
SCP-1545
アイテム番号: SCP-1545
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-1545はサイト-40の収容ロッカーに収められます。クリアランスレベル3未満の職員の接触は禁止されています。事案1296-1545以降、SCP-1545を他の異常物品と交差させる実験はクリアランスレベル4以上の職員の許可が都度必要となります。現時点で、他の収容措置は必要ありません。
説明: SCP-1545は、雨靴を履いたリャマの着ぐるみ(二人用)です。腹部を開けて中に入ることが出来ます。内部はこのタイプの着ぐるみとして平均的なもので、二人分の人間が入るスペースがあります。一人は後ろ足に入り、かがんで胴体部分に身体を折り曲げます。もう一人は着ぐるみの前面に立ち、前足部分に足を入れ、首の部分に身体を入れます。背中のあたりに「リャマ・ラブ・ラリー」と書かれたタグがあります。
SCP-1545の異常な効果は着用することで初めて発現します。SCP-1545を着用した被験者は、極端に「キャラクターになりきる」こととなり、前に入った者は「リャマ・ラブ・ラリー」であるかのように会話し、後ろの者は軽快に跳ね回ります。SCP-1545は極めて従順に振る舞います。
SCP-1545内部の被験者は、外部の者に引きずり出されるまで中から出ることができず、出たいとも思わないようです(出される際に抵抗はしません)。強制的にSCP-1545から引きずり出されない限り、被験者は死亡するまで1「リャマ・ラブ・ラリー」として行動し続けます。パートナーを失った被験者は、自身が死亡するまで残った半分としてふさわしい行動を続けることになります。着ぐるみから出された被験者は、SCP-1545内部にいた際の記憶を残しています。しかしながら、SCP-1545の異常性質に関する知識は持ちません。被験者たちはSCP-1545内部にいたときのことを否定的に捉えず、普通の態度であったかのように振る舞います。
SCP-1545は、郊外の廃屋で [編集済] の当局によって発見されました。犠牲者たちは脱水によって死亡していました。検屍によると、後ろ足に入った者は一日前に死亡しており、前のパートナーに引きずり回され、体中に痣が残っていました。異常性質が判明したあと、財団のスタッフがSCP-1545を押収しました。クラスA記憶処理が施されました。
補遺: 音声記録1545-A:
インタビュー対象者: D-5362、SCP-1545から引き出された直後
インタビュー担当者: フレデリックス博士
前書き: 被験者は約3時間SCP-1545の中にいた
<記録開始>
フレデリックス博士: やあ、D-5362。
D-5362: こんにちわ、先生。
フレデリックス博士: 調子はどうだい?
D-5362: 少し疲れました、先生。
フレデリックス博士: ああ、そうか。きみのダンスをずっと見ていたよ。大変疲れたことだろう!
D-5362: そうかもしれませんが、先生。みんなを楽しませなければならないんですよ!
フレデリックス博士: でも、きみは着ぐるみから出て、水を飲むことを考えたはずだ。
D-5362: それはできません、先生。夢を壊すことになります。
フレデリックス博士: 雨靴を履いたリャマと話してるんだぞ? どこに夢があるんだ?
D-5362: ああ……、あなたはぼくのようにリャマ・ラブ・ラリーを知らないのです、先生。
<記録終了>
音声記録1545-B
インタビュー対象者: D-5483、「リャマ・ラブ・ラリー」の声で
インタビュー担当者: フレデリックス博士
前書き: 被験者は二日間にわたってSCP-1545の中にいる。脱水症状で声はガラガラである。
<記録開始>
フレデリックス博士: やあ、D-5483。
D-5483: いや、ぼくはジェームスじゃない! ぼくはリャマ・ラブ・ラリーだよ!
フレデリックス博士: オーケー、ラリー。調子はどうだい?
D-5483: 最高ですよ、博士! 今日はお尻のほうがおとなしいんですが、問題ありません! ((付記:SCP-1545の後ろ足に入ったD-5484は、二時間前に息を引き取った。D-5483はD-5484を引きずっている))
フレデリックス博士: ラリー、君の中に人が入ってることには気づいてるのかな?
D-5483: それはヘルパーのことですか?
フレデリックス博士: そうだ、ヘルパーのことだ。
D-5483: ぼくのヘルパーは喜んで助けてくれますよ! 一緒にみんなを楽しませるんです!
フレデリックス博士: D-5484が死んでいることには気づいているのか、ラリー?
D-5483: 単に居眠りしてるだけですよ、博士。
<記録終了>