オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-1630-JPはサイト‐81██の中危険度人型オブジェクト収容室にて収容されています。現在、SCP-1630-JPは抑うつ症状を患っておりそのため週1回SCP-1630-JPに対してカウンセリングが実施されます。SCP-1630-JPに2人以上の職員が接近することは禁じられています。
説明: SCP-1630-JPは本名を安島奈美という23歳のアジア系女性です。SCP-1630-JPは後述する異常性の影響を除けば通常の人と変わりません。
SCP-1630-JPの周囲に2人以上のヒト(以下対象と呼称)が接近すると、SCP-1630-JPの口内からカランコエ(Kalanchoe)の花弁(以下SCP-1630-JP‐1と呼称)が出現し、対象の周囲を囲むように舞います。SCP-1630-JP‐1の縁は非常に鋭利であり、人体程度なら容易に傷をつけることができます。この現象はSCP-1630-JP自身の意思で制御することはできず、SCP-1630-JP-1によりSCP-1630-JPが苦しむ様子が見られます。その後対象は総じてSCP-1630-JP‐1の傷により失血死します。対象が死亡した後、SCP-1630-JP‐1はSCP-1630-JPの口内に戻ります。SCP-1630-JP‐1は食道を通過し胃の中にて消失します。これによりSCP-1630-JPは舌、食道や胃の内壁が傷つけられ、吐血します。これによりSCP-1630-JPが失血死することは無く、傷も1週間程度で自然治癒します。しかし、痛覚は通常の人間と変わらないため、SCP-1630-JPはSCP-1630-JP‐1について嫌悪感を持っています。
インタビュー記録1630-JP
対象: SCP-1630-JP
担当職員: 鹿野博士
<記録開始>
鹿野博士: SCP-1630-JP、体調は如何ですか?
SCP-1630-JP: ……ええ、今は大丈夫です。
鹿野博士: それはなによりです。では、少々質問をしても?
SCP-1630-JP: はい、何でしょうか。
鹿野博士: あなたのその現象の発生理由に心当たりはありますか?
SCP-1630-JP: 心当たりですか……うーん、特には……あ、そういえば栞を……。
鹿野博士: 栞?
SCP-1630-JP: わたし、花を育てるのが趣味だったんです。それでよく花屋に通ってたんですけど、ある日店主さんに栞をもらったんです。
鹿野博士: 栞を?
SCP-1630-JP: そうです。カランコエの花びらがラミネートされてて、裏面にカランコエの花言葉、「あなたを守る」って書いてました。それをもらった次の日、部屋から下に降りてお母さんとお父さんに会ったら、あれが……[息が荒くなる。]
鹿野博士: 大丈夫ですか?
SCP-1630-JP: ……すみません、あの光景を思い出してしまって……。
鹿野博士: そうですね……今日のインタビューはこれくらいにしておきましょうか。
SCP-1630-JP: はい……すみません。
鹿野博士: また詳しい話は今度聞かせてもらいますね。
SCP-1630-JP: あ、あの!
鹿野博士: はい?
SCP-1630-JP: 私、元に戻れるのですか?心配で……お母さんとお父さんは無事なのですか?
鹿野博士: ……どうでしょう、詳しいことは調べないと分からないので、ここで断言は……。
SCP-1630-JP: そう、ですよね……すみません。呼び止めてしまって。
鹿野博士: いえ、ではインタビューを終了します。
<記録終了>
終了報告書: 現在、インタビュー中に言及された栞の捜索が行われています。