セイルのみを浮上させたSCP-160-JP。 |
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アイテム番号: SCP-160-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-160-JPはセクター8192内の厚さ3 mの鉄筋コンクリートと厚さ500 mmの装甲シャッターを備えたシェルターに収容し、乾ドックの架台に固定してください。その際、走行装置のカタピラは分解保管してください。また、不審な電波輻射を行っていないか24時間体制で監視を行ってください。現在、SCP-160-JPは半年に1回の間隔で活動を活性化させています。SCP-160-JPに関する実験はこの活性終了後に行うものとし、セキュリティレベル4以上の職員の監督下で回収船「富士壺」の支援を仰いでください。実験中は収容違反を防ぐために遠隔式爆破装置を積載し、短魚雷を搭載したヘリコプターを待機させてください。
説明: SCP-160-JPは、一見すると大日本帝国海軍が第2次世界大戦中に製造した特殊潜航艇に酷似しています。寸法は、全長18 m、全幅1,8 m、水中排水量は約60 tです。初期の調査は回収船「富士壺」にて行われましたが、現存する記録にある潜航艇とは明らかに異なる点が報告されました。SCP-160-JPには魚雷発射管などの兵装は確認されませんが、艇側面には取り付け部分と思しき箇所が発見されています。艇内は座席の配置などから3名乗りと推測されますが、搭乗員がいた形跡はありませんでした。操縦席付近にはオシロスコープに接続された機器が複数ありましたが、全て強力な通電によって破壊されており、捕獲寸前に自壊させたと見られています。また、SCP-160-JPの艇下部にはカタピラ式の走行装置が備えられています。これは自走して海中に入るため、あるいは海底や浅瀬での移動のためだと推測されます。
SCP-160-JPのより詳しい調査はセクター8192で行われ、「富士壺」船上での調査結果に加えて新たに特異な性質が確認されました。艇全体はチタン合金に酷似した素材で構成されており、特に内部の耐圧殻は既存の潜航艇の構造材よりもはるかに強靭です。水圧試験ではマリアナ海溝の底部に等しい11,000 mの水圧にも耐えることが証明されました。Dクラスを用いた実験では、いかなる深度設定においても艇内は1気圧を維持し搭乗員の生命に問題が無いことも証明しました。機関部は艇内部からアクセスできるようになっていましたが、内部には「マル四(○の中に漢数字の四)高圧電池」と「第十研試製水素発動機」と銘版に記入された機材が発見されました。これらは現代の技術水準から見ても異常に高度な完成度を維持しており、1940年代当時の日本軍では、船体はおろか各種機材も製造できないと結論付けられました。
SCP-160-JPは、19██/██/█/にI5サイト群に属する████島の沿岸部で確認されました。
同日の午前5時頃、島の西側20 kmを通過していた漁船から「不審な船が航行している。」と海上保安庁第█管区の保安署へ通報があり、巡視船████が出動しました。この件は海上保安庁内部に配置されていた財団職員によって████島保安責任者に報告が行われ、財団は不審船の存在を認知しました。巡視船と保安署の通信を傍受した結果、不審船が████島に針路を取っていると判明。海上保安庁に対して、不審船は荒天で流失してしまった個人のヨットであるとの偽装を行いました。
その後、侵入阻止規定に則り回収船「富士壺」の高速艇2隻と機動部隊ゐ-3「権瑞玉」による拿捕作戦が発令され、島の南西4 kmで不審船は捕捉されました。ここで初めて不審船が潜航艇であると確認されましたが、島の周囲に設置された水中聴音機と磁気探知機に反応はありませんでした。高速艇に同乗した機動部隊ゐ-3の隊員が臨検を行いましたが、内部は無人の状態であるにも関わらず機関などは動き続けていました。機動部隊到着まで監視を行っていたヘリコプターは、搭乗員の出入りを確認していません。臨検直後に不審船は強力な電波輻射を行い逃走を図りましたが、高速艇の捕獲網によって航行不能となり「富士壺」に収容されました。財団は、この不審船が無人で行動していた事実に加えて「富士壺」からの調査報告を鑑み、SCP-160-JPと定義した上でさらに詳しい調査を行うことを決定しました。SCP-160-JPは19██/██/██/にセクター8192へ引き渡されました。
SCP-160-JPは、調査の結果からもあくまで有人の乗り物であり、遠隔操縦できる機構ではないと判明しています。このため、潜航艇そのものに自律意思があると推測されますが、セクター8192へ移送後は無人での活動が観測されませんでした。このため、一時Anomalousへの再分類が検討されていましたが、収容から半年後の19██/██/██に発生した重大な収容違反によって再分類の提案は無期限保留とされました。
補遺-160-JP-1
捕獲の際にSCP-160-JPが行った電波輻射の内容は「カゴ ノ ナカ ノ トリ」であると判明しました。日本支部は、この不審船が要注意団体による偵察ではないかと推測し████島に厳戒態勢を敷きましたが、7日後には解除されました。
補遺-160-JP-2: 19██/██/██の収容違反時の電波輻射の内容