SCP-1616-JP
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記録・情報セキュリティ管理室(RAISA)より通達


本報告書は
88x31.png
クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承 3.0 ライセンス
に基いて作成されています。

異常データ格納アルゴリズム(簡易版)展開中


下記のライセンス表示は異常性を有しています。
下記のライセンス表示は異常性を有していました。
報告書を複製する際には上記のライセンス表示を削除しないでください。
CP.png
クリエイティブ・パイレーツ 3.0 ライセンス
presented by lludw from OB Media

アイテム番号: SCP-1616-JP

オブジェクトクラス: Euclid Thaumiel Keter Neutralized(暫定)

特別収容プロトコル: SCP-1616-JPの電子版及び印刷版サンプルはサイト-8199の低脅威度物品保管ロッカーに保管されています。オブジェクトが再び活性化される可能性は否定できないため、いかなる時でもライセンス表示を削除しないでください。

説明: SCP-1616-JPは、「クリエイティブ・パイレーツ ライセンス」という、異常性を有するライセンスです。知的財産権の付随する無体物(著作物や特許のある製品など、以下SCP-1616-JP-1)が、SCP-1616-JP-1の知的財産権を有しない人物(以下、SCP-1616-JP-B)によりSCP-1616-JPでライセンスされた時に、SCP-1616-JPに曝露した人物1(以下、SCP-1616-JP-C)に「SCP-1616-JP-1の知的財産権は元々SCP-1616-JP-Bのものである」という認識災害を発生させます。ただし、もとからSCP-1616-JP-1の知的財産権を有していた人物(以下、SCP-1616-JP-A)とSCP-1616-JP-Bはこの影響を受けません。また、CRV値が██以上の人物も影響を受けません。なお、もとから明示的にクリエイティブ・コモンズライセンスによりライセンスされていたものは、SCP-1616-JPに再度ライセンスされても異常性は発現しません。

上記の影響により、SCP-1616-JP-BのSCP-1616-JP-1を営利目的または非営利目的のために再配布する行為はすべて正当化されます。これに対して、SCP-1616-JP-Aは認識災害の影響を受けないため、多くの場合はSCP-1616-JP-1の権利を主張し、SCP-1616-JP-Bに対して論争または訴訟を起こしますが、必ず失敗に終わります。また、SCP-1616-JP-1の利権等の問題に関してSCP-1616-JP-CはSCP-1616-JP-Bを擁護し、SCP-1616-JP-Aに対して必要以上に非難する、または身体的な危害を加えるなど過激な行為を取ります。また、認識災害の影響を受けないCRVが██以上の人物がSCP-1616-JP-Aを擁護する際にも、SCP-1616-JP-Cから非難、または暴行を加えられる場合があります。これにより、往々にしてSCP-1616-JP-Aは孤立無援の状態に追い込まれます。特筆すべきは、SCP-1616-JP-CはSCP-1616-JP-Aの創作するSCP-1616-JP-1以外の創作物に対しても嫌悪感を示しており、作品自体やその登場人物に対して誹謗中傷し、不買運動などを扇動することもあります。長時間、SCP-1616-JPの間接的影響にさらされた場合、SCP-1616-JP-Aは創作的活動から利益を得ることができなくなり、創作意欲が低下し、自ら創作を放棄することさえあります。

SCP-1616-JP-Cに対しては、Bクラス以上の記憶処理、またはSCP-1616-JP-Bにより再度クリエイティブ・コモンズライセンスでライセンスされたSCP-1616-JP-1を見せることで、SCP-1616-JPの影響を取り除くことができます。記憶処理剤を節約する観点から、後者の処置が推奨されています。

SCP-1616-JPは、不定期にインターネット上または報道機関などで出現するため、現在の収容処置は主に対象の削除、隠匿に重点を置いています。SCP-1616-JPの出処は未だに明らかになっていませんが、ライセンス表示に「lludw from OB Media」という文字が入っていることから、主に中国などでの活動が確認されている要注意団体「OBメディア」との関連が指摘されており、現在中国支部の協力を要請しています。

補遺1: 発見経緯

SCP-1616-JPは、「他人との利権争いが異常に多い」ことで有名な作家██氏に対して、イラストレーターの████氏とのキャラクター「███」の利権を巡っての訴訟で証拠集めの一環として取り調べを行った際に、依頼を受けた財団のフロント企業である調査会社シークレットコンプライアンス・パナケイア(Research Agency Secret Compliance Panacea)により発見されました。調査により、作家██氏はSCP-1616-JPを使用し、複数の創作物の著作権を不正に手に入れていたことが判明しました。作家██氏はこの件について自認しており、SCP-1616-JPを手に入れた経緯について質問された際に「スランプで創作に悩んでいた時メールで送られてきた」と主張しています。██氏の電子メールボックスを調査した結果、下記のメッセージの添付されたSCP-1616-JPを発見しましたが、その差出人を特定する試みはすべて失敗に終わっています。


SCP-1616-JP発見以降、高CRV値を有する職員による大規模調査が実施され、現在まで計████件の処置が行われています。

補遺2: 初期インタビューログ

初期収容における情報収集の一環として、被害者であるイラストレーターの████氏(以下SCP-1616-JP-A-01と表記)に対してインタビューを実施しました。以下はインタビューの内容です。

その後の実験で、クリエイティブ・コモンズライセンスがSCP-1616-JPの異常影響を除去可能であることが判明しました。SCP-1616-JPの影響下にあるキャラクター「███」を含む████件のコンテンツについては、クリエイティブ・コモンズライセンスによって許諾されたコピーをインターネット上に流布することで異常効果を無効化されました2。被害者であるSCP-1616-JP-Aの████人は、財団精神部門による経過観察後、記憶処理を実施した上で釈放しました。

補遺3: 中国支部による調査報告書(抜粋)

SCP-1616-JPに関して、中国支部の協力を要請した結果、中国支部による調査が実施されました。以下は調査報告書の要約です。

補遺4: インシデント-███-JP-1ログ

2016/11/30、サイト-8199に収容中のSCP-███-JPによる深刻な収容違反が発生しました。SCP-███-JPは要注意団体「Are We Cool Yet?」(以下、AWCYと略称)との関連が考えられる芸術作品で、周辺に存在する図案や意匠を自身に取り込み自己複製する異常性及び軽度の精神影響効果を有しています。機動部隊の対応が後手に回り、SCP-███-JPが公衆の目に触れることとなりましたが、大規模なAクラス記憶処理により事態は終息しました。しかし事件後、AWCYの活動は突如として不活発になり、同時にネット上で「名も無き芸術家団体」に対する批判が相次ぎました。また、サイト-8199内で他のAWCY関連オブジェクトの収容に当たっている一部の職員は、担当オブジェクトに必要以上の嫌悪感を抱いていることが財団精神部門の目に留まり、SCP-1616-JPの関与が疑われました。調査の末、SCP-███-JPは収容違反中にSCP-1616-JPのサンプルを取り込んでいることが判明し、オブジェクト自体が同時にSCP-1616-JP-1とSCP-1616-JP-Bになったと考えられ、その影響がAクラス記憶処理により除去されなかったと考えられます3。また検証の結果、SCP-███-JPの軽度な精神影響効果はSCP-1616-JPに上書きされたことが判明しました。なお、前述のことから、団体名義で発表された作品にSCP-1616-JPを使用することは団体全体がSCP-1616-JP-Aになり、一般人に団体名を認知されていない場合「名も無き団体」の形で批判されることが示唆されています。この件で、SCP-1616-JPを要注意団体由来オブジェクトの発生抑制に用いることができる可能性が浮上し、現在、倫理委員会に審議されています。

補遺5: プロトコル・パイレーツ概要

SCP-1616-JPを要注意団体由来のオブジェクトの発生抑制に使用する提案は審議され、倫理委員会により許可されました。以下は発生抑制措置プロトコル・パイレーツの概要です。

発生抑制措置プロトコル・パイレーツ概要

概要: 既収容の要注意団体由来オブジェクトに対してSCP-1616-JPを使用し、それを撮影したものを一般社会に流布することで、要注意団体由来オブジェクトの発生を抑制。

本文: 財団により既に収容されている要注意団体由来オブジェクトにSCP-1616-JPを使用し、それを撮影したものを一般社会に流布し4、同時に要注意団体に対する批判を扇動し、対象団体のオブジェクト発生を抑制する。ただし、対象となるオブジェクトは以下の条件を満たす必要がある。

  1. オブジェクトはいずれかの要注意団体の名義で制作されている独創性のあるものであること
  2. オブジェクトを発生させた要注意団体は持続的に危険なオブジェクトを発生させ続けていること
  3. オブジェクトが視覚による認識災害効果や精神影響効果を有する場合、それがSCP-1616-JPにより上書き可能であること
  4. オブジェクトを撮影したものを配布する行為は財団の存在を露見させることなく、かつ一般人に害を為さないこと

プロトコルを実施する際に、上記の条件に合致するか、プロトコル担当者による評価が必要である。

プロトコル・パイレーツ実施後、複数の要注意団体の活動は効果的に抑制され、これを受けSCP-1616-JPのオブジェクトクラスはThaumielに変更されました。

補遺6: イベント-1616-JP-1ログ

2018/06/24、インシデント-███-JP-1で収容違反したSCP-███-JPの創作者と考えられる██・███氏が、東京都██区███のあるコンビニの裏で殺害された状態で発見されました。犯行はコンビニの従業員████氏によるものだと疑われており、防犯カメラの映像を調査したところ、不審な点が発見されたため、警察に潜伏中のフィールドエージェントの報告を受け、財団が介入することになりました。防犯カメラから回収された映像の内容は以下に添付されています。


調査の結果、コンビニの店員は███氏に面識がなく、同氏がAWCY所属の芸術家であることを知らないにもかかわらず、未知の方法で███氏をSCP-1616-JP-Aとして特定していたことが判明しました。この一件で、SCP-1616-JPが「SCP-1616-JP-CにSCP-1616-JP-Aを特定する能力を付与し、かつSCP-1616-JP-Aに対する異常な暴力的衝動を喚起させる」という、いままでに明らかになっていなかった異常性を有する可能性が浮き彫りにされ、プロトコル・パイレーツの実行は一時中止されました。実施済みのオブジェクトに対する無効化措置は講じられていません。

補遺7: プロトコル・パイレーツの完全中止を求める提言

イベント-1616-JP-1後、三ノ輪博士ら3名により以下の提言が倫理委員会に提出され、現在倫理委員会により検討中です。

プロトコル・パイレーツの完全中止を求める提言

提案者: サイト-8199 認識災害対策部門 三ノ輪 校 博士、滄海 征帆 博士
    サイト-CN-99 認識災害対策部門 徐 如林 博士

本文: 我々は、発生抑制措置プロトコル・パイレーツは完全に中止すべきであり、実施済みのオブジェクトに付与した異常性質も無効化すべきと考えています。理由は以下の3点です。

  1. イベント-1616-JP-1で判明した、SCP-1616-JPの新たなる異常性は、一般社会に不安定要素を導入する恐れがあります。SCP-1616-JP-Cは要注意団体の認知度に関係なくSCP-1616-JP-Aを特定し、暴行を加えるため、要注意団体に大きな打撃を与えることができていても、社会自体が混乱に陥る可能性があります。
  2. SCP-1616-JP-Cに対するSCP-1616-JPの有害な異常性が新たに判明した以上、SCP-1616-JP-AまたはSCP-1616-JP-Bに対してもなんらかの予期せぬ異常性が働く可能性は否定出来ません。SCP-1616-JPの収容違反を未然に防ぐ観点から、実施済みのオブジェクトに対しても、オブジェクトの影響を完全に取り除く必要があります。
  3. SCP-1616-JP-CはSCP-1616-JP-Aを批判、または暴行を加える際、「他人のアイデアを盗んだ」「稚拙な模倣」などを理由としています。当然、SCP-1616-JP-1は紛れもなくSCP-1616-JP-Aの作品であるため、SCP-1616-JP-AにとってSCP-1616-JP-Cに批判される理由は完全に身に覚えのないことであり、罪の意識を持つこともありません。これは完全に私見ですが、危険なオブジェクトを生み出し続ける要注意団体の罪は、「生み出したアノマリーが人間社会の脅威になった」ことであり「他人のアイデアを盗んだ」ことではありません。無実の罪で人を死に追いやるのは、倫理に反する行為ではないかと我々は考えています。

以上のことを踏まえ、我々は発生抑制措置プロトコル・パイレーツの完全中止及び実施済み対象に付与した異常性質の無効化を求めます。どうかご検討をよろしくお願いいたします。

補遺8: インシデント-1616-JP-1ログ

2018/10/01、SCP-1616-JPは前兆なくインターネット上及び報道機関で大量に出現、同時に異常性の変化が観測されました。もともとSCP-1616-JPの影響はSCP-1616-JP-Bに及ぶことがありませんでしたが、SCP-1616-JPの大量発生を境目に、それ以降にSCP-1616-JPを使用したSCP-1616-JP-B、及びそれ以前にSCP-1616-JPを使用したことのあるSCP-1616-JP-Bは様々な規模の被害を受けます。その詳細については下表を参照してください。

SCP-1616-JPの大量発生により、日本支部だけでなく中国支部・韓国支部・ロシア支部管内においても深刻な被害が発生することとなり、同時にプロトコル・パイレーツを実施したことで、財団フロント企業でも深刻な被害が確認されました。これに対応すべく、財団はSCP-1616-JPの発見と削除等の措置を強化するとともに、記憶処理や版権意識を促すカバーストーリーの流布などにより、辛うじて事態を収束させました。また、SCP-1616-JP-Bとなった対象者を全員、サイト-8199の併設医療施設に入院させ治療を行いましたが、症状を治癒する方法はまだ見つかっていません。

インシデント-1616-JP-1を受け、倫理委員会により検討中であったプロトコル・パイレーツの差し止めは可決され、同時にSCP-1616-JPのオブジェクトクラスは、予期せぬ異常性が存在する可能性を鑑み、Keterに変更されました。

補遺9: インシデント-1616-JP-1の事後調査報告

財団はインシデント-1616-JP-1の収束後、SCP-1616-JPの発生源及び大量発生の理由を特定すべく事後調査を実施しました。調査の結果、インシデント-1616-JP-1中に発生したすべてのSCP-1616-JPは、補遺1で言及したメールの内容と類似した文面で、不特定多数のメールアドレスに添付ファイルとして送付されていることが分かりました。メールの内容を詳しく調べたところ、中国語で以下の隠しメッセージが添付されていることが判明しました。

これを受け、中国支部と連携して要注意団体「袖まくり倶楽部」を対象に捜査が行われましたが、芳しい成果はありませんでした。SCP-1616-JPの大量発生は今後も発生する可能性を想定し、収容プロトコルの厳格化が求められます。

補遺10: SCP-1616-JPの無力化及びその経緯

2018/10/03、財団のフロント企業宛に、要注意団体「OBメディア」との関連が考えられるメールが送付されました。また、中国支部・韓国支部・ロシア支部にも類似した内容のメールが送信されています。以下はメールの内容です。

これ以降、SCP-1616-JPの無力化が確認されました。それに伴い、インシデント-1616-JP-1中に影響を受けたSCP-1616-JP-Bは全員、未知の方法により症状を治癒されたことが観測されています。また、異常性質の除去を実施しなかったSCP-1616-JP-1の知的財産権はすべて消滅し、パブリック・ドメインに帰しました。財団の調査によると、これらの知的財産権の消滅は、「パブリック・ドメイン保護サービス」と名乗る組織が関与していると考えられています。なお、2018/10/03以降、要注意団体「袖まくり倶楽部」によるSCP-1616-JPに関連する活動は観測されていません。上記の件を受け、総合的な考慮によりSCP-1616-JPのオブジェクトクラスは暫定的にNeutralizedに変更されました。

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