SCP-1556-JP
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SCP-1556-JPに暴露し、通報した一般人男性

アイテム番号: SCP-1556-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: 研究用のSCP-1556-JPはサイト-81██で管理されています。SCP-1556-JPの担当職員には薄型防護服の着用が義務づけられており、素肌を露出した状態でのSCP-1556-JPとの接触は禁止されています。SCP-1556-JPへの暴露を伴う実験にはサイト管理者の許可が必要です。SCP-1556-JPを内包していた箱は、発見時の状態を維持したままサイト-81██に収容されています。

SCP-1556-JPに暴露した対象は耐火加工を施した標準人型オブジェクト収容室に収容されています。対象の頭部を固定した状態で収容し、SCP-1556-JPの発生を抑制してください。発生したSCP-1556-JPは研究中のものを除き、焼却処分されます。処分の際は後頭部から数cmまでの焼却が推奨されています。残存したSCP-1556-JPは深刻な収容違反を引き起こす危険性を秘めているため、焼却後は入念な検査を行ってください。現在収容されている暴露者は102名です。

<20██/██/██ 追記>
収容されている対象に対しては、医療部門により最大限の延命が行われます。寿命、病気、その他の外因によって対象の生命が脅かされる場合はサイト管理者によって終了命令が下されます。SCP-1556-JPに暴露した対象が死亡する際に新たなSCP-1556-JP-Aの発生が予測されるため、終了前に耐燃性の媒体への定着を行ってください。使用した媒体は耐燃性ロッカーに収容されます。現在まで終了命令が下された事例はありません。

D-105610から発生したSCP-1556-JP-Aは、セラミックスに定着した上でサイト-81██に収容されています。担当職員は定期的に収容設備及び媒体のメンテナンスを行い、SCP-1556-JPの発生が確認された場合は焼却処分を行ってください。

説明: SCP-1556-JPは表面に僅かな水気を帯びた寒天状の物質です。断面は1辺10cm程の正方形ですが、暴露した対象や発生した時間によって差異が見られます。SCP-1556-JPは未知の原理で空間上に緩く固定されており、重力に従って落下することはありません。SCP-1556-JPには物理的干渉が可能ですが高弾性かつ高靭性な性質から切断・破壊することは不可能です。SCP-1556-JPに対し「押す」、「引く」などの物理的干渉を行って移動させた場合、SCP-1556-JPには元の場所に戻ろうとする復元力が働きます。この性質により元の場所から3cm以上の移動は成功していません。

SCP-1556-JPへの暴露は対象が触れることで発生します。肌とSCP-1556-JPの直接的な接触が条件であり、毛髪や切断した肉体が接触した場合に暴露することはありません。暴露した対象は頭蓋骨後部からSCP-1556-JPを発生させます。SCP-1556-JPは対象の頭部を移動させると発生するため、先述の異常性により移動経路に沿うように空間に存在します。頭部を完全に固定した場合SCP-1556-JPは発生しません。また暴露した対象の体重や体脂肪率に変化はなくその由来は不明です。乾燥させたSCP-1556-JPは可燃性であり焼却後はその異常性を失います。これまでに発生した不要なSCP-1556-JPはヒートガンで乾燥の上、焼却処分されています。

SCP-1556-JPと頭皮の間は分子レベルで密着しており結合部及び発生部の詳細は明らかになっていません。発生するSCP-1556-JPの発生量、長さは現在確認されている時点で最大████m3、最長████mです。これ以上の発生量と長さに関する実験は不要と判断され凍結中です。SCP-1556-JPの色は暴露した対象によって異なっています。また時間の経過によって変化することが判明しており、これは暴露した対象の心理状態に関連すると推測されています。例として「喜び」の感情に対しては赤色系統、「悲しみ」の感情に対しては青色系統のSCP-1556-JPが発生します。詳細は付属レポートを参照して下さい。

SCP-1556-JPは一般人の通報によってある企業が所有していた倉庫で発見、回収されました。この企業はGoI-████との関連が疑われていますが、現在は活動を縮小しているため詳細は明らかになっていません。最初のSCP-1556-JPは着火機構の装備された耐火性の箱の中で発見されました。これはSCP-1556-JPを移送するための措置であると推測されています。

財団エージェントの到着時、通報した男性はSCP-1556-JPに暴露していたため当倉庫を臨時サイト-81EXとして収容、保護されました。SCP-1556-JPの可燃性が発見された後、男性はサイト-81██の標準人型オブジェクト収容室に収容されました。これに伴い男性にはカバーストーリーが適用されています。インシデント1556-JP発生前の暴露者は通報した男性を除いて確認されていません。また男性が発見するまで箱は開封されていなかったことが証言されています。

以下は倉庫内で発見された、SCP-1556-JPに関連すると考えられる文書です。

弊社が発注した製品について


残春の候、貴社におかれましてはますますご健勝のこととお慶び申し上げます。
さて、先日貴社から送られてきた製品ですが、こちらで加工した結果、提示した要件と異なる性質を持っていたため返品とさせていただきます。
またその性質が起因して当方に深刻な被害が発生したため、損害賠償の請求も視野に入れております。ご理解ください。
こちらとしては来年の夏までに改良し、再度送っていただけたらと考えております。
今回の返品の理由は以下の点です。
  • 製品を食した場合に後頭部から製品が生じるはずが、製品と接触した場合に生じている
  • 発生した製品が時間経過により消えない
  • とんでもない破壊耐性
  • そもそも宙に浮くなんて頼んでない

参考として製品に接触した被験体のサンプルを同封しております。炎の中に手を突っ込めば製品が生じるはずです。改良の足掛かりとして参考になれば幸いです。
ご検討のほど、よろしくお願い申し上げます。

日本天草創研御中

ワンダーテインメント博士

回収された文書からSCP-1556-JPにはワンダーテインメント博士が関連していると判断されました。同時に日本天草創研についても調査が続けられています。また財団が発見したSCP-1556-JP以外にもSCP-1556-JP及びその暴露者が存在することが文中より示唆されました。こちらも調査が進行中です。文書中に示された「被験体のサンプル」は現在まで発見されていません。

補遺: 実験に使用されたD-105610の終了時、インシデント1556-JPが発生しました。詳細はインシデント記録1556-JPを参照してください。

インシデント記録1556-JP

概要: D-105610終了時、SCP-1556-JPの発生源(以下、SCP-1556-JP-Aと指定)が後頭部に非連動な移動を開始しました。D-105610の終了を起点とする一連の収容違反はインシデント1556-JPと呼称されます。なおインシデント1556-JP発生に伴い、実験に使用されたD-105610を除く4名のDクラス職員の終了は保留されています。終了されたD-105610の遺体は異常性を喪失したため、通常の手順で処分されました。

以下の記録は監視カメラ、ドローンからの映像、職員の証言に基づいて構成されています。

※その時点で発生したSCP-1556-JPの凡その色が併記されています。

[09:30] <黒色> D-105610を終了。終了措置は首尾よく行われた。

[09:31] <黒色> D-105610の死体後頭部からSCP-1556-JP-Aが分離。その後数分間死体上に留まる。SCP-1556-JP-Aの移動経路にはSCP-1556-JPが発生していた。

[09:36] <青色> SCP-1556-JP-Aが移動を開始する。対象は壁をすり抜けて約25km/hでサイト内を無秩序に移動。即座に非常事態警告が発令された。SCP-1556-JPの行動が予測不能なため、職員にはサイト外への非難命令が発動された。

[09:39] <紫色もしくは紺色> 低危険度収容ロッカー付近で一時停留する。

[09:45] <赤色> サイト内の第7実験室で一時停留する。SCP-1556-JPに関する実験は主に第7実験室で行われていたが関連は不明。

[9:59] <赤色もしくはピンク色> サイト管理室へ移動する。管理室には当時のサイト管理者を含む職員数名が待機、指示を続けていた。

[10:06] <赤色もしくはピンク色> SCP-1556-JP-Aがサイト外上空へ移動。西へ向かって斜め上方向に移動を続ける。財団は小型ドローンによる追跡を開始。また付近を通過する航空機1機の針路変更を要請し、航空交通管理センターはこれを承諾。

[11:01] <橙色> 高度約20km付近を西へ移動しながら埼玉県の上空を通過した。これを受けて財団から追跡ドローンの別動隊として火炎放射器を装備した小型ドローンが派遣され、発生したSCP-1556-JPに対して焼却プロセスが実行された。また急降下の可能性があることから、進行中のSCP-1556-JP-A直下の地域では歩行者及び車両の誘導が行われた。

[13:49] <赤色> 長野県へ侵入以降、比較的低高度を保つ。

[15:18] <緑色> 長野県██小学校上空で一時停留、旋回を行う。

[15:20] <青緑色> 降下を開始。

[15:22] <青緑色から紺色へと徐々に変遷> 運動場の中央に降下、下校中の学生がSCP-1556-JPに暴露した。その後SCP-1556-JP-Aは校舎内を無造作に通過した。これに対して現地エージェントが対応にあたったが、██小学校は集団下校の時間帯であったためSCP-1556-JPへの暴露が連鎖した。

[15:41] <深い青色もしくは紺色> 6-1教室で一時停留する。

[15:54] <黄色> 南西方向へ移動を開始。高度約1km。一般人による目撃の可能性があるため広域に記憶処理剤を散布し、マスメディアを通じてカバーストーリー「信濃ケミカルパークによる化学実験」が流布された。またインターネット上に公開された画像、動画、書き込みは削除された。

[15:59] <黄色> 長野県██村上空で停留。

[16:13] <赤色や黄色> ██村へ侵入。主に人に接触しない高度を移動していたが、SCP-1556-JP-Aが高度を落としたことで室内を通過した家屋もあった。

[16:37] <様々な色が混在> ある住家に留まる。同時に財団の機動部隊が到着し、SCP-1556-JP-Aの回収にあたった。

[16:44] <様々な色が混在、定着後は黒色> SCP-1556-JP-Aに対する深山式霊体定着法を施行しサイトへ収容。サイト管理者によりインシデント1556-JPの収束が宣言された。

インシデント1556-JPでSCP-1556-JPに暴露したサイト-81██職員3名、一般人95名(██小学校の学生53名、教員11名、██村の住人25名を含む)は全てサイト-81██に収容されました。暴露者が発生した██小学校及び██村には記憶処理と適切なカバーストーリーの展開が行われました。またインシデント収束後、SCP-1556-JP-Aが回収された住家はD-105610の生家であることが判明しました。

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サイト-81██の監視カメラより

付記: SCP-1556-JP-Aの発生時、サイト内の11台の霊体観測機器がレベルI人型霊的存在(非知性的)を検知していました。観測結果及び倉庫内で発見された文書の記述からSCP-1556-JP-AはD-105610を終了した際に発生した霊体と推測され、これに基づきSCP-1556-JP-Aの特別収容プロトコルが制定されました。制定にあたりnPDN装置の採用も検討されましたが、半永久的な定着が可能な深山式霊体定着法が採択されています。健康な暴露者を終了して媒体に定着させて収容する試みは、倫理委員会の承認待ちです。

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