アイテム番号: SCP-1520-JP
オブジェクトクラス: Safe Euclid
特別収容プロトコル: SCP-1520-JPはサイト-81██の低脅威度物品保管ロッカーに収容してください。SCP-1520-JPの感染者と思われる人物が現れた場合、感染者を直ちに財団管理下の医療施設に隔離し、カバーストーリー「精神疾患による入院」を流布して下さい。感染者の近親者に対する血液検査終了後にAクラス記憶処理を実施してください。
SCP-1520-JPの感染者の収容を実施する際に感染者の体液に直接触れることのないようにしてください。感染者の収容と並行して感染者の体液が付着した物品を回収し、物品の焼却処分を行ってください。
現在市場に流通している血液製剤の審査の徹底が義務付けられています。また、飲食店に食品衛生管理の注意喚起を行い、定期的な行政監査を実施してください。
説明:
SCP-1520-JPはオキシトシン1と酷似した組成を持つウィルスです。その性質上、SCP-1520-JPと通常のオキシトシンの弁別は非常に困難です。SCP-1520-JPに関連する商品の流通には必ず販売員ミヨコと名乗る人物が関連していることが判明しました。
現在までに点鼻薬型のSCP-1520-JPが回収されています。点鼻薬型SCP-1520-JPには「育児ノイローゼを吹き飛ばして身も心も綺麗になろう!」という文章と白いカーネーションのイラストが記載されています。点鼻薬型以外にも、SCP-1520-JPと同様の組成を持つ陣痛誘発剤が発見されています。
現在までにSCP-1520-JPの血液感染、性感染、母子感染、唾液感染が報告されています。SCP-1520-JPの飛沫感染の事例は報告されていません。これはSCP-1520-JPは大気中にさらされてから30秒以内に不活性化するためであると考えられています。
脳内に分布するオキシトシン受容体2とSCP-1520-JPが結合すると、既存のいかなるオキシトシン受容体の塩基配列にも由来しないアミノ酸塩基配列に置き換わります。これによりオキシトシン取り込み異常が生じ、うつ病や自律神経失調症などの精神疾患が誘発されます。
細胞内に入り込んだSCP-1520-JPは驚異的な速度で増殖し、多くの感染者が自覚症状が現れる前に死亡します。これは細胞内に侵入したSCP-1520-JPに対して免疫系が作用しないためであると考えられています。
SCP-1520-JP感染後の症状の進行は次の通りです。感染者の症状はスペクトラムであり、あくまで目安であることに留意してください。被検者の精神状況の悪化は症状の悪化に繋がるため、被験者に対して尋問を行う際は精神科医又はカウンセラーの立会が推奨されます。
ステージⅠ
症状: 一時的な不安の解消、恐怖心の減少、相手に対する信頼感情の増幅説明: SCP-1520-JPが脳内のオキシトシン受容体と結合します。感染者は他者に対する信頼感情を増幅させ、共感的な行動や社会奉仕行動を示します。ステージⅠは感染者がSCP-1520-JPを服用した後3~5日ほど続きます。これにより感染者は、SCP-1520-JPを非常に有用な薬であると知覚します。ステージⅠの後期においてオキシトシン受容体の塩基配列が変更されます。
ステージⅡ
症状: オキシトシンの取り込み異常に伴う不安感の増幅、対人コミュニケーション能力の低下、自律神経失調症、うつ病、片頭痛等説明: SCP-1520-JPが細胞内へ侵入を開始します。感染者は自律神経失調症やうつ病、不安障害を発症します。この時期の母親において育児ノイローゼのような症状が生じやすいことが報告されています。多くの感染者においてSCP-1520-JPを再度服用したいという強い衝動が報告されます。
ステージⅢ
症状: 不安障害等の精神疾患、免疫疾患説明: 侵入先の細胞内においてSCP-1520-JPが急速に増殖します。増殖速度には個人差が見られますが大抵の場合3日ほどで死亡します。
感染者が死亡すると感染細胞が急激に膨張し、細胞膜を破裂させます。細胞膜の破裂により体内で増殖されたSCP-1520-JPが大気中に放出され、大気中の酸素と結合して白いカーネーション(学名: Dianthus caryophyllus)の花弁のような姿に変質します。(大気中の酸素と結合したSCP-1520-JPを以下SCP-1520-JP-Aと表記します。)SCP-1520-JP-Aは3分ほどで気化し、その後消滅します。
追記1: 200█/██/██にSCP-1520-JPの感染者が██名報告されました。感染者は埼玉県██市の住宅街に集中していました。
感染者に対する聞き込み調査の結果、住民女性の████氏(28歳)から総菜のお裾分けをもらったという証言が得られました。財団の調査開始時には既に████氏の捜索願が受理されていました。
近隣住民に対する血液検査後に、関係者に対するAクラス記憶処理を実施しました。財団は████氏が死亡した可能性と生存している可能性の両方の観点から調査を行っています。
追記2: 20██/██/██にSCP-1520-JPの感染者が███名報告されました。感染者は1年以内に神奈川県██市の産婦人科で出産を経験していました。病院への調査の結果、感染が確認された妊婦に対する陣痛誘発剤としてオキシトシンの投与を行っていた事実が判明しました。財団は病院側が陣痛誘発剤とSCP-1520-JPを誤認したと判断し、関係者に対するAクラス記憶処理を実施した後にカバーストーリー「医療ミス」を流布しました。財団は引き続きSCP-1520-JP及び販売員ミヨコに関する調査を行っています。