SCP-1602-JP
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アイテム番号: SCP-1602-JP

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京都府道38号線を歩行中のSCP-1602-JP(中央左)

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-1602-JPは現在サイト-8175に所在する霊的実体用大型収容房に収容されています。収容房は常に接地され、耐熱設備が設けられます。SCP-1602-JPの行動は常時監視され、SCP-1602-JPによる不審な行動が観察された場合は非物質変異無効装置 (nPDN) またはメトカーフ非実体反射力場発生器の作動が実施されます。実験の実施にはレベル3/1602-JPを保持する職員2名以上による承認が必要です。

説明: SCP-1602-JPは身長約4 mのレベルIII霊的実体です。SCP-1602-JPは脚部がやや伸長していることを除いて一般的な民間人と同様の容姿及び服装を有しており、相貌は2012/02/25に福岡県太宰府市で行方不明になった高岳 敦也氏に類似していることが確認されています。通常は非実体化していますが、nPDNによる実体化が可能です。また、出現中は肉眼による観察が可能です。

SCP-1602-JPは不定期に日本国内の鳥居をくぐるようにして出現します。出現時間は日没から明け方であると考えられています。その後、SCP-1602-JPはうつむいたまま目を閉じ、童謡『通りゃんせ』を口ずさみながら路上の歩行を開始します。歩行中、SCP-1602-JPは以下のような影響を周囲に所在する人間に与えます。当該影響はSCP-1602-JPに接近するほど強くなり、しばしば致死的なものに達します。

  • 強い恐怖感や不安感。
  • マラリアに類似する重篤な症状。
  • 由来不明の高電圧電流による感電。
  • 人体の発火または熱傷。

歩行中のSCP-1602-JPが攻撃を受けた、もしくは警戒状態になった場合、SCP-1602-JPは自身に最も近い鳥居に向かって逃避し、当該鳥居をくぐることによって消失します。この逃避行動はフィールドエージェントによって“非常に敏捷”であると評価されています。日の出を迎えた、または鳥居を用いて逃避を行った場合、SCP-1602-JPは消失します。


補遺1602-JP.1: 車道博士の提言

当該提言は2012/03/15に提出されました。

車道博士の提言


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清涼殿を襲撃する火雷火気毒王

SCP-1602-JPに関する諸考察について提言します。

まず、誕生の経緯について考察します。

調査の結果、高岳氏は職場での昇進を妬んだ同僚(今池 貞夫氏)の策略に陥り、虚偽の失敗の責任を課されたことによって地方に左遷され、今池氏に対して強い恨みを持っていたことがわかりました。日記の内容から、高岳氏は自身が幼少期から優秀な成績を収めていたこと、昇進を順調に重ねていったこと及び同僚の策略によって陥れられたことを菅原道真の境遇に重ねており、道真を神格化した神格群(以下“天神てんじん”と呼称)に心酔していたことが示唆されました。高岳氏は天神を召喚することが自身の苦境及び世界の理不尽を解決する方法であると信じており、その結果高岳氏は各要注意団体への接触によって呪術的、神秘学的あるいは奇跡論的手段を研究し、天神の召喚を試みたものと考えられています。

高岳氏が失踪したと考えられる2月25日は菅原道真が逝去した日であり、失踪現場付近には道真が埋葬されたと伝えられる太宰府天満宮(安楽寺)が存在しています。また、SCP-1602-JPが唱えている童謡『通りゃんせ』の歌詞は“自分の子供が菅原道真のように賢く、無事に育つことを願い、天神に参詣する”という意味を有しています。したがって、高岳氏は自身の身体を依り代にして道真の御霊ごりょうを継承する形で天神を召喚し、不安定ながらも“天神になるように願う”歌を唱えることで神格を身体に留め続けていると考えられています。しかし、調査資料を神学部門及び秘儀術部門において分析した結果、高岳氏の召喚方法には複数の問題点が存在すること、高岳氏の認知抵抗値が神格の依り代となるのに十分ではない可能性があることなどが指摘されました。したがって、SCP-1602-JPは神格の影響が暴走している状態であることが示唆されました。

次に、SCP-1602-JPの性質について考察します。

先述の通り、高岳氏が天神を召喚した目的の一つは、高岳氏が被った冤罪を晴らすことであると考えられています。確かに天神は“雪冤の神1”の側面を有していますが、当該神格はそれにもまして“懲罰の神”としての側面が強いということが指摘されています。菅原道真の学者としての優秀さ、天皇への赤誠、無実の罪で流刑となった悲劇性などは民間人に広く親しまれ、それゆえに死後に発生した一連の事件2は道真の無念から発生した怨霊によるものであるということが一層強く認知されました。その結果、天満大自在天神、火雷火気毒王、日本太政威徳天などの神格が発生し、これら“勧善懲悪の神”は民間信仰によって巨大な神威を得ることになりました。高岳氏の場合、召喚方法のあやまちから、召喚したのは“雪冤の神”の神格要素を有する“天満大自在天神”ではなく天神の憤怒を現世に表出させる役割を担う“火雷火気毒王3”または“ 柘榴ざくろ天神4”ではないかという仮説が秘儀術部門によって提唱されています。当該神格の神威を制御できていないために、SCP-1602-JPは近傍の人間に対する攻撃的異常性を有していると考えられています。

また、SCP-1602-JPは鳥居をくぐることによる出現及び消失が可能ですが、これは鳥居が俗世と神域を繋げる門であり、幽世かくりよ顕世うつしよの往来に適した呪具であることが理由として指摘されています。

最後に、SCP-1602-JPの目的について考察します。

先述した誕生の経緯から、SCP-1602-JPが今池氏を捜索または追跡していることは容易に示唆されます。各事案記録からSCP-1602-JPの出現場所の法則を導くことは成功していませんが、一方でこれはSCP-1602-JPが今池氏の所在をいまだに把握していないことを示している可能性があります。したがって、SCP-1602-JPは “天罰”を与えるために、全国各地を徘徊して今池氏を捜索していることが推測されています。

上記の推測から今池氏をSCP-1602-JPの誘導に用いる方法が提案されましたが、天神の神格規模などの点から、今池氏とSCP-1602-JPとの接触の際に発生する周囲への被害の規模が甚大なものになる可能性があることが秘儀術部門によって指摘されています。したがって、現在今池氏をSCP-1602-JP収容作業に用いることは保留となっています。

提言は以上です。破壊的影響を有したKeterクラスオブジェクトとして、SCP-1602-JPの一刻も早い収容が求められます。


補遺1602-JP.2: プロトコル・籠目

当該プロトコルは2012/03/15に車道博士によって提案されました。

プロトコル・籠目

LEVEL 3/1602-JP CLASSIFIED


目的: nPDN等を用いた実体化及び物理的拘束によって、SCP-1602-JPを収容状態に移行させます。

方法: 出現したSCP-1602-JPに対して、対霊障装備、対高電圧装備及び捕縛用器具を所持した複数名のフィールドエージェントを包囲するようにして配置します。この際、SCP-1602-JPの外部への逃避を防ぐために可能ならば建物などの物理的障害を利用します。包囲を確認した後、適切な兵器によって包囲線内に所在する鳥居を破壊し、SCP-1602-JPの逃避を防止します。その後nPDN及び物理的捕縛用器具を併用した手順によって、SCP-1602-JPを確保します。

補足: 本プロトコル施行中、今池 貞夫氏(PoI-1602-JPに指定)はサイト-8175に収容され、SCP-1602-JPとの接触が防止されます。

本プロトコル施行中、日本支部各サイトにはSCP-1602-JP確保用装備一式が備蓄され、SCP-1602-JP出現後10分間以内に6名以上のフィールドエージェントが到着できるように配備されます。


補遺1602-JP.3: 事案記録

以下にSCP-1602-JPが出現した事案記録を抜粋して記載します。プロトコル・籠目は事案記録1602-JP-7以降に施行が開始されたことを留意してください。

事案記録1602-JP-2


日時: 2012/03/03 19時ごろ
出現場所: 兵庫県あわじ市 自凝おのころ島神社


概要: 対霊障装備、対高電圧装備及び霊的実体捕縛用器具を所持したフィールドエージェント3名が派遣された。エクテシア銃5によってSCP-1602-JPの鎮静化を試みたころ、SCP-1602-JPの動作は緩慢になったものの、そのまま移動する形で自凝島神社の大鳥居に“速やかに”戻り、消失した。特筆すべき点として、動作が緩慢になった後もSCP-1602-JPによる『通りゃんせ』の口ずさみは通常の速さに保たれていた。異常性によって民間人10名に対する被害が発生した。関係者に対する記憶処理及びカバーストーリー適用済み。

分析: SCP-1602-JPの逃避能力は想定以上である。童謡『通りゃんせ』の歌詞に“こわい(疲れている)ながらも天神への参道を通れ”という内容が含まれていることが、SCP-1602-JPの幽世への退避を促している可能性が指摘されている。鳥居への逃避をどうやって阻止するかが問題であると考えられる。

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SCP-1602-JPが出現した鳥居


事案記録1602-JP-4


日時: 2012/03/11 21時ごろ
出現場所: 島根県出雲市 出雲大社


概要: SCP-1602-JPは出雲大社一の鳥居6から出現し、参道を歩く形で二の鳥居7に向かっていた。フィールドエージェント4名が派遣された。nPDNによる実体化及び物理的拘束を用いて収容を試みたが、nPDNを作動した瞬間にSCP-1602-JPは一の鳥居へと振り返り、エージェントによる拘束器具を振り切り一の鳥居をくぐって消失した。異常性によって民間人36名に対する被害が発生した。関係者に対する記憶処理及びカバーストーリー適用済み。

分析: SCP-1602-JPの危険察知能力と逃避の速さは想定よりも高く、収容にはさらなる人員の動員が必要であることが示唆された。また、今回SCP-1602-JPは一の鳥居から二の鳥居に向けて歩行を行っていたように観察され、ほぼ中間地点まで到達していたが、逃避の際二の鳥居ではなく一の鳥居に戻るようにして逃避をした。自身が目指している箇所は関係なく、逃避に用いる鳥居には自身に近い方の鳥居を優先している可能性が示唆された。

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SCP-1602-JPが出現した鳥居


事案記録1602-JP-7


日時: 2012/03/17 24時ごろ
出現場所: 京都府京都市左京区 平安神宮


概要: 当事案はプロトコル・籠目が施行された初めての例である。SCP-1602-JPは平安神宮の大鳥居に出現し、神宮通を南方向に歩行していた。フィールドエージェント6名が派遣された。市街地の遮蔽物を利用しながらSCP-1602-JPを包囲するようにエージェントが接近し、nPDNによる実体化及び包囲線内の鳥居の破壊後速やかにテザーによる拘束を実施したが、SCP-1602-JPは塀を乗り越えて住宅敷地内に侵入し、消失した。当該敷地には民間人によって独自に設置されていた小祠8があり、SCP-1602-JPはこの祠の鳥居をくぐって消失したことが示唆された。異常性によって民間人102名に対する被害が発生した。関係者に対する記憶処理及びカバーストーリー適用済み。

分析: 実体化したSCP-1602-JPによって鳥居の下部分は大きくえぐれていた。特筆すべき点として、地面が破壊されているにもかかわらず鳥居の破損は発見されなかった。この鳥居の存在をSCP-1602-JPがどうやって認知したかは不明である。プロトコル・籠目施行のため、鳥居の所在に関する網羅的な把握が必要である。

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SCP-1602-JPが出現した鳥居


補遺1602-JP.4: 収容記録

2012/03/25、京都府京都市東山区で発生した事案1602-JP-10においてSCP-1602-JPの収容が成功しました。以下に事案記録を記載します。

事案記録1602-JP-10


日時: 2012/03/25 1時ごろ
出現場所: 京都府京都市東山区 八坂神社


概要: 当事案において、SCP-1602-JPは午前1時ごろに八坂神社から出現し、花見小路を南方向に歩行していた。プロトコル・籠目に基づきフィールドエージェント7名による包囲を行い、nPDNによる実体化を行ったところ、SCP-1602-JPは近傍にあった袋小路に逃避した。その直後、頭部が消失した状態でうずくまったまま停止しているSCP-1602-JPが路地の隅で発見された。nPDNによる実体化及び物理的拘束によって収容作業は問題なく進行し、4時ごろには撤収が完了した。消失したと思われたSCP-1602-JPの頭部は、鳥居からSCP-1602-JPを引き上げた際に再出現した。関係者に対する記憶処理及びカバーストーリー適用済み。

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SCP-1602-JPが逃避に用いようとした鳥居9


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