アイテム番号: SCP-1538-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-1538-JPはサイト-8181の低危険度物品用収容ロッカーに収容されています。SCP-1538-JPを用いた実験はセキュリティクリアランスレベル3以上を有する職員2名の立ち会いのもと、特殊耐熱実験室にて行ってください。なお、SCP-1538-JP-Aの摂取は一度に720mlまでとし、同一被験者に続けて実験を行う際は最低でも24時間空けてください。被験者に急性アルコール中毒の兆候が現れた際は直ちに実験を中止してください。
説明: SCP-1538-JPは電気式酒燗器(260x170x260mm。SCP-1538-JP-1と指定)、ちろり(容量360ml。SCP-1538-JP-2と指定)、徳利(容量180ml。SCP-1538-JP-3と指定)、平盃(SCP-1538-JP-4と指定)で構成されています。
SCP-1538-JP-1の側面下部には温度調整ダイヤルが設置されており、30~[編集済]℃の範囲で設定可能です。温度調整ダイヤルの横には、設定温度と対応する温度表現を記載したパネルが設置されています。その他の外観、内部構造、使用方法等は一般的な業務用酒燗器とほぼ変わりありません。底面のラベルには「TOHEI Co.,Ltd. MADE IN JAPAN」のロゴが印字されており、財団指定要注意団体、東弊重工との関連が指摘されていますが詳細は不明です。
設定温度 | 温度表現 | 備考 |
---|---|---|
(常温) | 冷や | いわゆる冷酒(冷やした酒)とは異なる |
33℃ | 日向燗 | - |
37℃ | 人肌燗 | - |
40℃ | ぬる燗 | - |
45℃ | 上燗 | - |
50℃ | 熱燗 | - |
55℃ | 飛び切り燗 | ここまでが一般的な燗酒の温度表現 |
100℃ | や燗 | 水(H2O)の沸点 |
180℃ | 天ぷら燗 | 天ぷらを揚げる際の油温 |
700℃ | アルミ燗 | アルミニウム(Al)の融点は660℃ |
1600℃ | スチール燗 | 鉄(Fe)の融点は1538℃ |
[編集済]℃ | [編集済]燗 | [編集済] |
SCP-1538-JP-1、2を使用し、100℃より高温の設定で加熱した日本酒(SCP-1538-JP-Aと指定)は異常性を獲得します。SCP-1538-JP-2~4内にある限り、SCP-1538-JP-Aは水(H2O)の沸点100℃を超えても沸騰、蒸発しません。SCP-1538-JP-AはSCP-1538-JP以外の物体や生物が触れた場合(摂取した場合を除く)、即座に蒸発します。その際、熱変性や発火、火傷等の影響は発生しません。また、SCP-1538-JP-1内の水の温度は90℃付近までしか上昇しません。SCP-1538-JP-1は不明な方法で加熱を行っており、SCP-1538-JP-Aはその消費電力からは考えられない速さで設定温度に達します。
SCP-1538-JP-Aを摂取した人間には体温の異常な上昇が発生します。摂取者の血中アルコール濃度と体温の上昇には正の相関関係があり、血中アルコール濃度0.15%1でSCP-1538-JP-Aの温度とほぼ同じになることが確認されています。SCP-1538-JP-Aと異なり、摂取者に触れた物体や生物はその高温により熱変性や発火、火傷等の影響を受けます。にもかかわらず、摂取者本人の身体にはアルコール摂取による一般的な健康上の影響しか発生しません。
また、SCP-1538-JP-Aを一口でも摂取した者は「旨い、もっと呑みたい」という衝動に駆られます。この衝動はSCP-1538-JP-Aが高温なほど、また飲み進めるほど強いものになりますが、クラスA記憶処理によって取り除くことが可能です。
SCP-1538-JPは、20██/██/██に東京都██区JR██駅西口近くの飲食店街で発生した大規模火災2の焼け跡から発見されました。出火当時、情報収集のため飲食店街に立ち寄っていたエージェント・██が「人が燃えている」という叫び声を聞き、財団に通報しました。現地消防に潜入していた財団職員が火災現場で赤熱した全裸男性を発見し、直接放水しましたが、水は男性に掛かった瞬間蒸発し温度が下がる様子は見られませんでした。発見から██時間後、男性の体温が低下してきたところを特殊耐熱防護服を装備した機動部隊によって保護しました。目撃者には記憶処理が施され、カバーストーリー「分電盤のショートによる出火」が流布されました。
この男性は付近のIT企業に勤務する40代の会社員で、エージェント・██のインタビューに対し「████で酒を飲んでいた。5、6合くらいは飲んだ」と証言しています。居酒屋「████」(火災により全焼)の焼け跡を調べたところ、無傷で焼け残っていたSCP-1538-JPを発見し収容しました。男性は酔いが覚めて体温が正常に戻った後、記憶処理を施して解放しました。財団は現在、事情を知っているとみられる「████」店主の行方を追っています。