SCP-1596
評価: +2+x

アイテム番号: SCP-1596

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-1596はサイト-██のセクションR-█、セキュリティボックス107に保管されます。室温は摂氏10℃から20℃の間を、湿度は45-55%を維持してください。SCP-1596を使用する実験は、少なくとも1名のレベル4スタッフメンバーが現場で監督しなければなりません。 SCP-1596を用いた全ての実験は、更なる調査の間、無期限に中止となります。 -O5

説明: SCP-1596は、これといった特徴の無いマッチ箱です。内部には██本のマッチが入っており、それらのサイズや外観は全て標準的なものです。SCP-1596の起源または製造元を追跡する試みは未だに結果を得るに至っておらず、研究者による更なる調査が奨励されています。

SCP-1596のマッチを箱の側面に擦りつけると、約26~34秒間燃え上がり、その後の火は燻って消えていきます。点火されているにも拘らず、SCP-1596から出したマッチは火が消えた後に損傷の兆候を示しておらず、事実上、一切のダメージなしに何度でも使用可能です。SCP-1596以外のオブジェクトでマッチを点火する試みは無益である事が証明されており、マッチの火をその他のオブジェクトに移す事も同様に不可能のようです。

SCP-1596のマッチを灯すと、それを灯した人物(以下、”対象”と呼称)の”家”では正確に同じ時間に火災が発生し、マッチが燃えるのに合わせて着実に拡大し、最終的には家を全焼させる事が観察されています。この火災を抑制・消火する試みは成功しない事が証明されていますが、炎は建築物内に留まり、周辺環境には広がらない事が観察されています。炎は、建築物全体とその全ての内容物が(生物も非生物も)破壊されるまで燃え続けます。

補遺: █████博士の実験記録
実験1
対象: エージェント███████
状況: 対象はサイト-██から約██マイルの距離に住んでおり、実験前にSCP-1596の性質について説明を受けた。彼女の家からは、事前に全ての所有物が持ち出された。
結果: 対象の自宅の監視を割り当てられたスタッフは、彼女がSCP-1596のマッチを灯したのと正確に同じ瞬間に火災発生を確認。報告書は、火元が二階にある一番左の部屋である事を示している。対象はその部屋が彼女の寝室であり、時間の大半を費やしている部屋であることを確認した。実験中、対象はガソリンに浸した布切れにマッチで点火を試みたが、全ての試みは失敗に終わった。対象は協力を感謝され、埋め合わせとして彼女の家の110%に相当する報酬を受け取った。

マッチの火は他の物質に拡散できない”不毛”なものらしい。更なる実験でこの特異性を探る事が出来るだろう。加えて、火災発生地点と対象が時間の大半を費やしている場所には繋がりがあるようだ。これは、SCP-1596と対象者の”家”の間には全く何の関連性も無いという事を意味し得る。結局のところ、大部分の対象は自宅で時間の大半を過ごしているわけだから。 - █████博士

実験2
対象: エージェント███
状況: 対象は、この実験のために財団中国支部から飛行機でやって来た。実験1と同様に、対象はSCP-1596の性質について知らされ、事前に自宅を整理する時間を与えられていた。
結果: 対象は、他のマッチ箱3つと直火を含む様々な物体でマッチに点火を試みるのが記録された。SCP-1596で擦られるまでマッチの火は灯らないままだった。対象の家に割り当てられたスタッフは、火災がまたしてもマッチ点火の正確な瞬間に発生した事を報告。時間的なズレは記録されなかった。火災は一階の右側で発生した事が観察され、対象はそこが彼の”仕事部屋”であり時間の大半を費やしている事を確認した。マッチが灯っている間、対象はそれを用いてSCP-1596から出した別のマッチに点火を試みた。数回の試みにも拘らず、マッチの炎は拡散することなく燃え尽きた。対象は協力を感謝され、埋め合わせとして彼の家の110%に相当する報酬を受け取った。

実験2は、マッチがSCP-1596以外では点火できない事と、マッチの炎がいかなる物質にも燃え広がらない事を示唆しているようだ。加えて、距離はSCP-1596の影響において重要な要素には成りえない事が観察され、実験2は「SCP-1596は対象の"家"ではなく、最も時間を過ごしている場所に関連している」という私の仮説の信憑性を増してくれたように思える。 - █████博士

実験3
対象: エージェント██████
状況: SCP-1596のマッチがロボットアームに取り付けられ、起動時にSCP-1596にぶつかるように配置された。対象は別の部屋に入り、アームを起動してマッチに点火するよう指示が出たらボタンを押すように指示された。前述のように、対象はSCP-1596の性質について警告を受け、準備する機会を与えられていた。
結果: 対象の家に割り当てられたスタッフは火災を報告せず。続く調査でも屋内に火災被害の痕は発見されなかった。2時間後、対象に、██████の███████████████にある幼少期を過ごした家で住宅火災が発生した旨が通知された。火災のパターンは実験1および2に見られたものと一致し、対象の近親者█名が死亡。対象には悲嘆に起因する無期限の休暇が与えられた。復帰の際、彼は幼少期の家こそ「本当の意味で家だと感じていた」場所であった事を明かした。また、質問を受けた際に対象は、調査によって火元である事が示されたキッチンは「[彼の]昔の家を[彼が]思う時、真っ先に思い浮かぶ場所」だったと確認した。実験3に参加した記憶を封印するための記憶処置を受けたいという対象の要求は却下され、代わりに財団の精神科センターでカウンセリングが予約された。

我々は、今回の住宅火災が単なる偶然の出来事で、SCP-1596は直接的に灯さなければ活性化しないという可能性を排除することはまだできない。しかし、「蹄の跡を見たら、シマウマでは無く馬を想像しろ」と言うではないか。SCP-1596は、対象が家であると最も”感じて”いる場所の事を”感じ取る”テレパシー的な能力を持っている可能性がある。これは私の以前の説を否定するものだ。より多くの実験が必要とされるだろうが、追って通知があるまでSCP-1596のEuclid再分類を申請する事にしよう。 - █████博士

O5からの通知 - SCP-1596を用いた全ての実験/試験は、その性質について更なる再検討が行われている間は無期限に中断されます。再分類要求もまた同様に評価の対象となります。

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