SCP-1603-JP
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アイテム番号: SCP-1603-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: 現在SCP-1603-JPの収容状態を維持するため、該当区域から1km圏内にSCP-1603-JP-2及びそのダミーが展開されています。収容担当職員は監視カメラを用いてその両方が範囲内に展開されていることを常時確認し、また外部からの要請によりSCP-1603-JP-2の配置を変更する必要がある場合は範囲内に十分な数のSCP-1603-JP-2が展開されているかを監視した上で再配置を行って下さい。またSCP-1603-JP-2及びダミーの汚損または無許可の回収を試みる人物が確認された場合、財団エージェントは現地警察に扮した上で直ちにその身柄を確保し、事情聴取を行って下さい。収容担当主任により問題がないと判断された場合はクラスA記憶処理を行った上で解放して下さい。

SCP-1603-JP-2の展開状況に関わらずチャリング・クロス地区では常にカント計数機が稼働され、ヒューム値の急激な変動に備える必要があります。ヒューム値の急激な変動及びSCP-1603-JP-1の発生が確認された時点で、設置されているスクラントン現実錨を全て用いた該当地区の現実性の安定化及びSCP-1603-JP-1の意識の鎮静化を主眼とする緊急プロトコル(EP-1603)が展開されます。特筆すべき事項として、EP-1603は最終手段として機動部隊によるSCP-1603-JP-1の認識外からの終了を試みることになりますが、可能な限り気絶或いは昏睡状態に陥らせSCP-1603-JP-1の生命を維持した状態での意識途絶を試みる必要があります。詳細については別紙EP-1603計画書を参照して下さい。

SCP-1603-JP-2の余剰分は現在サイト-163に保管されています。収容に使用されているSCP-1603-JP-2が汚損や経年劣化により異常性を喪失した場合速やかに交換してください。研究担当主任はSCP-1603-JP-2の余剰残数を平時から確認する義務があり、SCP-1603-JP-2の残数が運用上不足していると判断した場合は補遺3を確認した上でサイト-163の渉外担当官にSCP-1603-JP-2の補充を要請する必要があります。

説明: SCP-1603-JPは英国ロンドンのチャリング・クロス地区内にある一部区域で発生が確認された異常現象です。現在は土着的に存在したSCP-1603-JP-2の管理を財団が引き継いでいること、またスクラントン現実錨による現実性の安定化が図られていることから、SCP-1603-JPの影響は現実性に影響が及ばないレベルまで希釈されています。

SCP-1603-JPの発生下では、該当区域内に存在する人物のうち1名(以下SCP-1603-JP-1と呼称)の内部ヒューム値が上昇し、現実改変能力の発揮が可能となります。現在確認されているSCP-1603-JP-1の内部ヒューム値は最大で約86と非常に高い水準となりますが、SCP-1603-JP-1が現実改変能力の発揮を意識的に行わない限り内部ヒューム値の変動は外部現実性に対し影響を及ぼさないということが判明しています。

このSCP-1603-JP-1の選定基準は不明瞭ですが、SCP-1603-JP-1が既に存在している状態で新たに該当区域に人物が進入した場合、SCP-1603-JP-1の変更が発生しないケースと、SCP-1603-JP-1の変更が発生し新たに進入した人物がSCP-1603-JP-1となるケースが確認されています。SCP-1603-JP-1の変更が発生した場合、前にSCP-1603-JP-1であった人物の内部ヒューム値は元々の値(標準的な人物であれば1)まで直ちに減少します。これはSCP-1603-JP-1が該当区域から離脱した場合も同様で、この場合該当区域内に存在する人物からSCP-1603-JP-1が再選定されます。

SCP-1603-JP-2はSCP-1603-JPに対し軽減効果を発生させることが判明している旗であり、財団による異常性確認実験によってその効果が確認されています。ただしSCP-1603-JP-2のヒューム値はSCP-1603-JP-1の内部ヒューム変動に依存せず常に1であることも確認されているため、スクラントン現実錨のような外部現実性への直接的介入による異常性抑制プロセスとは違った、ヒューム/現実性とは異なる原理でSCP-1603-JPの抑制機能を果たしているものと推定されます。

発見: 本オブジェクトは1945年の財団による蒐集院併合の際、17世紀初頭の活動記録文書及び非文書記録1が発見されたことをきっかけに存在が認知されました。本オブジェクトの発生記録及び土着的収容が確立する迄の記録等は英国政府及びイギリス国教会には保存されておらず、17世紀初頭から1945年以前の収容経緯については上述の蒐集院活動記録文書・非文書記録に基づいて考察されています。

音声記録1603-001 - 日付1945/10/██

対象: エージェント・ヤン

インタビュアー: ████研儀官(旧蒐集院図書寮管理官)

<録音開始, 1945/10/██ ██:██>

<本件に関する聴取まで省略>

エージェント・ヤン: では████研儀官、次の質問事項に移らせてもらう。君達蒐集院の活動記録は現在も過去に遡って精査中であるが、この1600年頃の記述に他国との交渉及び技術の伝達を示す文言が存在した。これについての詳細をお話し願いたい。

<エージェント・ヤンが文書中の該当箇所を████研儀官に提示>

████研儀官: ……これか。これは……まず、貴方はウィリアム・アダムスという人物をご存知ですか?

エージェント・ヤン: 聞いたことくらいは。

████研儀官: なら話は早い。彼は航海士としてリーフデ号に乗船し、不運にも日本に漂着してしまうというのが表向きの経歴であったわけですが、実際のところ彼は当時英国ロンドンで発生した異常現象の解決手段を見つけるというのが真の目的、あるいは課せられた任務であったと当院では考えられています。彼と徳川家の繋がりから非公式に英国からの特使、東インド会社の所属であったそうですが、ウィリアムとその者とが当院に接触して参りました。

エージェント・ヤン: 異常現象?具体的にはどういった現象が起きていたんだ?

████研儀官: 当時の資料と現在知られている英国の歴史を勘案するに、英国がカトリックから分裂しイギリス国教会を立ち上げたところにこの異常現象は端を発していたのでしょうね。カトリックの残存勢力が起こした儀式が異常性を孕んでいたと記されておりました。それ以上の詳細は私も存じ上げておりませんし、当院も記録は保管しておりません。ただ一つ、"宗教的に重大な異常"ということのみが伝えられております。

エージェント・ヤン: 宗教的に重大な異常……その異常は現在も続いているのか?少なくとも財団がそのような異常現象について英国で対処しているという話は私が知る限り聞いたことが無いぞ。

████研儀官: いえ、我々が提示した術式のうちの1つによって異常は抑えられたと聞いております。

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