アイテム番号: SCP-1606
オブジェクトクラス: Euclid-exsequi
特別収容プロトコル: SCP-1606が建っている地所は“デュアン・シュミット”の仮名で財団が所有しています。デュアンおよびエリザベス・シュミットの偽装身分を与えられたエージェント2名がSCP-1606の内部に駐留し、基本的な保安体制を敷くと共に、認可なき人物が建造物に入ることを阻止します。財団職員は如何なる状況下でもSCP-1606-2へ入場してはいけません。SCP-1606-2へ侵入した人物は、無期限にそこに放置して構いません。
説明: SCP-1606は、1897年にウィスコンシン州のチぺワ・フォールズに建造された、白い木造2階建ての家です。SCP-1606は2ヶ所の窓が割れ、固定物の表面が厚さ約0.8mmの埃に覆われ、壁には複数の穴が開いているなど、ある程度荒廃した状態を呈しています。財団が1977年に確保して以来、当該建造物はこの状態を維持し続けており、対応策が全く取られていないにも拘らず一切の劣化が指摘されていません。加えて、SCP-1606に対する修復や清掃の試みには効果が無く、どのような変化であれ、タスク完了のほぼ直後に取り消されます。
SCP-1606-1は、1923年にチぺワ・フォールズで誕生したSCP-1606の生涯居住者であるマリッサ・シュミットと同一の、中年白人女性の姿を取る実体です。SCP-1606-1は、1977年6月1日1時点のマリッサ・シュミットと同じ記憶および性格を有していますが、SCP-1606を立ち去ることが出来ません。SCP-1606-1を敷地内から連れ出そうとする全ての試みは、対象が消失し、1977年6月1日以降の記憶を持たない状態でSCP-1606内部に再出現する結果に終わっています。SCP-1606-1はSCP-1606を離れたいという欲求を一度も示しておらず、またSCP-1606の異常性質について十分な説明を提供できたこともありません。SCP-1606-1は栄養摂取や睡眠を必要としてはいないようであり、財団職員に脅威となり得る要素を示しません。
SCP-1606-2と指定されているSCP-1606の最上階は、地上階に通じている階段に廊下で接続されたバスルームとベッドルームから成っています。SCP-1606-2に入場した人物は、不可逆的かつ進行性の短期記憶喪失に見舞われ、SCP-1606-2を自発的に退出することができなくなります。このようにして影響を受けた対象者は、室内または各部屋の間を動く際に頻繁に道に迷うようになります。事前に行動計画を立てようとする対象者の試みは全て失敗し、対象者は自分でこうしようと決意した事柄を全て忘却します。加えて、対象者はお互いまたは他者から指示を受ける、または意思疎通する能力を事実上失います。SCP-1606-2から対象者を連れ出すのは自動もしくは遠隔操作のシステムを使わない限り不可能です。回収された対象者は、新しい記憶を形成する能力の欠如と、大規模な長期および短期記憶喪失を示しています。
提供された食物および/または飲料を摂取するための知的能力を欠いているにも拘らず、SCP-1606-2に曝露した対象者は死に至るまでに約3ヶ月間は生き続けます。これはSCP-1606の異常効果の一環と見做されています。対象者がSCP-1606-2の中で死亡した場合、その死体は消失します。時折、SCP-1606-2に誰もいない状況下において、過去にそこで死亡した対象者が不定間隔で出現し、SCP-1606-2の犠牲者に典型的な振舞いを見せることがあります。
補遺1606-1: SCP-1606-2の内部で撮影された3枚の写真と9秒間の断片的ビデオ映像は、SCP-1606-2に一人の高齢男性が存在していることを示しています。しかし、そのような人物の実在はSCP-1606-2の内部に確認されていません。SCP-1606-1はこの人物を、彼女の父親であるドナルド・シュミットだと特定しました。ドナルド・シュミットに関してはごく平凡な公的記録が残っていますが、1958年4月以降、これらの記録は更新されていません。SCP-1606-1はドナルド・シュミットがアルツハイマー病を患っていると語っており、また反証する証拠があるにも拘らず、SCP-1606の上階のベッドルームに現在も住み続けていると主張しています。