アイテム番号: SCP-1628-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-1628-JPはサイト-2430の特設大型生物用収容区域に収容してください。SCP-1628-JPの飼育は一般的なアフリカゾウと同様に行ってください。物質-1628(説明参照)に耐性のある職員が飼育を行ってください。
説明: SCP-1628-JPは異常性を持つ1頭のアフリカゾウ(Loxodonta africana)です。SCP-1628-JPは皮膚の色彩が白みがかっており、異常なプロセスを経て周囲に有害な物質を散布します。(以下、この物質を物質-1628と呼称)物質-1628は透明なエアロゾルであることが判明していますが、組成は不明であり、異常な過程を経て防護服やガスマスク等の接触を防ぐ装備を貫通します。物質-1628がSCP-1628-JP以外の哺乳類の呼吸器に侵入した際、対象は「その場から退避したい」という強迫観念を抱くことが確認されています。この影響は非常に強力で記憶処理剤で除去することが不可能であるものの、物質-1628が浮遊していない場所に移動することで無効化されます。また、物質-1628が電子機器の内部に侵入した際には異常な回路のショートを引き起こします。
発見経緯: SCP-1628-JPは2021年10月、コンゴ民主共和国エコンブ付近の森林にて財団のフィールドエージェントが発見しました。SCP-1628-JPの異常性により収容が困難であることから当初は観察のみを行っていましたが、オブジェクトが一般人の生活圏に接近したため2021年12月23日に麻酔を用いて異常性を無力化した後収容しました。
補遺1: 物質-1628に耐性のあるエージェント・ドメクフがSCP-1628-JPの飼育員に任命されました。約1年間の飼育、実験よりSCP-1628-JPが物質-1628を散布するシステムの解明が進んだため、以下にその飼育記録の抜粋を示します。
飼育記録-2021/12/24:
飼育1日目。1日5回に分けてSCP-1628-JPに乾牧草200kgと水100Lを与え様子を観察しました。SCP-1628-JPは与えられた餌に警戒し多量の物質-1628を散布しました。エージェント・ドメクフに対し攻撃を仕掛けたため麻酔銃で鎮静化しました。10時間後覚醒しその後は自生している雑草のみ食べた様子が観察されました。他の生物に対する強い警戒を持っていると考えられます。飼育環境に慣らすため、飼料は今後も与えます。
飼育記録-2021/12/31:
飼育8日目。SCP-1628-JPがこの日の3回目に与えた飼料を摂取しました。SCP-1628-JPの他生物に対する警戒が薄れ始めた証拠であると推定されます。しかしながら、飼料を摂取している途中でSCP-1628-JPがエージェント・ドメクフを発見してSCP-1628-JPはその場から退避し物質-1628を散布しました。依然、SCP-1628-JPへの馴育は進められます。
飼育記録-2022/02/23:
飼育62日目。これまでの試みによりSCP-1628-JPのエージェント・ドメクフに対する警戒が大幅に緩和され、物理的な接触に成功しました。アフリカゾウは本来人に懐きにくい性質であるため、SCP-1628-JPは非異常の個体と比べて知能が高い個体であると示唆されました。付近からの観察で、物質-1628が個体の側頭部から散布されていることが判明しました。
備考: SCP-1628-JPの発見された地点周辺を調査したエージェントによってゾウの密猟の痕跡とみられるGPSや銃器が発見されました。SCP-1628-JPの異常性の起源として、密猟者に対抗するための突然変異が有力であると考えられます。
飼育記録-2022/05/04:
飼育132日目。この日、SCP-1628-JPの1日の推定散布量が飼育開始日と比較して半分を下回りました。エージェント・ドメクフとの接触を増やし、具体的な身体検査、知能の研究が進められます。
飼育記録-2022/06/28:
飼育187日目。この日、SCP-1628-JPの1日の推定散布量が飼育開始日と比較して4分の1を下回りました。これまでの観察記録から、SCP-1628-JPへのストレスと物質-1628の散布量が相関していると思われます。他の職員の接触の試みに対してSCP-1628-JPは忌避する反応を見せました。SCP-1628-JPは人間を判別する能力があり、エージェント・ドメクフに親密感を持っていることが分かりました。
飼育記録-2022/09/02:
飼育253日目。より精密な検査により、物質-1628はSCP-1628-JPの側頭腺から分泌されていることが判明しました。非異常の個体は発情期に攻撃性が増し、側頭腺から体液を分泌することから、SCP-1628-JPはこの分泌物の発生条件と合成に異常なプロセスが発生したものであると分かりました。また、知能検査によりSCP-1628-JPの知能が非異常の個体と比べ高いことが判明しました。この結果に伴い、エージェント・ドメクフはSCP-1628-JPとボール遊び等の遊戯を行い、馴育をより進めることを提案し、受理されました。
飼育記録-2022/12/24:
飼育366日目。エージェント・ドメクフが飼育を始めて1年の記念として、飼料にリンゴやニンジンなどを含めることを提案し受理されました。SCP-1628-JPは飼料に対して非常に好意的な反応を見せ、エージェント・ドメクフの頭部を鼻で触るなど、喜んでいる反応を示しました。また、この日は物質-1628の散布が見られませんでした。ストレスのほとんどない状況下ではSCP-1628-JPは物質-1628の散布が行われないことが判明しました。
補遺2: SCP-1628-JPと同様の異常性を持つ40頭の個体群がコンゴ民主共和国アンボワ・マランガで発見されました。個体群から採取した遺伝子を検査したところ、SCP-1628-JPと血縁関係の近い個体が肉親を含み多く確認されました。以上の事柄から、SCP-1628-JPの持つ異常性は1個体のみに発現したのではなく、当該のゾウの群れに発現したものであると断定されました。SCP-1628-JPは異常性を持つ群れの内から脱落した個体であると推定されます。また、SCP-1628-JPの皮膚が白い点は個体差の範疇であることが分かりました。
2023年1月にオブジェクト指定の更新が行われました。この更新により、これまで収容していた1個体ではなく同様の異常性を持った個体群をまとめてオブジェクトとして登録されました。また、
- 個体の飼育のための飼料費、特設施設の維持費、人件費が高いこと。
- 収容違反時の再収容が困難であること。
- 収容違反時に周囲の施設の電子設備に損害を与える危険性があること。
- 長期間飼育したため野生に戻すことが困難であること。
- 個体の研究がかなり進んでいて、尚且つ本来群れを成すオブジェクトであるため個体を飼育を継続することがあまり収容や保護に実益的でないこと。
- 特別な能力を持った人員が飼育に必要なため、アフリカゾウの一般的な寿命を考えても長期の飼育がそもそも不可能であること。
- 同じ異常性を持つオブジェクトが多数発見されたため、飼育破棄が異常性保護の理念に抵触しないこと。
等の理由により、SCP-1628-JPの殺処分が決定しました。2023年1月10日に処分予定です。