アイテム番号: SCP-1627
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-1627が生えている森林は、武装した財団職員50名によって保護されます。この種は地域での生育が認められていますが、財団が引いた境界内に限られます。Dクラス職員によるSCP-1627の実験はサイト-56の防水実験室で行い、その後、影響を受けたDクラス職員は死ぬまで実験室内に閉じ込めます。SCP-1627がこの地域の外部で発見された場合は、前述の収容プロトコルを問題の地域にも設定する必要があります。
アメリカ合衆国テネシー州██████の町は、SCP-1627-AとSCP-1627-Bの全個体が識別・無力化されるまでは隔離・監視します。全ての異常実体が死亡していると看做された後も、最大1年間は町を監視し続けます。
説明: SCP-1627は、外見的にはベニテングダケ(Amanita muscaria)に似た真菌類の一種です。摂取した場合、この種は嘔吐・内出血・失明・幻覚症状を引き起こす可能性があります。
SCP-1627の異常効果は、以下の基準で構成された儀式的行為の結果として発現します。
- SCP-1627が人間の血液と接触する。
- SCP-1627が人間によって摂取される。
- SCP-1627が直射日光の無い状況下で摂取される。
対象者がこの要件を満たすことなくSCP-1627を摂取した場合、その人物はSCP-1627の非異常の毒性効果を経験します。対象者が上記要件を満たしていると、その人物はSCP-1627-A個体またはSCP-1627-B個体へと変貌します。
SCP-1627-Aは、自分の血で正常に上記の儀式を完了した者を指します。プロセスの完了時、対象者の身体に存在する全ての損傷が完全に治癒します。これには組織損傷・細菌およびウイルス感染・癌が含まれます。SCP-1627-A個体は病原体による影響を受けず、長期間にわたって食料や水無しで生存することが可能です。個体は、10ルクス以下の照明しかない環境下に置かれた時に身体から発せられる微かな白い輝きでのみ、異常性の無い人間と区別できます。
人間がSCP-1627-A個体と直接接触すると、対象者の全ての損傷や感染症が治癒します。その後2週間で、対象者は急速な老化を経験し、多くの場合は老齢に関連する自然の原因によって死亡します。これはSCP-1627-A個体に栄養を与えているようです。
SCP-1627-Bは、別人の血で正常に上記の儀式を完了した者を指します。儀式が完了すると、対象者の全身には均一に暗い色素沈着が発生し、上半身には2つの光点が出現します。この光点は目として機能するようになります。加えて、対象者は半固体状態となり、休息しているときは不定形のように見えます。
SCP-1627-B個体は感覚と知性を持ち、発声が可能です。変貌した後に本来の人格を保っている個体は極めて稀であり、代わりに捕食性生物の挙動を取るようになります。SCP-1627個体は多くの場合、気道に入って窒息させることで獲物を仕留めます。ターゲットが死ぬと、SCP-1627-Bは死体に侵入し、獲物の心血管・神経・生殖系を食べ、その他の組織には防腐剤を排出して腐敗を防止します。
SCP-1627-B個体は、人間の死体に生息して人口密集地域に溶け込みます。3体のグループで生活する傾向がありますが、1体~最大7体のグループを作って生活しているのが発見されています。SCP-1627-Bは死体の外では明確なヒト型の姿を常時保つことはできませんが、宿主の死体に恒久的に居座ることはできます。
SCP-1627-AとSCP-1627-Bは肉体的損傷に対しては不死身であるように思われます。しかしながら、両グループともに3週間ほどで飢餓の影響を受けやすくなります。加えて、SCP-1627-AとSCP-1627-Bの個体を一緒にした場合、両者は接触すると即座に死亡します。この原因は現在研究中です。
SCP-1627は1995/04/06、アメリカ合衆国テネシー州の人里離れた山間の町・██████において、エージェントが近くの森から出てくる“影と光の人々”の報告を受けた後に発見されました。町ではこれらの実体に対する反応を基に幾つかのグループが形成されており、最大規模のグループが“白昼の狩人”、“夜の同胞団”、“終末の民”でした。更なる詳細は添付の履歴ファイル-1627-θおよびインシデントレポート-1627-アルファを参照してください。
履歴ファイル-1627-シータ
関与したSCPオブジェクト: SCP-1627
関与した要注意団体: GoI-187 (白昼の狩人)、GoI-188 (夜の同胞団)、GoI-189 (終末の民)
概要: 合衆国テネシー州██████の町民たちがSCP-1627と接触を持ったのは、1995/02/14の20:00、“新たなるカルト”を自称する人々が町の広場に入って構成員にSCP-1627儀式を執り行い、SCP-1627-AとSCP-1627-Bの個体を複数生成した時である。カルトの構成員数名は、力と“進化”のメッセージを伝えようと試みていた。この最中に群衆の中で暴動が発生し、結果としてカルトの全構成員と数名の町民が死亡した。翌日、町の人々の間では幾つかのグループが形成され、これらの中で最大かつ最も傑出していたのがGoI-187~GoI-189の3グループであった。これらのグループは2ヶ月掛けて町を掌握し、その関係は[編集済]までますます不安定化していった。
GoI-187 (白昼の狩人)は、SCP-1627-A個体を援助することを決定し、積極的にSCP-1627-Bと闘うことを試みていた人々のグループとして、レジス・ニューマンにより組織された。SCP-1627-Bが獲物を仕留める方法に対抗するため、構成員は通常ガスマスクを着用し、グループ外の人々を信頼することに極めて消極的であった。財団によるSCP-1627の収容前、彼らはグループ外の人々と関与することを拒否し、多くの場合は誰も仲間に加えようとしなかったと報告されている。大きな取り組みの一環として、構成員は電話やインターネットなどのコミュニケーション手段を積極的に破壊し、SCP-1627-Bが街の外部へ拡散することを防ぐために、異常への最初の曝露以降は決して市民に街を立ち去らせなかった。この期間中における主要3グループの中では、GoI-187は装備品や行動方式から最も目立つ優勢な組織であった。
このグループの構成員は、SCP-1627-A個体を見つけると、接触しないように気を払いつつ、仲間に加わるよう勧誘した。構成員が全身を覆う衣装を身に着けていたため、異常存在と非異常の人物を区別することは困難であった。彼らはGoI-188 (夜の同胞団)構成員の捕獲に成功すると、仲間内にいるSCP-1627-A個体に栄養源として提供した。
GoI-187は、GoI-188構成員およびSCP-1627-B個体を識別・捕獲するため、ランダムに家探しを敢行していたと報告されている。捕獲された人々は多くの場合、町の火葬場での焼却という形で処刑された。
GoI-187構成員は、「[彼らが]やり過ごしたクソッたれのカルトと同じように思えた」という理由で、GoI-189 (終末の民)を無視する傾向があった。
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GoI-188は、SCP-1627-Bが“人類の次なるステップ”であるという前提の下、マーサ・グランデを首魁として形成された。このグループの掲げた目標は、SCP-1627儀式もしくは食事や生息する死体の発見支援を通じて、SCP-1627-Bの拡散を援助することであった。しかしながら、GoI-188構成員の大多数は、GoI-187(白昼の狩人)の急進的な行動方針による変化に不満を持つ町民であった。
GoI-188構成員は、GoI-187が取る手法のために、概ね孤立した状態にある。しかしながら、彼らは必要とあらばSCP-1627-Bによる使用のために自らの肉体を進んで放棄した。この時期、町では小規模なカルト系グループが数多く創設されたため、このグループとGoI-189 (終末の民)の関係は殆ど存在していなかった。
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GoI-189 (終末の民)は、町の広場で行われたSCP-1627の儀式に応えて、ラース・ピーターソンによって創設された。このグループはSCP-1627-AとSCP-1627-Bの概念を中心とする独自の宗教を形成しており、その宣言された基本原則は“平衡”と“破滅への備え”で構成されていた。彼らは、SCP-1627-AとSCP-1627-Bがそれぞれ“善”と“悪”が人の姿を取った存在であると信じており、これらの異常存在は終末への道が両極端によって引き起こされるという世界からの警告であると主張した。GoI-189は概ね避けられがちで、GoI-187 (白昼の狩人)とGoI-188 (夜の同胞団)からは無視された。
このグループが行う説教の多くは、世界の終わりと“中間を歩む”ことに関することであった。彼らは救済に至る唯一の道は中立的に生きることであると信じ、自身の解釈で中立と看做す行動のみを行った。彼らは極端さを強く非難し、完全な世界は白黒ではなく灰色で示される物事で構成されていると主張。また、構成員は二重性について話し、片方に味方するよりはどちらにも付かないほうが良いと述べていた。
GoI-189は様々な場所(主に個人宅だが、時には教会や解放空間)で集会を開き、終末への備えやSCP-1627実体らからの安全を確保するため、仲間に加わるように人々を勧誘した。集会中は、グループ内の語り手(通称“平衡者”)がしばしば群衆の中から出て、グループのメッセージを伝えるための演説を行った。
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インシデントレポート-1627-アルファ: 1995/04/06、財団は周辺の田園地帯からSCP-1627-AとSCP-1627-Bの個体を複数回収した後に、これらの事態に陥った町を発見しました。エージェントが現場に到着した時点で、3グループ間の対立は大幅に激化していました。機動部隊シグマ-7(“暴動を白日の下へ”)、ウプシロン-4(“わたしにさわらないで”)、イータ-9(“モール・セキュリティ”)が町民制圧とSCP-1627-AおよびSCP-1627-B収容のために派遣されました。
この時、GoI-187 (白昼の狩人)の構成員は明白に疑心暗鬼に囚われており、内部構造の完全な崩壊と構成員間の裏切りを引き起こしていました。一方でGoI-187 (夜の同胞団)は匿っていた約20体のSCP-1627-B個体を解放して自由に狩りを行わせ、血に覆われたSCP-1627実例を人々に強制的に食べさせていました。GoI-189 (終末の民)は直接接触を伴わない様々な手法で殺人を開始しました。後にこの行動について尋問された構成員は、殺人は中立的行為であるという結論に達したため行動に移しただけであると主張しました。
財団エージェントは町へ赴き、異常アウトブレイクプロトコル・ロー-05によって町民の大多数を鎮圧した後、SCP-1627-AおよびSCP-1627-Bの個体を数多く発見・収容しました。全町民、特に上記3グループの構成員と報告された者は念入りに尋問を受け、その後にクラスA記憶処理を施されて解放されました。グループや町で起こった出来事に関する全情報はインタビューで得られたものであり、後にSCP-1627も発見・収容されました。SCP-1627は50平方kmの緑豊かな土地である██████森に生えており、現在までここが唯一の自生地域であるように思われます。