アイテム番号: SCP-165-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-165-JPは完全な収容には至っていません。SCP-165-JP-Aの精神状態を良好に保つため、最低1名の職員が割り当てられます。
説明: SCP-165-JPはかつてSCP-███-JPの収容に利用されていたアクリル製の一般的な生物収容セルです。その内部に存在する人間をSCP-165-JP-Aと呼称します。
SCP-165-JPは外部からの干渉を受け付けません。入り口や物品の投入口は完全に塞がれており、内部から変化を加える事も不可能であると考えられています。SCP-165-JP内部にSCP-165-JP-Aが存在しない場合、午前8時前後にSCP-165-JP-Aが発生します。SCP-165-JP-Aは人間であり、外部から何らかの方法で転移したものと考えられています(失踪者リストとの一致有り)。またSCP-165-JP-Aは全ての場合において新品かつ茶色の傘を所持した状態で現れます。加えてSCP-165-JP-Aは食事や排泄、睡眠も必要とせず疲労の兆候も示しません。それについての複数回に渡るインタビューにも関わらず、「興味が無い」以上の具体的な解答は得られていません。
午前0時前後から午前6時前後まで2cm前後の氷粒が発生します。これらは秒速16m程でSCP-165-JP天井部から出現し、底部に接触した時点で消失します。SCP-165-JP-Aは氷粒発生の数分前に傘を差し、氷粒が止むと傘を畳みます。この行動についてSCP-165-JP-Aは「雹が降るから傘を差す」といったコメントをしますが、実際にそれ以上の強制力が無い事に注意して下さい。
氷粒によって傘布の約50%が失われる、または中棒の損傷等で傘の機能が大幅に失われた場合、SCP-165-JP-Aは傘と共に消失します。その他氷粒の発生時に傘を差さない、傘を投げ捨てる、等の行為によっても消失する事が確認されています。消失したSCP-165-JP-Aは発見されていません。
会話記録165-JP
<録音開始, [████/██/██, 22:██]>
小塚研究員: 気分はどうだ。
SCP-165-JP-A: 変わらないよ。やる事無いから恐ろしく暇だけどね。
SCP-165-JP-A: せめてこの傘の色だけでも変わってくれれば気分も変わるんだけど。
小塚研究員: 茶色じゃご不満か。
SCP-165-JP-A: 勿論! もう少し明るい色の方がいいね。それとこの安っぽさが気に入らない。2000円もしないなこれは。
小塚研究員: そうは言ってもな……使うの嫌か?
SCP-165-JP-A: そんな事はない。それに、お前が困るだろ。
小塚研究員: ああ、できれば使ってもらえると嬉しい。……すまない、時間だ。
SCP-165-JP-A: いってらっしゃい。また来てくれるのを待ってるよ。
<録音終了>
<録音開始, [████/██/██, 22:██]>
SCP-165-JP-A: ついにこの時が、って感じだね。
小塚研究員: ……そうだな。
SCP-165-JP-A: あ、いいよ気を使わなくて。そんなに気にしてない。
SCP-165-JP-A: ここに来ちゃった時点で覚悟は決めたし、傘ももうボロボロだし、あちこち痛むし。
小塚研究員: すまない。
SCP-165-JP-A: 感謝したい位だよ。知り合いが居て……そういや、最期まで数字で呼ばなかったな。
小塚研究員: そりゃお前。
SCP-165-JP-A: ハハハ、ごめんごめん怒るなって。感謝ついでに1つ。
SCP-165-JP-A: 確か小塚ってあんまり傘差さないよな?
小塚研究員: 藪から棒に……あんまり傘は使わんな。
SCP-165-JP-A: 小雨だなと思っても使った方がいい。高い傘じゃなくてもいいから……ビニール傘はオススメしないけど。
SCP-165-JP-A: 分かる?
小塚研究員: ……分からん。
SCP-165-JP-A: その内分かるさ。
<録音終了>