SCP-1575-JP
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オスカー・トゥルンヴァルトOskar Thurnwald

アイテム番号: SCP-1575-JP

オブジェクトクラス: Euclid Neutralized

脅威レベル: 未定

特別収容プロトコル: SCP-1575-JPとして回収された全ての物品は、サイト-73の電子保管庫に収容されています。SCP-1575-JP担当職員にはクラスW記憶補強剤の継続服用が義務付けられています。

説明: SCP-1575-JPは芸術家のコレット・ニコレ氏またはヨルゴ・アデール氏が作成した全ての芸術作品です。SCP-1575-JPの大半にはこの2名が作成したことを証明する物的証拠が存在するにも拘わらず、SCP-1575-JPに関する情報を認識した人物は、SCP-1575-JPの作者がフランスで活動していたドイツ人芸術家オスカー・トゥルンヴァルト氏であると強く信じ込みます。この誤謬は論理的説明によって訂正することができません。クラスA/B記憶処理によってこの影響から脱することが可能であるものの、再びSCP-1575-JPに関する情報を認識した場合同様の誤謬に陥ります。既知の唯一の予防方法はクラスW以上の記憶補強です。なお、この影響は作者自身には及びません。

補遺1575-JP.1: 発見経緯

1973/11/21、アデール氏はフランス警察に「自分の作品が盗作されている」と相談しました。当時の警察官及び潜入していた財団エージェントは同氏の主張を信じませんでしたが、エージェントが同氏に精神検査を行ったところ異常が見られなかった為、エージェントは自身と警察官に精神検査を実施しました。結果、両名に異常な精神影響が確認された為、同氏の芸術作品が押収され研究が開始されました。当該エージェントは過去にクラスW記憶補強剤の服用経験があり、それがSCP-1575-JPによる影響が減衰した要因であると推測されています。異常性が判明した後、同氏は3名のエージェントによって財団から監視されるようになりました。

インタビューログ1575-JP-001

音声記録

対象: ヨルゴ・アデール氏

インタビュアー: ジョジュエ・リュティック研究員


[記録開始]

リュティック研究員: — さて、アデールさん。あなたの作品が盗作されている件ですが…。

アデール氏: ええ。よりによってオスカーに盗作されていると知ったときは驚きました。しかも、誰も私の言うことを信じてくれなかったもので。

リュティック研究員: ふむ。何故このようなことになったのか心当たりはありますか?

アデール氏: いいえ、全く。

リュティック研究員: なるほど。では、次にトゥルンヴァルトさんについてお聞かせください。

アデール氏: ええ。彼は私たち[データ削除]の元メンバーで、昔はよく交流していたんです。シュルレアリスムな作品をよく描く男で、中々良い絵を書いていました。確か、えー、オーシィ1から来たと言っていました。[削除済] — 同じく元メンバーです — もシュルレアリスムの画家で、よく競いあっていました。それで、私たちと暫く創作活動を続けていたんですが、段々私たちを批判するようになって、最終的には彼とその恋人を連れて[データ削除]から出ていってしまったんです。

リュティック研究員: 出ていった理由は?

アデール氏: 「一部の人間が友情で作品の評価を決めるせいで、互いの批評が役に立たなくなっている」といったようなことを言っていたと思います。元々彼はストイックな人でしたから、それが原因なのかもしれません。だから、正直盗作なんてことをするイメージがなかったんです。

リュティック研究員: なるほど。

[記録終了]


終了報告書: このインタビューの終了後、アデール氏にはクラスB記憶処理が施された。

アデール氏の生活を監視した結果、ニコレ氏が「自分もオスカーに盗作されている」と発言したことが確認されました。これにより、SCP-1575-JPの作者両名に対する財団エージェントによる監視が開始されました。また、両名の創作物は迅速に資産家として活動する財団エージェントが購入するプロトコルが暫定的に立てられました。両名の収容は、SCP-1575-JPの原因が作者であると断定できないことを理由とする、倫理委員会からの中止勧告により保留されました。SCP-1575-JPのプロトコルが制定されると同時に、トゥルンヴァルト氏の捜索が開始されました。

補遺1575-JP.2: 無力化

1973/11/28、確認されている全てのSCP-1575-JPにおいて、記憶補強無しに作者が正常に認識されるようになりました。これを受け、同年12/05にSCP-1575-JPの無力化宣言がなされ、プロトコルが解除されました。

同年12/02、フランスのバスクの家屋にてトゥルンヴァルト氏の縊死遺体が発見されました。当該家屋には複数人の生活の痕跡が存在していましたが、同氏以外の人物は確認されませんでした。同氏の自室と思われる部屋からは、ニコレ氏による手紙8枚と、トゥルンヴァルト氏による手紙11枚が発見されました。トゥルンヴァルト氏と共に活動していた2名の所在はどちらも判明しており、現在も存命です。

文書1575-JP-002

抜粋

#01(投函済)

オスカーへ

この手紙は2人には見せないでね。恥ずかしいから。

君が[データ削除]を出ていってしまったのは、とても寂しかった。でも、君が「クオリティが下がっている」というのならそうなのかもしれないし、そのメンバーでより良い創作活動ができるのならいいと思う。[削除済]と君は、何だかんだ言って仲が良いしね。3人で、お互いに違ったインスピレーションを与えあえるかもしれない。だから、私は今回のことを悪いことだとは思わない。ヨルゴも「昔の自分みたいだ」って言っていたし。

ただ、どうか、後悔しないようにしてほしい。みんなは本当に怒っていた。君の行動がどんどん敵を作って、そのせいでどんどん君が追い込まれていくのなんて見たくない。だから、後悔のない選択をしてね。

コレットより


#02(投函済)

親愛なるコレット

手紙をくれてありがとう。

最近の私たちは非常に有意義な活動をしている。このアトリエで創作した作品は全て素晴らしいもので、どれも高い値段で売れた。何より、友情で汚れていない純粋な批評が飛び交っている。ここは本当に最高だ。

君もここに来ないか?私も、2人も、君が来たら喜んで迎えるだろう。批評はともかくとして、君の芸術的センスは実に素晴らしい。前向きに検討してほしい。

オスカー


#03(投函済)

オスカーへ

返事をくれて驚いた。君も手紙を書くんだね。

君が幸せそうで私も嬉しいよ。ただ、そっちに行くことはないと思う。私はこっちでも十分に充実しているし、有意義な活動もできているから。ごめんね、オスカー。

ただ、どうしても君が心配になってしまうから、こうやって手紙のやり取りは続けたいな。君がいいなら、また返事を頂戴ね。

コレットより


#04(投函済)

親愛なるコレット

そうか、残念だ。君も、結局は私と相容れないのだろう。だが、文通はしよう。君のことは私も気になるからな。

近況を伝えるならば、私たちは益々順調だ。昨日、作品の値段を上げた。2私たちの作品のクオリティは良い批評によって一層洗練され、最早欠点を見つけることすら困難な段階に到達した。そっちは、もしかしたら友情に甘えているせいで余計に売れなくなっているかもしれないな。まあ、お互い良いことがあるといいな。

オスカー


#05(投函済)

オスカーへ

そっか、良かった。そっちが順調なら、私も安心して自分の創作に集中できるし。とにかく、君たちの活動を応援しているよ。

こっちはまあ良くやってるよ。この間は依頼ももらってね、頑張って風景画を描いたんだ。そしたら、「素晴らしい」って言ってもらえてね。本当に嬉しかった。やっぱり、絵を描くって良いものだね。

そういえば、この間ヨルゴが個展を開いたんだ。すごいよね、[データ削除]で初めて個展が開かれたんだよ。今度パーティーをするから、時間があれば来て欲しいな。

コレットより


#06(投函済)

親愛なるコレット

[データ削除]の世俗への堕落も甚だしいな。リーダー3が個展だと?グループとしての自覚が足りない。きっと、彼の作品は目も当てられないようなものなのだろうな。そんなところのパーティーに行くつもりはない。

だが、依頼を受けるようになったのは良い兆候だろう。[削除済]もこの間から依頼を受け始めた。彼のシュルレアリスムが世界を変える日も近いだろう。尤も、私の方がその腕は上だが。

オスカー


#07(投函済)

オスカーへ

色々書きたいことはあるけど、取り敢えず2つだけ。

まず、君の予想とは違って、ヨルゴの彫刻は素晴らしかったよ。君も一度見に来れば良かったのに。前にも書いたけど、ヨルゴは君に怒ってなんかいないし。

そして、[削除済]が仕事を始めたって本当?正直、私は信じられない。彼は自分の創作一筋だった筈なのに。一体何があったの?彼が仕事をしないといけないくらいのことがあったの?もしそうなら教えて。私も少しは援助できるから。お願いだから、無理はしないで。

コレットより


#08(投函済)

親愛なるコレット

心配は無用だ。私たちの活動は至って順調だよ。4むしろ、私は友情による批評に溺れた君たちの方が心配だ。

だが、ほんの少しの陰りがあることは事実かもしれない。この間、2人がキスしていたところを見てしまった。どうやら、彼らは私の見ていないところで交際していたようだ。別にそれを気にするほど私は小さい人間ではないが、それが作品のクオリティの微々たる低下に繋がっているのなら話は別だ。今度、彼らと腹を割って話してみようと思う。

オスカー


#09(投函済)

オスカーへ

返事が遅れてしまってごめん。こっちも色々忙しくて。

取り敢えず問題ないんだね?なら、私も一安心だけど。ただ、2人の関係は君も[データ削除]を抜ける前から知っていたんじゃないの?皆の間で結構有名だったのに。とにかく、男女のことにあまり口を出さない方がいいよ。3人の関係を保つ為にも。

コレットより


#10(投函済)

親愛なるコレット

あいつと喧嘩した。彼は「もう俺たちは一流の芸術家とは言えない」と言って出ていったが、私はそうは思わない。あの女も彼についていった。実に愚かな連中だ。

今日は、絵も手紙も筆が進まない。

オスカー


#11(投函済)

オスカーへ

暫く驚いて筆を取れなかった。本当に何があったの?強がってないで教えて、君が心配でならないよ。

コレットより


#12(投函済)

親愛なるコレット

私も依頼を受けることにした。依頼は最早私の手に負えない程だが5、来る依頼はどれも私の作風には全く合っていないものばかりだ。何故、私に肖像画ばかり描かせるのか。

とにかく、私は君の近況が気になる。そちらこそ、君の方の状況を教えてくれ。

オスカー


#13(投函済)

オスカーへ

ああ、ごめんね。忘れていたよ。ちょうど言いたいことができたから報告するね。

この間から、ヨルゴと付き合い始めたんだ。彼から得られるインスピレーションはとても素晴らしいし、何より一緒に過ごしていてすごく楽しい。それに、私もついに個展を開けるようになったんだよ。この前は来てくれなかったけど、今度こそちゃんと来てね。待っているから。

コレットより


#14(未投函)

[紙面がインクで黒く乱雑に塗りつぶされている。中には「コレット」「描けない」「奪われた」という文字列が存在しているように見える]


#15(投函済)

コレット

この間、君の絵が売られているのを見た。本当に素晴らしかった。そして、本当に憎たらしかった。

君の絵を買った。サインを塗りつぶして、上から私のサインを書いて、私の絵として売ってやった。これで私という芸術家は保たれる。

オスカー


#16(投函済)

オスカーへ

本当に残念に思うよ。君が、そんな酷いことをするなんて。

今まで送ってくれた手紙は返す。もう、二度と手紙を送ってこないで。


#17(未投函)

コレット

依頼が全く来ない。あの太った男と喧嘩したからだろうか?全く、無駄に庶民に顔の広い男だ。

オーシィにいた頃の知識を生かして、お前たちの作品を私のものにする仕組みを作った。これでもう、何も心配することがない。私の懐は空っぽになってしまったが、私の誇りは満たされる。ざまあ見ろ。

オスカー


#18(未投函)

何も描けない

お前たちは描けるのに

私には


#19(未投函)

これを最後の手紙にする。

私は惨めだ。絵を描く能力も、友も、思い人も、金も、誇りも、何もかも失ってしまった。私の生きる意味すらも。最早、生きる道は無い。

コレット、答えてくれ。Qui était à blâ6

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