り曲げており、場合によっては識別可能なほどに顔を接近させます。これまでに確認できた全ての事例において、その顔は通話者のものを裂傷・熱傷・打撲傷・切傷などで著しく損壊させたものですが、白目は必ず無傷の状態です。また、体格と出現地点によっては実体が通話者に対して手を伸ばす挙動が確認されます。通話者が背後に振り返って視認すると、SCP-1510-JP-1はドア内部に即座に戻り、大きな音を立ててドアを閉じて瞬間的に消失し、以後再出現しません。
第4段階 第3段階から通話者が出現したドアを50分以上直接視認しなかった場合、SCP-1510-JP-1は通話者の肩に手を乗せ、さらに上体を伸ばして電子媒体に顔を近づけます。この時、実体の胴体部は明らかに伸長しており、腰骨以下の部位が見えることはありません。この状況に対して通話者は、たとえ通話相手が指摘したとしても無関心であるかのように振る舞いますが、唯一眼球は急速に動き、充血します。このことから通話者は眼球運動以外の自らの意思での行動が抑制されていると推測されます。またこの段階では必ず同一の女性の低い声での鼻歌が記録されますが、声の起源は現在も判明していません。

第4段階以降のSCP-1510-JPの事例は確認されていません。

発見経緯: SCP-1510-JPは「ライブチャット中に現れる心霊現象」というネット都市伝説として普及していました。記録上では2003年8月1日、大型掲示板サイトのホラースレッドで「【決して】本物の降霊術を知ってしまった【口にしてはいけない】」という題名で投稿されたものが起源とされます。記載された手順に従ったところ実現したという報告が多数投稿されましたが、投稿された証拠情報は粗悪なもので信憑性が低く、捏造であるとされました。2006年8月6日、機動部隊ま-196(“インターネット探検隊”)が同サイトにて村上晴一氏による「【緊急】チャットしてたら友達が呪われた【助けて】」という題名のスレッドの投稿を確認し、第3段階に達したSCP-1510-JP画像の公開によって発覚しました。この時の被害者であった山崎広徳氏宅に機動部隊ね-25(“特定班”)が現場突入するとSCP-1510-JP-1が山崎氏に巻きついてパソコン画面を凝視しており、隊員が山崎氏の生存確認のために接触したところ山崎氏が椅子から落下、顔が背後に向いたことでSCP-1510-JPは消失しました。事後処理として、立ち上げられたスレッドにはカバーストーリー「釣り」を適用、山崎氏は心臓発作で死亡したという情報を流布、村上氏は事情聴取の後に記憶処理の上で解放されました。事案当時の山崎氏は事案より1週間前の自動車事故で自宅療養中であり、発見時も頚椎カラーを装着しリクライニングチェアに座っている状態でした。

当事案に基づき、SCP-1510-JP手順を最初に掲載したスレッドの投稿者を調査したところ、プロバイダの協力も含めたあらゆる調査においても当該IPアドレスは未使用とされ、投稿者の特定には至りませんでした。その結果にもかかわらず、2012年まで活動が確認されました。財団ネット管理部門は引き続き当該IPアドレスの活動を監視します。

通話ログ

付記: 当該ログはSCP-1510-JPの第2段階移行後に録画された映像です。

[録画開始。村上氏のビデオチャット画面が表示。後方に傾いた山崎氏の顔と背後の第2段階SCP-1510-JPが映る。]

村上氏: 録画開始したぞ。

山崎氏: サンキュサンキュ。

村上氏: なあヒロ(山崎氏の愛称)やめようぜ。だれか呼べよ。

山崎氏: いいだろ別に。イッチ(村上氏の愛称)、後ろの見える?

村上氏: 見たくねーってば。ヒロほんとやめようよ。

山崎氏: いいから見てって。動いてる?

[第3段階に移行した様子が確認される。SCP-1510-JP-1は上体を伸ばし、山崎氏の肩口から顔を覗かせる様子が確認される。]

村上氏: [3秒沈黙]動いた。

山崎氏: マジで?マジで?今どうなってる?

村上氏: ドアが開いて、中のやつがちょっとだけ近づいて[5秒ほど沈黙]ヒロ、ヒロ!マジで誰か人呼べ!

山崎氏: だからどうなってるって。

村上氏: いいから!やばいって!絶対良くないやつだよそれ!顔がやばい!

山崎氏: えーなにそれ気になる。[笑い声]

村上氏: ヒロ、笑い事じゃねえって!今スクショ送るから!

[村上氏がファイル送信したとおもわれる通知音。SCP-1510-JP-1実体は山崎氏の肩越しから画面を凝視している。]

山崎氏: あーはいはい。[受信ファイルを展開していると思われる。]うわーマジでいるんじゃん。すげー。

村上氏: スゲーじゃねえよ!ヒロほんとやめろよ、絶対良くないよ。

山崎氏: まあまあ。もうちょっと見てようぜ、別に怖くねーし。

村上氏: ヒロ!

[その後、50分間山崎氏と村上氏の会話。山崎氏は終始楽しげであり、振り向く様子が見られない。その後、第4段階に移行したと見られる。]

村上氏: ヒロ、いいかげんにしろって。

山崎氏: 気にすんなって、大丈夫大丈夫。

村上氏: 大丈夫じゃねえって、本当に気持ち悪いよ。

山崎氏: 平気平気。

村上氏: なあヒロ、もういい加減にしろよ。ふざけんのやめろよ。

山崎氏: イッチ気にしすぎー。

[SCP-1510-JP-1が山崎氏の頭部を両手で掴むと、山崎氏の眼球が激しく動作するのが見て取れる]

村上氏: ヒロ?

山崎氏: あいよー。

村上氏: ヒロ?話聞いてるか?

山崎氏: 聞いてる聞いてる。

村上氏: ヒロ、俺の言ってる意味わかってる?

山崎氏: わかってるよー。何、イッチってばマジで怖がってる?

[SCP-1510-JP-1の顔が画面全体を覆う。眼球はWebカメラを注視している。]

山崎氏: 大丈夫大丈夫。なんも怖くない。

[村上氏側から走るような足音の後、ドアが乱暴に開閉される音声。]

[容量限界により録画が自動的に終了するまで、山崎氏は返答を継続した。]

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