SCP-1635-JP
rating: +32+x
blank.png

アイテム番号: SCP-1635-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-1635-JPは低脅威物品保管庫に収容されます。SCP-1635-JPは実験を除いて未成年の接触は禁じられています。未収容のSCP-1635-JPは確保済みのSCP-1635-JPの元所有者の関連者、またはウェブクローラーを用いて捜索されます。対象者とその関連者には記憶処理を施してSCP-1635-JPに関する記憶を抹消します。

説明: SCP-1635-JPはユニコーンを模した綿100%のぬいぐるみです。材料は非異常であったため、未確認の製法に異常性の由来があると推測されます。

SCP-1635-JPの半径1m以内で15歳までの児童(以下対象者に指定)が睡眠をとることにより、対象者は特定の夢を見ることになります。この夢は起床後も忘れにくく、対象者は夢の記憶について詳細なものを持ちます。

SCP-1635-JPによる夢は対象者が元来もつ将来への願望をモチーフとしたものになります。例としてパイロットになりたいという願望をもつ対象者の場合は、旅客機のパイロットとして操縦をする夢になります。この際夢の中での対象者の側にユニコーンの特徴を有する人型実体(以下SCP-1635-JP-Aに指定)が出現し、対象者と会話します。この会話は概ねポジティブな楽しいものであると対象者は証言します。

対象者は上記の夢を見た日数に比例して自身の願望への欲求が薄れていきます。累計日数が平均して20日、最大でも30日になるといかなる対象者もその欲求が完全に消失します。またこれに比例して対象者は自身の保護者や年長者の言動を拒むことなく受け入れやすくなります。

補遺1635-A: インタビュー記録

インタビュー記録1635-1


対象: 杉浦昭子氏、杉浦大氏
付記: 杉浦昭子氏は対象者の1人、杉浦大氏の母親である。
インタビュアー: エージェント・泉


<記録開始>

[重要度の低い内容のため割愛]

エージェント・泉: それではあのぬいぐるみは杉浦さんが大君のために買ってあげたものということでしょうか。

杉浦氏: ええ、そうです。お友達のお母様から教えていただきましてね。しつけ道具ということで紹介されましたの。

エージェント・泉: しつけ道具、ですか。

杉浦氏: このぐらいの子って親のことを全然聞かないんですの。私がせっかく将来のためを思って言っても全部どこ吹く風で。その上最近は妙に帰りが遅いと思ったら……私に隠れてお外でずっとサッカーをやってたようですの。

エージェント・泉: 大君ほどの年齢なら遊びとして違和感があるようには思えませんが。

杉浦氏: [溜息をつく]泉さん、あなたには分からないとは思いますが人には相応の人生というものがあるものなんです。サッカーなんてして、もし一生モノの怪我をしてしまったらどうするのですか?杉浦の家は医者の家系。頭も体も完璧に整っている必要があるのです。それにそんな遊びをしている子達と付き合ってたらどんな悪影響が及んでしまうか……この事が分かった時は恐ろしくて夜も眠れませんでした。

エージェント・泉: そう……ですか。申し訳ございません。それでは大君にお話を聞いてもよろしいでしょうか。

杉浦氏: ええ、構いませんよ。今呼びますね。

[杉浦氏が大氏を呼ぶために一時的に退室する。その後すぐに大氏が入室する。]

大氏: こんばんは、泉さん。

エージェント・泉: こんばんは、大君。いくつかお話を聞かせてもらってもいいかな。

大氏: はい。

エージェント・泉: ありがとうね、それじゃあ大君の夢について教えてもらってもいいかな。

大氏: はい、僕の夢はお父様のようなお医者様になることです。

エージェント・泉: そうなんだね、でも大君は前にはサッカーが好きだったんだよね。サッカー選手とかには興味は無かったのかな。

大氏: 確かに前はサッカーをやっていました。しかしお母様から頂いたぬいぐるみと一緒に寝てから、夢の中でサッカーをするようになったんです。それがとっても楽しくて。

エージェント・泉: そんなに楽しかったなら、どうしてやめちゃったのかな。

大氏: 満足したんです。すっごく楽しかったから、もういいやって思って。

エージェント・泉: そ、そうなの。

大氏: はい。なので今はサッカーには興味はありません。今は新しい夢のお医者様になるために日々勉強をしています。

エージェント・泉: ……そうなんだね、ありがとう大君。

<記録終了>



インタビュー記録1635-5


対象: 竹本██氏
付記: 竹本氏は前述の杉浦大氏を含めて対象者の一部が通っている小学校の教師である。
インタビュアー: エージェント・泉


<記録開始>

[重要度が低い内容のため割愛]

エージェント・泉: それで、担当されていた生徒の変化というのはどのようなものなのでしょうか。

竹本: はい、全員というわけではなく一部の生徒が、ということですが。今まで好きだったものに全然関心を持たなくなったんです。

エージェント・泉: 関心ですか。

竹本: はい、例えば私の生徒の1人にサッカーがすごく好きだった子がいるんです。ただご家庭がとても厳しくて、そういうのを全然許さない方針だったんですよ。ただその子もそういうのにめげずに親御さんに隠れて友達とサッカーしてるって話は本人からも聞いていました。そんな子なんですが、ある時からサッカーの話をまったくしなくなって、友達が話題を振っても誘ってもどこ吹く風みたいな感じになって。その代わりに勉強はとても熱心にするようになりましたね。

竹本: あんまり教師がこういうこと言うのもいけないのだとは思いますが、やっぱり明らかにおかしい変化だとは思いました。もしかしたら虐待かもとかも考えて、念のためにその子とは個人的に面談をしたんです。例え本人が事実を言わなくても、雰囲気とかで何かは察せるかもと思いまして。

竹本: 話した内容は最近何があったのとかそういうことですが、その中では案の定そういう変なことをされたとかそういうものはありませんでした。ただ違和感はありまして、サッカーへの関心が無くなった、今は父親のような医者になりたいと言った時のその子の顔にまったく嘘の感じがしなかったんです。これだけならおかしな話ではないかもしれませんが、ただちょっと前まですっごくサッカーが好きな子がそんな風になったと考えると明らかにおかしいと思うんです。

エージェント・泉: それの原因自体は分かったのですか。

竹本: いえ、私にはまったく。情けない話ですがどうすることもできませんでした。

エージェント・泉: 同じようになった子が他にも何人か居るとのことですが、どれも同様の対応ですか。

竹本: はい、私のクラスでは3人。他のクラスでも同じくらいいたそうです。他の先生とも話しをしましたが誰も分からなくて、ただご家庭のことなのであまり口出しもできないので結局何も出来ず終いでした。

エージェント・泉: わかりました、ありがとうございます。

<記録終了>

補遺1635-B: 特異な事案例
発見した対象者の1人、松本広氏がSCP-1635-JPの使用から概ね3ヶ月以上経過しているにも関わらず、非睡眠時における異常性が発現しないことが確認されました。以下はそれに対するインタビュー記録です。

インタビュー記録1635-26


対象: 松本広氏
インタビュアー: エージェント・泉


<記録開始>

[重要度が低い内容のため割愛]

エージェント・泉: じゃあ広君、そのぬいぐるみは誰にもらったのかな。お母さんに買ってもらったの?

広氏: 拾った。

エージェント・泉: 拾ったの?

広氏: うん、公園の端っこで。

エージェント・泉: それをお家に持ち帰ったんだね?

広氏: ……お母さんにはそんな汚いもの持ってくるなって言われた。捨てるまで家に入れないって言われた。でも捨てるのはいやだったから近くの草のとこに隠した。あとでこっそり持って帰ろうって。

エージェント・泉: じゃあその後お家に持ち込めたんだね。

広氏: ……かばんに入れたら、お母さんそこまで見てないから。

エージェント・泉: そうなんだね、じゃあ今度は広君が見るようになった夢について教えてくれる?

広氏: [うなづく]美味しいごはんをいっぱい食べる夢を見た。美味しかった。

エージェント・泉: ご飯……将来の夢がコックさんとかなのかな。

広氏: ……将来……夢?

エージェント・泉: ……ああ、じゃあ質問を変えるね。その夢を見るようになってから何か変わったことはあったかな。

広氏: 変わったこと……無いかも。

エージェント・泉: うーん……じゃあ広君がその夢についてどう思ってる?

広君: すごく楽しい。友達が言ってた、食べたことないものをいっぱい食べられる。馬のおじさんも優しい。僕に怒鳴らないし、蹴らないし、殴らない。ずっとごはんを食べさせてくれる。

エージェント・泉: 馬のおじさんとはどんなことを話したの?

広氏: いつものこと。どんなことがあったとかそんな感じ。

エージェント・泉: 特にどんなことを覚えてるの?

広氏: ……いつかはあんまり覚えてないけど、おじさんに楽しかった?満足した?って聞かれたんだけど、僕はまだって言った。だってこんなことみんなだってできないから。寝ればいっぱいごはんが食べられる。お母さんは食べさせてくれないものでも、夢ならいっぱい食べられる。僕はずっとごはんを食べていたいから、まだ全然満足してない。

エージェント・泉: ……色々話してくれてありがとうね。

<記録終了>

特に指定がない限り、このサイトのすべてのコンテンツはクリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス の元で利用可能です。