SCP-1576-JP
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アイテム番号: SCP-1576-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-1576-JP及びSCP-1576-JP-Aを記録した媒体はサイト-3304の非自律アノマリー収容ユニットに収容されます。SCP-1576-JPの閲覧には担当者及びサイト管理者による許可が必要です。実験等によりSCP-1576-JP-Aに暴露する恐れのある人員は対ミーム予防措置を取らなければなりません。

財団管理外におけるSCP-1576-JP関連事象の発生が確認された場合、直ちに対ミーム予防措置を取った人員によって情報統制が施された後、記憶処理その他必要な手段を用いた除染が行われます。

説明: SCP-1576-JPは異常性を持つ数学の命題です。SCP-1576-JPは後述の対象によってしばしば“神の存在証明”であると主張されています。しかしながら、SCP-1576-JPの命題そのものに内在する論理的矛盾及び数学的誤りのため、論理的にSCP-1576-JPの証明ないし反証を行うことは不可能です。

SCP-1576-JPの異常性は、何らかの宗教またはそれに準ずる教条的思想を持ち、かつ高等教育修了段階に相当する数学的能力を有する者(以下対象)によって認知された場合に発現します。対象は、SCP-1576-JPの内容が前記のようなものであるにも関わらず、不明な論理プロセスによってSCP-1576-JPの証明を試みることができます。対象がSCP-1576-JPの証明に成功したとの確証に至った場合、対象はその命題が真であると強く信じ込むようになります。この精神影響は対象の宗教的思想に適合する形で形成されるようです1。対象によって行われたSCP-1576-JP証明の過程はSCP-1576-JP-Aに指定されます。

SCP-1576-JP-Aは異常なミーム的性質を帯び、その大部分または全部を理解した人物は対象と同様の精神影響を被ります。対ミーム措置は必然的にSCP-1576-JP-Aの理解を妨げるため、ミーム汚染を受けずにSCP-1576-JP-Aの全貌を理解することは不可能です。この精神影響は記憶処理による関連記憶の抹消により除去することが可能です。

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POI-1347。写真は事案[削除済]の際に境界線イニシアチブから供与されたもの。

SCP-1576-JPはフランス共和国シェール県ブールジュにおいて、応用奇跡工学者として知られるダニエル・マスカールことPOI-13472の死後、彼の潜伏先と見られる民家において書きかけの論文に記載された状態で発見されました。当該論文には彼の研究に関連する複数の数学的・哲学的命題が聖書的韻文とともに記載されていましたが、SCP-1576-JPを除いて収容に値する異常性を有するものは確認されていません。以下に関連部部を抜粋します。
 
注記: SCP-1576-JP並びにSCP-1576-JP-A部分はセキュリティ及びミーム汚染防止の観点から削除されています。
 
 

(前略)
 
私は輝かんばかりのアキヴァの高まりの中で、それが主御自身の御言葉であることを知った。そして私は、主が御自らを世界に示されるまでもなく、主の大いなる被造物である世界の法則そのものに主の存在の秘密が隠されていることを知った。すなわち、数そのものに。
 
我々は誰しも、最も偉大なる数が7であることを知っている。なぜならば、世界は7によって成り立っているのであるから。また、我らは3の偉大さを知っている。なぜなら、それは最も安定な数であるから。そしてこれらの和である10は、いみじくも先駆者聖ピタゴラスが述べているように、万物の調和を表している。
 
私はこれら3つの数と、これまでに学んだ主の秘密をもとに、以下の神聖なる命題とその証明を導き出した。
すなわち、
 
[削除済]
 
かくのごとく、まことに主はおられる。
ついにすべての人々が主の御名を讃えるであろう。
かくあれかし。 

財団による調査の結果、SCP-1576-JP関連事象におけるアキヴァ放射の有意な変動は検出されませんでした。これはSCP-1576-JPに対する特定の神格の不関与を示唆するものです。

補遺: 2010年3月4日、アリエ県モンリソンにおいてSCP-1576-JPの収容違反の発生が確認されました。この収容違反の背景には、同地で活動中の“神秘主義終焉のための無神論者協会3”、通称“SAPHIR”の関与があったことが明らかになっています。暴露の条件として長大なSCP-1576-JP-Aの内容への理解が求められる当該ミームの性質上、収容違反は小規模なものに留まり、最終的には同団体自身の手によって終息したものと見られています。この過程において、不特定の複数のSAPHIR構成員及び2名の民間人がSAPHIRによるミーム汚染除去のために死亡しました。

SAPHIRの団体としての性質上4、今後同団体がSCP-1576-JPを積極的に利用する可能性は低いと考えられています。ただし、依然としてSAPHIRがSCP-1576-JPを保有している可能性、また他の個人・団体にもSCP-1576-JPが流出している可能性は否定できないことから、財団外における関連事象の監視は継続されます。

なお、この事案に際し、財団諜報部は以下の文書の入手に成功しています。

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神の不在証明の完了報告


ZIRCON BERYL エマニュエル・フェリエによる



何らかの神、あるいは精霊、あるいは他の目に見えない超常的存在への盲目的信頼及び奉仕が全人類の理性と独立にとって無視できぬ脅威であることは、我らが創設以来度重ねて主張してきた事実である。中でもメカニトやフィフシスト、オルトサンに代表される超常宗教は、他のくだらない迷信とは隔絶した脅威であると見做さざるをえない。
 
これは単に彼らが人心を惑わすに当たって超常の手段を用いうるためだけに留まらず、なまじ彼らが超常の知識を有しているがために、その宗教的盲信が極めて強固なものとなっているためでもある。とりもなおさず、彼らは自らが持つ超常の物品や能力が彼らの神に対する存在証明になると考えているのである。
 
この強迫的観念を打ち砕くには、確たる科学的証拠が必要である――すなわち、反証が。
 
我々はかつて境界線イニシアチブと関わりのある神学者(神学に現を抜かす者を学者と呼ぶのはいささか不本意ではあるが)が神の存在を示す命題の証明を試みているとの情報を入手した。その命題とは以下のものである。
 
[SCP-1576-JP記載部分につき削除]
  
私と私のチームは、これまで長年にわたりこの命題の研究を行ってきた。いうまでもなく、その反証(すなわち神の不在証明)を試みるためだ。そしてついに、この命題への反証を示すことに成功した。以下に我々の成果を示す。
 
[SCP-1576-JP-A記載部分につき削除]
 
よって神は存在しない。(Q.E.D.)
 
これはイニシアチブが奉ずるアブラハム宗教の主神が陳腐な想像上の産物に過ぎないことを示している。そればかりか、他のすべての神々の不存在を示唆するものでもあるのだ。これは我々の科学と理性の輝かしき勝利と呼んで差し支えあるまい。
 
そして未だ宗教への誤った情熱を捨てぬ者どもに、我らははっきりと告げる。
 
メカーネは錆び付いたガラクタの山だ。5は単なる数である。ラクマウ・ルーサンは貧血症で死にかけの寄生虫に過ぎない。
 
今こそ真実を受け入れるときだ。
 
我らは諸君の誤った信仰を打ち砕くであろう。
 
我らの輝きを恐れよ!

疑わしきは、疑え。When in doubt, doubt.


付記: 上記の事案は、SCP-1576-JPがSAPHIRの無神論思想をある種の教義であると見做したことを示唆するものです。ただし、これまで財団において無神論者がSCP-1576-JPの対象となったことはなかったこと、またSAPHIR内部にもSCP-1576-JPの異常性を認識して対処にあたった者が存在したと推測されることから、対象となるには単に無宗教・無神論的思想を持つだけでは足りず、ある種の宗教的情熱または教条的と呼ぶに足る体系化、あるいはその両方が求められるのではないかとの仮説が提唱されています。現在この仮説を検証するための実験が提案されています。
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