アイテム番号: SCP-1549-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-1549-JPはサイト-8107の標準的な低脅威物品保管ロッカーに収容されます。サイト外への持ち出しはサイト管理者の許可が必要です。SCP-1549-JPの実験への利用は現在凍結されています。過去にSCP-1549-JPが記録した映像の閲覧・コピーは可能ですが、必ず研究チームの許可を取って下さい。
説明: SCP-1549-JPは、四輪車の車内に搭載するタイプのイベントデータレコーダーです。外観・材質ともに██████社でかつて製造されていた常時映像記録型のイベントデータレコーダーと同じものです。破壊試験が禁止されているため耐久性については不明ですが、██年間で4,000回以上の実験を繰り返しても明確な劣化や破損が観察されないことから、通常の製品より耐久性に優れていると推測されています。
SCP-1549-JPは活性化すると、記録媒体であるmicroSDに対して異常な映像データを出力します。SCP-1549-JPから取り出されたmicroSDには、実在の様々な惑星の地殻上を走行する映像が保存されています(以後、この異常な映像記録をSCP-1549-JP-Aと呼称)。SCP-1549-JPの映像記録の対象となる惑星は多岐に渡り、火星と似た岩盤状の大地と赤みがかった空で覆われた惑星の場合もあれば、月と同程度の重力と薄い大気のために地表から直接宇宙空間が観測できる惑星の場合もあります。しかし木星型惑星は対象とはならないようです。SCP-1549-JPが記録の対象とする惑星はSCP-1549-JPの活性化のたびに変更され、20██年現在でその数は約3,000にのぼります。SCP-1549-JPが何を基準として記録対象の惑星を選択しているのかは不明です。しかし天文学上の統計と現在までに生成されたSCP-1549-JP-Aとを比較すると、「人類に有益な観測結果を与える惑星」が優先的に選択される傾向が確認できます。
SCP-1549-JP-Aに登場する惑星を人為的に選択する手段は発見されていません。
SCP-1549-JPが活性化するには、以下の条件をすべて満たす必要があることが判明しています。
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条件 |
備考 |
1 |
SCP-1549-JP内部に既製品のmicroSDが完全に挿入されている。 |
microSDに「外部に映像データを無線出力する」などの改造が施されていた場合、SCP-1549-JPは活性化せず。 |
2 |
SCP-1549-JPが、有人運転の地上走行車両のフロントガラス上部付近に取り付けられている。 |
飛行機や船舶、無人運転車両に取り付けてもSCP-1549-JPは活性化しない。走行中にSCP-1549-JPの位置を変化させた場合、その時点でSCP-1549-JP-Aは途切れる。 |
3 |
SCP-1549-JPを搭載した車両が、時速50km以上で連続20分以上走行し続ける。 |
20分以上走行した時点でSCP-1549-JP-Aの生成が開始される。一度生成が開始された後は、車両の速度が時速50kmより下回っても5分間はSCP-1549-JP-Aの生成が続く。 |
活性化条件1のため、SCP-1549-JP-Aは走行が終わった後でのみ確認が可能です。SCP-1549-JP-Aをリアルタイムで確認しつつ車両を走行させる試みが複数回実施されましたが、すべて失敗に終わっています。また活性化条件3のため、車両を停止させたままの状態でSCP-1549-JP-Aを長時間生成することはできません。しかし一旦車両が停止した場合でも、5分以内に車両の速度を時速50km以上に復帰させればSCP-1549-JP-Aは途切れることなく生成され続けます。
SCP-1549-JP-A内に出現し惑星の地殻上を走行する車両(以後、SCP-1549-JP-Bと呼称)については、詳細レポートを要約すると以下の通りになります。
活性化条件2のため、車内の様子は確認不可能。SCP-1549-JP-Aに車両内の人物を登場させようとする試みはすべて失敗した。このためSCP-1549-JP-Bの運転者は不明。
SCP-1549-JPを搭載する車両が変化すると、SCP-1549-JP-Bの外観もそれに合わせて変化していると推測される。
SCP-1549-JP-Bの挙動は、SCP-1549-JPを搭載した車両の動きと完全に同期する。車両がヘッドライトを点灯させれば、SCP-1549-JP-Bの前方にも照明の光が伸びる。
SCP-1549-JP-Bは実体を持っている。
SCP-1549-JP-Bは異常な耐久力を有し、恐らく破壊不可能である。
SCP-1549-JP-Bは異常な走行能力を有する。物理的に走行不可能と思われる状況でも、SCP-1549-JP-Bは常に地形に沿い、SCP-1549-JPを搭載した車両と同じ速度で走行し続ける。
上記の特徴からSCP-1549-JP-Bは、SCP-1549-JPを搭載した車両と同じ動きを、「地形に沿う」以外の物理法則を無視してSCP-1549-JP-A内で再現していると推測されます。
SCP-1549-JPは、██県のカーショップで発生した「昨日購入したドライブレコーダーが、月や小惑星の録画映像しか流さない」というクレーム騒ぎを聞きつけた財団のエージェントによって確保されました。SCP-1549-JPはサイト-8107に収容され、まずオブジェクトの危険性と性質を探るための実験が実施されました。50回ほどの実験でSCP-1549-JPに危険性がないこと、および活性化条件が明らかとなったため、次にSCP-1549-JP-Aを生成するための実験が繰り返されました。
映像記録1549-JP-A-00001 - 日付20██/██/██
実験方法: SCP-1549-JPに対する最初の実験。SCP-1549-JPを搭載した軽自動車にDクラス職員を搭乗させ、サイト-8107の敷地内を30分走行。
映像内容: 完全な暗闇に近い状態の中をSCP-1549-JP-Bが走り続ける場面で映像がスタート。強力な光源が映像内に存在しないため、宇宙空間を地表から直接観察できた。車内に響く音と振動から、惑星は粒子状の堆積物と岩盤で覆われていると予想される。SCP-1549-JP-Bは暗闇の中を問題なく10分間走行し続けたが、その挙動や走行状況を観察することはできなかった。
分析: SCP-1549-JP-Aに映った天体の配置を分析した結果、地球から██光年の距離に存在する惑星であると判明。また研究チームのメンバーより、この次の実験でSCP-1549-JPの搭載車両の走行中にヘッドライトを点灯させておくことが提案された。
映像記録1549-JP-A-00013、映像記録1549-JP-A-00014 - 日付20██/██/██
実験方法: SCP-1549-JPの活性化に必要なおおよその走行時間を把握する実験。microSDを挿入したSCP-1549-JPを財団所有の4WD車に搭載。研究者2名が4WD車に搭乗し、1名が運転を担当、もう1名がタイムウォッチを用いて時間を計測する。サイト-8107の敷地内をまず15分走行して10分停車、次に20分走行して10分停車、最後に25分走行して10分停車し実験を終える。
映像内容: この実験では2つのSCP-1549-JP-Aが得られた。SCP-1549-JP-A-00013は、不明な成分の霧により視界が全く利かない惑星上でSCP-1549-JP-Bが5分間停車したままの映像であり、資料的価値は低いと判断された。SCP-1549-JP-A-00014には細かな粒子の堆積物で覆われた惑星が登場し、映像開始時点でSCP-1549-JP-Bは暗闇の中を走行していた。映像の正面上空に光度-10等級の恒星が一つ確認でき、それはSCP-1549-JP-Bのヘッドライトを除いては映像内で唯一の実効的な光源である。映像開始から正確に2分後、SCP-1549-JP-Bが右折した。これは4WD車が3回目の走行開始から2分後にハンドルを右に切ったのと全く同じタイミングであり、SCP-1549-JP-Bの挙動がSCP-1549-JPを搭載した車両の動きと同期することが証明された。映像開始から5分後にSCP-1549-JP-Bは停車し、正面の堆積物を巻き上げた。その堆積物の動きから惑星の重力加速度が予想され、地球の10分の1程度であると結論付けられた。
分析: 天体の配置を分析した結果、映像に登場した惑星は地球から█光年の距離に存在する恒星████の周囲を回っていると推定された。
映像記録1549-JP-A-00052 - 日付20██/██/██
実験方法: SCP-1549-JP-Aの生成を目的とした最初の実験。SCP-1549-JPに大容量のmicroSDを挿入して財団所有の4WD車に搭載。研究者が4WD車に搭乗し、サイト-8107の敷地内を6時間かけて12周したのち停車。10分間その場に留まってから実験を終える。以降の実験では特に記載のない限り、これと同様の方法でSCP-1549-JP-Aを生成する。
映像内容: 赤い岩盤で覆われた惑星の、山岳の中腹から映像がスタート。この惑星の主星と推測される恒星を地平線付近に確認でき、それは光度-28等級だった。映像の揺らぎ具合から惑星の表面温度の高さが伺えるが、大気の成分が不明であるため正確な温度の計測は不可能。SCP-1549-JP-Bは途中で険しい谷、崖崩れ、マグマの噴出する地帯などに遭遇したが、特に問題なく走行を続け、その異常な走行能力を証明した。なおSCP-1549-JPを搭載した4WD車はサイトの敷地内をほぼ同一のルートで12周したが、映像内のSCP-1549-JP-Bは同じ場所を2度走ることはなかった。これは惑星の地形の起伏により進路が大きく反れたためである。
分析: 宇宙空間を観測できなかったため惑星の位置は不明。惑星の環境は火星と共通する部分があったが、重力は地球の約2倍ほどと推測される。
映像記録1549-JP-A-00059 - 日付20██/██/██
映像内容: 映像開始直後から、前方に透過度の高い不明な物質が大量に林立しているのが確認できる。上空は分厚い雲が覆っているが、雲自体がわずかに光を放っているように見え、それが映像の主要な光源となっている。林立する不明な物質は、一見すると氷のようだが、映像を詳細に観察すると気体と液体と固体の状態を不安定に行き来していることがわかる。不明な物質はたびたび空中で固まっては折り重なるようにSCP-1549-JP-Bの前に立ちふさがり、たちまち砕かれて液体の状態で飛び散っていく。地球上ではまず考えられない相転移だが、その原因が物質の特性によるものなのか、それともこの惑星の環境によるものなのかは不明である。
分析: 宇宙空間を観測できなかったため惑星の位置は不明。研究チームのメンバーの1人が、不明な物質の挙動の原因がこの惑星の気圧の不安定性である可能性を指摘。しかし映像から正確な気圧を測定することはできず、仮説に留まった。
映像記録1549-JP-A-00077 - 日付20██/██/██
映像内容: 暴風と雨の惑星。光量は十分にあったが視界は極端に悪い。SCP-1549-JP-Bの走行には風の影響は見られず。フロントガラスに繰り返し水滴が付着したが、風に吹き飛ばされるときの様子から水より粘性の低い液体であると予想された。
分析: 宇宙空間を観測できなかったため惑星の位置は不明。映像と音を分析した結果、この星の瞬間最大風速は時速400kmに達すると結論された。フロントガラスに付着した水滴の成分については、映像解析により現在も分析が続けられている。
映像記録1549-JP-A-00642 - 日付20██/██/██
映像内容: SCP-1549-JP-Bが液体の中、おそらく湖底もしくは海底と思われる場所を走る映像からスタート。深度は深いと推測され、ヘッドライト以外に映像内に実効性のある光源は存在しない。照明の中で緑色に見える堆積物がなだらかな起伏を形成している。SCP-1549-JP-Bの前方にときおり緑色に見える岩が現れるが、SCP-1549-JP-Bは問題なく粉砕して地上と全く変わらない速度で走り続ける。光の届く距離から判断すると、この海を満たす液体の透過度は地球の海とそれほど違いはない。海底の起伏以外に変化のない映像が続くが、映像開始から2時間41分後、ヘッドライトの端に白く小さな粒子が舞った。その粒子はマリンスノー(英: Marine snow)である可能性が高いと、研究チームのメンバーは後に結論した。映像開始から4時間52分後、SCP-1549-JP-Bの右前方に岩とは異なる複雑な形状を有する実体が現れた。SCP-1549-JP-Bはそのすぐ横をかすめて走行を続けた。その後は映像の中に特筆すべき変化は見られず。
分析: 映像開始から4時間52分の時点で現れたものは、脊椎を有する不明な動物の死骸と、その死骸に群がる不明な無脊椎動物であったらしいと後に判明。これが事実であれば、SCP-1549-JP-Aに生命体が登場した初めての事例となる。研究チームのメンバーの1人が鯨骨生物群集(英:Whale fall)との類似を指摘。
20██年██月までに生成された600以上のSCP-1549-JP-Aを解析した結果、それらは架空の創造物ではなく、実際の惑星上を走行した映像であると結論付けられました。対象となる惑星を選択することができない、走行中に映像記録を確認できないといった難点もあるものの、わずかなコストで外宇宙の映像を入手できる点が評価され、SCP-1549-JPの実験の継続が決定。人類が地球を旅立つ準備のための資料集積プロジェクトの一環として、20██年までに4,000以上のSCP-1549-JP-Aが生成されました。
映像記録1549-JP-A-02667 - 日付20██/██/██
映像内容: 映像は山岳地帯と推測される場所を走行する場面からスタート。赤みがかった空にこの惑星の主星と推定される恒星が3つ確認できる。1時間25分の時点でカメラの左側に広大な海が登場する。また、岩石の表面に付着した黒い塊は原子的な苔類に近いものであると推測され、この惑星が豊富なH2Oを有する可能性を示している。この仮定が事実だった場合、この惑星はハビタブルゾーンに位置する可能性がある。
分析: 映像から確認できる限りでは地球と似た環境を持つ惑星である。映像内で夜の時間帯が訪れなかったため周辺の天体の配置を確認できず、この惑星が宇宙のどこに存在するのかについて結論を出すことはできなかった。財団の天文学コミュニティは三重連星のスペクトル解析の結果を元に、この惑星の位置の特定作業を続けている。
映像記録1549-JP-A-03216 - 日付20██/██/██
映像内容: 岩盤で構成された惑星の上から映像がスタート。ときおり上空を幾筋かの光条が横切るが、その光源は確認できない。映像開始から3時間17分の時点でSCP-1549-JP-Bに近い上空を光条が横切り、その輪郭が比較的明瞭に映像に記録された。白い涙滴型の光と、その手前側に浮かぶ不明な物体が確認できる。この物体については後に何人かの科学者が人工的なものである可能性を指摘している。それから映像終了までの3時間のあいだ、光条は5分から10分程度の間隔をおいて不定期に発生し続けた。光条の光源、およびその正体は最後まで不明だった。
分析: [データ削除済]
映像記録1549-JP-A-03870 - 日付20██/██/██
※明確な映像を得られなかったため、CGによる再現図
映像内容: 映像が開始された直後から視認が困難なほどの光量のフラッシュが連続して発生。その影響かカメラが白飛びを起こし、映像は不明瞭である。地平線とその上の宇宙空間、宇宙空間に浮かぶ無数の小惑星、そして恒星とは明らかに異なる不明な天体の存在が辛うじて確認できる。異常なフラッシュはその天体から発せられているとみられる。フラッシュが生じるたびに小惑星の数が減じていくことが映像解析により確認されており、不明な天体が周囲の小惑星を破壊しているものと推測される。映像開始から224秒後、これまでで最も大きな光量のフラッシュが発生し、それを最後に映像は途切れた。これは人為的な理由以外でSCP-1549-JP-Aが中断された唯一のケースである。
分析: フラッシュの発生するタイミングや持続時間を分析した結果、ロシア語のモールス信号と似た規則性を持っていることが判明した。不明な天体がモールス信号でメッセージを送っていると仮定した場合、その内容は[データ削除]
しかし20██年██月に発生したインシデント1549-JPにより新たな危険性が発覚。財団本部は研究チームに対し、SCP-1549-JP-Aの生成の禁止を通達しました。
警告: インシデント1549-JPの閲覧には日本支部理事会メンバー1名以上の許可が必要です。
インシデント1549-JP - 日付20██/██/██
映像1549-JP-A-04049の内容: 再生直後、カメラは明白に人工的な構造物を真正面に映し出す。そこへ向けてSCP-1549-JP-Bが直進する。SCP-1549-JP-Bが構造物に到達して垂直に壁を登り始める直前、カメラは構造物表面に████語で記された[データ削除済]と読める文字を映し出した。SCP-1549-JP-Bは構造物の壁を時速60kmで登り、カメラは青空を記録する。すぐに構造物の最上段に到達したSCP-1549-JP-Bは水平方向に向きを変える。カメラに多数の構造物と1つの広場が映し出される。広場を人間型実体が多数歩いている様子が確認できる。SCP-1549-JP-Bは速度を落とさず直進。1秒で構造物の端に達すると車体先端の向きを真下に変え、速度を落とさず壁を降り始める。地面に到達したSCP-1549-JP-Bは水平方向に向きを変え、人間型実体が集まっている広場へと速度を落とさず直進する。複数の人間型実体がSCP-1549-JP-Bに気づき、口腔部を開け大きな鳴き声を上げた。録音されたその鳴き声は、恐らくは周囲の仲間に危機を知らせる警告であると推測される。広場に居た人間型実体の半分以上がSCP-1549-JP-Bを避けようと移動を始めるが、明らかに間に合わない。SCP-1549-JP-Bは速度を落とさず複数の人間型実体に衝突。鈍い衝突音とともにフロントガラスに赤い液体が付着するが、これは人間型実体の体液であると推測される。車外から今度は甲高い鳴き声が響き、これは人間型実体の悲鳴であると推測される。SCP-1549-JP-Bは速度を落とさず[データ削除]無数の悲鳴のような人間型実体の鳴き声[データ削除] フロントガラスに小型の人間型実体の頭部[以下データ削除]
インシデント内容: 研究チームが映像1549-JP-A-04049の内容を確認する7時間前、████国██████市の中央広場にて4WD車が一般市民多数を轢き殺す事件が発生。4WD車はそのまま数時間に渡って市内を暴走し続けた。目撃情報によると、その車両は速度を保ったままビルの壁面を自在に走行したという。████国の財団支部は4WD車を新たな超常現象と認定、マスコミへの情報操作と市民への記憶処理を開始。さらに機動部隊を出動させ対象車の確保を試みた。部隊が該当車と思しき4WD車を捕捉しその追跡に入ってから15分後、4WD車が唐突に停車したため確保に成功。しかし窓からその内部を伺うことはできず、ドアの開扉、車両の移動、車体の破壊のいずれも不可能だった。4WD車は停車から約5分後、機動部隊の目前で忽然と消え去った。市民の最終的な犠牲者数は███人だった。
分析: インシデント内容と映像1549-JP-A-04049を比較した結果、████国██████市に出現した4WD車はSCP-1549-JP-Bであることが判明した。
20██年██月、財団の倫理委員会は協議の末、地球圏にSCP-1549-JP-B が出現した場合の安全対策を確立するまで、SCP-1549-JPを用いた実験の凍結を決定しました。
異常存在の脅威と恐怖から人々を守る。財団の本来の使命を、そのときの我々が忘れていたことは否定できない。SCP-1549-JPが記録対象として選択する惑星は完全ランダムではない。SCP-1549-JPは統計学的に見てあり得ないほど高い確率で、科学者達にとって有意義な惑星を引き当ててきた。それはつまり、生命の存在する惑星をも高い確率で引き当てるということだ。原始の生命体が誕生した惑星に、異星の文明が発達した惑星に、そして我々の母星に、有意な確率でSCP-1549-JP-Bを解き放ち暴走させるということだ。
だが我々はSCP-1549-JPがもたらす成果に夢中になっていた。宇宙開発にどれほど資金を投入しても得られる見込みのない外宇宙の貴重な映像が、6時間分のガソリン代と引き換えに手に入るのだ。しかもそれらは、地球脱出後の人類にとって道標になりうるものだった。我々は世界終焉シナリオへの備えという美名のもと、その危険性に気づかぬふりをして実験を繰り返した。
我々が酔いしれてさえいなければ、SCP-1549-JP-Bが実体を持ち、接触したものに危害を加えることが判明した時点で実験を禁止することができたはずだ。SCP-1549-JP-Bが人々に脅威と恐怖を与え得る可能性に気が付き、財団の本来の使命を思い出したはずだ。
我々は二度と、我々の使命を忘れてはならない。- サイト管理者███
現在財団の科学部門は、SCP-1549-JPを用いた実験で想定される様々な危険への対策を盛り込んだ専用車両の開発を検討中です。最大速度制限や自動停止システムの搭載、小型化・軽量化・衝撃吸収性の強化により、重大事故発生率を0.01%以下に抑えることを目標としています。工学技術事業部門の協力のもと、20██年までに本格的な研究が開始される見込みです。