アイテム番号: SCP-164
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: 培養したSCP-164はクラス3標準対バイオハザード手順を踏んで収容し、はっきりと印をつけて冷蔵生物収容ユニットに摂氏10度で保管するものとします。病原性ではあるものの、SCP-164の感染性は高いものではありません。未加工の培養菌あるいは感染した対象に仕事をする研究員は注意しなくてはならないものの、ラテックス手袋とマスクがこの病気の拡散を防ぐのにおおよそ効果的です。不注意で感染した職員には最初に症候を示してから六ヶ月間化学療法を施し、必要であれば外科手術をすることになります。
民間でのアウトブレイクは伝染性物質についての隠蔽手順アレフ█を用いて処理するものとします。
説明: SCP-164はガン細胞の一種で宿主の体に肉腫様の腫瘍を生じさせます。細胞のDNAは主に人間のDNA由来のものらしいとはいえ、現在ではこの細胞は事実上単細胞で無性生殖を行う寄生体となっています。幾つかの特徴がSCP-164を注目すべきものとしています。
- SCP-164は人間に感染することが知られている唯一の寄生性の(伝播可能な)ガンです。感染経路は、侵襲性の強い順に:血液接触、性交渉、皮膚接触、空気感染です。化学療法と外科手術はこの病気のほぼすべての段階で治療に効果を発揮します。
- SCP-164の生み出した腫瘍は一定サイズ以上に成長したら、75%の場合ではガン性肉腫が見せる通常の振舞いを踏襲することになります。しかし、25%の場合には、宿主の肉体を素材として新たに別の生体が腫瘍内につくられます。上述の生体は始めには、胎児とよく似て接合子(受精卵)とその複製です。外面的にはこれには普通の腫瘍産生と異なるところは見受けられず、初期段階ではそうと気付れかないこともあります。
奇妙なことに、成熟した生体は当初の腫瘍とは完全に無関係なものと同定され、対応するのは今までに知られていない種のTeuthida(イカ)目です。生体を取り出すとわかりますが、これは海洋環境内で完全に生存可能で、移動、捕食、基本的な防衛、生殖、その他諸々の普通の行動をとることになります。しかし、上述の生体はまた当初の腫瘍の中でも生存可能であり、たまに動いて位置を変え、宿主を殺すことになるまで通常の割合で成長し続けます。この生体(SCP-164-2)の存在とその性質は民間の感染例ではほぼ気付かれることはありません、検死や外科手術で発達した生体の存在が暴かれないかぎりは。
SCP-164の生体と腫瘍は宿主の生理機能と興味深い仕方で相互作用します。以下の場合は殊に注記に値するものです:
- Dクラス女性、23歳:SCP-164の腫瘍が子宮壁にできる。宿主の体は腫瘍を人間の胎児と認識した様子で、収めていた生存可能なSCP-164-2を9ヶ月後に普通に出産した。
- Dクラス男性、30歳:腫瘍は脊髄にでき、中枢神経系を攪乱した。結果として、SCP-164-2が動くと被験者の手足はからざおのように振り回されることになったが、これは二つの生体の神経系が『交差』したことを示唆するものである。検死結果はこの仮説に支持を与えるものである。
- Dクラス男性、25歳:腫瘍は被験者の食道と気管の付近にできたが、この場所で通常通りに成長したら普通なら上述の経路を塞ぎすぐさま被験者を殺すことになる。そうはならず、腫瘍の成長方向は頸部後方へと移動していき、被験者が通常の死亡時点より前に死ぬことを防いだ。█████医師は、これはSCP-164が意図的にとった行動かもしれない、と示唆している。