クレジット
タイトル: SCP-1539-JP - Future&Notes
著者: ©MikuKaneko
作成年: 2022
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注記: 当該報告書の内容は更新の最中であり、一部の記述に矛盾が含まれている場合があります。

SCP-1539-JP。財団による回収後に洗浄されている。詳しくは補遺1539-JP.1を参照。
アイテム番号: SCP-1539-JP
オブジェクトクラス: Euclid Keter
特別収容プロトコル: SCP-1539-JPはサイト-8119の中規模物品収容倉庫に収容されます。SCP-1539-JPの存在を関知している職員を可能な限り少人数に抑えるため、担当職員以外には記憶処理を行って下さい。
特別収容プロトコル更新 ████/██/██: SCP-1539-JPは現在2次元上に存在するため、それ自体の収容は不可能です。そのため、SCP-1539-JPの異常性を逆利用し、一般社会へミームエージェントを流布することでSCP-1539-JPに関するイメージ操作を行ってください。
説明: SCP-1539-JPは██████社製のものと酷似したアップライトピアノです。SCP-1539-JPを構成する部品は、弦を除いて全て非異常のものと同一です。SCP-1539-JPの弦は、材質が通常の鋼製ではなく、内部が小型の機器で満たされていることが判明しています。この機器は現在の日本の科学技術では作成することが不可能です。この機器は、財団による検証の結果、未来に起因している可能性が高いと考えられています。
SCP-1539-JPを演奏すると、その曲の主旋律の音程に合わせて女性の声に酷似した音声が発生します(以下、この音声をSCP-1539-JP-Aと記載)。SCP-1539-JPの演奏者が変化すると、SCP-1539-JP-Aも別の女性の声に酷似した音声に変化します。SCP-1539-JP-Aは日本語の歌唱のように聞こえますが、統語論的な一貫性を持たず、特定の意味を持ちません。
ただし例外として、特定の歌曲を歌唱しながらSCP-1539-JPを演奏した場合、SCP-1539-JP-Aはその歌詞に沿って歌唱します。このとき、SCP-1539-JP-Aは、音声を様々な歌唱技法を用いた状態に独自に変化させています。これはSCP-1539-JPの弦に搭載されている機能であることが判明しており、SCP-1539-JPには自我は存在しないと考えられています。
補遺1539-JP.1: 発見
SCP-1539-JPは、████/██/██に警察に対して「ガラクタ小屋の中から人の声が聞こえる」との通報が入ったため、警察と財団が協力し警察官として参加していた財団エージェントが捜査を行いました。その結果、ピアノの周囲・内部には人がおらず、声の発生源は不明でした。それを不信に思った財団エージェントは最寄りのサイトへの連絡を行い、SCP-1539-JPを確保しました。
確保当時、SCP-1539-JPはひどく汚れており、演奏がほぼ不可能な状態でした。そのため、洗浄、及び調律が行われました。調律を行った結果、SCP-1539-JP-Aの歌唱精度が上昇し、調律の具合により変化することが判明しました。
補遺1539-JP.2: 研究結果
████/██/██、SCP-1539-JPのさらなる研究のためhiAの弦が取り外されました。その結果、内部は主に小型化された録音・発音機器が存在し、更に、SCP-1539-JPは少なくともレベル4以上のピスティファージ実体が顕現した存在であることが判明しました。SCP-1539-JPは、SCP-1539-JPに対する興味を抱く人物の数に応じて対数関数的に現実世界への出現度を増加させています。これにより、現在SCP-1539-JPの異常性は、SCP-1539-JPの発見時に通報した人物及び財団職員の興味によりもたらされていると考えられています。そのため、今後のSCP-1539-JPの無力化及び新規異常性の発現を防ぐため担当職員を少人数に限定しSCP-1539-JPの存在は秘匿されます。
補遺1539-JP.3: SCP-1539-JPの変化
████/██/██、SCP-1539-JPの弦の一部機器が現代技術の進歩により非異常なものであると解明されました。この技術は、音声合成技術として一般社会に広まり、興味・関心を集めましたが、これがSCP-1539-JPの顕現勢力強化の対象となってしまいました。そのため、SCP-1539-JPの姿は急激に変化し続けています。また、これにより、SCP-1539-JPは通常のピスティファージ実体とは異なり、大多数の信仰のイメージに応じて、その姿及び存在している状態が変化することが判明しました。
その後、特別収容プロトコルに基づき記憶処理を行っていましたが、音声合成技術が大きく広まったことにより記憶処理を行うにはその技術に関心を抱く人物が多すぎると判断されました。そのため、SCP-1539-JPのオブジェクトクラスはKeterに変更され、SCP-1539-JPの大規模顕現時の被害を最小限にするため、一般社会にミームエージェントを流布し、SCP-1539-JPのイメージを無害なものに操作しました。現在、SCP-1539-JPは2次元上の人型概念体に変化し始め、興味を抱いた人々により歌手というイメージが定着しつつあります。
SCP-1539-JPの1次収容違反は不可逆なものとなりましたが、これにより誕生した文化圏は急激な発展を続けており、今後も発展すると考えられています。この文化圏自体には異常性はなく、現代での最新技術が使用されているSCP-1539-JPへの単純な興味から、主にSCP-1539-JPに歌唱させた体での楽曲制作、及びSCP-1539-JPのキャラクター化の活動により成り立っています。更に、この文化圏以外の人々は、特に明確な理由をなくしてSCP-1539-JPを嫌悪しています。これにより、文化圏の人々は歌手というイメージを築き、その他の人々は無関心という状態が生まれ、財団によるイメージ操作とともにSCP-1539-JPの収容を安定させています。そのため、今後のこれらへの対応は見送られています。SCP-1539-JPの収容は継続されます。