SCP-1526-JP
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アイテム番号: SCP-1526-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-1526-JPは標準収容冷蔵庫に収容されます。実験で発生したSCP-1526-JP-1は、各個体の規格に適した異常物品収容ケースに保管されます。

各国の警察機関及び財団支部との連携により、"テオファジス"の情報収集及び動向の監視が継続されます。SCP-1526-JPの関与が認められる事案が発生した場合、現場に調査班を派遣し、SCP-1526-JPのサンプル及びSCP-1526-JP-1の破片を回収してください。また、事案の目撃者に当該団体の構成員に関する聴取を実施した後、記憶処理及び適切なカバーストーリーを適用してください。

説明: SCP-1526-JPは、濃黄色を呈したマヨネーズです。成分分析の結果、大部分の材料は一般的なマヨネーズと同様ですが、微量に未知の成分を含有していることが判明しています。油分を顕著に多く含有しているため、複数回実施された単体での摂食実験では、被験者らは脂味の強さ等を理由として概ね否定的に評価しています。

SCP-1526-JPの異常性は、仏像の表面に5g以上塗布した場合に発現します。対象の構成は、外観的変化の伴わないプロセスを経て軟性物質及び無害物質に置換されます。また、表層に常在するヒュームは濃化1し、視認者に感性的及び視覚的な影響を及ぼします(一連の変化2が完了した対象をSCP-1526-JP-1に指定)。影響例として外観の顕著な鮮明化、光源不明の発光及び精神治療効果が挙げられ、それらを理由に一部の視認者はSCP-1526-JP-1を神格存在として錯覚します。

複数回実施されたSCP-1526-JP-1の摂食実験3では、被験者らは薄味を理由として否定的に評価しています。実験後、一部の被験者は神格存在又はそれに類する存在であると自称し、身体及び精神の高次化を理由として再度SCP-1526-JP-1の摂食を要求します。SCP-1526-JP-1の詳細を伏せて被験者に提供した場合同様の事象が発生しないことから、心理的な作用であると推測されます。

発見経緯: 2014年6月11日、7月23日、9月6日の3箇所の寺院で仏像が破壊される事案が発生しました。警察機関に潜入していた財団職員から仏像の破片が不審である旨の報告を受け、異常存在の検証調査が実施されました。調査の結果、仏像の破片に付着していたマヨネーズに異常性が認められたため、当該マヨネーズはSCP-1526-JPに指定されました。

短期間での組織的な行為、SCP-1526-JPの異常性等の観点から何らかの団体が関与していると推測されたため、追加調査が実施されました。調査中、SCP-1526-JPの起源に関与したとされる超常技術者の確保に成功しました。以下は、確保から2日後に実施されたインタビューの記録です。

インタビュー記録-1526 #1


インタビュアー: 杉山研究員

対象: Pol-47753(本田 幸仁)

付記: 確保前の対象は、異常団体又は個人の依頼を受けて異常物品を作成し、その報酬で生計を立てていました。


[重要性の低い会話のため省略]

インタビュアー: 本田さん、あなたはこのマヨネーズに見覚えがありますね?

[プラスチック容器に封入されたSCP-1526-JPを提示する]

対象: これは……。ついこの前頼まれて作ったやつだな。ありゃなかなかイカれた依頼だったな。

インタビュアー: 誰に依頼されたんですか? 可能な限り詳細に教えてください。

対象: 外国人の男だったが……。(思慮する様子)あ、そうそうあいつ"テオファジス"のメンバーだとか名乗っていたな。長々と活動内容を説明してたんだが、要は神聖なものを食うための集まりらしい。

インタビュアー: それらを摂食する目的については何か説明されましたか?

対象: あー(頷く)神聖なものを食えば神聖な存在になれるからだとか何とか。

インタビュアー: 具体的な依頼内容を教えてください。

対象: それならよく覚えてる。開口一番が「仏像を食いたい」だったからな。噛みきれるくらい仏像を柔らかくするのと、食っても安全なようにしてくれって必死に、いや暑苦しく頼んできてさ。まあ前金で渡された札束も厚かったが。(笑い声)

インタビュアー: それでこのマヨネーズを作成するに至ったと。

対象: それなんだけどよ、初めはそのつもりじゃなかったよ。最初は単純に無害化と軟質化の作用を持つスプレーだったんだけどさ、渡した次の日にクレーム入れられたよ。「味がない」ってな。

インタビュアー: 味ですか。仏像の?

対象: そうそう。で、試しに食って見ろってことで仏像の破片渡されたから食ってみたのよ。そしたら本当によ、まるで空気でも食ってるみたいな感じでな。それで必死に作り直した訳よ。

インタビュアー: なるほど。変な話、味付け等では解決しない問題だったのでしょうか?

対象: ああ、やったよそれも。仏像の調理方法を開発してやろうと思ってな、漬物だったり、ワイン煮だったりと色々考えたけどよ、「新鮮なものが食べたい」だのとほざきやがって。作られてから何百年も経つ仏像に新鮮もクソもあるかっての。

インタビュアー: それでお手軽に食べられるマヨネーズにした訳ですか。

対象: そのとおり。でもよ、「なら普通のマヨネーズつければ良いじゃん」と思ったろ? 俺もそう言ったんだが「味をカバーするため必然的にマヨネーズの量は増える、それは健康に良くない」って言い返されてさ。(溜め息)まあ要は濃いマヨネーズを作ってくれってことなんだけどよ、それはもうマヨネーズ業者に別で頼めよって話だろ? 報酬に色つけてくれたから結局やったけどよ。

インタビュアー: それからは特に何も言われませんでした?

対象: いやいや今度はカロリー50%OFFにしろだとか抜かしやがったよ。さすがにムカついたからバックレてやったぜ。ざまあみろってんだ。

インタビュアー: そのような経緯があったんですね。仏像自体の味を変えることはできなかったのでしょうか?

対象: (溜め息)それもやったさ。そもそも仏像に味がある訳ないからな、牛肉みたいな旨味を入れれば解決すると思って何とか仏像を有機化させたんだよ。でもあいつ「神格存在を家畜同等の扱いにするとは何事だ」なんてぶち切れてな……。

インタビュアー: 家畜同等ですか。依頼者は相当なこだわりがあるようですね。

対象: うるさいくらいにな。摂食可能になっただけじゃ満足しなくてな、神秘的な感じにしてくれって再三頼まれたよ。だからそれっぽい演出にしたけどさ……あの程度で良いなら電飾でも付けりゃいいのにな。

[以降、重要性の低い会話のため省略]


終了報告書: "テオファジス"は、神格存在又はそれに類する存在を摂食し、自身の身体及び精神を高次化させる目的で結成された非営利団体だと推測されます。また、近年諸外国で偶像、儀式用具等の一般的に神聖視される物品の窃盗事案が頻繁に報告されており、手段等に先般の仏像破壊事案との共通点が多数見られることから"テオファジス"との関係が示唆されています。小規模で組織として未熟な点が散見されますが、潤沢な資金力及び活動頻度が脅威であると判断されたためGol指定されました。

インタビュー後、対象は財団職員として雇用した上でPol指定が解除されました。

追記1: 2014年11月2日、奈良県の██寺の住職により「不審な人物が境内をうろついてる」旨の通報がされました。最寄りの警察署に潜入していたエージェントにより当該人物は確保され、聴取の結果"テオファジス"の構成員であることが判明したため財団に身柄を引き渡されました。以下は、当該構成員に対して実施されたインタビュー記録です。

インタビュー記録-1526 #2


インタビュアー: 杉山研究員

対象: エリナ・シュシュレーン("テオファジス"の構成員)

付記: 発見時、対象は108gのSCP-1526-JPを所持しており、██寺の仏像の摂食を試みていました。また、右腕に外的要因の傷を複数負っていました。


[重要性の低い会話のため省略]

インタビュアー: あなたは例のマヨネーズを使って仏像を単独で食べようとしていましたが、それは他のメンバーからの指示によるものですか?

対象: いいえ。何度か通販で買った仏像も食べたけど、それだと神聖な力に欠ける気がしてね。現地で食べてより神聖な力を取り込もうとしたの。

インタビュアー: 他のメンバーと何かトラブルでもあったのでしょうか? 右腕の傷と何か関係が?

対象: これは別に喧嘩したわけじゃないの。メンバーの一人に彼氏がいるんだけどね、これは彼に齧らせた跡よ。

インタビュアー: 何故そのようなことを?

対象: 神聖なものを食べれば神聖な存在になれる、ということは私を齧れば彼もそうなれると思ったのよ。

インタビュアー: その試みは成功したのでしょうか?

対象: いいえ、全く。彼に不味いだの何だの散々言われたわ。見た目だけじゃ駄目なの? おかしいわ、きっと仏像がまだ足りないのね。

インタビュアー: 落ち着いてください。見た目だけとはどういうことでしょうか?

対象: ああ、サイズが違うから分かりづらいかもね。少しの間この拘束を外してくれたらきっと分かるわ。

[協議の結果、当該要求が承認されたため対象の拘束具が解除される]

対象: ありがとう。(不明のハンドサイン)ほら、これでどう?

インタビュアー: (沈黙)失礼ですが、私にはわかりません。

対象: (溜め息)もしかして大仏を知らないの?

[以降、重要性の低い会話のため省略]


終了報告書: 検査の結果、対象の身体に異常性は認められませんでした。対象の言動は度重なるSCP-1526-JP-1の摂食に起因し、非異常性の体重増加を身体的高次化であると錯覚したためと推定されています。

インタビュー後、対象は"テオファジス"に関する重要性の高い情報を持っていないと判断されたため記憶処理をした上で解放されました。

追記2: 2014年11月15日、4度目となる██寺院での仏像破壊事案が発生しました。調査の結果、現場の床に付着した物体がSCP-1526-JPであることが判明したため"テオファジス"による犯行の可能性が非常に高いです。また、合わせて現場で発見されたレタス(Lactuca sativa)及び炭酸飲料については、何らかの儀式的行為又はその他の原因で用いられたと推測されています。

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